世界一美味しいケーキの作り方
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隣でぐでんぐでんになっている海青の大きな身体を部屋まで運ぶのは龍あたりに任せよう、などと考えながら俺はレモンサワーをくい、とあおった。
「…ったく、散々惚気ちゃって」
可愛いこと。
知らず、俺の顔に小さな笑みが浮かんだ。ちょっとヘタレたところのある海青と、マイペースだけど男勝りなところもあるさなちゃん。一見交わらぬ線と線のように見えて、互いが互いを補い合うこの2人のバランスはぴたりと並行を保っているのだろう。
「んじゃあそろそろお開きにするかぁ」
「うーす」
陣さんの言葉に三々五々ホテルに戻る支度を始めるメンバーたち。俺も足元に置いてある荷物を手繰り寄せながら、こっそり出ていこうとする龍の背中に鋭く声をかける。
「りゅーうくん」
「ひっ」
でかい図体を縮こまらせて、ぎぎ、と油の切れた蝶番のようにぎこちなく振り返ったその目には、「面倒事に巻き込まれたくない」という必死の思いがありありと浮かんでいた。
「な、なんすかやましょーさん」
潰れる海青の方に無言で顎をしゃくると、龍は諦めの表情を浮かべちょうど隣を通り過ぎようとしていた昂秀の服の裾をはっしと捕まえた。死なば諸共。道連れにされることを察した昂秀は露骨に顔を歪める。
背が小さくてよかった。こういう役からは自動的に外されるから。
俺は2人に抱えあげられる海青の背中をぼんやりと見上げながら、自然と込み上げてくる笑いを堪えきれなかった。
あぁ、愉快愉快。実に愉快だ。
「幸せになれよ、なんて言葉いらないな」
ぼそりと呟いた俺の言葉は、海青の「幸せだー!」という雄叫びに掻き消された。
「…ったく、散々惚気ちゃって」
可愛いこと。
知らず、俺の顔に小さな笑みが浮かんだ。ちょっとヘタレたところのある海青と、マイペースだけど男勝りなところもあるさなちゃん。一見交わらぬ線と線のように見えて、互いが互いを補い合うこの2人のバランスはぴたりと並行を保っているのだろう。
「んじゃあそろそろお開きにするかぁ」
「うーす」
陣さんの言葉に三々五々ホテルに戻る支度を始めるメンバーたち。俺も足元に置いてある荷物を手繰り寄せながら、こっそり出ていこうとする龍の背中に鋭く声をかける。
「りゅーうくん」
「ひっ」
でかい図体を縮こまらせて、ぎぎ、と油の切れた蝶番のようにぎこちなく振り返ったその目には、「面倒事に巻き込まれたくない」という必死の思いがありありと浮かんでいた。
「な、なんすかやましょーさん」
潰れる海青の方に無言で顎をしゃくると、龍は諦めの表情を浮かべちょうど隣を通り過ぎようとしていた昂秀の服の裾をはっしと捕まえた。死なば諸共。道連れにされることを察した昂秀は露骨に顔を歪める。
背が小さくてよかった。こういう役からは自動的に外されるから。
俺は2人に抱えあげられる海青の背中をぼんやりと見上げながら、自然と込み上げてくる笑いを堪えきれなかった。
あぁ、愉快愉快。実に愉快だ。
「幸せになれよ、なんて言葉いらないな」
ぼそりと呟いた俺の言葉は、海青の「幸せだー!」という雄叫びに掻き消された。
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