美味しい料理はハートも掴む
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次の日の朝、私は朝食を作る為早目に起床し食堂へと向かっていた。
窓から射し込んでくる朝陽が柔らかく私の身体を包み込んでぽかぽかしてとても気持ち良く、大きく伸びをしながら食堂の扉に手を掛けた。
すると、少し開いた扉の隙間から驚いた事に未だにエレンと巨人談義をしているハンジさんの背中が見えた。
まさか夜通しエレンを拘束していたのだろうか…。
夜通し話をしていただろうにも関わらずハンジさんの声は昨夜と変わらず疲労の色を見せない程生き生きとしており、驚きを通り越して感心してしまった。
それとは対照的にエレンは疲れ切った顔をしており、何だか少しやつれて目が虚ろになっていたのを見るに一睡もしていない事は一目瞭然だった。
食堂の扉から覗く私の姿に気が付いたエレンは捨てられた子犬の様な瞳で必死に助けてくれと目で訴えている。
流石に可哀想に思った私が助け舟を出してあげようと思ったその時、モブリットさんが血相を変えて此方へと走ってきた。
「ハンジ分隊長は何処に!?」
「ハンジさんなら此処に居ますよ」
何かあったのだろうか、モブリットさんの必死の形相に只事ではない何かを感じた。
食堂の扉を開いて此処に居ると示せばモブリットさんが勢い良く中に飛び込んだ。
「ハンジ分隊長!!被験体が…!巨人が二体共殺されました!!」
それからハンジさんは、先程までの生き生きとした表情とは一変、血相を変えてモブリットさんとそれからリヴァイ班と共に急いで調査兵団本部へと戻って行った。
私は此処で待機との事で、朝食も取らず大急ぎで出て行った皆がいつ帰ってくるかはわからないが、帰ってきてから食事を取れる様に朝食を作った後、庭の草むしりでもしていろと指示された為早速草むしりをする事にした。
長い間手入れがされていなかったであろう庭は雑草が伸び放題で酷い有様だった。おまけに途轍もなく広い庭なので今日一日で一人で何処まで綺麗にできるか見当も付かない程だ。
取り敢えず手を付けない事には始まらない。私は腕捲りをしてその場にしゃがみ込み、草を掴んではぶちぶちと引き抜いていった。
それにしても、貴重な被験体である巨人を殺してしまうだなんて犯人はよっぽど巨人を憎んでいたのだろうか。
人類を脅かす巨人を憎んでいない人の方が少ないとは思っているのだが、その巨人に対抗する為に調べ上げようと折角苦労して捕獲した巨人を殺してしまうだなんて余程のものである。
事情に走ってしまったのだろうが、仕方が無い事ではあると思う。
此処まで客観的になれるのも私には家族も大事な人も居ない。だから大事なものを巨人によって失う事が無い私はそこまで巨人を憎む感情というものは存在しないのかもしれない。
確かに今まで私に良くしてくれた優しい兵士達が巨人の殺戮によって命を落としている事はとても悲しいが、ただそれだけである。
マルコが命を落としたと聞いた時には胸が張り裂ける様な思いを初めて味わったが、きっと家族や大事な人を失った人はもっとずっと苦しくて痛いのだろうと考えると私情に走ってしまうのも頷ける。
…皆に幸せになってほしい、笑顔になってほしいと願う割には箱を開けば薄情で残酷な自分の心に嫌気が差してきて、私は溜息を吐きながら手当たり次第の雑草を引き抜いた。
相当無心で草むしりをしていたのか、気付けば太陽は頭上まで昇ってきており、もうお昼だという事が分かる。
汗ばむ額を手の甲で拭いながら草むしりを始めた場所を振り返って庭を見渡すと、庭全体の三分の一程は雑草が引き抜かれ綺麗になっているのが見えた。
引き抜いては置いて積もった雑草を捨てようと抱え上げた私は、庭の隅に設置してあるゴミ捨て場へと向かった。
道中調査兵団の兵士を見掛け、此処に来ているのはリヴァイ班や上層部だけではなかったのかと思い話し掛けてみると、本部から半分程は此方の旧本部へと今日から来ているのだと教えてもらった。
それならば草むしりはまたの機会にして、昼食や夕食を作らなければと急いで雑草をゴミ捨て場に捨てると食堂へと戻った。
結局朝方出て行ったリヴァイ兵長達が本部に戻って来たのはもう陽が傾き掛けた夕方頃だった。
食堂で夕食の準備をしていた所にリヴァイ班のメンバーが帰って来た。
ペトラさんから話を聞くに、明日は新兵勧誘式がある為一旦全員の帰還と共に私も本部に帰るとの事。「分かりました」と返事をし、夕食に使う野菜を切り分けながら、そう言えばこの時期になると調査兵団入団の宴もあったなと思い返していれば何やら視線を感じ。
ふ、と顔を上げてみるとリヴァイ兵長がじっと私の顔を見ている事に気が付いた。「どうしたんですか?」と首を傾げて訊いてみるも視線を横にずらされただけでレスポンスは特に何も返ってこなかった。
草むしりの時に付いた葉っぱや汚れでもあっただろうかと更に首を捻ると
「特に代わり映えもしねぇいつも通りのアホ面が付いているだけだ、特に何も無ぇよ」
とリヴァイ兵長から馬鹿にした様な反応が返ってきた。少しムッとした私は顔を顰めてリヴァイ兵長を睨み付けるも、事実を言って何が悪いんだと言わんばかりの悪びれた様子も無い顔に小さく溜息を吐いた。
私はそこまでアホ面をしているのだろうかと少しショックを受けつつもう一度溜息を吐いては再び野菜を切ろうと顔を下に向けると
「夜、また執務室まで来い」
と去り際に小さな声で呟いて背中を向けたリヴァイ兵長の声が聞こえた。
顔を完全に上げ切った頃にはリヴァイ兵長の姿はもう無く、何の要件かも言わずに言うだけ言って居なくなるのはずるいのではないかと再度溜息を吐いたのだった。
「リヴァイ兵長、アリス・オルコットです」
その夜、夕食も終え洗い物も済ませて一息ついた頃、そう言えばリヴァイ兵長に呼ばれていた事を思い出した私は、夜とはいつの時間帯を指すかは分からないものの用事は早く終わらせたかった為、執務室へと向かった。
三回扉をノックし、返答を待つが一向に声が聞こえてこない。
もしかしてあれは聞き間違えだったのか、私宛ではなかったのではと不安になってきた丁度その時、執務室の扉が開いた。
「入れ」
開かれた扉からは昨日と同じく紅茶の甘い良い香りがふわりと漂ってきて、扉を開けたリヴァイ兵長は私が室内に足を踏み入れたのを確認すると、座って待っていろと一声掛けて室内のキッチンの方へと行ってしまった。
昨日と同じ様にソファーの端に腰を下ろした私は、明後日には調査兵団入団の宴がある為、献立は何にしようかと考えていた。
調査兵団一同が揃うであろう宴ではお酒も用意しなければと厨房に残っていたお酒は何があっただろうと思考を巡らせているとリヴァイ兵長はティーカップを二つ手に持って帰ってきた。
「テメェみたいなアホ面してる奴も考え事をするんだな」
「失礼な…!」
鼻で笑いながら私の前にティーカップを置いたリヴァイ兵長は横に座り、足を組みながら紅茶を一口飲んだ。ムッと顔を顰めながら隣に座るリヴァイ兵長を睨みつつもら紅茶を出してもらった事に渋々お礼をしてから私も同じ様にティーカップをソーサーから持ち上げては一口紅茶を口に含んだ。
口に含むと、昨日よりもほんの少しだけ風味が私が淹れたものに近付いていると感じ、思わず驚いてティーカップの中の紅茶をまじまじと見詰めてしまった。
飴色の紅茶に映る私の顔は驚きに満ちた顔をしており、目を丸くして口を薄く開いたその顔は悔しいかなら我ながらアホ面だと感じてしまった。
まさか昨日の今日で味が変化するとは思っていなかったし微量ながらもその味の変化が現れてくるとは思っていなかったので心底驚いた私は横に座るリヴァイ兵長へと顔を向けた。
何故かリヴァイ兵長も此方を見ておりら一瞬視線が噛み合い見詰め合うもそんな事より何を想いながら紅茶を淹れたのかが気になった私はリヴァイ兵長の方へと身を乗り出した。
「リヴァイ兵長、少しだけですが味が変わってますよ…!どんな想いを誰に向けて淹れたんですか!?」
身を乗り出した私を珍しく嫌そうな顔はせず、じっくりと観察する様に見詰めた後、ふいと視線を逸らしたリヴァイ兵長は「さあな」と一言返しては再びティーカップへと口を付けてしまった。
どうやら教える気は無い様で、これ以上問い詰めても何も答えてもらえないだろうと察した私はすごすごと引き下がったのだった。
どうしても気になる私は、何か探れないかとリヴァイ兵長の横顔を覗き見たが何かをじっと考え込んでいる様子だった。
けれどすぐに少しだけ安堵した様にふ、と小さく息を吐いたその移り変わりは一体何を意味していたのだろうか。
不思議な事に、今日は紅茶を一杯飲んだだけで特にこれと言って用事は無いようだった。
いつもこうして呼ばれる時は大抵私が紅茶を淹れるのが主なのだが、用事が紅茶を飲む事だけなのは初めてだった。
…もしかして上手に淹れられたから飲んでほしかったのだろうか。そう思うと何だか少し可愛い所があるが、それよりも何か考え込んでいた様で紅茶の事に関しては特に何も反応が無かったのが気掛かりだった。
その後、自分の部屋へと戻った私だったがあのリヴァイ兵長がどんな想いを込めたのか、はたまた誰に対してだったのか(そんな人が居たのか!)興味本位で気になって仕方が無い私は一晩中モヤモヤとしていたのだった。
窓から射し込んでくる朝陽が柔らかく私の身体を包み込んでぽかぽかしてとても気持ち良く、大きく伸びをしながら食堂の扉に手を掛けた。
すると、少し開いた扉の隙間から驚いた事に未だにエレンと巨人談義をしているハンジさんの背中が見えた。
まさか夜通しエレンを拘束していたのだろうか…。
夜通し話をしていただろうにも関わらずハンジさんの声は昨夜と変わらず疲労の色を見せない程生き生きとしており、驚きを通り越して感心してしまった。
それとは対照的にエレンは疲れ切った顔をしており、何だか少しやつれて目が虚ろになっていたのを見るに一睡もしていない事は一目瞭然だった。
食堂の扉から覗く私の姿に気が付いたエレンは捨てられた子犬の様な瞳で必死に助けてくれと目で訴えている。
流石に可哀想に思った私が助け舟を出してあげようと思ったその時、モブリットさんが血相を変えて此方へと走ってきた。
「ハンジ分隊長は何処に!?」
「ハンジさんなら此処に居ますよ」
何かあったのだろうか、モブリットさんの必死の形相に只事ではない何かを感じた。
食堂の扉を開いて此処に居ると示せばモブリットさんが勢い良く中に飛び込んだ。
「ハンジ分隊長!!被験体が…!巨人が二体共殺されました!!」
それからハンジさんは、先程までの生き生きとした表情とは一変、血相を変えてモブリットさんとそれからリヴァイ班と共に急いで調査兵団本部へと戻って行った。
私は此処で待機との事で、朝食も取らず大急ぎで出て行った皆がいつ帰ってくるかはわからないが、帰ってきてから食事を取れる様に朝食を作った後、庭の草むしりでもしていろと指示された為早速草むしりをする事にした。
長い間手入れがされていなかったであろう庭は雑草が伸び放題で酷い有様だった。おまけに途轍もなく広い庭なので今日一日で一人で何処まで綺麗にできるか見当も付かない程だ。
取り敢えず手を付けない事には始まらない。私は腕捲りをしてその場にしゃがみ込み、草を掴んではぶちぶちと引き抜いていった。
それにしても、貴重な被験体である巨人を殺してしまうだなんて犯人はよっぽど巨人を憎んでいたのだろうか。
人類を脅かす巨人を憎んでいない人の方が少ないとは思っているのだが、その巨人に対抗する為に調べ上げようと折角苦労して捕獲した巨人を殺してしまうだなんて余程のものである。
事情に走ってしまったのだろうが、仕方が無い事ではあると思う。
此処まで客観的になれるのも私には家族も大事な人も居ない。だから大事なものを巨人によって失う事が無い私はそこまで巨人を憎む感情というものは存在しないのかもしれない。
確かに今まで私に良くしてくれた優しい兵士達が巨人の殺戮によって命を落としている事はとても悲しいが、ただそれだけである。
マルコが命を落としたと聞いた時には胸が張り裂ける様な思いを初めて味わったが、きっと家族や大事な人を失った人はもっとずっと苦しくて痛いのだろうと考えると私情に走ってしまうのも頷ける。
…皆に幸せになってほしい、笑顔になってほしいと願う割には箱を開けば薄情で残酷な自分の心に嫌気が差してきて、私は溜息を吐きながら手当たり次第の雑草を引き抜いた。
相当無心で草むしりをしていたのか、気付けば太陽は頭上まで昇ってきており、もうお昼だという事が分かる。
汗ばむ額を手の甲で拭いながら草むしりを始めた場所を振り返って庭を見渡すと、庭全体の三分の一程は雑草が引き抜かれ綺麗になっているのが見えた。
引き抜いては置いて積もった雑草を捨てようと抱え上げた私は、庭の隅に設置してあるゴミ捨て場へと向かった。
道中調査兵団の兵士を見掛け、此処に来ているのはリヴァイ班や上層部だけではなかったのかと思い話し掛けてみると、本部から半分程は此方の旧本部へと今日から来ているのだと教えてもらった。
それならば草むしりはまたの機会にして、昼食や夕食を作らなければと急いで雑草をゴミ捨て場に捨てると食堂へと戻った。
結局朝方出て行ったリヴァイ兵長達が本部に戻って来たのはもう陽が傾き掛けた夕方頃だった。
食堂で夕食の準備をしていた所にリヴァイ班のメンバーが帰って来た。
ペトラさんから話を聞くに、明日は新兵勧誘式がある為一旦全員の帰還と共に私も本部に帰るとの事。「分かりました」と返事をし、夕食に使う野菜を切り分けながら、そう言えばこの時期になると調査兵団入団の宴もあったなと思い返していれば何やら視線を感じ。
ふ、と顔を上げてみるとリヴァイ兵長がじっと私の顔を見ている事に気が付いた。「どうしたんですか?」と首を傾げて訊いてみるも視線を横にずらされただけでレスポンスは特に何も返ってこなかった。
草むしりの時に付いた葉っぱや汚れでもあっただろうかと更に首を捻ると
「特に代わり映えもしねぇいつも通りのアホ面が付いているだけだ、特に何も無ぇよ」
とリヴァイ兵長から馬鹿にした様な反応が返ってきた。少しムッとした私は顔を顰めてリヴァイ兵長を睨み付けるも、事実を言って何が悪いんだと言わんばかりの悪びれた様子も無い顔に小さく溜息を吐いた。
私はそこまでアホ面をしているのだろうかと少しショックを受けつつもう一度溜息を吐いては再び野菜を切ろうと顔を下に向けると
「夜、また執務室まで来い」
と去り際に小さな声で呟いて背中を向けたリヴァイ兵長の声が聞こえた。
顔を完全に上げ切った頃にはリヴァイ兵長の姿はもう無く、何の要件かも言わずに言うだけ言って居なくなるのはずるいのではないかと再度溜息を吐いたのだった。
「リヴァイ兵長、アリス・オルコットです」
その夜、夕食も終え洗い物も済ませて一息ついた頃、そう言えばリヴァイ兵長に呼ばれていた事を思い出した私は、夜とはいつの時間帯を指すかは分からないものの用事は早く終わらせたかった為、執務室へと向かった。
三回扉をノックし、返答を待つが一向に声が聞こえてこない。
もしかしてあれは聞き間違えだったのか、私宛ではなかったのではと不安になってきた丁度その時、執務室の扉が開いた。
「入れ」
開かれた扉からは昨日と同じく紅茶の甘い良い香りがふわりと漂ってきて、扉を開けたリヴァイ兵長は私が室内に足を踏み入れたのを確認すると、座って待っていろと一声掛けて室内のキッチンの方へと行ってしまった。
昨日と同じ様にソファーの端に腰を下ろした私は、明後日には調査兵団入団の宴がある為、献立は何にしようかと考えていた。
調査兵団一同が揃うであろう宴ではお酒も用意しなければと厨房に残っていたお酒は何があっただろうと思考を巡らせているとリヴァイ兵長はティーカップを二つ手に持って帰ってきた。
「テメェみたいなアホ面してる奴も考え事をするんだな」
「失礼な…!」
鼻で笑いながら私の前にティーカップを置いたリヴァイ兵長は横に座り、足を組みながら紅茶を一口飲んだ。ムッと顔を顰めながら隣に座るリヴァイ兵長を睨みつつもら紅茶を出してもらった事に渋々お礼をしてから私も同じ様にティーカップをソーサーから持ち上げては一口紅茶を口に含んだ。
口に含むと、昨日よりもほんの少しだけ風味が私が淹れたものに近付いていると感じ、思わず驚いてティーカップの中の紅茶をまじまじと見詰めてしまった。
飴色の紅茶に映る私の顔は驚きに満ちた顔をしており、目を丸くして口を薄く開いたその顔は悔しいかなら我ながらアホ面だと感じてしまった。
まさか昨日の今日で味が変化するとは思っていなかったし微量ながらもその味の変化が現れてくるとは思っていなかったので心底驚いた私は横に座るリヴァイ兵長へと顔を向けた。
何故かリヴァイ兵長も此方を見ておりら一瞬視線が噛み合い見詰め合うもそんな事より何を想いながら紅茶を淹れたのかが気になった私はリヴァイ兵長の方へと身を乗り出した。
「リヴァイ兵長、少しだけですが味が変わってますよ…!どんな想いを誰に向けて淹れたんですか!?」
身を乗り出した私を珍しく嫌そうな顔はせず、じっくりと観察する様に見詰めた後、ふいと視線を逸らしたリヴァイ兵長は「さあな」と一言返しては再びティーカップへと口を付けてしまった。
どうやら教える気は無い様で、これ以上問い詰めても何も答えてもらえないだろうと察した私はすごすごと引き下がったのだった。
どうしても気になる私は、何か探れないかとリヴァイ兵長の横顔を覗き見たが何かをじっと考え込んでいる様子だった。
けれどすぐに少しだけ安堵した様にふ、と小さく息を吐いたその移り変わりは一体何を意味していたのだろうか。
不思議な事に、今日は紅茶を一杯飲んだだけで特にこれと言って用事は無いようだった。
いつもこうして呼ばれる時は大抵私が紅茶を淹れるのが主なのだが、用事が紅茶を飲む事だけなのは初めてだった。
…もしかして上手に淹れられたから飲んでほしかったのだろうか。そう思うと何だか少し可愛い所があるが、それよりも何か考え込んでいた様で紅茶の事に関しては特に何も反応が無かったのが気掛かりだった。
その後、自分の部屋へと戻った私だったがあのリヴァイ兵長がどんな想いを込めたのか、はたまた誰に対してだったのか(そんな人が居たのか!)興味本位で気になって仕方が無い私は一晩中モヤモヤとしていたのだった。
14/14ページ