第三章
夢小説設定
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父は天才的な頭脳を持つ科学者だった。能力研究のパイオニアとして常に実験に没頭していた。
母は俺たち3つ子を産んですぐに死んだ。顔は写真でしか見たことがない。
そして俺と同じ顔をしたふたりも生後まもなく死んでしまった。
父の能力発露に関する行き過ぎた実験が原因だった。
あろうことか父は俺たち3つ子を自分の実験台にしていたのだ。
今思えば母さんと結婚したのだって、母さんが氷を生み出し操る能力者だったからだ。
父は超自然の特別な力、『能力』に異常なまでに執着していた。ワーカホリックというよりもマッドサイエンティストだった。
ひとり残った俺は、変わらず父の実験台に過ぎなかった。
4歳で母と同じ能力を使い始めてからは、その実験はさらに過酷を極めた。能力の開発とそれを活かすための戦闘訓練。痛みと苦しみで気が狂いそうだった。
『お前は特別な子だ。死んだ母さんと姉妹の分の力がお前に宿っている』
歪んでいる。子供心にそう思っていた。
教育の全てを父から受けた。学校にも行かず、友達といえば自宅兼研究室の庭先に現れる野良猫たちだけ。
「いいな、お前たちは。自由があって」
俺も自由になりたい。
でも、ここから逃げ出すことが怖かった。遺伝子レベルで刻み込まれた父への服従は、俺をこの無機質な研究室に繋ぎ止める鎖だったのだ。
だが、その鎖もある日突然断ち切られてしまう。
能力の上限を引き上げる実験で負荷に耐えきれず俺の能力が暴走した。
気づいた時には街ひとつが凍りついていた。そばには目を見開いて俺を見つめる父の氷像が立っていた。
当時の俺には文字通り凍りついたその顔が笑っているように見えたのだが、今となってはよく分からない。
父は氷漬けになって死んだ。
氷の街で生き残ったのは俺だけだった。
その後少年院に保護された俺は、15歳の春までそこで暮らした。
「自由を探さないか。俺たちの理想郷を」
HIROさんはからっぽだった俺に生きる目的を与えてくれた。
大切な仲間もできた。
猫を飼い始めた。家族ができたと、そう思った。
血の繋がりなんかなくたって、言葉を話すことが出来なくたって、5匹の猫たちは紛れもない自分の家族なんだと。
しかし。
しかしだ。
『本当』の意味での家族が、今になって降って湧いたように現れたのだ。
母は俺たち3つ子を産んですぐに死んだ。顔は写真でしか見たことがない。
そして俺と同じ顔をしたふたりも生後まもなく死んでしまった。
父の能力発露に関する行き過ぎた実験が原因だった。
あろうことか父は俺たち3つ子を自分の実験台にしていたのだ。
今思えば母さんと結婚したのだって、母さんが氷を生み出し操る能力者だったからだ。
父は超自然の特別な力、『能力』に異常なまでに執着していた。ワーカホリックというよりもマッドサイエンティストだった。
ひとり残った俺は、変わらず父の実験台に過ぎなかった。
4歳で母と同じ能力を使い始めてからは、その実験はさらに過酷を極めた。能力の開発とそれを活かすための戦闘訓練。痛みと苦しみで気が狂いそうだった。
『お前は特別な子だ。死んだ母さんと姉妹の分の力がお前に宿っている』
歪んでいる。子供心にそう思っていた。
教育の全てを父から受けた。学校にも行かず、友達といえば自宅兼研究室の庭先に現れる野良猫たちだけ。
「いいな、お前たちは。自由があって」
俺も自由になりたい。
でも、ここから逃げ出すことが怖かった。遺伝子レベルで刻み込まれた父への服従は、俺をこの無機質な研究室に繋ぎ止める鎖だったのだ。
だが、その鎖もある日突然断ち切られてしまう。
能力の上限を引き上げる実験で負荷に耐えきれず俺の能力が暴走した。
気づいた時には街ひとつが凍りついていた。そばには目を見開いて俺を見つめる父の氷像が立っていた。
当時の俺には文字通り凍りついたその顔が笑っているように見えたのだが、今となってはよく分からない。
父は氷漬けになって死んだ。
氷の街で生き残ったのは俺だけだった。
その後少年院に保護された俺は、15歳の春までそこで暮らした。
「自由を探さないか。俺たちの理想郷を」
HIROさんはからっぽだった俺に生きる目的を与えてくれた。
大切な仲間もできた。
猫を飼い始めた。家族ができたと、そう思った。
血の繋がりなんかなくたって、言葉を話すことが出来なくたって、5匹の猫たちは紛れもない自分の家族なんだと。
しかし。
しかしだ。
『本当』の意味での家族が、今になって降って湧いたように現れたのだ。