第五章
夢小説設定
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彼はマスターであって、マスターではない。
そんなジレンマに、私の中では微かな混乱が生じていた。
「ん…はぁっ、あ、」
だって私を抱く手つきも唇も間違いなくあの人の動きなのに見た目はただの子供なのだ。こんな年端もいかない少年に溶かされているのかと思うと混乱してしまうのも無理はない。
ここに来て1週間。
なぜ10年前死んだはずのマスターが少年の姿をとって生きているのかも、もしこれがマスターの能力だとしたら一体どのような力なのかも教えられていない。
『命は還り、再び蘇る』
マスターは10年前に一度死に、そして転生した。前世の記憶を背負ったまま。
それならば今マスターがこのカルト宗教の『絶対神』として成し遂げようとするものは、前世の因縁の決着か?
過去の自分を殺したLDHへの報復。
「…僕は復讐なんかに囚われるような男じゃないよ。まぁ10年前の戦いからどれだけ強くなったのか、五十嵐くんを試してみようとは思ってたけど…でも結局彼は負けた。所詮それまでだったということだ」
マスターは薄く笑って、私に感情の見えない視線を向ける。
「でも何よりも大きな目的は、君だ。僕の最高の右腕。このカルト宗教傘下にあるテロ組織がLDHの手によって倒された時、君も関わっていたんだろう?もとよりLDHが怪しいと思っていた僕はその情報を手に入れ、少しずつ探りを入れながら作戦を実行に移したわけだ」
「私を…」
つまり、私のせいでみんなが傷ついた、と?
少年の柔らかさの残る手が私の頬を撫でる。
「美しい僕のお人形さん。君に相応しいのは僕だけだ」
少しずつ、心が狂愛という毒に侵食されていく。LDHのみんなの顔が霞んでいく。
このままでは、取り返しのつかないところまで行ってしまう。
この人の右腕として働いた10年間。
歪な愛の鳥籠に閉じ込めれていた。外の世界を知らず、ここにさえいれば安全だと心にも身体にも教えこまれてきた。
マスターこそが私の世界の全てだった。
「君が戻ってきた今、僕の計画は再び動き出す」
「計画?」
「僕が『神』となるための計画だよ」
この人の考えていることは、私の頭脳を持ってしても分からない。
でもマスターなら、そんな訳の分からない妄言でも現実のものにできるんじゃないかと思ってしまうのだ。
「着いてきてくれるよね?みさ」
慎の顔が頭から離れてくれない。
「はい」
そんなジレンマに、私の中では微かな混乱が生じていた。
「ん…はぁっ、あ、」
だって私を抱く手つきも唇も間違いなくあの人の動きなのに見た目はただの子供なのだ。こんな年端もいかない少年に溶かされているのかと思うと混乱してしまうのも無理はない。
ここに来て1週間。
なぜ10年前死んだはずのマスターが少年の姿をとって生きているのかも、もしこれがマスターの能力だとしたら一体どのような力なのかも教えられていない。
『命は還り、再び蘇る』
マスターは10年前に一度死に、そして転生した。前世の記憶を背負ったまま。
それならば今マスターがこのカルト宗教の『絶対神』として成し遂げようとするものは、前世の因縁の決着か?
過去の自分を殺したLDHへの報復。
「…僕は復讐なんかに囚われるような男じゃないよ。まぁ10年前の戦いからどれだけ強くなったのか、五十嵐くんを試してみようとは思ってたけど…でも結局彼は負けた。所詮それまでだったということだ」
マスターは薄く笑って、私に感情の見えない視線を向ける。
「でも何よりも大きな目的は、君だ。僕の最高の右腕。このカルト宗教傘下にあるテロ組織がLDHの手によって倒された時、君も関わっていたんだろう?もとよりLDHが怪しいと思っていた僕はその情報を手に入れ、少しずつ探りを入れながら作戦を実行に移したわけだ」
「私を…」
つまり、私のせいでみんなが傷ついた、と?
少年の柔らかさの残る手が私の頬を撫でる。
「美しい僕のお人形さん。君に相応しいのは僕だけだ」
少しずつ、心が狂愛という毒に侵食されていく。LDHのみんなの顔が霞んでいく。
このままでは、取り返しのつかないところまで行ってしまう。
この人の右腕として働いた10年間。
歪な愛の鳥籠に閉じ込めれていた。外の世界を知らず、ここにさえいれば安全だと心にも身体にも教えこまれてきた。
マスターこそが私の世界の全てだった。
「君が戻ってきた今、僕の計画は再び動き出す」
「計画?」
「僕が『神』となるための計画だよ」
この人の考えていることは、私の頭脳を持ってしても分からない。
でもマスターなら、そんな訳の分からない妄言でも現実のものにできるんじゃないかと思ってしまうのだ。
「着いてきてくれるよね?みさ」
慎の顔が頭から離れてくれない。
「はい」