第三章
夢小説設定
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『あ、そうだ少なくともひとりは生け捕りにしてよ!聞きたいことがあるから。あと敵の車もなるべく原型留めといて』
最後に残った女の左目を狙っていた俺は耳元で響いたみさの声をうけ仕方なく銃口を上に向けた。壱馬さんが女の頸動脈に手刀を叩き込み気絶させる。
『こちら壱馬。女をひとり生け捕りにした』
「こちら慎。あー…車は大破してる」
『はぁ?』
俺は肩を竦めて「いや不可抗力だったし」と言い訳をする。
ちょうぞそこへ応援部隊が到着した。
「何だ、全部終わっちゃった?」
バイクから降りた山彰さんが少し残念そうに言う。陣さん、陸さん、海青さん、翔平さんもそれぞれバイクを停めた。
翔平さんがフロントガラスが砕け散ったTHE RAMPAGE所有のアメ車を見て絶叫している。そういえばあの車は翔平さんのお気に入りだったっけ。
さらに少し遅れて樹さんもやって来た。そのタンデムシートにみさが乗っているのを見た俺はまた少し落ち込む。
「ありゃー、車べっこべこ」
そんな俺の気持ちなんか全く知らないであろうみさは電柱に突っ込んだまま沈黙するワンボックスにとことこ歩み寄り、中を覗き込む。
「もっと早く言えよ」
「目標がやっと来たって急いで飛び出したから。うっかりしてた」
いやそれでもこんなボロボロにする奴いる?とみさの水色の虹彩がきろりと俺を見上げた。
「うっせ」
そのなめらかな頬を片手でぷに、と挟むと、(名前)は「触んな」と顔を背けた。
昨日は樹さんにあんなふうに触られてたくせに。
俺が2人を責める立場にないことは分かっていても、どうしてもイライラしてしまう。
そんな俺の心の葛藤などつゆ知らず、みさはバンパーのひしゃげた車中に入り込んでいった。運転席に無理やり座る。
「何やってんの?」
「この車の記憶を辿れば、敵のアジトに繋がるかもしれないでしょ」
「あ、そうか」
みさの瞳が金色に光った。
みさは能力をうまく引き出す術を知っている。ハッキングの時によくやっている電子の世界の記憶を辿る技なんて、同じ能力を持っていても普通思いつかないしまずできないだろう。
他にも見せていないだけで様々なことができるに違いない。
どんな訓練を受けたらみさのように能力の操作に長けるようになるのだろうか。
そういえば能力を引き出す技術やコントロールに関しては樹さんもトップクラスだな、なんて思い出してまた勝手に自爆した。
「あー、くそ」
早く自分のものにしてしまいたいけど、またあの夜みたいな乱暴はしたくない。
今まで色恋で自分から求めたことなんてなかったし他より優れた容姿のおかげで女なんて望めばいくらでも手に入ってきた。
だからこそ、ある日突然俺の人生に土足で上がり込んできたこの人をどうしたらいいかよく分からない。こんなにも心を乱されてなお、手に入らない苦しみでもがいている。
「まこっちゃん」
はっと物思いの海から浮上する。いつの間にか隣に樹さんが立っていた。長い睫毛の奥の瞳は、まっすぐみさに向けられている。
「ごめん」
「え、」
「まこっちゃんの気持ちは知ってたけど、でも…自分に嘘はつけなかった」
羨ましいほど整った横顔を向けて、樹さんはさらに言葉を続ける。
「今までの女の人とは全然違うんだ。好き…よりも、もっと深いところで大事にしたいって思う」
樹さんは俺をまっすぐに見上げて、静かに告げた。
「負けないから」
明確な宣戦布告。俺は小さく息を吸うと、樹さんの目をまっすぐに見た。
「俺も、渡す気はないんで」
「何を?」
「「!?」」
いつの間にか俺たちのそばにみさが立っていた。大きな瞳が俺と樹さんを交互に見上げる。
「あ、いや…何か分かった?」
「うん、この車がどこから来たかわかったよ。そこが敵の本陣かは微妙だけど」
「さすが」
その時、翔平さんが「まこっちゃーーーーーん!!!!!!!!」っと馬鹿でかい声で俺を呼んだ。たぶんお気に入りのアメ車を壊されて怒っているのだろう。
「そんなに叫ばなくても聞こえますよー」
俺は最後に牽制として樹さんに視線を送ると、呼ばれる方に向かって駆け出した。
負けねぇから、そう言った樹さんの目は本気だった。
でも、俺だって本気だ。
「絶対負けねぇ」
最後に残った女の左目を狙っていた俺は耳元で響いたみさの声をうけ仕方なく銃口を上に向けた。壱馬さんが女の頸動脈に手刀を叩き込み気絶させる。
『こちら壱馬。女をひとり生け捕りにした』
「こちら慎。あー…車は大破してる」
『はぁ?』
俺は肩を竦めて「いや不可抗力だったし」と言い訳をする。
ちょうぞそこへ応援部隊が到着した。
「何だ、全部終わっちゃった?」
バイクから降りた山彰さんが少し残念そうに言う。陣さん、陸さん、海青さん、翔平さんもそれぞれバイクを停めた。
翔平さんがフロントガラスが砕け散ったTHE RAMPAGE所有のアメ車を見て絶叫している。そういえばあの車は翔平さんのお気に入りだったっけ。
さらに少し遅れて樹さんもやって来た。そのタンデムシートにみさが乗っているのを見た俺はまた少し落ち込む。
「ありゃー、車べっこべこ」
そんな俺の気持ちなんか全く知らないであろうみさは電柱に突っ込んだまま沈黙するワンボックスにとことこ歩み寄り、中を覗き込む。
「もっと早く言えよ」
「目標がやっと来たって急いで飛び出したから。うっかりしてた」
いやそれでもこんなボロボロにする奴いる?とみさの水色の虹彩がきろりと俺を見上げた。
「うっせ」
そのなめらかな頬を片手でぷに、と挟むと、(名前)は「触んな」と顔を背けた。
昨日は樹さんにあんなふうに触られてたくせに。
俺が2人を責める立場にないことは分かっていても、どうしてもイライラしてしまう。
そんな俺の心の葛藤などつゆ知らず、みさはバンパーのひしゃげた車中に入り込んでいった。運転席に無理やり座る。
「何やってんの?」
「この車の記憶を辿れば、敵のアジトに繋がるかもしれないでしょ」
「あ、そうか」
みさの瞳が金色に光った。
みさは能力をうまく引き出す術を知っている。ハッキングの時によくやっている電子の世界の記憶を辿る技なんて、同じ能力を持っていても普通思いつかないしまずできないだろう。
他にも見せていないだけで様々なことができるに違いない。
どんな訓練を受けたらみさのように能力の操作に長けるようになるのだろうか。
そういえば能力を引き出す技術やコントロールに関しては樹さんもトップクラスだな、なんて思い出してまた勝手に自爆した。
「あー、くそ」
早く自分のものにしてしまいたいけど、またあの夜みたいな乱暴はしたくない。
今まで色恋で自分から求めたことなんてなかったし他より優れた容姿のおかげで女なんて望めばいくらでも手に入ってきた。
だからこそ、ある日突然俺の人生に土足で上がり込んできたこの人をどうしたらいいかよく分からない。こんなにも心を乱されてなお、手に入らない苦しみでもがいている。
「まこっちゃん」
はっと物思いの海から浮上する。いつの間にか隣に樹さんが立っていた。長い睫毛の奥の瞳は、まっすぐみさに向けられている。
「ごめん」
「え、」
「まこっちゃんの気持ちは知ってたけど、でも…自分に嘘はつけなかった」
羨ましいほど整った横顔を向けて、樹さんはさらに言葉を続ける。
「今までの女の人とは全然違うんだ。好き…よりも、もっと深いところで大事にしたいって思う」
樹さんは俺をまっすぐに見上げて、静かに告げた。
「負けないから」
明確な宣戦布告。俺は小さく息を吸うと、樹さんの目をまっすぐに見た。
「俺も、渡す気はないんで」
「何を?」
「「!?」」
いつの間にか俺たちのそばにみさが立っていた。大きな瞳が俺と樹さんを交互に見上げる。
「あ、いや…何か分かった?」
「うん、この車がどこから来たかわかったよ。そこが敵の本陣かは微妙だけど」
「さすが」
その時、翔平さんが「まこっちゃーーーーーん!!!!!!!!」っと馬鹿でかい声で俺を呼んだ。たぶんお気に入りのアメ車を壊されて怒っているのだろう。
「そんなに叫ばなくても聞こえますよー」
俺は最後に牽制として樹さんに視線を送ると、呼ばれる方に向かって駆け出した。
負けねぇから、そう言った樹さんの目は本気だった。
でも、俺だって本気だ。
「絶対負けねぇ」