第一章
夢小説設定
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例の粉末を調べた結果、覚せい剤の一種であるアンフェタミンであることがわかった。
これであの貿易会社は完全にクロだ。
この結果をHIROさんに報告して政府の役人から次の指示があるまで、俺たちはまたしばらくホスト稼業で資金集めに勤しむ。
「おつかれ慎」
「壱馬さん、お疲れ様です。今日トップでしたね」
「ん、ああ。たまたまテーブルついた客がやばいくらい金持ちやってん。こっちがビビるくらいお金落としてったわ」
「あーたまにいますよね、そういう人」
「ま、ありがたいんやけどな。性能いい武器とか買えるようになるし」
うちに来る客はほぼ全員が縄張りの外で贅沢な暮らしを謳歌する富裕層だ。金を湯水のように使い、時には高級品のプレゼントまでしてくれる。
彼女たちはそのお金がまさか銃や弾薬になっているなんて思いもよらないだろう。
「もう帰る?」
「香水くさいんでシャワー浴びて、ライフルのメンテしてから帰ります」
「ほんまか。この後対人戦闘の相手してもらおうと思ったんやけど、邪魔するの悪いし翔平にでも頼んでみるわ」
「あ、別にメンテなんて明日でも…」
「明日何が起こるか分からんのやし、今日やっとけ?気ぃ使う間柄でもないやろ俺たち」
兄弟なんやからな。
壱馬さんは俺の胸元をとん、と叩いて笑った。廊下を歩いていくその背中を見送って、俺はシャワールームに向かう。
壱馬さんと知り合ったのは12歳の時。死にかけていた俺の命を救ってくれたのが壱馬さんだった。
スラム街では孤高の一匹狼として有名だった壱馬さんは誰よりも強く逞しくて、いつでも俺の先を歩いていた。
その背中に憧れている。今も。
「明日何が起こるか分からない、か」
その通りだ。次の瞬間には死んでいるかもしれない、俺たちが身を置いているのはそんな世界なのだから。
だから例えば、仕事の疲れを癒すために入ったシャワールームで、おしゃれ半分下心半分で拓磨が設置した猫脚のバスタブに浸かるアンティークドールじみた女と出くわすことだって、あるかもしれない。
ていうかある。
現在進行形で。
「????」
「ん…あぁ、まこっちゃん」
「????」
頭の上で巻き毛をお団子にまとめ、肌を薄桃色に火照らせてみさは平然とこっちを向いた。後れ毛が濡れて細いうなじに張り付いている。
俺は自分がタオル一枚を腰に巻いただけだということも忘れて、ただ呆然とシャボンの漂うシャワールームを眺めていた。
むき出しの肩は艶やかに濡れ、浮き上がった鎖骨のラインと、その下の柔らかいふくらみは際どいところで乳白色の湯船に浸かっている。お湯から突き出てバスタブの縁に乗っている形の良いふくらはぎと腿はそのあまりの妖艶さにくらくらしてしまいそうだ。
ちゃぷん、水面を揺らしてみさが首を傾げた。
「私の入浴シーンに見とれちゃう気持ちはよく分かるけどそんなところでぼーっとしてたら風邪ひくよ」
俺は弾かれたように踵を返してシャワールームの扉を勢いよく閉めた。
額に手のひらを当てる。
瞼の裏にたった今見た光景が焼き付いている。
何であいつ平然としてんの?バカなの?バカなのか?
そういえば天才とバカは紙一重って聞いたことがある。じゃあきっとあいつ本当はバカなんだ。きっとそう、そういうことだ。
「…うわっビックリしたまこっちゃんか。どうしたの、入んないの?俺先使っていい?」
脱衣場の扉を開けた陸さんがタオル1枚で立ち尽くす俺を不審そうに見る。
「陸さん、ダメです」
「え?」
「ダメです」
「ダメって、もう誰か入ってんの?」
「いや…その、」
その時だった。
「残念だったなまこっちゃん、私のお色気タイムはもう終了…ってあれ、りっくんまで見に来たの?」
背後で扉が開く気配がした。
恐る恐る振り返る。
バスタオルを身体に巻き付けたみさが俺と陸さんを見上げていた。
…あ、やばい。
陸さんがほぼ裸の俺と、お風呂上がりのみさを交互に見て、「あぁ~…」とゆっくり頷く。
「ごめん、俺邪魔しちゃったね…」
「いや、陸さん、これは」
「じゃ、ごゆっくり楽しんで!」
伸ばした手の先で、無情にも扉がバタンと閉まる。脱衣場には俺とみさの2人だけが取り残された。
「…」
「ありゃ。りっくん思考が短絡的だね~」
「…みさ」
「何だい」
「服着て」
「お前もな」
これであの貿易会社は完全にクロだ。
この結果をHIROさんに報告して政府の役人から次の指示があるまで、俺たちはまたしばらくホスト稼業で資金集めに勤しむ。
「おつかれ慎」
「壱馬さん、お疲れ様です。今日トップでしたね」
「ん、ああ。たまたまテーブルついた客がやばいくらい金持ちやってん。こっちがビビるくらいお金落としてったわ」
「あーたまにいますよね、そういう人」
「ま、ありがたいんやけどな。性能いい武器とか買えるようになるし」
うちに来る客はほぼ全員が縄張りの外で贅沢な暮らしを謳歌する富裕層だ。金を湯水のように使い、時には高級品のプレゼントまでしてくれる。
彼女たちはそのお金がまさか銃や弾薬になっているなんて思いもよらないだろう。
「もう帰る?」
「香水くさいんでシャワー浴びて、ライフルのメンテしてから帰ります」
「ほんまか。この後対人戦闘の相手してもらおうと思ったんやけど、邪魔するの悪いし翔平にでも頼んでみるわ」
「あ、別にメンテなんて明日でも…」
「明日何が起こるか分からんのやし、今日やっとけ?気ぃ使う間柄でもないやろ俺たち」
兄弟なんやからな。
壱馬さんは俺の胸元をとん、と叩いて笑った。廊下を歩いていくその背中を見送って、俺はシャワールームに向かう。
壱馬さんと知り合ったのは12歳の時。死にかけていた俺の命を救ってくれたのが壱馬さんだった。
スラム街では孤高の一匹狼として有名だった壱馬さんは誰よりも強く逞しくて、いつでも俺の先を歩いていた。
その背中に憧れている。今も。
「明日何が起こるか分からない、か」
その通りだ。次の瞬間には死んでいるかもしれない、俺たちが身を置いているのはそんな世界なのだから。
だから例えば、仕事の疲れを癒すために入ったシャワールームで、おしゃれ半分下心半分で拓磨が設置した猫脚のバスタブに浸かるアンティークドールじみた女と出くわすことだって、あるかもしれない。
ていうかある。
現在進行形で。
「????」
「ん…あぁ、まこっちゃん」
「????」
頭の上で巻き毛をお団子にまとめ、肌を薄桃色に火照らせてみさは平然とこっちを向いた。後れ毛が濡れて細いうなじに張り付いている。
俺は自分がタオル一枚を腰に巻いただけだということも忘れて、ただ呆然とシャボンの漂うシャワールームを眺めていた。
むき出しの肩は艶やかに濡れ、浮き上がった鎖骨のラインと、その下の柔らかいふくらみは際どいところで乳白色の湯船に浸かっている。お湯から突き出てバスタブの縁に乗っている形の良いふくらはぎと腿はそのあまりの妖艶さにくらくらしてしまいそうだ。
ちゃぷん、水面を揺らしてみさが首を傾げた。
「私の入浴シーンに見とれちゃう気持ちはよく分かるけどそんなところでぼーっとしてたら風邪ひくよ」
俺は弾かれたように踵を返してシャワールームの扉を勢いよく閉めた。
額に手のひらを当てる。
瞼の裏にたった今見た光景が焼き付いている。
何であいつ平然としてんの?バカなの?バカなのか?
そういえば天才とバカは紙一重って聞いたことがある。じゃあきっとあいつ本当はバカなんだ。きっとそう、そういうことだ。
「…うわっビックリしたまこっちゃんか。どうしたの、入んないの?俺先使っていい?」
脱衣場の扉を開けた陸さんがタオル1枚で立ち尽くす俺を不審そうに見る。
「陸さん、ダメです」
「え?」
「ダメです」
「ダメって、もう誰か入ってんの?」
「いや…その、」
その時だった。
「残念だったなまこっちゃん、私のお色気タイムはもう終了…ってあれ、りっくんまで見に来たの?」
背後で扉が開く気配がした。
恐る恐る振り返る。
バスタオルを身体に巻き付けたみさが俺と陸さんを見上げていた。
…あ、やばい。
陸さんがほぼ裸の俺と、お風呂上がりのみさを交互に見て、「あぁ~…」とゆっくり頷く。
「ごめん、俺邪魔しちゃったね…」
「いや、陸さん、これは」
「じゃ、ごゆっくり楽しんで!」
伸ばした手の先で、無情にも扉がバタンと閉まる。脱衣場には俺とみさの2人だけが取り残された。
「…」
「ありゃ。りっくん思考が短絡的だね~」
「…みさ」
「何だい」
「服着て」
「お前もな」