第三章
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ひゅ、と空気を切り裂く音がした。
ぎりぎりで壱馬さんの蹴りを躱し、1歩前に踏み込む。逆手に持ったラバーナイフで喉元を狙ったが後ろに反って避けられた。
壱馬さんはそのまま後ろに倒れ込んで両手を地面につき、顎を蹴りあげようとする。
俺はとっさに距離をとってそれを避けた。
リーチは俺の方がある。それを活かすんだ。
それに壱馬さんのスタイルは俺が1番近くで見てきた。クセなら知ってる。
「いいぞまこっちゃんー!」
「壱馬やれ!そこだ!」
好き勝手に野次を飛ばすみんなの声はシャットアウト。自分の呼吸と壱馬さんの動きに集中する。
左フック。自分の腕でそれを防ぐ。
壱馬さんは左のパンチの次は必ず視線が上を向き下への注意が散漫になることを見越して右の蹴りをしかける。
今も…!
「こっちだ」
壱馬さんがニヤリと笑ったのが見えた。
みぞおちに重たい衝撃が加わる。
くそ、バレてた。
右ストレートをもろに喰らって後ろにバランスを崩したところを、壱馬さんは一気に距離を詰めてくる。
コンマ何秒の間で俺が選んだのは踏ん張ることではなくそのまま倒れてしまうことだった。
リーチは俺の方がある、それを忘れるな。
背中から真っ直ぐ倒れる俺の上に素早く馬乗りになって、壱馬さんはラバーナイフを閃かせた。
同時に俺も柄に手のひらを沿え、真上にあるガラ空きの喉元に向かって刃を突き出す。
取った。
そう思った瞬間に壱馬さんが神速のスピードで首を傾けた。
俺の右の首筋に当たって、ぐにゃりとゴム製の刃が曲がる。
「…っは、」
天井に向かって突き出された自分のラバーナイフが虚しく震えた。
「2回戦の川村壱馬vs長谷川慎、勝者は壱馬ぁーっ!」
陣さんが興奮ぎみにジャッジを下す、大声が響いた。壱馬さんは俺の上からどくと、仰向けに寝転がる俺に手を差し出した。
「あっぶねー、一瞬やられたかと思った」
「絶対俺が勝ったと思いましたよ、くそ」
最後のアレは純粋な反射だ。予測して動いたものじゃない。どんな反射神経だよ、と俺は内心舌を巻く。
近距離戦に関しては壱馬さんはセンスの塊だ。
俺はハンドガンを使う者特有のマメができたその手を掴み、起き上がった。
ホストクラブ兼アジトの地下にあるこのトレーニングスペース。
ここで月に一度、THE RAMPAGE16人総出で行われるのがラバーナイフによるバトルマッチ。基礎戦闘能力の向上のために様々なカードが組まれるが、俺は今のところ壱馬さんに勝てたことは1度もない。近距離戦においては壱馬さんはTHE RAMPAGEの中でもトップクラスの強さを誇る。
今月ベスト4まで残ったのは壱馬さん、力矢さん、山彰さん、樹さんの4人だった。
ちなみに負けると筋トレのペナルティがある。早い段階で負ける人ほどメニューはキツい。
「くそ、腕立て腹筋背筋スクワットそれぞれ200回ずつ…!」
「いってらー」
昂秀に勝利し2回戦を突破した山彰さんに見送られ、俺は敗者たちが筋トレを行うペナルティゾーンに向かった。
「おわ、まこつが来たまこつが」
「えっもう健太さんがいる」
「瑠唯に負けたんだよ!言わせんな!」
「これで、ええと…」
「926戦中462勝462敗2分け」
「五分五分っすね…その瑠唯さんは誰に負けたんすか」
「樹。もうちょっとだったんだけどなぁ」
なるほど、と頷くと俺は上着を脱ぎ捨てて腕立てから始めた。
ペナルティを終えないと血湧き肉躍る観戦に参加できないため、みんな必死だ。暑くなって服を脱いだその見事な肉体には無数の傷跡が残る。俺もそうだ。
戦場で幾つもの死線を潜り抜けてきた猛者の証。
「57、58…遠距離戦部門とか、やって、くれれば、いいのに、63っ」
「そんなの、まこっちゃんの、一人勝ち、じゃん、176!」
隣で陸さんが鬼の形相で腹筋をしながら苦しげにつっこむ。ちなみに陸さんは2回戦で力矢さんに負けた。もともと中距離専門の陸さんや陣さん、それから遠距離専門の俺や昂秀はやはり近距離戦を専門とするメンバー相手だとかなり不利だ。
ていうか中距離も遠距離も同じことが言えるのだが、THE RAMPAGEの近距離戦担当メンバーたちの戦闘能力は揃いも揃ってバケモノ級なのだ。絶対に敵に回したくない。
なんて言い訳を頭の中で並べながら、俺は腕立てを開始した。
「陸さん、風、涼しい風、くださいよ、暑くて、溶けちゃう、122」
「昂秀は、南極の、幻覚でも、見てろよっ194!」
そんな会話を聞きながら腕立て200回をこなし、腹筋にうつる。その時、横に置いてあった俺のスマホが着信を知らせた。
誰だよ今筋トレで忙しいんだ、と思いつつ横目でチラリと画面を確認すると。
【唐島みさ】
思わずどきっと心拍数が上昇した。
「あっせんせー!まこっちゃんが筋トレしながらケータイいじってまーす!」
目ざとく見つけた健太さんがスクワット中の拓磨に向かって喚く。
1回戦で接戦の末龍に負け筋トレメニュー500回をこなしている最中の拓磨は「廊下に…立って、なさい…っ」と息も絶え絶えに呟いた。
「でも拓磨、みさからだよ電話。出ていいよね」
「うそっみさ!?出ていい出て出て!」
「何だよ拓磨元気じゃねぇか!」
昂秀がつっこむ。俺は腹筋をやりながらスピーカーをオンにした。
『この前そっちから送られてきた武器の発注適当すぎ。やり直して』
いや挨拶もなしか。
まぁみさらしいといえばみさらしいのだが、約1ヵ月ぶりに話すのだし、もっと…こう…
「ひさし、ぶり、145ッ…!」
『…何やってんの?145?』
「筋トレ、148、バトルマッチの、ペナルティの、151、腹筋」
『…つっこまないからね』
「みさー!元気に、してた、かっ!?」
『健太うるさい』
「みさちゃん、青山陸、23歳、パンプアップ、なう、だよ!」
『そっか』
「みさ、俺、昂秀、久しぶり、に、」
『秀坊はもういい』
「はぁ!?」
今お腹がぷるぷるしてるから笑わせないでほしい。
それに、久しぶりにみさの声を聞けるのだから。
「ダウンタウン、どう?何も、ない?172、173」
『こっちはちょっとした抗争があるくらい。そっちでやってたみたいな大きいヤマはないよ』
「そっか、よかっ、た、」
『ねぇいい加減うざい。はやく筋トレ終えて』
「あと、さん、かいっ」
腹筋200回終了。俺はコンクリートの床にあぐらをかいて息を整えた。
みさがいなかったこの1ヶ月、ずっとつまらないというか、何かが足りない気がしていた。毎日一緒にいたのに突然ダウンタウンに帰ってしまって特に連絡もよこさず、俺たちばかりが恋しく思っているのもなんだか癪だ。
顔が見たい。
あの綺麗な青い虹彩に、俺を映してほしい。
「ね、カメラ。オンにして」
『カメラぁ?いいけど』
手のひらサイズの画面に、みさの顔が映った。向こうの画面にはこっちが映っているはずだ。
『うわ…そっちむさ苦しいことこの上ないね』
俺の後ろで筋トレをするみんなを見て、みさは顔を顰めた。
「日頃から筋肉いじめとかないと実戦で動けないから」
『まこっちゃん基本的に動いてないじゃん実戦の時』
「俺だってたまには近距離戦もやる」
『でも今筋トレやってるってことは誰かに負けたってことでしょ』
「壱馬さんに負けた」
『あー…カズは手強いね』
髪をかきあげる仕草とか。まっすぐに人の目を見るところとか。久しぶりに見るとやはりその美しさは暴力的と言ってもいいほどで、いちいちドキリとしてしまう。
『ねぇ、それで武器の発注。不備が多すぎるからやり直して』
「分かった。今日中にやる」
『よろしく。じゃ、』
あまりにもあっさり切ろうとするので、俺は慌てて「待って」とそれを制止した。
「次一緒に仕事するのいつ?」
『えぇと、今EXILEの方の仕事があって、2週間後には三代目のサポートに入る予定だから…今後の依頼内容によるけどやれるとしても早くて来月かな。ちょっと今EXILEで大きい仕事があるからこれが長引いたらもっと先になると思う』
「らいげつ」
長いな、と思った。
『何、そんなに私が恋しいの?』
「別に」
『おいおい素直になれよまこっちゃん~』
「うっせ」
その時、画面の向こうで扉が開く音がしたかと思うと突然誰かのたくましい腕がみさの肩に絡んだ。
『みさ~』
『うわっきた』
あ、NAOTOさんだ。
そうか、NAOTOさんはEXILEと三代目の両方に属してるから今はダウンタウンにいるのか。
いや、ていうか何してんの?ほっぺにキスとかしちゃっすごく親しげというか。
『ね、今夜開いてる?』
『私が今何してるか見えない?』
『え?…ってあれ!まこっちゃんじゃん!』
私LDHの人たちともこういうことしてるし。
前にそう言っていたのを思い出す。
「あ、直人さんこんちわっす」
『ほらぁまこっちゃん引いてるじゃん』
『俺のせいなの!?』
『お前のせい以外の何物でもない』
あぁ嫌だな、何か、こう
もやもやする。
俺は我知らず、気づいた時には言葉を発していた。
「あの、そいつ今夜は先客がいるんで」
ぎりぎりで壱馬さんの蹴りを躱し、1歩前に踏み込む。逆手に持ったラバーナイフで喉元を狙ったが後ろに反って避けられた。
壱馬さんはそのまま後ろに倒れ込んで両手を地面につき、顎を蹴りあげようとする。
俺はとっさに距離をとってそれを避けた。
リーチは俺の方がある。それを活かすんだ。
それに壱馬さんのスタイルは俺が1番近くで見てきた。クセなら知ってる。
「いいぞまこっちゃんー!」
「壱馬やれ!そこだ!」
好き勝手に野次を飛ばすみんなの声はシャットアウト。自分の呼吸と壱馬さんの動きに集中する。
左フック。自分の腕でそれを防ぐ。
壱馬さんは左のパンチの次は必ず視線が上を向き下への注意が散漫になることを見越して右の蹴りをしかける。
今も…!
「こっちだ」
壱馬さんがニヤリと笑ったのが見えた。
みぞおちに重たい衝撃が加わる。
くそ、バレてた。
右ストレートをもろに喰らって後ろにバランスを崩したところを、壱馬さんは一気に距離を詰めてくる。
コンマ何秒の間で俺が選んだのは踏ん張ることではなくそのまま倒れてしまうことだった。
リーチは俺の方がある、それを忘れるな。
背中から真っ直ぐ倒れる俺の上に素早く馬乗りになって、壱馬さんはラバーナイフを閃かせた。
同時に俺も柄に手のひらを沿え、真上にあるガラ空きの喉元に向かって刃を突き出す。
取った。
そう思った瞬間に壱馬さんが神速のスピードで首を傾けた。
俺の右の首筋に当たって、ぐにゃりとゴム製の刃が曲がる。
「…っは、」
天井に向かって突き出された自分のラバーナイフが虚しく震えた。
「2回戦の川村壱馬vs長谷川慎、勝者は壱馬ぁーっ!」
陣さんが興奮ぎみにジャッジを下す、大声が響いた。壱馬さんは俺の上からどくと、仰向けに寝転がる俺に手を差し出した。
「あっぶねー、一瞬やられたかと思った」
「絶対俺が勝ったと思いましたよ、くそ」
最後のアレは純粋な反射だ。予測して動いたものじゃない。どんな反射神経だよ、と俺は内心舌を巻く。
近距離戦に関しては壱馬さんはセンスの塊だ。
俺はハンドガンを使う者特有のマメができたその手を掴み、起き上がった。
ホストクラブ兼アジトの地下にあるこのトレーニングスペース。
ここで月に一度、THE RAMPAGE16人総出で行われるのがラバーナイフによるバトルマッチ。基礎戦闘能力の向上のために様々なカードが組まれるが、俺は今のところ壱馬さんに勝てたことは1度もない。近距離戦においては壱馬さんはTHE RAMPAGEの中でもトップクラスの強さを誇る。
今月ベスト4まで残ったのは壱馬さん、力矢さん、山彰さん、樹さんの4人だった。
ちなみに負けると筋トレのペナルティがある。早い段階で負ける人ほどメニューはキツい。
「くそ、腕立て腹筋背筋スクワットそれぞれ200回ずつ…!」
「いってらー」
昂秀に勝利し2回戦を突破した山彰さんに見送られ、俺は敗者たちが筋トレを行うペナルティゾーンに向かった。
「おわ、まこつが来たまこつが」
「えっもう健太さんがいる」
「瑠唯に負けたんだよ!言わせんな!」
「これで、ええと…」
「926戦中462勝462敗2分け」
「五分五分っすね…その瑠唯さんは誰に負けたんすか」
「樹。もうちょっとだったんだけどなぁ」
なるほど、と頷くと俺は上着を脱ぎ捨てて腕立てから始めた。
ペナルティを終えないと血湧き肉躍る観戦に参加できないため、みんな必死だ。暑くなって服を脱いだその見事な肉体には無数の傷跡が残る。俺もそうだ。
戦場で幾つもの死線を潜り抜けてきた猛者の証。
「57、58…遠距離戦部門とか、やって、くれれば、いいのに、63っ」
「そんなの、まこっちゃんの、一人勝ち、じゃん、176!」
隣で陸さんが鬼の形相で腹筋をしながら苦しげにつっこむ。ちなみに陸さんは2回戦で力矢さんに負けた。もともと中距離専門の陸さんや陣さん、それから遠距離専門の俺や昂秀はやはり近距離戦を専門とするメンバー相手だとかなり不利だ。
ていうか中距離も遠距離も同じことが言えるのだが、THE RAMPAGEの近距離戦担当メンバーたちの戦闘能力は揃いも揃ってバケモノ級なのだ。絶対に敵に回したくない。
なんて言い訳を頭の中で並べながら、俺は腕立てを開始した。
「陸さん、風、涼しい風、くださいよ、暑くて、溶けちゃう、122」
「昂秀は、南極の、幻覚でも、見てろよっ194!」
そんな会話を聞きながら腕立て200回をこなし、腹筋にうつる。その時、横に置いてあった俺のスマホが着信を知らせた。
誰だよ今筋トレで忙しいんだ、と思いつつ横目でチラリと画面を確認すると。
【唐島みさ】
思わずどきっと心拍数が上昇した。
「あっせんせー!まこっちゃんが筋トレしながらケータイいじってまーす!」
目ざとく見つけた健太さんがスクワット中の拓磨に向かって喚く。
1回戦で接戦の末龍に負け筋トレメニュー500回をこなしている最中の拓磨は「廊下に…立って、なさい…っ」と息も絶え絶えに呟いた。
「でも拓磨、みさからだよ電話。出ていいよね」
「うそっみさ!?出ていい出て出て!」
「何だよ拓磨元気じゃねぇか!」
昂秀がつっこむ。俺は腹筋をやりながらスピーカーをオンにした。
『この前そっちから送られてきた武器の発注適当すぎ。やり直して』
いや挨拶もなしか。
まぁみさらしいといえばみさらしいのだが、約1ヵ月ぶりに話すのだし、もっと…こう…
「ひさし、ぶり、145ッ…!」
『…何やってんの?145?』
「筋トレ、148、バトルマッチの、ペナルティの、151、腹筋」
『…つっこまないからね』
「みさー!元気に、してた、かっ!?」
『健太うるさい』
「みさちゃん、青山陸、23歳、パンプアップ、なう、だよ!」
『そっか』
「みさ、俺、昂秀、久しぶり、に、」
『秀坊はもういい』
「はぁ!?」
今お腹がぷるぷるしてるから笑わせないでほしい。
それに、久しぶりにみさの声を聞けるのだから。
「ダウンタウン、どう?何も、ない?172、173」
『こっちはちょっとした抗争があるくらい。そっちでやってたみたいな大きいヤマはないよ』
「そっか、よかっ、た、」
『ねぇいい加減うざい。はやく筋トレ終えて』
「あと、さん、かいっ」
腹筋200回終了。俺はコンクリートの床にあぐらをかいて息を整えた。
みさがいなかったこの1ヶ月、ずっとつまらないというか、何かが足りない気がしていた。毎日一緒にいたのに突然ダウンタウンに帰ってしまって特に連絡もよこさず、俺たちばかりが恋しく思っているのもなんだか癪だ。
顔が見たい。
あの綺麗な青い虹彩に、俺を映してほしい。
「ね、カメラ。オンにして」
『カメラぁ?いいけど』
手のひらサイズの画面に、みさの顔が映った。向こうの画面にはこっちが映っているはずだ。
『うわ…そっちむさ苦しいことこの上ないね』
俺の後ろで筋トレをするみんなを見て、みさは顔を顰めた。
「日頃から筋肉いじめとかないと実戦で動けないから」
『まこっちゃん基本的に動いてないじゃん実戦の時』
「俺だってたまには近距離戦もやる」
『でも今筋トレやってるってことは誰かに負けたってことでしょ』
「壱馬さんに負けた」
『あー…カズは手強いね』
髪をかきあげる仕草とか。まっすぐに人の目を見るところとか。久しぶりに見るとやはりその美しさは暴力的と言ってもいいほどで、いちいちドキリとしてしまう。
『ねぇ、それで武器の発注。不備が多すぎるからやり直して』
「分かった。今日中にやる」
『よろしく。じゃ、』
あまりにもあっさり切ろうとするので、俺は慌てて「待って」とそれを制止した。
「次一緒に仕事するのいつ?」
『えぇと、今EXILEの方の仕事があって、2週間後には三代目のサポートに入る予定だから…今後の依頼内容によるけどやれるとしても早くて来月かな。ちょっと今EXILEで大きい仕事があるからこれが長引いたらもっと先になると思う』
「らいげつ」
長いな、と思った。
『何、そんなに私が恋しいの?』
「別に」
『おいおい素直になれよまこっちゃん~』
「うっせ」
その時、画面の向こうで扉が開く音がしたかと思うと突然誰かのたくましい腕がみさの肩に絡んだ。
『みさ~』
『うわっきた』
あ、NAOTOさんだ。
そうか、NAOTOさんはEXILEと三代目の両方に属してるから今はダウンタウンにいるのか。
いや、ていうか何してんの?ほっぺにキスとかしちゃっすごく親しげというか。
『ね、今夜開いてる?』
『私が今何してるか見えない?』
『え?…ってあれ!まこっちゃんじゃん!』
私LDHの人たちともこういうことしてるし。
前にそう言っていたのを思い出す。
「あ、直人さんこんちわっす」
『ほらぁまこっちゃん引いてるじゃん』
『俺のせいなの!?』
『お前のせい以外の何物でもない』
あぁ嫌だな、何か、こう
もやもやする。
俺は我知らず、気づいた時には言葉を発していた。
「あの、そいつ今夜は先客がいるんで」