第四章
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「あーもう!私の陣地にサイバー攻撃仕掛けてくるなんて怖いもの知らずもいいとこだな!」
本社3階、セキュリティシステム制御室。
私はエンターキーに人差し指を叩きつけた。
「お前らがちょこまかちょこまかつっついて来るせいで私の完璧な計算が崩れんだよセキュリティシステム動かせねぇだろうがクソが100回死ね」
「みさ口悪い」
「うるせぇチャランぶち犯されてぇのか」
「下品だしどっちかと言えば立場逆だし」
護衛についてくれている亜嵐がサバイバルナイフをくるりと回す。
ここに謎の集団からの奇襲があったのは3時間前。戦闘員は外で後から後から溢れてくる不気味な敵と、私は中で電子世界からのとめどない攻撃と、それぞれ戦っていた。
つまりもう3時間もハッキングされそうになってはブロックし、セキュリティシステムを作動させようとしてはサイバー攻撃で邪魔されるを繰り返している。
いい加減ストレスが限界値を越えていた。
『みさ、防御形態への移行はまだか?』
そんな中、小型無線機にHIROからの通信が入る。私はキーボードに指を走らせながらこめかみをぴくぴく痙攣させた。
「うるせぇ今必死にやってんだよこのビルの電気系統が乗っ取られずにいるのも私が根気よーくデジタル世界の敵を潰してるおかげだかんな」
『おいおい、天才の名が泣くぞ。敵のサイバー攻撃もものともせずにクールに仕事をするのがお前だろ』
「っはぁ~??私いま超クールですけど??こんな低レベルなサイバー攻撃なんて天才からしたら子供のままごとと変わりませんけど??あと5分でモデル・51も発動できますけど??」
『頼んだ。亜嵐、みさの護衛よろしくな』
「はい。前線の方たちの武運を祈ります」
なんだか上手いことノせられた気がしなくもないがとにかく私はこのビルのセキュリティシステムを動かそうと躍起になる。
その時だった。
爆音が轟いたと思ったら建物全体が大きく揺れる。そして電気も、システムの電源も、すべてが一瞬で落ちた。
亜嵐が窓に走り寄って外を見る。整った横顔が忌々しげに歪む。
「くそ、奴らキャノン砲まで準備してやがる。地下を通ってる電気回路を狙ったんだ」
「まずい、電気回路を大元から潰されたらもう何も出来ない」
みんなが外で必死に戦ってるのに、サポメンの私が何もしてやれない?
ふざけんな。
頭をフル回転させてある可能性に行き着いた私は愛用のノートパソコンと亜嵐の手を取って走り出した。
「うお!?ちょ、みさどこに…下は敵が入ってくる可能性高いから危ないって!」
「そんなの関係ない!地下に行かなきゃ」
「はぁ!?」
猛然と階段を駆け下り1階に到達する。
エントランスに飛び込んだ時、入口の外で黒い影が閃くのが見えた。味方の隙間を縫ってビルの中に突撃しようとしているのだ。
「っ、伏せろ!」
亜嵐の瞳が金色に光る。左手で私の頭をぐいっと下げると同時に、右手を大きく薙いだ。
雷鳴。
強化ガラスの扉の向こうで、亜嵐の雷に打たれた敵が数人バタバタと倒れる。
能力名、『Zeus』。山彰と同じ雷属性の力だ。ただし山彰は空気中の電気を集めて増幅し攻撃するのに対し、亜嵐の能力は体内から大量の電気を生み出し、それを放出している。
「戦線がこんなギリギリまで下がってる…!敵の数が多すぎるんだ」
「HIROが言うには能力者も混じってるって。一体誰が何の目的でこんなに人材を集めてるんだか」
だが今はそんなことを考えている場合じゃない。
再び走り出した私たちが辿り着いたのは例のスーパーコンピュータ『京』が置いてある秘密の地下室。本当は私とHIRO以外入っちゃいけない場所だけど、もうなりふり構ってられない。
「なんだここ…本社にこんな場所があるなんて知らなかった。これスーパーコンピュータ?」
「説明はあと。チャラン、その能力だと最大何ボルトまで出せる?」
「え?大体1000万ボルトくらいだけど…」
「じゃあ使えて3分が限界だね」
「…お前まさか」
「そのまさかだよ」
私は平然と言い放つと、主電源に繋がる太いコードを引っこ抜いた。
本社ビル全体の電気系統がダウンした今、頼みの綱はこの『京』と亜嵐の能力『Zeus』が生み出す電力のみ。
「普通の規格のコンピュータじゃサイバー攻撃を防ぐだけで精一杯。でも『京』ならセキュリティシステムの復旧・作動まで持って行ってくれるはず。あとはチャランの頑張り次第だよ」
「…これ全部終わったらみさのこと抱き潰してやるから」
「好きにしていい。ただ今はこっち頑張って」
メインディスプレイの前に腰掛ける。亜嵐は緊張した面持ちで呼吸を整えた。
「3分。それ以上は持たない」
「OK、いつでもどうぞ」
「じゃあ、スタート」
バチッと音がして亜嵐がありったけの電気をコードに送り込む。巨大な機械の怪物がゆっくりと目を覚ます。
私はホログラムをタップして、サーバの復活にとりかかった。ダメージは深刻だったが何とかなりそうだ。
1分かけてサーバを復旧させた私はすぐに次の仕事にとりかかった。
さすがは私の愛すべきスパコンちゃん、サイバー攻撃などものともせずシステムを開いていく。
「ぐ…」
亜嵐の顔が苦しげに歪んだ。2分経過。
「もうちょっと!もうちょっとで終わるから耐えてチャラン」
ホロの上を私の指が走る。あと30秒。
あと10秒。
『ユーザパスワード確認。防衛モデル・51、作動します』
機械音声が動作の開始を知らせた。
「完了!」
「っぷは、」
亜嵐ががくりと床に手をつく。ギリギリだったが、何とか間に合った。
「HIRO、こちらみさ。防御システム作動」
『よくやってくれた、これで戦いがだいぶ楽になる。ありがとう』
「お礼ならチャランにもどーぞ。あとは頼んだよ」
『あぁ、必ず殲滅する。亜嵐もありがとう』
「いえ」
外で地響きと共に半径1キロにも渡って防御用のシールドが地面から持ち上がり、ダウンタウンの中心部を守る。さらにビル自体も要塞のような守りに特化した形に変形していく。
モデル・51。
このビルの最終防御形態 だ。
これで敵も袋の鼠。あとは狩られるのを待つのみだ。外からの応援もそうそう入ってこれないだろう。
私はひと仕事終えた亜嵐の肩にぽん、と手を置く。
「おつかれ。ありがとチャラン助かった」
「おう」
気だるげに壁に背中を預けながらも、亜嵐は笑顔を見せてくれる。
地上からは尚も銃声響いていたが、じきに決着が着くだろう。
ここだけじゃなくTHE RAMPAGEやGENERATIONS、THE SECONDに三代目の所にも敵が攻め込んでいると聞いたが、そちらは大丈夫だろうか。
なぜだかその時思い浮かんだのはキスされて頬を赤くしている慎の顔。
冗談めかして言った言葉。
『これが最後かもよ?』
本社3階、セキュリティシステム制御室。
私はエンターキーに人差し指を叩きつけた。
「お前らがちょこまかちょこまかつっついて来るせいで私の完璧な計算が崩れんだよセキュリティシステム動かせねぇだろうがクソが100回死ね」
「みさ口悪い」
「うるせぇチャランぶち犯されてぇのか」
「下品だしどっちかと言えば立場逆だし」
護衛についてくれている亜嵐がサバイバルナイフをくるりと回す。
ここに謎の集団からの奇襲があったのは3時間前。戦闘員は外で後から後から溢れてくる不気味な敵と、私は中で電子世界からのとめどない攻撃と、それぞれ戦っていた。
つまりもう3時間もハッキングされそうになってはブロックし、セキュリティシステムを作動させようとしてはサイバー攻撃で邪魔されるを繰り返している。
いい加減ストレスが限界値を越えていた。
『みさ、防御形態への移行はまだか?』
そんな中、小型無線機にHIROからの通信が入る。私はキーボードに指を走らせながらこめかみをぴくぴく痙攣させた。
「うるせぇ今必死にやってんだよこのビルの電気系統が乗っ取られずにいるのも私が根気よーくデジタル世界の敵を潰してるおかげだかんな」
『おいおい、天才の名が泣くぞ。敵のサイバー攻撃もものともせずにクールに仕事をするのがお前だろ』
「っはぁ~??私いま超クールですけど??こんな低レベルなサイバー攻撃なんて天才からしたら子供のままごとと変わりませんけど??あと5分でモデル・51も発動できますけど??」
『頼んだ。亜嵐、みさの護衛よろしくな』
「はい。前線の方たちの武運を祈ります」
なんだか上手いことノせられた気がしなくもないがとにかく私はこのビルのセキュリティシステムを動かそうと躍起になる。
その時だった。
爆音が轟いたと思ったら建物全体が大きく揺れる。そして電気も、システムの電源も、すべてが一瞬で落ちた。
亜嵐が窓に走り寄って外を見る。整った横顔が忌々しげに歪む。
「くそ、奴らキャノン砲まで準備してやがる。地下を通ってる電気回路を狙ったんだ」
「まずい、電気回路を大元から潰されたらもう何も出来ない」
みんなが外で必死に戦ってるのに、サポメンの私が何もしてやれない?
ふざけんな。
頭をフル回転させてある可能性に行き着いた私は愛用のノートパソコンと亜嵐の手を取って走り出した。
「うお!?ちょ、みさどこに…下は敵が入ってくる可能性高いから危ないって!」
「そんなの関係ない!地下に行かなきゃ」
「はぁ!?」
猛然と階段を駆け下り1階に到達する。
エントランスに飛び込んだ時、入口の外で黒い影が閃くのが見えた。味方の隙間を縫ってビルの中に突撃しようとしているのだ。
「っ、伏せろ!」
亜嵐の瞳が金色に光る。左手で私の頭をぐいっと下げると同時に、右手を大きく薙いだ。
雷鳴。
強化ガラスの扉の向こうで、亜嵐の雷に打たれた敵が数人バタバタと倒れる。
能力名、『Zeus』。山彰と同じ雷属性の力だ。ただし山彰は空気中の電気を集めて増幅し攻撃するのに対し、亜嵐の能力は体内から大量の電気を生み出し、それを放出している。
「戦線がこんなギリギリまで下がってる…!敵の数が多すぎるんだ」
「HIROが言うには能力者も混じってるって。一体誰が何の目的でこんなに人材を集めてるんだか」
だが今はそんなことを考えている場合じゃない。
再び走り出した私たちが辿り着いたのは例のスーパーコンピュータ『京』が置いてある秘密の地下室。本当は私とHIRO以外入っちゃいけない場所だけど、もうなりふり構ってられない。
「なんだここ…本社にこんな場所があるなんて知らなかった。これスーパーコンピュータ?」
「説明はあと。チャラン、その能力だと最大何ボルトまで出せる?」
「え?大体1000万ボルトくらいだけど…」
「じゃあ使えて3分が限界だね」
「…お前まさか」
「そのまさかだよ」
私は平然と言い放つと、主電源に繋がる太いコードを引っこ抜いた。
本社ビル全体の電気系統がダウンした今、頼みの綱はこの『京』と亜嵐の能力『Zeus』が生み出す電力のみ。
「普通の規格のコンピュータじゃサイバー攻撃を防ぐだけで精一杯。でも『京』ならセキュリティシステムの復旧・作動まで持って行ってくれるはず。あとはチャランの頑張り次第だよ」
「…これ全部終わったらみさのこと抱き潰してやるから」
「好きにしていい。ただ今はこっち頑張って」
メインディスプレイの前に腰掛ける。亜嵐は緊張した面持ちで呼吸を整えた。
「3分。それ以上は持たない」
「OK、いつでもどうぞ」
「じゃあ、スタート」
バチッと音がして亜嵐がありったけの電気をコードに送り込む。巨大な機械の怪物がゆっくりと目を覚ます。
私はホログラムをタップして、サーバの復活にとりかかった。ダメージは深刻だったが何とかなりそうだ。
1分かけてサーバを復旧させた私はすぐに次の仕事にとりかかった。
さすがは私の愛すべきスパコンちゃん、サイバー攻撃などものともせずシステムを開いていく。
「ぐ…」
亜嵐の顔が苦しげに歪んだ。2分経過。
「もうちょっと!もうちょっとで終わるから耐えてチャラン」
ホロの上を私の指が走る。あと30秒。
あと10秒。
『ユーザパスワード確認。防衛モデル・51、作動します』
機械音声が動作の開始を知らせた。
「完了!」
「っぷは、」
亜嵐ががくりと床に手をつく。ギリギリだったが、何とか間に合った。
「HIRO、こちらみさ。防御システム作動」
『よくやってくれた、これで戦いがだいぶ楽になる。ありがとう』
「お礼ならチャランにもどーぞ。あとは頼んだよ」
『あぁ、必ず殲滅する。亜嵐もありがとう』
「いえ」
外で地響きと共に半径1キロにも渡って防御用のシールドが地面から持ち上がり、ダウンタウンの中心部を守る。さらにビル自体も要塞のような守りに特化した形に変形していく。
モデル・51。
このビルの
これで敵も袋の鼠。あとは狩られるのを待つのみだ。外からの応援もそうそう入ってこれないだろう。
私はひと仕事終えた亜嵐の肩にぽん、と手を置く。
「おつかれ。ありがとチャラン助かった」
「おう」
気だるげに壁に背中を預けながらも、亜嵐は笑顔を見せてくれる。
地上からは尚も銃声響いていたが、じきに決着が着くだろう。
ここだけじゃなくTHE RAMPAGEやGENERATIONS、THE SECONDに三代目の所にも敵が攻め込んでいると聞いたが、そちらは大丈夫だろうか。
なぜだかその時思い浮かんだのはキスされて頬を赤くしている慎の顔。
冗談めかして言った言葉。
『これが最後かもよ?』