未来へ
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「みんな寝ちゃったね」
「せやな」
壱馬がピアノにもたれて眠りこけるみんなを見て苦笑いしながら、定位置となったピアノ椅子の私の隣に腰掛けた。
今日は私のメジャーデビューから1周年。みんなが寮で盛大にお祝いしてくれたのだ。そのうちみんな酔いつぶれて寝てしまった。
ぽろんぽろん、壱馬が鍵盤の上で指を転がす。その指が奏でるのは一年前、私が初めてステージの上で弾いた曲。
あれから色んなことがあった。ていうかそもそも初舞台で壱馬が交際宣言するから余計に忙しくなった気がする。
「…でも、楽しかったよ」
「何の『でも』やねん。絶対失礼なこと考えとったやろ」
「ふふ、秘密」
ぽろん、ぽろん、星が煌めくようにピアノの音がこぼれていく。
「…実はな、」
「うん?」
「一昨年のパーティーの後、俺HIROさんに頼んでんねんけど」
壱馬が何を言おうとしているのかよく分からなくて、その綺麗な横顔を見上げる。
「何を?」
「みさをピアニストにしてやってくださいって」
しばらく、何も言えなかった。
1分後、驚きの叫びを上げようとした私の口を壱馬が慌てて手で塞ぐ。危ない、みんなを起こしてしまうところだった。
「…そっか、簡単に引けない理由って壱馬のことだったんだ…」
「いや、でもそれっきり何も言われへんかったから、みさがこっそり練習してたこととか全く知らなかった。ていうかまさかHIROさんが本気にしてくれるとは思わへんかった」
「…大変だったんだよ私?」
「それは、悪い」
素直に謝ったので壱馬の前髪を軽く引っ張るだけで勘弁してやる。
「…でも、ありがとう。壱馬のおかげで私今、夢を叶えられてる」
「みさの努力の結果やで」
「ううん、壱馬やみんながいなかったら、きっと私あのまま折れてたから」
鍵盤の上の壱馬の手に、自分の手をそっと重ねた。
「壱馬。側にいてくれて、支えてくれて本当にありがとう。大好きだよ」
「…何や急に。照れるわ」
とか言いつつ、壱馬は私の肩を抱き寄せる。優しいキスが降ってきた。
「俺も、好き。大好き」
音楽はことばを探す愛。
私は今日も、あなたへのことばを探している。
おわり
「せやな」
壱馬がピアノにもたれて眠りこけるみんなを見て苦笑いしながら、定位置となったピアノ椅子の私の隣に腰掛けた。
今日は私のメジャーデビューから1周年。みんなが寮で盛大にお祝いしてくれたのだ。そのうちみんな酔いつぶれて寝てしまった。
ぽろんぽろん、壱馬が鍵盤の上で指を転がす。その指が奏でるのは一年前、私が初めてステージの上で弾いた曲。
あれから色んなことがあった。ていうかそもそも初舞台で壱馬が交際宣言するから余計に忙しくなった気がする。
「…でも、楽しかったよ」
「何の『でも』やねん。絶対失礼なこと考えとったやろ」
「ふふ、秘密」
ぽろん、ぽろん、星が煌めくようにピアノの音がこぼれていく。
「…実はな、」
「うん?」
「一昨年のパーティーの後、俺HIROさんに頼んでんねんけど」
壱馬が何を言おうとしているのかよく分からなくて、その綺麗な横顔を見上げる。
「何を?」
「みさをピアニストにしてやってくださいって」
しばらく、何も言えなかった。
1分後、驚きの叫びを上げようとした私の口を壱馬が慌てて手で塞ぐ。危ない、みんなを起こしてしまうところだった。
「…そっか、簡単に引けない理由って壱馬のことだったんだ…」
「いや、でもそれっきり何も言われへんかったから、みさがこっそり練習してたこととか全く知らなかった。ていうかまさかHIROさんが本気にしてくれるとは思わへんかった」
「…大変だったんだよ私?」
「それは、悪い」
素直に謝ったので壱馬の前髪を軽く引っ張るだけで勘弁してやる。
「…でも、ありがとう。壱馬のおかげで私今、夢を叶えられてる」
「みさの努力の結果やで」
「ううん、壱馬やみんながいなかったら、きっと私あのまま折れてたから」
鍵盤の上の壱馬の手に、自分の手をそっと重ねた。
「壱馬。側にいてくれて、支えてくれて本当にありがとう。大好きだよ」
「…何や急に。照れるわ」
とか言いつつ、壱馬は私の肩を抱き寄せる。優しいキスが降ってきた。
「俺も、好き。大好き」
音楽はことばを探す愛。
私は今日も、あなたへのことばを探している。
おわり