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白い雪が降り始めていた。
とっぷりと日も暮れた頃、寮から少し離れたところにある小さな公園でひとりベンチに腰掛ける。
最悪のクリスマスだ。
「寒い……」
また涙が出てくる。
しばらくそうやって泣いていると、聞きなれた足音がした。
「…陸くん」
「えっ何で見なくても分かるの!?」
傘をさした陸くんが目をまん丸にした。私はぐすりと鼻を鳴らしてまた俯く。
「分かるよ。足音で」
「すごいねみさちゃんは」
陸くんは私の頭や肩に積もった雪を優しく払って、ついでにベンチも綺麗にして私の隣に座った。傘の下にふたり、狭苦しく肩を寄せ合う。
「こんなところにいたら風邪ひくよ?手もこんなに冷えて…」
陸くんが冷えきった私の手を包み込む。その優しさにまた涙が溢れた。どれだけ拭っても涙は止まらない。声を抑えて泣く私を見かねて、陸くんが私の肩をさすってくれた。
「ほらほら、大丈夫だから」
「ッ、ぐす、……何も聞かないんだね」
「壱馬と何かあったんだなぁってことは分かるからね」
「…壱馬、すごく怒ってた。でも理由が分かんなくて」
あの瞳。絶対零度で燃え上がる壱馬の瞳。
「壱馬ね、みさちゃんが出かけてからずっと外で待ってたんだよ」
「え…ずっと?」
「そう。誰が何言っても聞かなくて。よく分からないけど、すごい悲しそうだった」
あの寒空の下で一日中?
何で、と言いかけたところでふいに思い出した。
『クリスマス、デートしたるから予定開けとけよ』
頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた。
クリスマス、デート、キス。笑った顔と、怒った顔。
「みさちゃん?どうしたの?」
陸くんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。でも私の頭は混乱を極めていて、陸くんに答える余裕がない。
だめだ、今ここで結論を出していいようなことじゃない。
「陸くん、私今日は帰れない。晩御飯作らなかったこと、みんなに心配かけたことは本当にごめん」
「…泊まるところある?」
「友達が近くに住んでるから泊めてもらう」
「じゃあそこまで送ってくよ。みんなには俺から言っとくから」
無理に引き止めない陸くんの優しさが胸に染みる。陸くんの傘に入って友達の家まで送ってもらい、その夜は寮には戻らなかった。
ぐるぐる考えているうちに、夜が明ける。
答えは出ていた。
あとは壱馬に聞くだけだ。
とっぷりと日も暮れた頃、寮から少し離れたところにある小さな公園でひとりベンチに腰掛ける。
最悪のクリスマスだ。
「寒い……」
また涙が出てくる。
しばらくそうやって泣いていると、聞きなれた足音がした。
「…陸くん」
「えっ何で見なくても分かるの!?」
傘をさした陸くんが目をまん丸にした。私はぐすりと鼻を鳴らしてまた俯く。
「分かるよ。足音で」
「すごいねみさちゃんは」
陸くんは私の頭や肩に積もった雪を優しく払って、ついでにベンチも綺麗にして私の隣に座った。傘の下にふたり、狭苦しく肩を寄せ合う。
「こんなところにいたら風邪ひくよ?手もこんなに冷えて…」
陸くんが冷えきった私の手を包み込む。その優しさにまた涙が溢れた。どれだけ拭っても涙は止まらない。声を抑えて泣く私を見かねて、陸くんが私の肩をさすってくれた。
「ほらほら、大丈夫だから」
「ッ、ぐす、……何も聞かないんだね」
「壱馬と何かあったんだなぁってことは分かるからね」
「…壱馬、すごく怒ってた。でも理由が分かんなくて」
あの瞳。絶対零度で燃え上がる壱馬の瞳。
「壱馬ね、みさちゃんが出かけてからずっと外で待ってたんだよ」
「え…ずっと?」
「そう。誰が何言っても聞かなくて。よく分からないけど、すごい悲しそうだった」
あの寒空の下で一日中?
何で、と言いかけたところでふいに思い出した。
『クリスマス、デートしたるから予定開けとけよ』
頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた。
クリスマス、デート、キス。笑った顔と、怒った顔。
「みさちゃん?どうしたの?」
陸くんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。でも私の頭は混乱を極めていて、陸くんに答える余裕がない。
だめだ、今ここで結論を出していいようなことじゃない。
「陸くん、私今日は帰れない。晩御飯作らなかったこと、みんなに心配かけたことは本当にごめん」
「…泊まるところある?」
「友達が近くに住んでるから泊めてもらう」
「じゃあそこまで送ってくよ。みんなには俺から言っとくから」
無理に引き止めない陸くんの優しさが胸に染みる。陸くんの傘に入って友達の家まで送ってもらい、その夜は寮には戻らなかった。
ぐるぐる考えているうちに、夜が明ける。
答えは出ていた。
あとは壱馬に聞くだけだ。