第二章
夢小説設定
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「パソコン壊された…」
「みさが無事ならそれでよかったやろ」
ライオン姿の海青は私を背中に乗せながら道をひた走っていた。隣を走るバイクから樹の後ろに乗った北人が私に尋ねる。
「USBは?」
「それはしっかり守った」
私が胸の谷間からUSBメモリを取り出すと、樹が「どこに隠してんだよ」とつっこんだ。
「ここが1番安全なんだよね」
再びUSBを胸元にしまい込んだ時、爪がちょうど心臓の真上の位置に留められたブローチに触れる。
あ、さっき貰ってきちゃったやつ…
その時、視界の端にちらりとレーザーの赤い光が瞬いた。
はっと顔を上げる。
前方の道端、草陰からレーザーポインターの赤い線が伸びている。
くそ、しつこい奴ら。
「前だ!狙撃!」
私の声にみんながぎょっと前を見た。とっさに慎がハンドリングでスナイパーライフルの向きを変える。
銃声がたて続けに2発響いた。
2発目は慎が撃った音。
1発目は敵の銃弾が私のブローチを撃ち砕く音。
バキィ、と音を立ててアレキサンドライトの紅が飛び散る。破片が街頭にキラキラと反射して美しく散った。
「…あっぶねー……ラッキー」
口笛を吹いたのは翔吾。その瞳が金色に光っているのを見て理解する。
そうか、翔吾がとっさに私の命が助かる確率を上げてくれたんだ。
「みさ大丈夫か!?」
海青が鼻面を横に向けて私を見上げる。
「うん、ブローチが盾になってくれた。しょご、ありがと」
「いえいえ、みさを守るのが俺らの仕事だからね」
まさかこんな所であの変態おじさんのブローチが役に立つとは。
「まこっちゃーん、狙撃手は?」
「殺した!怪我は!?」
「ないよー」
「よかった…」
トラックの荷台で慎が胸を撫で下ろした。
しばらく周囲を警戒しながらアジトに向かって走り続ける。あとをつけられている可能性も考えてまわり道をし、ようやく私たちの街に戻ってきた。
「ふいー。海青の背中固くてお尻痛くなるからもう乗らない」
「ライオンの背中乗ってみたい言ったのそっちやろ!」
海青が身体をぶるりと振って人間の姿に戻る。そこへトラックから降りた慎が猛然と駆け寄ってきた。
「みさ!本当に大丈夫?」
私の肩を掴んで、砕け散った胸元のブローチを見る。そのあまりに必死な形相に、私は眉根を寄せた。
「さっき大丈夫だって言ったじゃん」
「お前の大丈夫は信用ならない」
「あー分かる」
「海青そのたてがみ切り落としてやるから」
うんうんと頷く海青を私はじろりと睨む。海青はニヤリと笑ってアジトの方に歩いていった。
「ていうかまこっちゃんさっき俺を信じろとかカッコつけといて私のことは信頼してないの?何?あてつけ?」
「信頼はしてるけどちょいちょい信用できない言動がある」
一通り確認して私の身体に傷がないことが分かると、慎はほっと息をついた。
「もういいでしょ、私早く着替えたいんだけど。靴も履いてないし」
みんなの後を追ってアジトに歩きだそうとする私の手を慎が掴む。
「もうひとつ」
「なに?」
「さっき、壱馬さんとキスしてた」
「あぁうん。そういう作戦。即席だったけどね」
「それは分かってる。そうじゃなくて、壱馬さん俺に謝ってたじゃん。あれ、何で」
「私こそ知りたいよ。本人に聞けば?」
それでも慎は私の手を離さない。眉間にしわを寄せてじっと何かを考えているようだ。
「どうしたの?」
私がその顔を覗き込んだ瞬間、慎が突然キスをしてきた。
触れるだけのフレンチキス。
「…どうしたの?」
再び尋ねる。いや、キスは別にいいんだけど今そういうシチュエーションだったか?明らかに違ったよね?
怪訝な表情を浮かべる私と、なぜか拗ねたような表情の慎。
何だかうまく噛み合ってない気がするぞ。何だこれ。
「いや、何となく」
「本能の赴くままかお前は」
「違うから」
スタスタ歩いていくその後ろ姿を眺めながら私は首をひねった。
「論理的じゃないな」
「みさが無事ならそれでよかったやろ」
ライオン姿の海青は私を背中に乗せながら道をひた走っていた。隣を走るバイクから樹の後ろに乗った北人が私に尋ねる。
「USBは?」
「それはしっかり守った」
私が胸の谷間からUSBメモリを取り出すと、樹が「どこに隠してんだよ」とつっこんだ。
「ここが1番安全なんだよね」
再びUSBを胸元にしまい込んだ時、爪がちょうど心臓の真上の位置に留められたブローチに触れる。
あ、さっき貰ってきちゃったやつ…
その時、視界の端にちらりとレーザーの赤い光が瞬いた。
はっと顔を上げる。
前方の道端、草陰からレーザーポインターの赤い線が伸びている。
くそ、しつこい奴ら。
「前だ!狙撃!」
私の声にみんながぎょっと前を見た。とっさに慎がハンドリングでスナイパーライフルの向きを変える。
銃声がたて続けに2発響いた。
2発目は慎が撃った音。
1発目は敵の銃弾が私のブローチを撃ち砕く音。
バキィ、と音を立ててアレキサンドライトの紅が飛び散る。破片が街頭にキラキラと反射して美しく散った。
「…あっぶねー……ラッキー」
口笛を吹いたのは翔吾。その瞳が金色に光っているのを見て理解する。
そうか、翔吾がとっさに私の命が助かる確率を上げてくれたんだ。
「みさ大丈夫か!?」
海青が鼻面を横に向けて私を見上げる。
「うん、ブローチが盾になってくれた。しょご、ありがと」
「いえいえ、みさを守るのが俺らの仕事だからね」
まさかこんな所であの変態おじさんのブローチが役に立つとは。
「まこっちゃーん、狙撃手は?」
「殺した!怪我は!?」
「ないよー」
「よかった…」
トラックの荷台で慎が胸を撫で下ろした。
しばらく周囲を警戒しながらアジトに向かって走り続ける。あとをつけられている可能性も考えてまわり道をし、ようやく私たちの街に戻ってきた。
「ふいー。海青の背中固くてお尻痛くなるからもう乗らない」
「ライオンの背中乗ってみたい言ったのそっちやろ!」
海青が身体をぶるりと振って人間の姿に戻る。そこへトラックから降りた慎が猛然と駆け寄ってきた。
「みさ!本当に大丈夫?」
私の肩を掴んで、砕け散った胸元のブローチを見る。そのあまりに必死な形相に、私は眉根を寄せた。
「さっき大丈夫だって言ったじゃん」
「お前の大丈夫は信用ならない」
「あー分かる」
「海青そのたてがみ切り落としてやるから」
うんうんと頷く海青を私はじろりと睨む。海青はニヤリと笑ってアジトの方に歩いていった。
「ていうかまこっちゃんさっき俺を信じろとかカッコつけといて私のことは信頼してないの?何?あてつけ?」
「信頼はしてるけどちょいちょい信用できない言動がある」
一通り確認して私の身体に傷がないことが分かると、慎はほっと息をついた。
「もういいでしょ、私早く着替えたいんだけど。靴も履いてないし」
みんなの後を追ってアジトに歩きだそうとする私の手を慎が掴む。
「もうひとつ」
「なに?」
「さっき、壱馬さんとキスしてた」
「あぁうん。そういう作戦。即席だったけどね」
「それは分かってる。そうじゃなくて、壱馬さん俺に謝ってたじゃん。あれ、何で」
「私こそ知りたいよ。本人に聞けば?」
それでも慎は私の手を離さない。眉間にしわを寄せてじっと何かを考えているようだ。
「どうしたの?」
私がその顔を覗き込んだ瞬間、慎が突然キスをしてきた。
触れるだけのフレンチキス。
「…どうしたの?」
再び尋ねる。いや、キスは別にいいんだけど今そういうシチュエーションだったか?明らかに違ったよね?
怪訝な表情を浮かべる私と、なぜか拗ねたような表情の慎。
何だかうまく噛み合ってない気がするぞ。何だこれ。
「いや、何となく」
「本能の赴くままかお前は」
「違うから」
スタスタ歩いていくその後ろ姿を眺めながら私は首をひねった。
「論理的じゃないな」