夜明け
「・・・シン?」
アスランは来客が自分の予想していた人物と違うことに動揺した様子だった。
「どうしたんだ、こんな時間に。カガリに付き添ってきたのか?」
態度には出さないが翡翠の瞳にはありありと落胆の色が浮かんでいる。
「アスラン、何でこんな真夜中にカガリを呼び出そうとしたんです?」
シンはアスランの質問には答えず、逆にアスランに問いかけた。
「確かにパーティーが終わってから呼び出すのは非常識だと分かってはいるが、カガリは忙しい。こんな時間でもないとゆっくり話もできないだろう」
シンの態度に若干違和感を感じつつも、アスランは気を取り直して冷静に答えた。
「アスハとゆっくり話、ですか。どんな話をするつもりだったんですか?告白でもしようと思ってたんですか?」
シンは口元を歪めてアスランを皮肉るような嫌な笑いを浮かべていた。
「シン!!お前何を・・」
今のシンはやはり何かおかしい。
アスランを挑発するような態度を取りながら、いつもだったら強い光を放つ赤い瞳が苦しそうに揺れている。
そんなシンがアスランにはとても不安定に映った。
「変なことを言ってからかうのは辞めろ。それよりお前・・」
「変なことなんかじゃない!!」
シンの様子がおかしいことを訝って、何か言おうとしたアスランを遮り、シンは叫んだ。
「アスハのこと、想ってるならそう伝えればいいじゃないですか!影からコソコソ見てないで、本人にちゃんと言えばいいんだ!」
シンの言葉にアスランは微かに目を見開き、身体を強張らせた。
アスランの顔が苦しそうに歪む。
「・・俺だってそれが許されるならそうするさ。でも・・カガリはオーブの代表なんだ。オーブが一番大切で・・。俺の入る隙間なんてないんだ!!」
「カガリのせいにするな!!自分が怖いだけだろ!アンタはカガリに拒絶されるのが怖くて前に進めないだけの臆病者じゃないか!!」
それに・・・とシンが拳を握りしめる。
「カガリはずっとアスランのことを呼んでたんだ!!」
「え・・?」
「アンタに助けを求めてたんだぞ・・」
「何の話を・・しているんだ・・?」
「俺は・・・俺は・・・」
握った拳が小刻みに震えだす。
「カガリを無理やり、抱いた・・」
出てきた声は喉の奥から絞り出したようだった。
「カガリは泣きながらアスランのことをずっと・・」
シンの頬に衝撃が走った。
身体が床に叩きつけられアスランに殴られたんだと認識した瞬間、襟元を掴まれもう一方の頬も殴りつけられた。
手加減などまるで無い容赦のない拳だった。
アスランが襟元から手を放すと、シンの上半身がドサリと床に崩れ落ちる。
ぐるぐると反転する視界の端で部屋を飛び出すアスランの姿が映った。
―――これでいいんだ
ぼんやりと遠くなる意識のなか、シンはそう思った。
アスランは来客が自分の予想していた人物と違うことに動揺した様子だった。
「どうしたんだ、こんな時間に。カガリに付き添ってきたのか?」
態度には出さないが翡翠の瞳にはありありと落胆の色が浮かんでいる。
「アスラン、何でこんな真夜中にカガリを呼び出そうとしたんです?」
シンはアスランの質問には答えず、逆にアスランに問いかけた。
「確かにパーティーが終わってから呼び出すのは非常識だと分かってはいるが、カガリは忙しい。こんな時間でもないとゆっくり話もできないだろう」
シンの態度に若干違和感を感じつつも、アスランは気を取り直して冷静に答えた。
「アスハとゆっくり話、ですか。どんな話をするつもりだったんですか?告白でもしようと思ってたんですか?」
シンは口元を歪めてアスランを皮肉るような嫌な笑いを浮かべていた。
「シン!!お前何を・・」
今のシンはやはり何かおかしい。
アスランを挑発するような態度を取りながら、いつもだったら強い光を放つ赤い瞳が苦しそうに揺れている。
そんなシンがアスランにはとても不安定に映った。
「変なことを言ってからかうのは辞めろ。それよりお前・・」
「変なことなんかじゃない!!」
シンの様子がおかしいことを訝って、何か言おうとしたアスランを遮り、シンは叫んだ。
「アスハのこと、想ってるならそう伝えればいいじゃないですか!影からコソコソ見てないで、本人にちゃんと言えばいいんだ!」
シンの言葉にアスランは微かに目を見開き、身体を強張らせた。
アスランの顔が苦しそうに歪む。
「・・俺だってそれが許されるならそうするさ。でも・・カガリはオーブの代表なんだ。オーブが一番大切で・・。俺の入る隙間なんてないんだ!!」
「カガリのせいにするな!!自分が怖いだけだろ!アンタはカガリに拒絶されるのが怖くて前に進めないだけの臆病者じゃないか!!」
それに・・・とシンが拳を握りしめる。
「カガリはずっとアスランのことを呼んでたんだ!!」
「え・・?」
「アンタに助けを求めてたんだぞ・・」
「何の話を・・しているんだ・・?」
「俺は・・・俺は・・・」
握った拳が小刻みに震えだす。
「カガリを無理やり、抱いた・・」
出てきた声は喉の奥から絞り出したようだった。
「カガリは泣きながらアスランのことをずっと・・」
シンの頬に衝撃が走った。
身体が床に叩きつけられアスランに殴られたんだと認識した瞬間、襟元を掴まれもう一方の頬も殴りつけられた。
手加減などまるで無い容赦のない拳だった。
アスランが襟元から手を放すと、シンの上半身がドサリと床に崩れ落ちる。
ぐるぐると反転する視界の端で部屋を飛び出すアスランの姿が映った。
―――これでいいんだ
ぼんやりと遠くなる意識のなか、シンはそう思った。