66 黒羽side
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「お、大人を揶揄うんじゃありません!」
目の前で真っ赤な顔で怒っているのは、みょうじなまえ。
今日初めて会った人。
そのはずなのに、何故か俺の正体を知っていた。
彼女は俺と目が合った瞬間、目を見開いてジッと俺の顔を見ていた。
そして、本当に心の底から出たような感動?したようなそんな声で俺の事を「怪盗キッドだ」と言ったのだ。
しかも、「本物の」と言っていたのも気になる。
だから、こうして秘密が漏れない安全な店に連れてきて様子を見ているのだが、至って普通の女。
どうして、こんな普通の女が俺の正体を知っているんだ?
「まぁまぁ、そんな怒んなって!早く食わねーとパフェ溶けちまうぜ?」
そう宥めれば、未だに赤い顔のままパフェを食べ始めた。
顔は、まぁまぁ可愛いし、スタイルもまぁ悪くない。性格はまだよく分からないが、構いたくなるような...そう、放っておけない感じがする。
もともと、財布をスラれたのをたまたま見かけて、放っておけずスリ返してあげたのが、こうなった原因といえば原因だ。
無害そうな人だが...念には念を入れておかなきゃな。
俺はまだ正体がバレる訳にはいかない。
「なぁ、なまえさんって怪盗キッド好きなの?」
「ゲホッゲホッ」
「大丈夫?」
「だ、大丈夫...なんで、そんな事聞くの?」
「いーや、さっき俺の事を本物の怪盗キッドって言ってたからさ。会ったことあんのかなぁって」
「会ったのは今日が初めて...あ、いや、それは違くて、えっと」
「俺の事、どこで知ったの?」
「...」
この人、嘘つけねーんだな。
挙動不審で嘘がバレバレだし、もはや誤魔化せてもいない。
はぁ、どうすっかな...
「なまえさん?」
俯いて黙ってしまったので、優しく名前を呼ぶと静かに顔を上げた。
目が合ったなまえさんの表情に、俺は思わず目を見張った。
その表情は俺の想像していた顔とは違ったから。なんというか覚悟を決めたような目。
そして、なまえさんは自分を落ち着かせるように1度小さく息を吐いてから、話し出した。
「理由は言えないけど私はこの世界の色んな事を知ってるの。もちろん全てじゃない。でも、だから君の事も知っていた」
出てくる言葉に、俺は驚きですぐには声が出なかった。
今の俺は、ポーカーフェイスのポの字もない。
俺が何も言わないからか、なまえさんはまた続きを話し出した。
「私はね、この世界に自分の命よりも大切な人がいるの。その人を守る為なら何だってするし、私の使える力は全て使うつもり。でも、私には権力も武力も頭脳もない。だけど、情報がある」
「必要があれば、俺の正体もバラすのか?」
そう問いかければ、なまえさんは小さく首を横に振った。
「ううん、バラさないよ。きっと黒羽くんは私の大切な人の敵にはならないと思うから。それに、私は怪盗キッドは嫌いじゃない」
「でも、泥棒だぜ?」
「それ自分で言う?だって、怪盗キッドは理由があってしてるんでしょう?理由があれば何をしてもいいって訳じゃないけど...でも、その人にとっては、どうしてもやらなきゃいけない事もあるよね」
「そういうもん?」
「そういうもん。例え、大切な人を欺いたとしてもね」
そうして、なまえさんは困ったように笑った。
でも、瞳の奥は真剣で...あぁ、この人もどうしてもやらなきゃいけない何かがあったんだな、と思った。
俺のしている事は正しいとは決して言えない。それでも俺は知りたいんだ。親父を抹殺したヤツらを。
だから、例えアイツを裏切っているとしても、必ずやり遂げると誓ったのだ。
きっとこの人は本当に、俺の正体を知っている。
それでいて、理解しようとしてくれている。
この人は信頼してもいい人だ、そう思った。
目の前で真っ赤な顔で怒っているのは、みょうじなまえ。
今日初めて会った人。
そのはずなのに、何故か俺の正体を知っていた。
彼女は俺と目が合った瞬間、目を見開いてジッと俺の顔を見ていた。
そして、本当に心の底から出たような感動?したようなそんな声で俺の事を「怪盗キッドだ」と言ったのだ。
しかも、「本物の」と言っていたのも気になる。
だから、こうして秘密が漏れない安全な店に連れてきて様子を見ているのだが、至って普通の女。
どうして、こんな普通の女が俺の正体を知っているんだ?
「まぁまぁ、そんな怒んなって!早く食わねーとパフェ溶けちまうぜ?」
そう宥めれば、未だに赤い顔のままパフェを食べ始めた。
顔は、まぁまぁ可愛いし、スタイルもまぁ悪くない。性格はまだよく分からないが、構いたくなるような...そう、放っておけない感じがする。
もともと、財布をスラれたのをたまたま見かけて、放っておけずスリ返してあげたのが、こうなった原因といえば原因だ。
無害そうな人だが...念には念を入れておかなきゃな。
俺はまだ正体がバレる訳にはいかない。
「なぁ、なまえさんって怪盗キッド好きなの?」
「ゲホッゲホッ」
「大丈夫?」
「だ、大丈夫...なんで、そんな事聞くの?」
「いーや、さっき俺の事を本物の怪盗キッドって言ってたからさ。会ったことあんのかなぁって」
「会ったのは今日が初めて...あ、いや、それは違くて、えっと」
「俺の事、どこで知ったの?」
「...」
この人、嘘つけねーんだな。
挙動不審で嘘がバレバレだし、もはや誤魔化せてもいない。
はぁ、どうすっかな...
「なまえさん?」
俯いて黙ってしまったので、優しく名前を呼ぶと静かに顔を上げた。
目が合ったなまえさんの表情に、俺は思わず目を見張った。
その表情は俺の想像していた顔とは違ったから。なんというか覚悟を決めたような目。
そして、なまえさんは自分を落ち着かせるように1度小さく息を吐いてから、話し出した。
「理由は言えないけど私はこの世界の色んな事を知ってるの。もちろん全てじゃない。でも、だから君の事も知っていた」
出てくる言葉に、俺は驚きですぐには声が出なかった。
今の俺は、ポーカーフェイスのポの字もない。
俺が何も言わないからか、なまえさんはまた続きを話し出した。
「私はね、この世界に自分の命よりも大切な人がいるの。その人を守る為なら何だってするし、私の使える力は全て使うつもり。でも、私には権力も武力も頭脳もない。だけど、情報がある」
「必要があれば、俺の正体もバラすのか?」
そう問いかければ、なまえさんは小さく首を横に振った。
「ううん、バラさないよ。きっと黒羽くんは私の大切な人の敵にはならないと思うから。それに、私は怪盗キッドは嫌いじゃない」
「でも、泥棒だぜ?」
「それ自分で言う?だって、怪盗キッドは理由があってしてるんでしょう?理由があれば何をしてもいいって訳じゃないけど...でも、その人にとっては、どうしてもやらなきゃいけない事もあるよね」
「そういうもん?」
「そういうもん。例え、大切な人を欺いたとしてもね」
そうして、なまえさんは困ったように笑った。
でも、瞳の奥は真剣で...あぁ、この人もどうしてもやらなきゃいけない何かがあったんだな、と思った。
俺のしている事は正しいとは決して言えない。それでも俺は知りたいんだ。親父を抹殺したヤツらを。
だから、例えアイツを裏切っているとしても、必ずやり遂げると誓ったのだ。
きっとこの人は本当に、俺の正体を知っている。
それでいて、理解しようとしてくれている。
この人は信頼してもいい人だ、そう思った。