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二次創作(おそ松さん)

―ヒロインなんて、誰が決めたのだろう。

ずっと笑顔でいて、たとえ嫌な事をされても笑っていて、容姿端麗でいて、皆に平等に愛を与えて。

そんな『ヒロイン』を背負わされて。
トト子には無理。救いもないもん。

『あ〜あ、なんで周りには馬鹿ばっかしか居ないんだろう』

思わずそう呟いてしまう。

でも、1人だけ、分かってくれる人がいた。

『…やっぱり、ここに居たんだねぇ、弱井 さん』

『のぞみちゃん!…居るなら声かけてよ…びっくりした…』

ごめんごめん、話しかけたらまずいかな、と思って、と言いながら彼女は私の隣りに座る。

『トト子ね、ちやほやされるのは好きだけど、ヒロインを演じるのは違うの、トト子は馬鹿に媚び売ったりするのは御免だし、ほんとは自分の思うままに生きていきたい。でも…周りに失望されたくない』

半分泣きながら私はゆっくり話す。
私が私で居れるのは、彼女が居るからだ。

彼女は他の取り巻きの人とは違い、着飾っていない『本当の私』を見抜いていた。
その私にも幻滅せず、むしろ友好的に接してくれ、時には彼女が私を守ってくれた時もあった。それ程彼女は私の事を大切にしてくれた。

『…思い切って、やってみたら?レールから外れて生きるのも、一つの手だと私は思うなぁ。』

『…!』

『私は、弱井さんが、泣きそうな顔しているよりも、笑顔が似合うよぉ。…心からのね。』

そういうと彼女は立ち上がり、足元に置いてあったヴァイオリンケースを手に取る。

―聞いてほしい歌が、あるんだ。楽器借りて演奏してもいい?

私は小さく頷き、彼女の方を向いた。


彼女は儚くも、美しい声で歌い出す。
流行りの曲でも、なんでもないのに、

何故か私は、夕暮れの空の下、

その歌を口ずさんでいた。


時は流れ、現代。

私はアイドル活動を始め、おそ松くん達の仲は元に戻った。

だけど、彼女…高橋さんがその姿を見ることは叶わなかった。

持病が悪化し、彼女は遠い場所に旅立ってしまった。

皮肉にも、彼女が旅立った日は同窓会の翌日だった。


もう会えなくても。

私たちの声が分からなくなっても。


あの日の歌をもう一度、届けよう。


私はそう心に誓い、松野家の呼び鈴を押した。











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