美味しい料理はハートも掴む
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日から壁外調査があるらしく、朝から食堂にはエルヴィン団長やリヴァイ兵長、ハンジ班など錚々たるメンバーが集っていた。
壁外調査へ行くメンバー全員がしっかり朝食を取っているのか確認する為私はテーブルを見渡した。
巨人が蔓延る危険な壁外に調査へ行くのだからエネルギーはしっかり補給しておかなければいざという時に身体が言う事を利かないだろう。
普段の朝は誰かしら朝食に来ない者もいるが今日は幸いな事に全員が朝食にありついているのを確認でき、一人小さく よし、と呟く。
一日の活動源となる朝食の提供は、兵士ではない私に課せられた大事な任務だと思っている。壁外へ行けば無事帰って来れるかも分からない朝、せめて美味しい朝食で勇気付けられたら、また元気付けられたらと思う。
皆が朝食を食べ終わる頃を見計らい、私は以前味わった、美味しいとは言い難かった野戦食料の代わりとなる様にビスコッティを大量に焼き上げ袋詰めしたものを団員達に一袋ずつ配っていた。
ビスコッティは、ビスケットを焼く生地にアーモンドなどのナッツ類を練りこみ、その生地を棒状に広げそれをオーブンで二度焼いて堅焼きにし、スライスしたものである。
二度焼きした事で水分がほとんど無くなり、ザクザクとしたハードな食感になるこれはカントゥチーニとも呼ばれる。
紅茶のお供にもなるし、甘いワインに浸して食べるのもとても美味しい。
水分がほとんど無い為日持ちもするので保存食としても向いている。これを野戦食料の代わりにできないかと作ってみたのだが果たしてどうだろうか。
「おい、アリスよ。これは何だ?」
ミケさんに袋を渡し、いつもの通り鼻を寄せすんすんと匂いを嗅ぐ様子を見詰めていると、リヴァイ兵長が袋を摘まみ上げ、訝し気に眉を寄せて袋の中身を覗き込みながら訊いてきた。
「あっ、これはですね!」
あまり珍しいお菓子でもない為、リヴァイ兵長の訝し気な様子に疑問に思うもリヴァイ兵長は甘いものなど、いやそれ以前に紅茶以外の飲食物にあまり興味が無さそうな顔をしているのでビスコッティの事をよく知らないのも頷けるな、と私が嬉々として説明をしてあげようと人差し指を立てた所あからさまに面倒臭そうな至極嫌そうな顔をされてしまった。
…自分で聞いておいてその態度はあんまりだろう。
最後の一袋をエルヴィン団長に渡せばエルヴィン団長は袋を手に取り、まじまじとそれを眺めた後私へと目を向けた。
「私の物にだけ可愛らしいリボンが付いているのだが、これは?」
「あっ!それは当たりです!」
「当たり?」
一袋だけ袋の口に赤いリボンを可愛く巻いておいたのだがどうやら適当に配っていた最後の物がそれだったらしい。
当たり、というのはその一袋だけ紅茶の茶葉を練り込んだ紅茶味のビスコッティが三つ入れてあるのである。作り途中、プレーン味を作るのに飽きていた私は何か違う味で作りたいと思い立ち、すぐ手元にあった紅茶の茶葉を少し練り込んでみたのである。
紅茶味のクッキーがあるのだから紅茶味のビスコッティがあっても良いと思い焼き上げ、試食してみたがやはり紅茶の良い風味がふわりと香るとても美味しいビスコッティになった。
自分用にと焼いてみたのだが案外美味しく出来たものでこっそり誰かに共有したくなり、この際に当たりという名目で混ぜてみた。
まさかエルヴィン団長に当たるとは思わなかったがしっかりと味の感想を述べてくれそうだ。
当たりの理由を説明し、壁外調査から帰ってきたら感想をお願いします、と頼めばエルヴィン団長は快く了承してくれた。
「ん〜!良い天気!」
その後、調査兵団の方々を食堂からお見送りした後、珍しい事に休暇を貰えた私は青空が広がる外に出て大きく伸びをしていた。
大体調査兵団が壁外調査へ行った後は手が空く為、残っている憲兵団や駐屯兵団の食事の用意を依頼されるのだが少なくとも今日一日は自由の身らしい。
嬉しい事に今日は天気が良く陽光もとても気持ちが良さそうだったので私は兵舎の外の庭にある大きな木の根元へと腰を下ろし、背中を幹に凭れ掛からせながら白いふわふわとした雲が浮かぶ青空を見上げた。
ほとんどの兵士が壁外へと出払った調査兵団の庭はとても静かで風がそよぐ音だけが聞こえる。
心地良い風が私の髪の毛を攫いながら吹き抜けていき、頭上の綺麗な新緑の葉もさわさわと音を立てて揺れている。
木陰というものはどうしてこんなにも気持ちが良いのだろうか。少しここで休憩をするつもりが徐々に眠気が襲ってきた。
「…この後特に予定も無いし、ちょっとぐらいなら良いかな」
私は襲ってくる眠気に身を任せ、折角の自由な時間を、少しだけと自分に言い聞かせ瞼を閉じたのだった。
壁外調査へ行くメンバー全員がしっかり朝食を取っているのか確認する為私はテーブルを見渡した。
巨人が蔓延る危険な壁外に調査へ行くのだからエネルギーはしっかり補給しておかなければいざという時に身体が言う事を利かないだろう。
普段の朝は誰かしら朝食に来ない者もいるが今日は幸いな事に全員が朝食にありついているのを確認でき、一人小さく よし、と呟く。
一日の活動源となる朝食の提供は、兵士ではない私に課せられた大事な任務だと思っている。壁外へ行けば無事帰って来れるかも分からない朝、せめて美味しい朝食で勇気付けられたら、また元気付けられたらと思う。
皆が朝食を食べ終わる頃を見計らい、私は以前味わった、美味しいとは言い難かった野戦食料の代わりとなる様にビスコッティを大量に焼き上げ袋詰めしたものを団員達に一袋ずつ配っていた。
ビスコッティは、ビスケットを焼く生地にアーモンドなどのナッツ類を練りこみ、その生地を棒状に広げそれをオーブンで二度焼いて堅焼きにし、スライスしたものである。
二度焼きした事で水分がほとんど無くなり、ザクザクとしたハードな食感になるこれはカントゥチーニとも呼ばれる。
紅茶のお供にもなるし、甘いワインに浸して食べるのもとても美味しい。
水分がほとんど無い為日持ちもするので保存食としても向いている。これを野戦食料の代わりにできないかと作ってみたのだが果たしてどうだろうか。
「おい、アリスよ。これは何だ?」
ミケさんに袋を渡し、いつもの通り鼻を寄せすんすんと匂いを嗅ぐ様子を見詰めていると、リヴァイ兵長が袋を摘まみ上げ、訝し気に眉を寄せて袋の中身を覗き込みながら訊いてきた。
「あっ、これはですね!」
あまり珍しいお菓子でもない為、リヴァイ兵長の訝し気な様子に疑問に思うもリヴァイ兵長は甘いものなど、いやそれ以前に紅茶以外の飲食物にあまり興味が無さそうな顔をしているのでビスコッティの事をよく知らないのも頷けるな、と私が嬉々として説明をしてあげようと人差し指を立てた所あからさまに面倒臭そうな至極嫌そうな顔をされてしまった。
…自分で聞いておいてその態度はあんまりだろう。
最後の一袋をエルヴィン団長に渡せばエルヴィン団長は袋を手に取り、まじまじとそれを眺めた後私へと目を向けた。
「私の物にだけ可愛らしいリボンが付いているのだが、これは?」
「あっ!それは当たりです!」
「当たり?」
一袋だけ袋の口に赤いリボンを可愛く巻いておいたのだがどうやら適当に配っていた最後の物がそれだったらしい。
当たり、というのはその一袋だけ紅茶の茶葉を練り込んだ紅茶味のビスコッティが三つ入れてあるのである。作り途中、プレーン味を作るのに飽きていた私は何か違う味で作りたいと思い立ち、すぐ手元にあった紅茶の茶葉を少し練り込んでみたのである。
紅茶味のクッキーがあるのだから紅茶味のビスコッティがあっても良いと思い焼き上げ、試食してみたがやはり紅茶の良い風味がふわりと香るとても美味しいビスコッティになった。
自分用にと焼いてみたのだが案外美味しく出来たものでこっそり誰かに共有したくなり、この際に当たりという名目で混ぜてみた。
まさかエルヴィン団長に当たるとは思わなかったがしっかりと味の感想を述べてくれそうだ。
当たりの理由を説明し、壁外調査から帰ってきたら感想をお願いします、と頼めばエルヴィン団長は快く了承してくれた。
「ん〜!良い天気!」
その後、調査兵団の方々を食堂からお見送りした後、珍しい事に休暇を貰えた私は青空が広がる外に出て大きく伸びをしていた。
大体調査兵団が壁外調査へ行った後は手が空く為、残っている憲兵団や駐屯兵団の食事の用意を依頼されるのだが少なくとも今日一日は自由の身らしい。
嬉しい事に今日は天気が良く陽光もとても気持ちが良さそうだったので私は兵舎の外の庭にある大きな木の根元へと腰を下ろし、背中を幹に凭れ掛からせながら白いふわふわとした雲が浮かぶ青空を見上げた。
ほとんどの兵士が壁外へと出払った調査兵団の庭はとても静かで風がそよぐ音だけが聞こえる。
心地良い風が私の髪の毛を攫いながら吹き抜けていき、頭上の綺麗な新緑の葉もさわさわと音を立てて揺れている。
木陰というものはどうしてこんなにも気持ちが良いのだろうか。少しここで休憩をするつもりが徐々に眠気が襲ってきた。
「…この後特に予定も無いし、ちょっとぐらいなら良いかな」
私は襲ってくる眠気に身を任せ、折角の自由な時間を、少しだけと自分に言い聞かせ瞼を閉じたのだった。