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「ホントにキザだったな...」
マンションに帰り、小さい花瓶がなかったので代わりのコップに白い薔薇を生けながら、私は1人つぶやいた。
今日、喫茶店で怪盗キッドこと黒羽快斗に、少しだけ私の事情を打ち明けた。
きっと彼なら、悪いようにはしないだろうと思っての事だったが、やっぱり信じてくれた。
そしてこの薔薇は、別れるときに黒羽くんがくれたものだ。
彼お得意のマジックで、ポンっと一輪の白い薔薇が黒羽くんの手に突然現れ
「もしも貴方がピンチの時は、必ず助けに参ります」
そうキザなセリフと白い薔薇を残して、黒羽くんは消えた。
また1人私の秘密を知る人が増えてしまった、とため息をついた時、インターホンが鳴った。
誰だろう?
この世界では知り合いが少ないし、そもそもこのマンションを知ってる人は限られている。
恐る恐るインターホンのモニターを見ると、そこに写っていたのは金髪の彼...零さんだった。
時計を見ると、4時過ぎ。ポアロのバイトが終わってから、真っ直ぐここに来たようだ。
昨日の今日でなんとなく顔を合わすのが恥ずかしい。居留守...使ってもいいかな...
ピリリリリリッ
「電話...」
インターホンを無視していると、今度は電話が掛かってきた。
申し訳ないと思いつつも、それも無視していると、やがて静かになった。
諦めてくれたかな...昨日の事がまだ夢のような気がする私は、まだ彼に会う勇気がないのだ。
まぁ、それにしたって、明日はポアロのバイトが入っているから、結局会うのだけれど...
2人きりで、というのは、まだ心の準備が足りない。
カチ、カチカチカチ...
玄関の方から、音が聞こえてきた。
この音って、もしかして...
カチカチ...カチャン...
「お邪魔します」
そして、普通に入ってきた零さんに私は固まってしまった。
え、これって...
「ピッキング、ですよね?」
「ちゃんと、お邪魔しますと言いました」
「そういう問題じゃ...」
「なまえさんが居留守なんて使うからですよ」
そうして零さんは、こんな簡単に開けられる所じゃ防犯面が心配だとか、これだからFBIはとか何とかブツブツ文句を言っていた。
「あの、何か用があったんじゃ」
「あぁ、そうでした。これをなまえさんに」
そう言って、スッと私の前に来て向かい合うと、ポケットから何かを取り出した。
「失礼します」
前から抱きしめるように腕を私の首の後ろに回すと、胸元に冷たい感覚がして見てみると、そこには零さんの瞳と同じ色の石。
「これって...」
「昨日渡しそびれてしまったので。もう盗聴機能はついていませんよ」
ニッコリ笑った零さんに見つめられ、頰に熱が集まる。
昨日から私は何度、赤面すればいいんだ...でも、仕方ない。零さんがかっこよすぎるせいだ。
「また...私が持っていていいんですか?」
「もちろんです。やっぱり、それはあなたに似合う」
零さんは目を細めて、私の胸元のネックレスを見ている。
私は石をギュッと握りしめた。
一度は手放した、このネックレスが戻ってきた。彼とは正しく住む世界が違う、逢いたくて堪らなかった漫画の中の登場人物。
決して交わることのない運命だった。
その人が今目の前にいて、私だけを見つめてくれる。
光にかざすと、彼の瞳と同じ空色の石が輝く。
「ありがとう、零さん」
「なまえさん、昨日も言いましたが、やはり一緒に住みませんか?」
「でも私家事とか苦手だし、迷惑じゃ...」
それに恥ずかしいし、と心の中で付け足した。
恋人同士が一緒に住むということは、お互い大人だし、きっとそういう事もあるだろう。
「僕があなたと一緒にいたいんです。もう二度と少しも離れていたくない」
腕を取られて、私は零さんの胸にポスッと収まった。
ギュッと抱きしめられて、耳元で零さんが少し辛そうな声で呟いた。
こんなの断れるはずがないじゃないか。だけど...
「零さん...私も一緒にいたい、です。でも、もう少しだけ、時間を下さい...」
あなたと同じ世界で、あなたと同じ景色を見て、あなたに触れる事ができる。
あなたと居られるこの世界が愛おしい。
だけど、まだ今の私では、あなたの隣にいるには足りない。
マンションに帰り、小さい花瓶がなかったので代わりのコップに白い薔薇を生けながら、私は1人つぶやいた。
今日、喫茶店で怪盗キッドこと黒羽快斗に、少しだけ私の事情を打ち明けた。
きっと彼なら、悪いようにはしないだろうと思っての事だったが、やっぱり信じてくれた。
そしてこの薔薇は、別れるときに黒羽くんがくれたものだ。
彼お得意のマジックで、ポンっと一輪の白い薔薇が黒羽くんの手に突然現れ
「もしも貴方がピンチの時は、必ず助けに参ります」
そうキザなセリフと白い薔薇を残して、黒羽くんは消えた。
また1人私の秘密を知る人が増えてしまった、とため息をついた時、インターホンが鳴った。
誰だろう?
この世界では知り合いが少ないし、そもそもこのマンションを知ってる人は限られている。
恐る恐るインターホンのモニターを見ると、そこに写っていたのは金髪の彼...零さんだった。
時計を見ると、4時過ぎ。ポアロのバイトが終わってから、真っ直ぐここに来たようだ。
昨日の今日でなんとなく顔を合わすのが恥ずかしい。居留守...使ってもいいかな...
ピリリリリリッ
「電話...」
インターホンを無視していると、今度は電話が掛かってきた。
申し訳ないと思いつつも、それも無視していると、やがて静かになった。
諦めてくれたかな...昨日の事がまだ夢のような気がする私は、まだ彼に会う勇気がないのだ。
まぁ、それにしたって、明日はポアロのバイトが入っているから、結局会うのだけれど...
2人きりで、というのは、まだ心の準備が足りない。
カチ、カチカチカチ...
玄関の方から、音が聞こえてきた。
この音って、もしかして...
カチカチ...カチャン...
「お邪魔します」
そして、普通に入ってきた零さんに私は固まってしまった。
え、これって...
「ピッキング、ですよね?」
「ちゃんと、お邪魔しますと言いました」
「そういう問題じゃ...」
「なまえさんが居留守なんて使うからですよ」
そうして零さんは、こんな簡単に開けられる所じゃ防犯面が心配だとか、これだからFBIはとか何とかブツブツ文句を言っていた。
「あの、何か用があったんじゃ」
「あぁ、そうでした。これをなまえさんに」
そう言って、スッと私の前に来て向かい合うと、ポケットから何かを取り出した。
「失礼します」
前から抱きしめるように腕を私の首の後ろに回すと、胸元に冷たい感覚がして見てみると、そこには零さんの瞳と同じ色の石。
「これって...」
「昨日渡しそびれてしまったので。もう盗聴機能はついていませんよ」
ニッコリ笑った零さんに見つめられ、頰に熱が集まる。
昨日から私は何度、赤面すればいいんだ...でも、仕方ない。零さんがかっこよすぎるせいだ。
「また...私が持っていていいんですか?」
「もちろんです。やっぱり、それはあなたに似合う」
零さんは目を細めて、私の胸元のネックレスを見ている。
私は石をギュッと握りしめた。
一度は手放した、このネックレスが戻ってきた。彼とは正しく住む世界が違う、逢いたくて堪らなかった漫画の中の登場人物。
決して交わることのない運命だった。
その人が今目の前にいて、私だけを見つめてくれる。
光にかざすと、彼の瞳と同じ空色の石が輝く。
「ありがとう、零さん」
「なまえさん、昨日も言いましたが、やはり一緒に住みませんか?」
「でも私家事とか苦手だし、迷惑じゃ...」
それに恥ずかしいし、と心の中で付け足した。
恋人同士が一緒に住むということは、お互い大人だし、きっとそういう事もあるだろう。
「僕があなたと一緒にいたいんです。もう二度と少しも離れていたくない」
腕を取られて、私は零さんの胸にポスッと収まった。
ギュッと抱きしめられて、耳元で零さんが少し辛そうな声で呟いた。
こんなの断れるはずがないじゃないか。だけど...
「零さん...私も一緒にいたい、です。でも、もう少しだけ、時間を下さい...」
あなたと同じ世界で、あなたと同じ景色を見て、あなたに触れる事ができる。
あなたと居られるこの世界が愛おしい。
だけど、まだ今の私では、あなたの隣にいるには足りない。