第一章
夢小説設定
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「作戦行動開始。命だいじにな」
『『了解』』
脳内に実働隊の声が響いた。
真夜中。私は力也と慎と昂秀と共にとあるビルの最上階にいた。
眼下には最新鋭の防衛設備が施された巨大倉庫が見える。
「陣の能力ほんと便利だね。『テレパス』…脳内に思い浮かべた人と思念で会話でき、術者の髪の毛や皮膚片を持っている者同士でも術者を中継して思念でのやりとりが可能。さらに目を合わせている者なら心を読める、か。無線や衛星を使わずに遠隔やり取りできるのは大きい」
「陣『さん』な」
すかさず昂秀の訂正が入る。私は歯をいっとむき出しにして言った。
「じ、ん」
『呼んだ?』
「呼んでない」
ぴしゃりと言うと、見えなくても陣のしゅんとした顔が脳内に浮かぶ。
「みさ、防犯カメラはどうだ?」
「大丈夫だよリッキー、もうダミー映像を走らせてる」
「力也さん、だろ!」
「リッキー」
「昂秀、いいから」
「残念だったな秀坊」
「その呼び方やめてくんない!?」
喚く昂秀を無視して、立てた膝の上に置いたノートパソコンを叩く。液晶画面に倉庫のセキュリティ制御を行う回路の構造が映し出された。
倉庫の周囲に張り巡らされた柵には有刺鉄線とセンサーが取り付けられ、動く物体を感知し倉庫内部の制御室に伝える。
柵の唯一の切れ目である門には常に警備兵が駐在し目視での監視が絶えず行われており、柵の内側に入り込むには関係者であることを示すICカードの読み取りと検問を突破する必要がある。
倉庫内に入るにも指紋認証・網膜認証・ICカード認証の入力の3段階が構えられている。
倉庫内部構造はどうなっているかというと、貿易品をしまったり外に運び出したりする際には入ってすぐにある管理システムを司るコンピュータに品ごとに割り振られた番号を入力する。すると地下10階、地上4階にもなる超巨大なコンテナの棚から自動で貿易品が出荷台まで移動する、という大規模かつハイテクな仕組みだ。
さらにダメ押しと言わんばかりに倉庫内外のいたるところに防犯カメラが設置され、リアルタイムで制御室に送られている。まさに最強の砦だ。
とりあえず一番ガードの緩かった監視カメラ系統のラインはハッキングに成功し、ダミー映像が流れている。
次にやるべきは柵のセンサーを停止させること。地下にまで張り巡らされているこの厄介なセンサーを何とかしなければならない。
「みさから実働隊各位へ、怪しまれるからセンサーを止められるのは最長でも3秒間。その間に柵を超えてよ」
『こちらrouteA、樹。準備はできてる』
『routeB、拓磨。いつでもどうぞ』
『routeCの海青、ポジショニング完了』
「こちら力也。俺のGOの合図で(名前)はセンサー系統をブロック、そこから3秒カウントダウンする間に各班柵を乗り越えろ。同時に昂秀の能力で警備兵からカモフラージュする」
『『了解』』
指をパキパキ鳴らして、私は仕事にとりかかる。ものの数秒でセンサーを司る電子系統に潜り込んだ。
「OK、いつでもいけるよ」
「よし。じゃあ行くぞ。Ready…go!」
エンターキーを押し込む。と、電子回路の一部に誤作動が生じ、安全点検のために自動でセンサーが停止した。それと同時に昂秀が半径1kmにいる任意の人間に幻覚を見せられる能力、『Phantom』を発動させる。警備兵たちには目の前でまんまと侵入に成功する男達など全く気が付かないだろう。
「3、2、1、0」
制御室から回復の動きが見られるちょうど3秒でブロックを解く。私はすぐに慎に尋ねた。慎は瞳を金色に光らせてメンバーの様子を確認している。
「まこっちゃん、どう?」
「…全員侵入成功。警備兵にも特に変わった動きは見られない。第1フェーズ終了」
routeAは樹の氷を生み出す能力『ICE』で柵に階段を作り、routeBは拓磨の『土竜』という土や岩石を自由に操る能力でコンクリート製の柵を変形させて穴を開け、routeCはライオンになれる海青の『獅子奮迅』の能力で他のメンバーを背中に乗せ飛び越える力技で柵を突破したようだ。
以上のような内容の報告を慎から受け、力也は小さく頷いた。
「よし、次だ。倉庫内部に侵入する」
『『了解』』
脳内に実働隊の声が響いた。
真夜中。私は力也と慎と昂秀と共にとあるビルの最上階にいた。
眼下には最新鋭の防衛設備が施された巨大倉庫が見える。
「陣の能力ほんと便利だね。『テレパス』…脳内に思い浮かべた人と思念で会話でき、術者の髪の毛や皮膚片を持っている者同士でも術者を中継して思念でのやりとりが可能。さらに目を合わせている者なら心を読める、か。無線や衛星を使わずに遠隔やり取りできるのは大きい」
「陣『さん』な」
すかさず昂秀の訂正が入る。私は歯をいっとむき出しにして言った。
「じ、ん」
『呼んだ?』
「呼んでない」
ぴしゃりと言うと、見えなくても陣のしゅんとした顔が脳内に浮かぶ。
「みさ、防犯カメラはどうだ?」
「大丈夫だよリッキー、もうダミー映像を走らせてる」
「力也さん、だろ!」
「リッキー」
「昂秀、いいから」
「残念だったな秀坊」
「その呼び方やめてくんない!?」
喚く昂秀を無視して、立てた膝の上に置いたノートパソコンを叩く。液晶画面に倉庫のセキュリティ制御を行う回路の構造が映し出された。
倉庫の周囲に張り巡らされた柵には有刺鉄線とセンサーが取り付けられ、動く物体を感知し倉庫内部の制御室に伝える。
柵の唯一の切れ目である門には常に警備兵が駐在し目視での監視が絶えず行われており、柵の内側に入り込むには関係者であることを示すICカードの読み取りと検問を突破する必要がある。
倉庫内に入るにも指紋認証・網膜認証・ICカード認証の入力の3段階が構えられている。
倉庫内部構造はどうなっているかというと、貿易品をしまったり外に運び出したりする際には入ってすぐにある管理システムを司るコンピュータに品ごとに割り振られた番号を入力する。すると地下10階、地上4階にもなる超巨大なコンテナの棚から自動で貿易品が出荷台まで移動する、という大規模かつハイテクな仕組みだ。
さらにダメ押しと言わんばかりに倉庫内外のいたるところに防犯カメラが設置され、リアルタイムで制御室に送られている。まさに最強の砦だ。
とりあえず一番ガードの緩かった監視カメラ系統のラインはハッキングに成功し、ダミー映像が流れている。
次にやるべきは柵のセンサーを停止させること。地下にまで張り巡らされているこの厄介なセンサーを何とかしなければならない。
「みさから実働隊各位へ、怪しまれるからセンサーを止められるのは最長でも3秒間。その間に柵を超えてよ」
『こちらrouteA、樹。準備はできてる』
『routeB、拓磨。いつでもどうぞ』
『routeCの海青、ポジショニング完了』
「こちら力也。俺のGOの合図で(名前)はセンサー系統をブロック、そこから3秒カウントダウンする間に各班柵を乗り越えろ。同時に昂秀の能力で警備兵からカモフラージュする」
『『了解』』
指をパキパキ鳴らして、私は仕事にとりかかる。ものの数秒でセンサーを司る電子系統に潜り込んだ。
「OK、いつでもいけるよ」
「よし。じゃあ行くぞ。Ready…go!」
エンターキーを押し込む。と、電子回路の一部に誤作動が生じ、安全点検のために自動でセンサーが停止した。それと同時に昂秀が半径1kmにいる任意の人間に幻覚を見せられる能力、『Phantom』を発動させる。警備兵たちには目の前でまんまと侵入に成功する男達など全く気が付かないだろう。
「3、2、1、0」
制御室から回復の動きが見られるちょうど3秒でブロックを解く。私はすぐに慎に尋ねた。慎は瞳を金色に光らせてメンバーの様子を確認している。
「まこっちゃん、どう?」
「…全員侵入成功。警備兵にも特に変わった動きは見られない。第1フェーズ終了」
routeAは樹の氷を生み出す能力『ICE』で柵に階段を作り、routeBは拓磨の『土竜』という土や岩石を自由に操る能力でコンクリート製の柵を変形させて穴を開け、routeCはライオンになれる海青の『獅子奮迅』の能力で他のメンバーを背中に乗せ飛び越える力技で柵を突破したようだ。
以上のような内容の報告を慎から受け、力也は小さく頷いた。
「よし、次だ。倉庫内部に侵入する」