美味しい料理はハートも掴む
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それから各二杯程紅茶を淹れ直した所で今日の会議は終了の様だった。
食堂へと持って帰って洗う為かごに使用済みの食器を入れていく。一通りかごへと入れ終わり、さて帰るかと扉へ向かおうと顔を上げた瞬間頭をぐい、と上から押され うぎゃ、と情けない声が出る。
「あっはは!何だその声!今日も美味しかったよ」
「ハンジさん…、重いです…」
私の頭に腕を乗せ体重を掛けていたのはハンジさんで、私の情けない声を聞いては愉快そうにけらけらと笑っていた。わしわしと髪の毛を撫でられながら抗議の声を口にすればハンジさんは額と額がくっ付くのではないかという程顔を寄せ
「時にアリス、君は今日もリヴァイの事を穴が空く程見詰めていたがもしかしてリヴァイを慕っているのかい?」
と大真面目な声で聞いてくるものだから思わず、は?と顔を顰めて聞き返してしまった。
「あぁ〜…、いやあれはですね…、ええと…」
と私が口ごもるとハンジさんは辺りをきょろきょろと見回した後、大丈夫、リヴァイは此処には居ないよ、とウインクを一つ。どうやらリヴァイ兵長が居ると言い難い色恋に繋がる話だと思っているらしく興味津々に瞳を輝かせている。
「リヴァイ兵長って、いつも無表情か不機嫌そうな顔をしているじゃないですか?」
「うーん、そうだね」
「そんなリヴァイ兵長が、食事の時に表情が少し変わるんです。それが見ていて面白くて」
そう私が説明すると、ハンジさんはつまらないと言わんばかりの表情を見せた後安堵した様な表情も見せた。その表情の変化の意味がよく分からなかった私は思わず首を傾げてしまった。
そんな私の仕草にハンジさんは顔を離し、私の頭に掌を乗せ
「まあ、茶化したけれども私としてはリヴァイに君を取られるのは嫌だなあ」
と先程髪の毛を掻き混ぜた事で乱れた私の髪の毛をするすると撫でながら整え、呟いた。その時のハンジさんの表情や声色がとても優しい色を帯びていたので驚いてどぎまぎしてしまう。
私は物心ついた時から両親がこの世に存在していなかった。いや、存在していなかったのかも捨てられてしまったのかも分からない。孤児院の院長や周りの同じ環境の子達はとても良い人ばかりだった。
けれど親からの愛情というものを十分与えられず、見る事も無く育ってきてしまったからか、こうも真っ直ぐに優しく温かい感情を向けられる事にとても弱い。むず痒い様な嬉しい様な不思議な感覚に陥り、どうして良いか分からなくなってしまう。
最後に髪の毛をするりと一撫ですれば、耐え切れずといった様に吹き出し、けらけらと笑いながら背中を向け
「じゃ!今日の夕食も楽しみにしているよ」
と片手をひらひらと振りながら部屋を出て行った。
ハンジさんのあの言葉がからかっているのか本気の言葉なのかはよく分からなかったけれど何だかふわふわとした良い気持ちだった。私は性別等関係無しにハンジさんの事を慕っていた事もあり何にせよ気に掛けて貰える事が嬉しかった。
緩む頬を抑え切れないまま、私も帰ろうと会議室から足を踏み出すと
「おい、テメェの移動速度はナメクジか」
と扉を開けたすぐ左の壁に背を預け腕を組みながら相も変わらず不機嫌そうな仏頂面で此方を睨むリヴァイ兵長の姿があった。
まさか居るとは思っていなかった為、先程までのふわふわとした気分は驚きで何処かへと行ってしまった。
驚いて目を白黒させる私の手から食器が入ったかごを奪い取るとスタスタと歩き出してしまった。
私が慌てて後を追い掛けると、少し此方を振り返ったリヴァイ兵長は目で早くしろと訴えている。
急いで小走りにリヴァイ兵長の横へと駆け寄り、背丈のそう変わらないリヴァイ兵長の横顔をちらりと見やると、「とっとと洗うぞ」との事。
リヴァイ兵長はこうして自分が食事を取った時だけだが洗い物を手伝ってくれる事がある。
ハンジさんと何と無しに話した所、リヴァイ兵長は大層な潔癖との事。
業務の都合上、毎日食堂に食事をしに来るわけでは無いが食事をした後は高確率で洗い物を手伝ってくれるのはきっと潔癖が故に自分の手で綺麗に洗って安心したいのだろう。
理由はどうであれ、膨大な量の食器を洗うのを手伝ってくれるというのはいつもとても助かる事だった。
食堂へと持って帰って洗う為かごに使用済みの食器を入れていく。一通りかごへと入れ終わり、さて帰るかと扉へ向かおうと顔を上げた瞬間頭をぐい、と上から押され うぎゃ、と情けない声が出る。
「あっはは!何だその声!今日も美味しかったよ」
「ハンジさん…、重いです…」
私の頭に腕を乗せ体重を掛けていたのはハンジさんで、私の情けない声を聞いては愉快そうにけらけらと笑っていた。わしわしと髪の毛を撫でられながら抗議の声を口にすればハンジさんは額と額がくっ付くのではないかという程顔を寄せ
「時にアリス、君は今日もリヴァイの事を穴が空く程見詰めていたがもしかしてリヴァイを慕っているのかい?」
と大真面目な声で聞いてくるものだから思わず、は?と顔を顰めて聞き返してしまった。
「あぁ〜…、いやあれはですね…、ええと…」
と私が口ごもるとハンジさんは辺りをきょろきょろと見回した後、大丈夫、リヴァイは此処には居ないよ、とウインクを一つ。どうやらリヴァイ兵長が居ると言い難い色恋に繋がる話だと思っているらしく興味津々に瞳を輝かせている。
「リヴァイ兵長って、いつも無表情か不機嫌そうな顔をしているじゃないですか?」
「うーん、そうだね」
「そんなリヴァイ兵長が、食事の時に表情が少し変わるんです。それが見ていて面白くて」
そう私が説明すると、ハンジさんはつまらないと言わんばかりの表情を見せた後安堵した様な表情も見せた。その表情の変化の意味がよく分からなかった私は思わず首を傾げてしまった。
そんな私の仕草にハンジさんは顔を離し、私の頭に掌を乗せ
「まあ、茶化したけれども私としてはリヴァイに君を取られるのは嫌だなあ」
と先程髪の毛を掻き混ぜた事で乱れた私の髪の毛をするすると撫でながら整え、呟いた。その時のハンジさんの表情や声色がとても優しい色を帯びていたので驚いてどぎまぎしてしまう。
私は物心ついた時から両親がこの世に存在していなかった。いや、存在していなかったのかも捨てられてしまったのかも分からない。孤児院の院長や周りの同じ環境の子達はとても良い人ばかりだった。
けれど親からの愛情というものを十分与えられず、見る事も無く育ってきてしまったからか、こうも真っ直ぐに優しく温かい感情を向けられる事にとても弱い。むず痒い様な嬉しい様な不思議な感覚に陥り、どうして良いか分からなくなってしまう。
最後に髪の毛をするりと一撫ですれば、耐え切れずといった様に吹き出し、けらけらと笑いながら背中を向け
「じゃ!今日の夕食も楽しみにしているよ」
と片手をひらひらと振りながら部屋を出て行った。
ハンジさんのあの言葉がからかっているのか本気の言葉なのかはよく分からなかったけれど何だかふわふわとした良い気持ちだった。私は性別等関係無しにハンジさんの事を慕っていた事もあり何にせよ気に掛けて貰える事が嬉しかった。
緩む頬を抑え切れないまま、私も帰ろうと会議室から足を踏み出すと
「おい、テメェの移動速度はナメクジか」
と扉を開けたすぐ左の壁に背を預け腕を組みながら相も変わらず不機嫌そうな仏頂面で此方を睨むリヴァイ兵長の姿があった。
まさか居るとは思っていなかった為、先程までのふわふわとした気分は驚きで何処かへと行ってしまった。
驚いて目を白黒させる私の手から食器が入ったかごを奪い取るとスタスタと歩き出してしまった。
私が慌てて後を追い掛けると、少し此方を振り返ったリヴァイ兵長は目で早くしろと訴えている。
急いで小走りにリヴァイ兵長の横へと駆け寄り、背丈のそう変わらないリヴァイ兵長の横顔をちらりと見やると、「とっとと洗うぞ」との事。
リヴァイ兵長はこうして自分が食事を取った時だけだが洗い物を手伝ってくれる事がある。
ハンジさんと何と無しに話した所、リヴァイ兵長は大層な潔癖との事。
業務の都合上、毎日食堂に食事をしに来るわけでは無いが食事をした後は高確率で洗い物を手伝ってくれるのはきっと潔癖が故に自分の手で綺麗に洗って安心したいのだろう。
理由はどうであれ、膨大な量の食器を洗うのを手伝ってくれるというのはいつもとても助かる事だった。