64
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「零さんと付き合う事になりました、多分...」
「なぜ多分なんだ。まぁ、よかったな、なまえ」
海に行った次の日、私は赤井さんに会いに朝一番で工藤邸にやってきたのだ。
そして昨日の出来事を報告をしたところだ。
多分、というのは、零さんがこれが答えだとキスをしてくれたから。
私の都合のいい解釈かもしれないから、多分なのだ。
でも、きっといい方の意味だと思いたい。
「全然良くないですよっ!私は零さんになんて恐れ多いことを...もう嫌われたかもしれないっ」
昨日は海に行って、男達に襲われかけた所を零さんに助けられ、それから零さんに好きだと言われた。
きっと昨日は、私の人生で幸せな日ランキング上位に入るだろう。それくらい信じられない程幸せな日だった。
しかし、問題はその後だ。私はやらかしてしまった。なんということか、自分から零さんにキスをしてしまったのだ。
しかも、仕返しでキスをしたようなものだ。きっと零さんも可愛くない女だと思っただろう。
「そんなことでは嫌わんだろう」
確かに私からキスをした後、一瞬驚いた顔をしたがすぐにとっても優しい顔をして抱きしめてくれた。
でも、そんなの零さんならいくらでも演技できる。
しかも、ちゃんと嘘をついた理由の説明にはなっていない。
私的には一応キスに意味を込めたのだが、伝わらなければ同じことだ。
「でも...」
「降谷くんはなかなか察しが良いから、案外伝わってるかもしれん」
伝わっているだろうか...?
結局私が記憶喪失だと嘘をついた理由は色々あるが全部引っくるめれば「好きだから」だ。
私がいる事で、零さんに危険が及ぶかもしれない。それが嫌で、好きだからこそ私なりに彼を守りたくて、嘘をついた。
でも、だからって理由を全部言ったら零さんは気にするだろうし、赤井さんにも言われたが信じてないという事になる。
だから、私は「好きだから」嘘をついたし、「好きだから」キスをしたのだ。
そういえば、また一緒に住もうと言われたが、結局それについては返事をしていなかった。
話自体うやむやになってしまったから、こちらから言うのもなんか言いづらいし、どうしたらいいものか...
「まぁ、なにかあったら、話しくらいいつでも聞いてやる」
「赤井さん、イケメン!」
「なら、降谷くんは止めて俺にするか?」
赤井さんはほんの少しだけ微笑みを浮かべている。くそ、イケメンめ!
ちなみに私が朝早く来すぎた為、赤井さんはまだ変装前だったので、今もそのままの赤井さんだ。
そういえば、赤井さんに会いにきたのは昨日の報告をするのと、もう一つお願いがあってきたのを思い出した。
「いえ、私は零さんひと筋なので。あの、さっそくなんですけど、お願いが...」
「あぁ、なんだ?」
「えっと、その、私に戦い方を教えて下さい!零さんの足手纏いになりたくないんです!」
私はパッと立ち上がり、勢いよく頭を下げた。
これは昨日零さんと、付き合う事になって、考えた事だった。
やはり、零さんの側にいたいなら、自分の身くらい自分で守らなければと思った。いざという時、自分の身も守れないような人間は足手纏いにしかならない。
こんなこと、赤井さんにしか頼めない。
「だが、降谷くんなら自分の女くらい守れると思うが...」
「それは、そうなんですけど...」
断られてしまうのだろうか...?
頭を下げながら、ギュッと自分の手を強く握った。
「それではなまえが嫌なんだろう?...はぁ、わかった。教えよう」
「ホントっ!?」
勢いよく顔を上げると、赤井さんはちょっぴり呆れたような顔で頷いた。
「あぁ、ただしあくまで護身術だ。それが嫌なら俺は教えない」
「全然、それでいいです!よろしくお願いします、先生!」
ペコリと頭を下げると、赤井さんがまた呆れたようにため息をついた。