第二夜
アスランはカガリの姿を見とめると、緑色の目を見開いた。
「カガリ・・・?」
「アスラン!」
思いもしない突然の来訪者に立ち尽くすアスランの元へ、カガリは小走りで向かって行った。
「どうしてここに・・」
「会いに来たんだ!お前が来れないなら、私が行こうと思ってな」
戸惑いに満ちたアスランの表情に、喜びのような明るいものは一切見当たらない。
その事実にくじけてしまいそうになる心を叱咤したくて、カガリは努めて明るい声を出したのだが、返ってきた声は固かった。
「・・・どうやって入ったんだ?軍の関係者以外入れないはずなのに・・」
「受付からちゃんと入ったぞ!市民IDを見せたら、入っていいって言われた。ディアッカも護衛を申し出てくれたんだ」
アスランが怪訝そうな顔をして、カガリの後ろに立つ少年を見やると、彼はおどけたように右手をあげた。
「よっ!お前の婚約者を送り届けてやったんだ!感謝しろよな、アスラン!」
「・・・・・」
しかしアスランは、ディアッカに返事せず、そなままむっつりと黙りこくった。
その表情で、カガリを歓迎していないことは明らかだった。
「そんな顔するな。すぐ帰るから」
アスランの心情を察して、カガリは慌ててそう言うと、持っていた紙袋を差し出した。
「これを渡したかったんだ」
「え・・」
「お弁当っ・・てか、もう夜だから夕飯か。まあとにかく、アスランはちゃんとご飯食べてるのかなって思ってさ」
反応の鈍いアスランに、カガリは無理やり紙袋を押し付ける。
中身はロールキャベツ。
基地に向かう前に、作ったのだ。
「わあ!良かったですね。アスランは携帯食がほとんどですもんね」
礼を言わないアスランに、彼の隣にいた若草色の髪をした少年が明るい声で言った。
「ふん、ここは基地だぞ。恋人といちゃいちゃしたいなら帰れ!」
「あっ・・いや!これを渡しに来ただけだから、私はもう帰るよ!じゃあな!」
これまたアスランの後ろにいた銀髪の少年が、そう言ってアスランを睨み付けると、カガリは踵を返した。
「えっ・・カガリちゃん!」
「アスラン、送っていかなくていいのですか?」
後ろからディアッカや他の少年たちの声が聞こえたが、カガリは構わず白く四角い廊下を走り抜けた。
もう、あれ以上あの場にいられなかった。
あれ以上、冷ややかな翡翠の瞳を前にしていることに耐えられなかった。
感情を隠しきれない迷惑そうな顔。
銀髪の少年の言葉に、助かったと思う自分がいた。
アスランと親しくなりたくて取った行動だったが、やはりアスランと自分の間にある壁はとても厚いのだと、カガリは身をもって実感した。
「カガリ・・・?」
「アスラン!」
思いもしない突然の来訪者に立ち尽くすアスランの元へ、カガリは小走りで向かって行った。
「どうしてここに・・」
「会いに来たんだ!お前が来れないなら、私が行こうと思ってな」
戸惑いに満ちたアスランの表情に、喜びのような明るいものは一切見当たらない。
その事実にくじけてしまいそうになる心を叱咤したくて、カガリは努めて明るい声を出したのだが、返ってきた声は固かった。
「・・・どうやって入ったんだ?軍の関係者以外入れないはずなのに・・」
「受付からちゃんと入ったぞ!市民IDを見せたら、入っていいって言われた。ディアッカも護衛を申し出てくれたんだ」
アスランが怪訝そうな顔をして、カガリの後ろに立つ少年を見やると、彼はおどけたように右手をあげた。
「よっ!お前の婚約者を送り届けてやったんだ!感謝しろよな、アスラン!」
「・・・・・」
しかしアスランは、ディアッカに返事せず、そなままむっつりと黙りこくった。
その表情で、カガリを歓迎していないことは明らかだった。
「そんな顔するな。すぐ帰るから」
アスランの心情を察して、カガリは慌ててそう言うと、持っていた紙袋を差し出した。
「これを渡したかったんだ」
「え・・」
「お弁当っ・・てか、もう夜だから夕飯か。まあとにかく、アスランはちゃんとご飯食べてるのかなって思ってさ」
反応の鈍いアスランに、カガリは無理やり紙袋を押し付ける。
中身はロールキャベツ。
基地に向かう前に、作ったのだ。
「わあ!良かったですね。アスランは携帯食がほとんどですもんね」
礼を言わないアスランに、彼の隣にいた若草色の髪をした少年が明るい声で言った。
「ふん、ここは基地だぞ。恋人といちゃいちゃしたいなら帰れ!」
「あっ・・いや!これを渡しに来ただけだから、私はもう帰るよ!じゃあな!」
これまたアスランの後ろにいた銀髪の少年が、そう言ってアスランを睨み付けると、カガリは踵を返した。
「えっ・・カガリちゃん!」
「アスラン、送っていかなくていいのですか?」
後ろからディアッカや他の少年たちの声が聞こえたが、カガリは構わず白く四角い廊下を走り抜けた。
もう、あれ以上あの場にいられなかった。
あれ以上、冷ややかな翡翠の瞳を前にしていることに耐えられなかった。
感情を隠しきれない迷惑そうな顔。
銀髪の少年の言葉に、助かったと思う自分がいた。
アスランと親しくなりたくて取った行動だったが、やはりアスランと自分の間にある壁はとても厚いのだと、カガリは身をもって実感した。