第二章
夢小説設定
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「ねぇ、まだ終わんないの?」
「こいつら後から後から溢れてきやがる。キリがないな」
慎がリロードをしながら舌打ちをした。私のそばでは力矢が全体に指示を飛ばしている。
「まぁ向こう能力者があんまりいなさそうだし、数で勝負してんのかな」
USBのデータをパソコンにダウンロードしながら、私は荷台の角で三角座りをする。戦闘員が頑張ってくれている間にデータの解析でもしようかと呑気に考えていた、その時だった。
突然目の前に見知らぬ男が2人現れる。何も無い空間からぽん、と飛び出すように。
「…は?」
とっさにパソコンを抱えて横に転がった。たった今まで私がいた位置に男の持っていたサバイバルナイフがぐさりと突き刺さる。
危ない。ギリギリセーフだ。
「みさ!」
「前言撤回、能力者いたわ」
背の高い方はたぶん瞬間移動とかそんなタイプ。ガッチリした方は…
「あぁ、さっき車腐らせたやつか」
私がそう呟きながらUSBを抜いた瞬間、背の高い方の男にパソコンを踵で粉砕される。お気に入りだったのに。
力矢が筋肉男の方に猛然と襲いかかった。
「まこっちゃん!お前はみさを守りつつ味方の援護だ!!こいつらは俺がやる、こっちに構うな!」
「っ、了解」
慎が私をぐいっと引き寄せた。自分の身体の下に押し込むようにして囁く。
「俺から離れないで」
「1対2で力矢が勝てるの?両方能力者だよ?」
「力矢さんを信じろ」
「信頼なんて1番信用ならないね、特にこういう戦場においては」
「、おい!」
私は慎の腰のホルダーから勝手にサバイバルナイフを2本抜き取ると、低い姿勢から飛び出した。
背の高い男に背後から飛びかかる。
予期せぬ方向から左膝の裏側を切りつけられ、男が呻いた。返り血が顔にかかるのも厭わず、私はもう一本のナイフをその肩目掛けて振り下ろす。
しかし、男の身体がふっと掻き消えた。瞬間、私の背後に現れる。
「ッ、」
私がすとんと膝を折った瞬間、頭上を男の回し蹴りが一閃する。危ない。
そのまま床に倒れ込むと背中を軸にして足をぶん回す。足元を掬われて男がどんもりうった。
すかさずその心臓にナイフを突き立てようとしたところでまた男が消える。刃は空しく床に突き刺さった。
「ワンパターンかよ」
私は床に刺さったナイフを軸にもう片方のナイフを逆手に持ち、ぐるりと回転した。やはり男は死角となる私の背後に瞬間移動していた。
手応えがあったが、傷は浅いようだ。男は僅かに斬れた左腕を押さえ、血走った目で私を睨む。
その時、突然私の背後で誰かが荷台の壁を突き破った。
その隙を見て慎が私の襟首を掴み引き寄せる。
「おい、女に手を出すたぁどんな了見してんねんお前」
聞きなれた関西弁。突っ込んできたのは陣だったようだ。隣の車から荷台の壁を蹴り破って乗り込んできたらしい。
「バカお前、離れるなって言ったろ!」
「リッキーに全部任せてのんびり見てられるわけないでしょ」
「たまには俺の言うこと聞けっつってんの!」
ぴしゃりと怒鳴られ、私はびっくりして黙り込む。こんなに取り乱した慎は初めて見た。
「俺らを信じてよ。頼むから」
慎がごつんと私の額に自分の額を合わせた。あんまり切実そうに言うもんだから、私は思わず「分かった」と返事してしまう。
「よし、今度こそ俺から離れんなよ」
「うん」
ちらりと背後を見る。
力矢は触れたものを腐らせる能力者とナイフを振り回して戦っていた。
男が力矢の腕を掴む。皮膚がバリバリと音を立てて剥がれる。筋肉の繊維が剥き出しになるグロテスクな光景だったが、力矢は全く表情を変えることはなかった。傷が力矢の再生能力でたちどころに塞がっていく。
「能力、『re』」
力矢が男の腕を掴んでひねりあげた。手のひらの皮膚が破壊と再生を繰り返すのも厭わず、背後からナイフを振り上げる。
「お前に俺は殺せない」
その後ろでは、陣と瞬間移動の能力者が戦っていた。
細かい瞬間移動を重ね、陣に的を絞らせない。しかし陣の金色に光る瞳は全てを見透かすかのように先回りして攻撃を仕掛ける。心を読んでいるのだ。
「能力、『テレパス』」
陣が何も無い空間に向かってかかと落としをする。刹那、ピンポイントでそこに現れた男が頭蓋骨を打ち砕かれて崩れ落ちた。
これが陣の能力の真骨頂だ。
「…見え見えやで、お前の心」
「こいつら後から後から溢れてきやがる。キリがないな」
慎がリロードをしながら舌打ちをした。私のそばでは力矢が全体に指示を飛ばしている。
「まぁ向こう能力者があんまりいなさそうだし、数で勝負してんのかな」
USBのデータをパソコンにダウンロードしながら、私は荷台の角で三角座りをする。戦闘員が頑張ってくれている間にデータの解析でもしようかと呑気に考えていた、その時だった。
突然目の前に見知らぬ男が2人現れる。何も無い空間からぽん、と飛び出すように。
「…は?」
とっさにパソコンを抱えて横に転がった。たった今まで私がいた位置に男の持っていたサバイバルナイフがぐさりと突き刺さる。
危ない。ギリギリセーフだ。
「みさ!」
「前言撤回、能力者いたわ」
背の高い方はたぶん瞬間移動とかそんなタイプ。ガッチリした方は…
「あぁ、さっき車腐らせたやつか」
私がそう呟きながらUSBを抜いた瞬間、背の高い方の男にパソコンを踵で粉砕される。お気に入りだったのに。
力矢が筋肉男の方に猛然と襲いかかった。
「まこっちゃん!お前はみさを守りつつ味方の援護だ!!こいつらは俺がやる、こっちに構うな!」
「っ、了解」
慎が私をぐいっと引き寄せた。自分の身体の下に押し込むようにして囁く。
「俺から離れないで」
「1対2で力矢が勝てるの?両方能力者だよ?」
「力矢さんを信じろ」
「信頼なんて1番信用ならないね、特にこういう戦場においては」
「、おい!」
私は慎の腰のホルダーから勝手にサバイバルナイフを2本抜き取ると、低い姿勢から飛び出した。
背の高い男に背後から飛びかかる。
予期せぬ方向から左膝の裏側を切りつけられ、男が呻いた。返り血が顔にかかるのも厭わず、私はもう一本のナイフをその肩目掛けて振り下ろす。
しかし、男の身体がふっと掻き消えた。瞬間、私の背後に現れる。
「ッ、」
私がすとんと膝を折った瞬間、頭上を男の回し蹴りが一閃する。危ない。
そのまま床に倒れ込むと背中を軸にして足をぶん回す。足元を掬われて男がどんもりうった。
すかさずその心臓にナイフを突き立てようとしたところでまた男が消える。刃は空しく床に突き刺さった。
「ワンパターンかよ」
私は床に刺さったナイフを軸にもう片方のナイフを逆手に持ち、ぐるりと回転した。やはり男は死角となる私の背後に瞬間移動していた。
手応えがあったが、傷は浅いようだ。男は僅かに斬れた左腕を押さえ、血走った目で私を睨む。
その時、突然私の背後で誰かが荷台の壁を突き破った。
その隙を見て慎が私の襟首を掴み引き寄せる。
「おい、女に手を出すたぁどんな了見してんねんお前」
聞きなれた関西弁。突っ込んできたのは陣だったようだ。隣の車から荷台の壁を蹴り破って乗り込んできたらしい。
「バカお前、離れるなって言ったろ!」
「リッキーに全部任せてのんびり見てられるわけないでしょ」
「たまには俺の言うこと聞けっつってんの!」
ぴしゃりと怒鳴られ、私はびっくりして黙り込む。こんなに取り乱した慎は初めて見た。
「俺らを信じてよ。頼むから」
慎がごつんと私の額に自分の額を合わせた。あんまり切実そうに言うもんだから、私は思わず「分かった」と返事してしまう。
「よし、今度こそ俺から離れんなよ」
「うん」
ちらりと背後を見る。
力矢は触れたものを腐らせる能力者とナイフを振り回して戦っていた。
男が力矢の腕を掴む。皮膚がバリバリと音を立てて剥がれる。筋肉の繊維が剥き出しになるグロテスクな光景だったが、力矢は全く表情を変えることはなかった。傷が力矢の再生能力でたちどころに塞がっていく。
「能力、『re』」
力矢が男の腕を掴んでひねりあげた。手のひらの皮膚が破壊と再生を繰り返すのも厭わず、背後からナイフを振り上げる。
「お前に俺は殺せない」
その後ろでは、陣と瞬間移動の能力者が戦っていた。
細かい瞬間移動を重ね、陣に的を絞らせない。しかし陣の金色に光る瞳は全てを見透かすかのように先回りして攻撃を仕掛ける。心を読んでいるのだ。
「能力、『テレパス』」
陣が何も無い空間に向かってかかと落としをする。刹那、ピンポイントでそこに現れた男が頭蓋骨を打ち砕かれて崩れ落ちた。
これが陣の能力の真骨頂だ。
「…見え見えやで、お前の心」