アスラン・ザラと秘密の乙女
「赤服の連中が通るわよ」
ジュリの言葉に、アサギも踊り場の上から廊下を見下ろした。
渡り廊下はちょうど休み時間で、次の教室に移動する生徒で溢れ返っている。
その中でひときわ目を引く集団。
「本当だ。みんな揃ってる。イザークにディアッカに二コル、それにアスラン!」
「無駄に恰好つけちゃって。本当にいけすかない連中だわ」
「あんなののどこがいいのかしら。今季のSEED杯ではキラ様にボコボコにされるといいわ」
オーブ三人娘の視線の先にいるのは、クッディッチのザフト代表チーム、通称赤服のメンバーたちだ。
クッディッチの代表なのだから、ザフトのなかでも一際秀でた飛行技術と運動能力を持つ彼らはまた、揃いも揃って美形ばかりで、嫌でも人の目と関心を惹きつける。
ザフトとエターナルの寮生からは、憧れと羨望の眼差しを。
敵対しているアークエンジェルとオーブの寮生からは、軽蔑と憎しみの視線を・・・。
浴びているはずなのだが。
「とか言って、ジュリがアスランのプロマイド、部屋に隠しているの知ってるよ」
「ちょっと・・アサギ!どうしてそれをっ・・」
「いいっていいって。私もザフトは大っ嫌いだけど、アスランのことは素敵だって思うもの。ねえ、カガリ様!」
「えっ・・」
急に話を振られ、カガリは肩を揺らした。
「そ・・そうか?私はよく解らない」
「駄目よ~アサギ。カガリ様はまだお子様だもの。それにキラ様がいるんだから!」
「キラは関係ないだろう」
「何言ってるんですか!キラ様を敵に回してまで、カガリ様に近づこうとする男がいたら、私は尊敬しますよっ」
きゃははと朗らかに笑う三人娘を横目で流して、カガリはそっと渡り廊下を歩くアスランに視線を向けた。
「でもやっぱりアスランは好きじゃないな、私」
ひとしきり笑ったあと、頷きながら、マユラがきっぱりと言い切った。
「あら、どうして?」
「だって、他人に興味がないって感じじゃない。すごく冷たそう」
「確かにね。クッディッチのときも、味方の応援に愛想の一つも返さないものね」
「いくら顔が良くて何でもできても、温かみのなければ人として駄目よね」
(そんなことない・・)
去っていくアスランの背中を見つめながら、カガリは心のなかで強く否定した。
(どうして皆、気が付かないんだろう)
アスランと初めて出会ったのは、カガリが飛行に失敗して、樹海の森まで飛ばされた挙句、木の枝にひっかっかってしまったときだった。
彼はブツブツと文句を言いながらもカガリを助けてくれて、森の出口まで連れて行ってくれた。
そこで別れて、それっきりだと思っていたけど、彼は人目に隠れて魔法の練習をしていた自分に声を掛けてくれた。
(良かったら、俺が魔法を見てあげようか・・・?)
それからは毎日、カガリに魔法や勉強を教えてくれて。
(アスランはとっても優しいのに・・どうして皆、気が付かないんだろう)
皆がアスランを誤解している。
そう思うと、カガリは何だか悔しかった。
ジュリの言葉に、アサギも踊り場の上から廊下を見下ろした。
渡り廊下はちょうど休み時間で、次の教室に移動する生徒で溢れ返っている。
その中でひときわ目を引く集団。
「本当だ。みんな揃ってる。イザークにディアッカに二コル、それにアスラン!」
「無駄に恰好つけちゃって。本当にいけすかない連中だわ」
「あんなののどこがいいのかしら。今季のSEED杯ではキラ様にボコボコにされるといいわ」
オーブ三人娘の視線の先にいるのは、クッディッチのザフト代表チーム、通称赤服のメンバーたちだ。
クッディッチの代表なのだから、ザフトのなかでも一際秀でた飛行技術と運動能力を持つ彼らはまた、揃いも揃って美形ばかりで、嫌でも人の目と関心を惹きつける。
ザフトとエターナルの寮生からは、憧れと羨望の眼差しを。
敵対しているアークエンジェルとオーブの寮生からは、軽蔑と憎しみの視線を・・・。
浴びているはずなのだが。
「とか言って、ジュリがアスランのプロマイド、部屋に隠しているの知ってるよ」
「ちょっと・・アサギ!どうしてそれをっ・・」
「いいっていいって。私もザフトは大っ嫌いだけど、アスランのことは素敵だって思うもの。ねえ、カガリ様!」
「えっ・・」
急に話を振られ、カガリは肩を揺らした。
「そ・・そうか?私はよく解らない」
「駄目よ~アサギ。カガリ様はまだお子様だもの。それにキラ様がいるんだから!」
「キラは関係ないだろう」
「何言ってるんですか!キラ様を敵に回してまで、カガリ様に近づこうとする男がいたら、私は尊敬しますよっ」
きゃははと朗らかに笑う三人娘を横目で流して、カガリはそっと渡り廊下を歩くアスランに視線を向けた。
「でもやっぱりアスランは好きじゃないな、私」
ひとしきり笑ったあと、頷きながら、マユラがきっぱりと言い切った。
「あら、どうして?」
「だって、他人に興味がないって感じじゃない。すごく冷たそう」
「確かにね。クッディッチのときも、味方の応援に愛想の一つも返さないものね」
「いくら顔が良くて何でもできても、温かみのなければ人として駄目よね」
(そんなことない・・)
去っていくアスランの背中を見つめながら、カガリは心のなかで強く否定した。
(どうして皆、気が付かないんだろう)
アスランと初めて出会ったのは、カガリが飛行に失敗して、樹海の森まで飛ばされた挙句、木の枝にひっかっかってしまったときだった。
彼はブツブツと文句を言いながらもカガリを助けてくれて、森の出口まで連れて行ってくれた。
そこで別れて、それっきりだと思っていたけど、彼は人目に隠れて魔法の練習をしていた自分に声を掛けてくれた。
(良かったら、俺が魔法を見てあげようか・・・?)
それからは毎日、カガリに魔法や勉強を教えてくれて。
(アスランはとっても優しいのに・・どうして皆、気が付かないんだろう)
皆がアスランを誤解している。
そう思うと、カガリは何だか悔しかった。