第二章
夢小説設定
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4月下旬。
今日は新曲FandangoをMステで初披露する日だ。
「はい次はTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEのみなさんです」
アシスタントアナウンサーの方の紹介のあとに、タモリさんがひな壇に座った私たちをざっと見回す。
「17人多いな~、それで1人だけ女の子なの?」
「あ、はい。パフォーマーの雪平白奈といいます」
「左右で目の色違うじゃん。かっこいいね、カラコン?」
タモリさんとこの会話するの3回目なんだけどな…と心の中で思いながら、私は答えた。
「いえ、生まれつきで…」
「生まれつき!?すごいな~」
タモリさんのゆるーいMC。Mステに出るのは3回目だけど、昔からテレビで見てきたものに出演できるなんて夢みたいだ。
だから私は気合いを入れて、トーク後CM明けのパフォーマンスに臨んでいた。
「「安全第一、最高のパフォーマンス、LOVE DREAM HAPPINESS」」
健太と手を繋いで、おでこを合わせてライブ成功の呪文を唱える。いつものライブ前のルーティン。
「CM開けまーす、5、4、3…」
「We can get down Oh baby we can get down…」
曲が始まる。
やっぱりこの曲好きだなぁと気持ちよくパフォーマンスしていたその時だった。
ビリッ
…ん?ビリ?
プロ根性で何とか踊り続けながら、恐る恐る視線を下に向ける。
(ひっ…)
タイトスカートの裾が中ほどまで破れていた。
まずい。非常にまずい。
かなり危ないところまで破れ目が開いている。生放送で放送事故をやらかすのはまずい非常にまずい。
冷や汗ダラダラで踊り続けていると、健太が異変に気づいた。
(やばい)
目で訴える。
すると、次のフォーメーションチェンジですれ違いざまに健太が羽織っていたジャケットを手渡してきた。
(大丈夫)
そう言いたいのだろうか、安心させるように小さく笑いかけてくれる。
あぁクソ、こういう時だけかっこいい。
私はとっさにそのジャケットを腰に巻いてスカートを隠すと、何とか最後まで踊り切った。
「はあああヤバいマジびびった~…なんで今破れるの…」
「え、何どうしたの」
「いきなり健太さんがジャケット白奈さんに渡したからどうしたんだろうと思ったらスカート盛大に破れてるんですもん、冷や汗っすわ」
一部始終を見ていた海青が言う。次のアーティストさんが演奏中のため、みんなステージから降りながらひそひそ声で慌てふためいていた。
「破れたところ映ってないかな…大丈夫ですかね…」
「落ち着いて。着替えれそうな服あるか?」
「た、多分…スタイリストさんに聞けば」
「じゃあとりあえずそれ着て。たぶんエンディングには間に合うから」
力矢さんの指示で、私は慌てて楽屋に引っ込むと、スタイリストさんが急遽用意してくれたボトムスを履いた。
エンディングまでには何とか間に合い、ちょうどひな壇のはしっこにいた健太の隣に座る。
ジャケットを手渡しながら、私は小声で言った。
「ごめん、助かった。ありがと」
「いいよ」
やけにドヤ顔をキメてくるので、私は焦りも忘れてその足を踏んずける。
「え、雪平スカート破れたの?大丈夫?」
ふいにタモリさんに話を振られて、慌ててマイクを口元に持っていく。健太の足踏んでる場合じゃなかった、生放送中だ。
「あ、はい大丈夫です、今さっき確認したらお見苦しいシーンは映らなかったみたいなので…すみませんでした」
「気合い入れすぎだよ」
本当にその通りだ。すみませんタモリさん、次から気をつけます。
その日の夜、TwitterやInstagramで健太が私にジャケットを渡すシーンが『健太くんかっこよすぎ』『やっぱりけんゆき』の言葉と共に拡散され、自慢げな健太と対照的に私のテンションがガタ落ちしたのはどうでもいい話。
今日は新曲FandangoをMステで初披露する日だ。
「はい次はTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEのみなさんです」
アシスタントアナウンサーの方の紹介のあとに、タモリさんがひな壇に座った私たちをざっと見回す。
「17人多いな~、それで1人だけ女の子なの?」
「あ、はい。パフォーマーの雪平白奈といいます」
「左右で目の色違うじゃん。かっこいいね、カラコン?」
タモリさんとこの会話するの3回目なんだけどな…と心の中で思いながら、私は答えた。
「いえ、生まれつきで…」
「生まれつき!?すごいな~」
タモリさんのゆるーいMC。Mステに出るのは3回目だけど、昔からテレビで見てきたものに出演できるなんて夢みたいだ。
だから私は気合いを入れて、トーク後CM明けのパフォーマンスに臨んでいた。
「「安全第一、最高のパフォーマンス、LOVE DREAM HAPPINESS」」
健太と手を繋いで、おでこを合わせてライブ成功の呪文を唱える。いつものライブ前のルーティン。
「CM開けまーす、5、4、3…」
「We can get down Oh baby we can get down…」
曲が始まる。
やっぱりこの曲好きだなぁと気持ちよくパフォーマンスしていたその時だった。
ビリッ
…ん?ビリ?
プロ根性で何とか踊り続けながら、恐る恐る視線を下に向ける。
(ひっ…)
タイトスカートの裾が中ほどまで破れていた。
まずい。非常にまずい。
かなり危ないところまで破れ目が開いている。生放送で放送事故をやらかすのはまずい非常にまずい。
冷や汗ダラダラで踊り続けていると、健太が異変に気づいた。
(やばい)
目で訴える。
すると、次のフォーメーションチェンジですれ違いざまに健太が羽織っていたジャケットを手渡してきた。
(大丈夫)
そう言いたいのだろうか、安心させるように小さく笑いかけてくれる。
あぁクソ、こういう時だけかっこいい。
私はとっさにそのジャケットを腰に巻いてスカートを隠すと、何とか最後まで踊り切った。
「はあああヤバいマジびびった~…なんで今破れるの…」
「え、何どうしたの」
「いきなり健太さんがジャケット白奈さんに渡したからどうしたんだろうと思ったらスカート盛大に破れてるんですもん、冷や汗っすわ」
一部始終を見ていた海青が言う。次のアーティストさんが演奏中のため、みんなステージから降りながらひそひそ声で慌てふためいていた。
「破れたところ映ってないかな…大丈夫ですかね…」
「落ち着いて。着替えれそうな服あるか?」
「た、多分…スタイリストさんに聞けば」
「じゃあとりあえずそれ着て。たぶんエンディングには間に合うから」
力矢さんの指示で、私は慌てて楽屋に引っ込むと、スタイリストさんが急遽用意してくれたボトムスを履いた。
エンディングまでには何とか間に合い、ちょうどひな壇のはしっこにいた健太の隣に座る。
ジャケットを手渡しながら、私は小声で言った。
「ごめん、助かった。ありがと」
「いいよ」
やけにドヤ顔をキメてくるので、私は焦りも忘れてその足を踏んずける。
「え、雪平スカート破れたの?大丈夫?」
ふいにタモリさんに話を振られて、慌ててマイクを口元に持っていく。健太の足踏んでる場合じゃなかった、生放送中だ。
「あ、はい大丈夫です、今さっき確認したらお見苦しいシーンは映らなかったみたいなので…すみませんでした」
「気合い入れすぎだよ」
本当にその通りだ。すみませんタモリさん、次から気をつけます。
その日の夜、TwitterやInstagramで健太が私にジャケットを渡すシーンが『健太くんかっこよすぎ』『やっぱりけんゆき』の言葉と共に拡散され、自慢げな健太と対照的に私のテンションがガタ落ちしたのはどうでもいい話。