アスラン・ザラと秘密の乙女


あまりのショックに眩暈がしていたアスランだったが、ムウの咎めるような声に肩を弾かせた。
カガリの方を向けば、俯いた彼女のバラ色の頬は青ざめ、小さな肩が小刻みに震えている。
しかし、嘘や言い逃れといった卑怯なことが大嫌いなカガリである。
意を決したように、顔をあげた。

「先生、私が・・・」

「俺です!俺がキラから魔法のことを聞いて、興味本位にカガリに唱えてくれってお願いしたんです」

「アスラン?!」

カガリの申し出を断ち切るように、アスランは叫んだ。
でっちあげの言葉にカガリが驚いたようだったが、アスランは無視した。
こんな問題を起こしたのだ。
もしカガリのせいになったら、オーブのポイントは50点は引かれてしまう。
カガリに罰を受けさせるわけにはいけない。

「僕もです。遊び半分で、ラクスにお願いしちゃって・・」

「あらあら・・キラったら・・」

アスランの申し出に、キラも倣った。
ラクスが含み笑いをする。

「お前ら・・」

アスランとキラの顏をゆっくりと眺めてから、ムウがため息をついた。

「そういうことなら、仕方ないわね、ムウ」

「そうだな・・元気なのはいいが、困った子供たちだ」

本当は二人の嘘を見抜いているムウとマリューだったが、少年たちの想いに免じて、気づかない振りをした。
こういうところが、二人が生徒から絶大な人気を誇る理由である。


「でも、これからどうしましょうか・・ムウ、何かいい案はある?」

「いや・・公にするわけにもいかないしね。参ったよ」

部屋の空気が再び重く沈む。

「そういえば、四つの寮の真ん中に、四人部屋があったな」

思い出したように、ムウが言った。

「よし、君たち四人でその部屋を使うんだ」

「何言ってるんです!四人で使うって・・」

ムウの提案に、アスランが抗議をしたが。

「仕方ないだろう。今のルームメイトになんて説明するんだ。キラとザラは帰省したことにしよう。あまり、ややこしいことにはしたくないからな」

アスランはぐっと喉を詰まらせた。
確かに同室の二コルにこんな姿を曝すわけにはいかないが、引き下がることはできなかった。

「でも男女同室なんて・・!」

健全なるSEED学校でそんなことがあっていいはずがない。
アスランは真面目な優等生なのだ。

「男女同室?」

だけどそんなアスランの必死な言い分に、ムウが不思議そうに首をかしげた。

「何言ってるんだ。女の子四人じゃないか」









「学校長の古い友人の娘さんを預かったということにしよう。他の寮の先生方には俺たちから話をしておくから、いいか、他の奴には絶対に、正体がばれないようにな」

ムウは念を押すようにそう言うと、マリューを連れて去って行った。
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