第四章
夢小説設定
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巨大な大鷲の背中から飛び降りると、大鷲はするすると縮んでいき最終的に人の形をとった。
私とアッシー君こと敬浩が立っているのは本社ビルの屋上だ。
「ご苦労ご苦労」
「言っとくけど俺お前より13歳年上だからな」
「だから?」
「だからもっと俺を敬ってもいいんじゃない?ってこと」
「元ヤンは上下関係に厳しいね」
「お黙り」
痛いところを突かれそれ以上何も言えない敬浩。私はニヤニヤ笑って屋上から本社に入っていく。
「元ヤンの何が嫌なのさ。私なんて元マフィアだよ?ヤンキーなら可愛い方じゃん」
「やめてくれその話は。頼むから」
「あ、分かった!金髪オールバックにサングラスでちょび髭生やしてたのが…」
「あああああああああああああああああああ」
敬浩が奇声を発しながら階段を駆け下りて行った。通りかかった大樹がすごく不思議そうな顔をしてその背中を見送る。
「たいちゃんやっほ」
「あれ、みさ。ランペのところにいるんじゃなかったの?」
「そうなんだけど、ちょっと調べたいこととかがあって戻ってきた。すぐにあっちに帰るけどね」
「そっかぁ~、ゆっくりしてけばいいのに。みさいないと寂しい」
「大樹はいい子だね…飴ちゃんをあげよう」
「えっありがとう」
私はポケットに入っていた飴ちゃんをその手に握らせると戸惑った表情で渡された飴を見ている大樹を置いて社長室に向かった。
ノックもせずにいきなり扉を開ける。部屋の中にはHIROとAKIRAがいて何やら真剣な話の途中だった。
でもそんなの知ったこっちゃない。私は挨拶もすっ飛ばしてHIROに尋ねる。
「10年前、ちゃんとマスターのこと殺したよね」
「な、何だどうしたんだ藪から棒に。帰ってきてたのか?」
「あの時、たしかにマスターは死んだ。そうでしょ」
突然のことにHIROは目を丸くする。AKIRAも戸惑った様子で私を見た。
「ここにノックもせずに入れるのはみさくらいだな…10年前というと、みさがLDHに入った『黎明戦』か」
「そう。あっきーも参加してたよね。黎明戦でマスターは間違いなく死んだ。そうでしょHIRO」
じっとHIROの瞳を見つめていると、HIROはひとつ、しっかりと首肯してみせた。
「そうだ。あの時お前のかつての主人は死んだ。俺がこの手で、確かに殺した。間違いない」
あの時、あの人の死に立ち会ったのは私とHIROだけだ。
間違いなくあの人は死んだ。
それならば、あの黒髪の少年は一体。
「どうしたんだ、何かあったのか?」
HIROに尋ねられ、私は黒髪の少年について詳しく語った。
「雰囲気が似てるってだけだけど…10歳くらいの子供とマスターが同一人物っていうのは99.9%ありえないんだけどね」
だから残りの0.1%の可能性を0.0%にするためにダウンタウンに戻ってきた。常識など通用しないこの世界において、最も危険なのが希望的観測と慢心だと知っているから。
「あいつは能力者だったか?」
HIROは顎に手を当ててしばらく考え込み、そう尋ねた。私はかぶりを振る。
「少なくとも私の前で力を使ったことはないし、どれだけ調べてもあの人が能力者だっていう証拠は見つからなかった。分からないってのが正直なところ」
私が生まれた時から片時も離れずそばにいたのに、分からないことだらけの人だ。
私はため息をつくと部屋の出口に向かった。
「わかった。ありがと」
「どこへ行く?」
「『京』のとこ。もう少し調べてみる」
本社の最深部。私とHIRO以外は社員ですら誰も知らない場所。
そこで静かに鎮座するのがスーパーコンピュータ『京』だ。
LDHにある『京』は政府の所有するものの設計図を手に入れた私がマフィア時代から制作を続け、3年前ようやく完成した政府のスパコンのレプリカ。
いや、レプリカとも少し異なる。
作成の過程で自己流に機能を改良した、おそらく今世界で最もハイスペックなコンピュータ。
従来のスパコンの機能にインターネット接続機能と膨大なデータベースを構築し、優秀なソフトウェアも搭載した。
まさに無敵だ。
100m×100mのフロア全てを埋め尽くす900個の計算機筐体と20万本のケーブル。
ため息が出るほど美しい光景だった。
「さ、張り切っていこう」
このスパコンの問題点は電気をとんでもなく食うことだ。それゆえ私でも頻繁には使えない。
調査に行き詰まった時だけ、それがここの存在を知る私とHIROとの暗黙のルールだった。
メインディスプレイの前に腰掛けて、私はホログラムのキーボードに手を乗せる。
「マスターのことも、黒髪美男子くんのことも、すぐに丸裸にしてやるから」
調べ始めてどのくらい時間が経っただろう。ふと空腹を感じて画面端の時計を確認すると、すでに48時間が経過していた。今は真夜中だ。
「明日にはウエスタンシティに戻らないと…いや、正確には今日か」
誰もいない地下室で小さく呟いたその時。
ドゴォン!!!!!!!!!!!!
私とアッシー君こと敬浩が立っているのは本社ビルの屋上だ。
「ご苦労ご苦労」
「言っとくけど俺お前より13歳年上だからな」
「だから?」
「だからもっと俺を敬ってもいいんじゃない?ってこと」
「元ヤンは上下関係に厳しいね」
「お黙り」
痛いところを突かれそれ以上何も言えない敬浩。私はニヤニヤ笑って屋上から本社に入っていく。
「元ヤンの何が嫌なのさ。私なんて元マフィアだよ?ヤンキーなら可愛い方じゃん」
「やめてくれその話は。頼むから」
「あ、分かった!金髪オールバックにサングラスでちょび髭生やしてたのが…」
「あああああああああああああああああああ」
敬浩が奇声を発しながら階段を駆け下りて行った。通りかかった大樹がすごく不思議そうな顔をしてその背中を見送る。
「たいちゃんやっほ」
「あれ、みさ。ランペのところにいるんじゃなかったの?」
「そうなんだけど、ちょっと調べたいこととかがあって戻ってきた。すぐにあっちに帰るけどね」
「そっかぁ~、ゆっくりしてけばいいのに。みさいないと寂しい」
「大樹はいい子だね…飴ちゃんをあげよう」
「えっありがとう」
私はポケットに入っていた飴ちゃんをその手に握らせると戸惑った表情で渡された飴を見ている大樹を置いて社長室に向かった。
ノックもせずにいきなり扉を開ける。部屋の中にはHIROとAKIRAがいて何やら真剣な話の途中だった。
でもそんなの知ったこっちゃない。私は挨拶もすっ飛ばしてHIROに尋ねる。
「10年前、ちゃんとマスターのこと殺したよね」
「な、何だどうしたんだ藪から棒に。帰ってきてたのか?」
「あの時、たしかにマスターは死んだ。そうでしょ」
突然のことにHIROは目を丸くする。AKIRAも戸惑った様子で私を見た。
「ここにノックもせずに入れるのはみさくらいだな…10年前というと、みさがLDHに入った『黎明戦』か」
「そう。あっきーも参加してたよね。黎明戦でマスターは間違いなく死んだ。そうでしょHIRO」
じっとHIROの瞳を見つめていると、HIROはひとつ、しっかりと首肯してみせた。
「そうだ。あの時お前のかつての主人は死んだ。俺がこの手で、確かに殺した。間違いない」
あの時、あの人の死に立ち会ったのは私とHIROだけだ。
間違いなくあの人は死んだ。
それならば、あの黒髪の少年は一体。
「どうしたんだ、何かあったのか?」
HIROに尋ねられ、私は黒髪の少年について詳しく語った。
「雰囲気が似てるってだけだけど…10歳くらいの子供とマスターが同一人物っていうのは99.9%ありえないんだけどね」
だから残りの0.1%の可能性を0.0%にするためにダウンタウンに戻ってきた。常識など通用しないこの世界において、最も危険なのが希望的観測と慢心だと知っているから。
「あいつは能力者だったか?」
HIROは顎に手を当ててしばらく考え込み、そう尋ねた。私はかぶりを振る。
「少なくとも私の前で力を使ったことはないし、どれだけ調べてもあの人が能力者だっていう証拠は見つからなかった。分からないってのが正直なところ」
私が生まれた時から片時も離れずそばにいたのに、分からないことだらけの人だ。
私はため息をつくと部屋の出口に向かった。
「わかった。ありがと」
「どこへ行く?」
「『京』のとこ。もう少し調べてみる」
本社の最深部。私とHIRO以外は社員ですら誰も知らない場所。
そこで静かに鎮座するのがスーパーコンピュータ『京』だ。
LDHにある『京』は政府の所有するものの設計図を手に入れた私がマフィア時代から制作を続け、3年前ようやく完成した政府のスパコンのレプリカ。
いや、レプリカとも少し異なる。
作成の過程で自己流に機能を改良した、おそらく今世界で最もハイスペックなコンピュータ。
従来のスパコンの機能にインターネット接続機能と膨大なデータベースを構築し、優秀なソフトウェアも搭載した。
まさに無敵だ。
100m×100mのフロア全てを埋め尽くす900個の計算機筐体と20万本のケーブル。
ため息が出るほど美しい光景だった。
「さ、張り切っていこう」
このスパコンの問題点は電気をとんでもなく食うことだ。それゆえ私でも頻繁には使えない。
調査に行き詰まった時だけ、それがここの存在を知る私とHIROとの暗黙のルールだった。
メインディスプレイの前に腰掛けて、私はホログラムのキーボードに手を乗せる。
「マスターのことも、黒髪美男子くんのことも、すぐに丸裸にしてやるから」
調べ始めてどのくらい時間が経っただろう。ふと空腹を感じて画面端の時計を確認すると、すでに48時間が経過していた。今は真夜中だ。
「明日にはウエスタンシティに戻らないと…いや、正確には今日か」
誰もいない地下室で小さく呟いたその時。
ドゴォン!!!!!!!!!!!!