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全身を支配していた激情がようやく静まって、アスランは眼下の少女を見下ろした。
ぐったりと力なくベッドに身を預ける愛しい少女。
何よりも大切で、守りたいと思っていた少女の姿は今、あまりにも痛々しかった。
引き裂かれた服に、その体中に刻まれた凌辱の痕。

「カガリ・・」

アスランの整った顔が辛そうに歪む。
自分が何をしたのかは、ちゃんと分かっていた。
それでもアスランはこの悲惨な光景を、割り切って受け止めることはできなかった。
カガリをずっと愛してきた。
だからいずれ、いずれはカガリの身体も欲しいと思っていた。
だけど、それは・・こんなやり方ではなかった。

「カガリ・・」

ちゃんとカガリから愛を返してもらえるようになって、カガリが身も心も自分に許そうと思ってくれたら。
その時が来るまで待とうと、大切にしようと思っていたのに。

「ごめん・・」

カガリの悲鳴が耳に、苦しそうな顔が脳裏に蘇る。
細い腕で必死に自分を押しのけようとして・・。
それらを全て無視して自分はカガリを力づくで犯したのだ。
誰よりも守りたい大切な存在を。

「ごめん・・」

アスランはカガリの顔が見るのが辛くて顔を伏せる。
アスランの我儘なのだ。
カガリを放したくないという。
オーブに帰ったら、敵同士きっともう二度と一緒にいることはできないから。
それなのに、カガリはオーブに帰ると言った。
オーブに戻ったらプラントと戦争をしなくてはいけないにもかかわらず。
アスランと刀を交えることになるにもかかわらず。
それはすなわちアスランよりオーブを選んだということだ。
決断したカガリの金色の瞳は、アスランと過ごした7年という歳月に心を揺らすこともなく、強い光を放ち一点の曇りもなかった。
カガリが自分から離れていこうとする。
そう思ったら。耐えられなかった。
だから、カガリを傍に置いていくにはこうするしかなかった。
例え、どれほどカガリに憎まれても。

「カガリ・・」

腕のなかのカガリは、純潔を奪われ意識を失ってる。
それはアスランが望んだ結果で、アスランの思い通りにことが進んだということだ。
これでカガリはもう、逃げることはできない。

「カガリ・・」

それなのに、胸が張り裂けそうなほど辛くて痛くて。
アスランの伏せられた瞳からぽたりと雫が垂れる。
もう戻れないのだ。
穏やかだった昨日までの日々には。
一度涙がこぼれると、それは堰をきったようにあとからあとから溢れて流れ出る。
こぼれた涙は腕のなかの少女に頬にぽたりと落ちて、顔のラインを伝ってシーツへと流れおちる。
それでも深い眠りに落ちた少女が目を覚ます気配はない。

「くっ・・」

辛い。
この辛さを胸に抱えて、これから自分は耐えていけるだろうか。
アスランはそっと、カガリの頬に落ちた涙を指で拭った。
滑らかなカガリの頬を指に感じて、カガリが今自分の腕のなかにいることを実感する。
どういう状況であれ、カガリはここにいるのだ。
胸を締め付ける苦しみは、その代価。
ならば、耐えてみせる。
だから・・。

「このままずっと・・俺の傍にいて・・」





















どれほどそうしていたのだろう。
アスランは身体を起こし、ベッド脇のサイドテーブルに置かれたベルを鳴らした。

「アスラン様、お呼びでしょうか」

ベルを鳴らして数分後に、寝室のドアの外にメイドがやってくる。

「北の塔の準備をしろ」

「北の塔・・で、ございますか?」

ドア越しに掛けられたアスランの命令に、メイドは少し驚いたようだった。

「そうだ。一時間後に塔へ向かう」

「・・かしこまりまりました」

胸のうちの動揺を飲み込んで、メイドはドア越しにお辞儀をすると踵を返した。














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