第四章
夢小説設定
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「もうすぐ夜明けだ」
「だいぶ銃声も収まってきたね。そろそろ決着つく頃かな」
無事にセキュリティシステムも作動し、亜嵐の回復を地下室で待つ。
「ジェネのみんなは大丈夫かな」
亜嵐がぽつりと呟いた。本部に無線で入ってきている報告ではかなり厳しい戦いを強いられているらしい。
「…ここが落ち着いたらサウスに戻れるんじゃない?それまで持ちこたえてもらうしかないよ」
「そうだな」
THE RAMPAGEはどうなっただろう。負傷者も出ていると陣からの報告があったみたいだけど。
私はさらに敵の正体に考えを巡らせた。
LDHに一斉攻撃を仕掛けるなんて、一体何がしたいのだろう。
私たちがここまで追い詰められるほどの戦力をどうやって揃えたのか。
一般人も巻き込んで、数え切れないほどの死人が出ている。奴らは何のために戦っているのだろう。
私たちの敵は誰なのか。
「無差別に一般人も狙うやり方は例のカルト宗教と同じ…」
「ランペが調べてた奴ら?」
「そう。私が本社に戻ってきたのだってそれに関して調べたいことがあったから…」
そこで、はっと気がついた。
「あの子供…!」
黒髪の少年。
もしこの襲撃の主犯がカルト集団だとするならば、あの少年も関わっているのではないか。
私のかつての主人と同じ空気を纏ったあの少年。
マスターは人の心を操る技術に関しては右に出るものはいなかった。
恐怖で人間を支配するのではない。
人々にマスター自身への強烈な憧れ、盲目的な憧憬や信頼を抱かせる何か、オーラやカリスマ性のようなものを持っていた。
一度それに触れてしまえばもう逃げられない。
彼のためなら命を賭してでも従いたい、期待に答えたいと、一種の催眠術のようなものにかかってしまう。
マスターはそうやって、多くの部下を使い捨ての駒のように扱ってきた。
今戦っている奴らにも、かつてのファミリーと通じるものを感じるのだ。
自爆して死んだ彼女も言っていた。
『死など怖くない。命は還る』
心理学的に見れば、死が怖くない人間などいない。彼女も、今戦っている彼らも通常の心理状態ではないのだろう。
やはりあの少年はマスターに関わりのある人物なのではないか。
あの少年を探れば、カルト集団にも繋がっていくのではないか。
彼の正体が分かれば…!
その時だった。
『AKIRAから全員へ!敵が本社内部にまで侵入してきてるぞ!』
自分の耳を疑った。
「うそ…!モデル・51は三段階の暗号化でシステムに登録された人しか内部には入れないようになってる!どういうこと!?」
私は思わず無線機に向かって怒鳴った。向こう側からAKIRAの声と銃声が返ってくる。
『いや、システムが突破された形跡はねぇ!突然降って湧いたみたいに中に入ってきたんだ!』
『こちらHIRO。内部に侵入してきた敵の人数を把握できる奴はいるか?』
『こちら篤志。今現在は約100人だけど、どんどん数十人単位で増えてる』
『こちら敬浩!向こうに能力者がいる。たぶんPSY系の、瞬間移動の能力者だ』
無線機越しに緊迫したやりとりが続く。
瞬間移動の能力者…?
私は半年前のTHE RAMPAGEとの初仕事で戦った能力者を思い出した。
トラックの荷台に突然現れたあいつも瞬間移動で現れた。自分だけでなくもう1人連れて。
まさか、あいつは死んだはず。
…いや、能力は血統で受け継がれていく。もしかして、あの時の能力者の家族や親戚という可能性もある。
(つまり…)
頭の中でゆっくりと危険信号が点っていく。
あの時のテロ組織とカルト集団はどこかで繋がっている…?
その時、亜嵐が悔しげに壁を拳で殴った。
「くそッ、何なんだ!!」
亜嵐に力を貸してらって作動させたシステムも、難なく突破されてしまった。努力が水の泡だ。
「ごめんチャラン」
申し訳ない気持ちでいっぱいになり、俯いた私の頭を亜嵐がくしゃりと撫でる。
「…いや、みさのせいじゃないよ。やれるだけのことはやった」
「チャラン…」
「うん、あとこのシチュエーションでその呼び方されるとすげぇダサいからそろそろ亜嵐って呼んで欲しいんだけど」
「さっき私のこと抱き潰してやるって言ったのどこのどいつだよ」
「俺です」
「一生チャランね」
亜嵐が諦めのため息をついて立ち上がった。まだ少し疲労の色が見えるが、止めても無駄だと知っている私は何も言わない。
上階から爆音が響いた。微かに建物が揺れる。
「ここも安全とは言いきれないな」
「でも瞬間移動の能力者だけじゃなくて、組織のトップを殺さない限り攻撃は一生続く。安全な場所なんてどこにもない」
「じゃあとりあえずここに隠れてよう。俺から離れんなよ、こっから先は戦闘員の出番だ」
「分かった」
私は筐体の影に隠れてノートパソコンを開いた。何もせずにぼーっと守られているだけなんて性に合わない。
私に今、できることを。
「だいぶ銃声も収まってきたね。そろそろ決着つく頃かな」
無事にセキュリティシステムも作動し、亜嵐の回復を地下室で待つ。
「ジェネのみんなは大丈夫かな」
亜嵐がぽつりと呟いた。本部に無線で入ってきている報告ではかなり厳しい戦いを強いられているらしい。
「…ここが落ち着いたらサウスに戻れるんじゃない?それまで持ちこたえてもらうしかないよ」
「そうだな」
THE RAMPAGEはどうなっただろう。負傷者も出ていると陣からの報告があったみたいだけど。
私はさらに敵の正体に考えを巡らせた。
LDHに一斉攻撃を仕掛けるなんて、一体何がしたいのだろう。
私たちがここまで追い詰められるほどの戦力をどうやって揃えたのか。
一般人も巻き込んで、数え切れないほどの死人が出ている。奴らは何のために戦っているのだろう。
私たちの敵は誰なのか。
「無差別に一般人も狙うやり方は例のカルト宗教と同じ…」
「ランペが調べてた奴ら?」
「そう。私が本社に戻ってきたのだってそれに関して調べたいことがあったから…」
そこで、はっと気がついた。
「あの子供…!」
黒髪の少年。
もしこの襲撃の主犯がカルト集団だとするならば、あの少年も関わっているのではないか。
私のかつての主人と同じ空気を纏ったあの少年。
マスターは人の心を操る技術に関しては右に出るものはいなかった。
恐怖で人間を支配するのではない。
人々にマスター自身への強烈な憧れ、盲目的な憧憬や信頼を抱かせる何か、オーラやカリスマ性のようなものを持っていた。
一度それに触れてしまえばもう逃げられない。
彼のためなら命を賭してでも従いたい、期待に答えたいと、一種の催眠術のようなものにかかってしまう。
マスターはそうやって、多くの部下を使い捨ての駒のように扱ってきた。
今戦っている奴らにも、かつてのファミリーと通じるものを感じるのだ。
自爆して死んだ彼女も言っていた。
『死など怖くない。命は還る』
心理学的に見れば、死が怖くない人間などいない。彼女も、今戦っている彼らも通常の心理状態ではないのだろう。
やはりあの少年はマスターに関わりのある人物なのではないか。
あの少年を探れば、カルト集団にも繋がっていくのではないか。
彼の正体が分かれば…!
その時だった。
『AKIRAから全員へ!敵が本社内部にまで侵入してきてるぞ!』
自分の耳を疑った。
「うそ…!モデル・51は三段階の暗号化でシステムに登録された人しか内部には入れないようになってる!どういうこと!?」
私は思わず無線機に向かって怒鳴った。向こう側からAKIRAの声と銃声が返ってくる。
『いや、システムが突破された形跡はねぇ!突然降って湧いたみたいに中に入ってきたんだ!』
『こちらHIRO。内部に侵入してきた敵の人数を把握できる奴はいるか?』
『こちら篤志。今現在は約100人だけど、どんどん数十人単位で増えてる』
『こちら敬浩!向こうに能力者がいる。たぶんPSY系の、瞬間移動の能力者だ』
無線機越しに緊迫したやりとりが続く。
瞬間移動の能力者…?
私は半年前のTHE RAMPAGEとの初仕事で戦った能力者を思い出した。
トラックの荷台に突然現れたあいつも瞬間移動で現れた。自分だけでなくもう1人連れて。
まさか、あいつは死んだはず。
…いや、能力は血統で受け継がれていく。もしかして、あの時の能力者の家族や親戚という可能性もある。
(つまり…)
頭の中でゆっくりと危険信号が点っていく。
あの時のテロ組織とカルト集団はどこかで繋がっている…?
その時、亜嵐が悔しげに壁を拳で殴った。
「くそッ、何なんだ!!」
亜嵐に力を貸してらって作動させたシステムも、難なく突破されてしまった。努力が水の泡だ。
「ごめんチャラン」
申し訳ない気持ちでいっぱいになり、俯いた私の頭を亜嵐がくしゃりと撫でる。
「…いや、みさのせいじゃないよ。やれるだけのことはやった」
「チャラン…」
「うん、あとこのシチュエーションでその呼び方されるとすげぇダサいからそろそろ亜嵐って呼んで欲しいんだけど」
「さっき私のこと抱き潰してやるって言ったのどこのどいつだよ」
「俺です」
「一生チャランね」
亜嵐が諦めのため息をついて立ち上がった。まだ少し疲労の色が見えるが、止めても無駄だと知っている私は何も言わない。
上階から爆音が響いた。微かに建物が揺れる。
「ここも安全とは言いきれないな」
「でも瞬間移動の能力者だけじゃなくて、組織のトップを殺さない限り攻撃は一生続く。安全な場所なんてどこにもない」
「じゃあとりあえずここに隠れてよう。俺から離れんなよ、こっから先は戦闘員の出番だ」
「分かった」
私は筐体の影に隠れてノートパソコンを開いた。何もせずにぼーっと守られているだけなんて性に合わない。
私に今、できることを。