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帰りの車の中は無言だった。
決して気まずい雰囲気という訳ではなく、なんというか幸せの余韻に浸っている、というのに近いと思う。
チラリとハンドルを握る零さんを盗み見る。
やっぱり、カッコいいな...
こんな素敵な人と私は...
そこで、ふと疑問が浮かんだ。
私達は付き合っている、と思っていいのだろうか?
付き合って、とは言われていない。
でも、好きだと、愛していると言われ、キスもされた。
私だって大人だ。
付き合って下さい、という言葉がない始まり方だってあるのも分かる。
それでも、相手はあの降谷零だ。私の思い違いとか自惚れかもしれないと不安になる。
なら直接本人に確かめればいいのだが、もし本当に違っていて勘違い女だと思われたら、私はもう立ち直れない気がする。
それに、女心としては、やっぱり言葉がほしい。
私は自分で思うよりも、欲深い人間だったようだ。
1度目にトリップした時は、終わるのが怖くて、あんなに自分の気持ちから目を逸らしていたのに、今は零さんに好きだと言われただけでは満足出来ず、言葉まで求めている。
「私達は付き合っていると思っていいのだろうか?」
「え!?」
信号が赤になり、車がゆっくり停車すると、零さんは突然そう言った。
たった今私が考えていた事を言われ、私は驚いて目を瞬かせた。
「なまえさんが今考えている事です。当たりですか?」
零さんはいたずらっ子のような顔で、そう問いかけると、信号が青に変わりアクセルを踏んだ。
もしかして全部声に出していたのだろうか?
そうなら恥ずかしすぎる...
「声には出していませんよ。ただ、あなたは自分で思っているより顔に出るので、凄く分かりやすいです」
「じゃ、じゃあ、私の嘘にも最初から気づいて...?」
「何か嘘をついているという違和感は感じてましたね」
なんてこった。
赤井さんにも零さんにも、最初からバレていたのか。
やっぱり敵わないなぁ。
「そうですか...あれ?この道って」
「そうです。僕の家に向かっています」
僕の家...?
「えぇ!?零さんの家!?」
「言ったでしょう?話はまた後で、と」
あなたには言いたいことも聞きたいことも山程あるので、と続けた零さんに、私はピシリと固まった。
何を言われ何を聞かれるのか、恐ろしい。
このまま永遠に着かなければいいのに...そう願うが、ついに零さんの住むアパートの前まで来てしまった。
零さんに続いて階段を上がるが、鉛でも付いているかのように足取りは重い。
そして、ついに玄関前に到着してしまった。
「どうぞ」
「...お邪魔します」
零さんが鍵を開けて、玄関のドアを開けてくれる。
そのまま真っ直ぐ廊下を進んで、リビングへ続くドアを開け、私は思わず息を呑んだ。
「変わって、ない...」
そう、何も変わっていなかった。
カーテンも絨毯も家具の位置までも、何もかも前に一緒に住んでいた時のままだった。
「いつ、あなたが戻ってきてもいいように大体の物の位置や家具の配置は、以前のままです」
「もし私がずっと戻って来なかったら、どうするつもりだったんですか?」
「その時は、何年でも何十年でもこのままですね。僕はなまえさんがこの世界から居なくなって、後悔しました。この手をあなたから離した事を...だから、もしまたもう一度会うことが出来たら、今度はちゃんとあなたを捕まえて二度と離さないと決めていたんです」
「零さん...」
真っ直ぐに青い瞳に見つめられ、私は吸い込まれるかのように、その瞳に囚われた。
いつのまにか外はすっかり暗くなり月が明るく輝いていた。
「なまえさん、そこの引き出しを開けてみて下さい」
零さんは寝室にある棚の一番上の引き出しを指差した。
私は言われた通りに、その引き出しを開けて目を見開いた。
「これって...」
引き出しの中にあった物、それはGPS付きのあのネックレスだった。
そしてその隣には、手紙とアヤメの花の栞があった。
もしかして、この手紙とアヤメは私が零さんのアパートを出た日に置いていったもの?
「なまえさんから貰った手紙とアヤメ、それから、あの時のネックレスです」
零さんは捨てずに取っておいてくれたのだ。
それが堪らなく嬉しくて、私は思わず零さんに抱きついた。
「ありがとう、零さん...」
「なまえさん、またここに住みませんか?」
私は驚いて、抱きついたまま勢いよく顔を上げると、零さんは私に優しく微笑みかけていた。
その微笑みに心が落ちる音がした。
こんなに幸せでいいのだろうか?
幸せすぎて怖い、ありきたりだが今の私の気持ちにピッタリだった。
この幸せが、いつか壊れてしまうかもしれない。
そうなった時、私は生きていけるだろうか...
決して気まずい雰囲気という訳ではなく、なんというか幸せの余韻に浸っている、というのに近いと思う。
チラリとハンドルを握る零さんを盗み見る。
やっぱり、カッコいいな...
こんな素敵な人と私は...
そこで、ふと疑問が浮かんだ。
私達は付き合っている、と思っていいのだろうか?
付き合って、とは言われていない。
でも、好きだと、愛していると言われ、キスもされた。
私だって大人だ。
付き合って下さい、という言葉がない始まり方だってあるのも分かる。
それでも、相手はあの降谷零だ。私の思い違いとか自惚れかもしれないと不安になる。
なら直接本人に確かめればいいのだが、もし本当に違っていて勘違い女だと思われたら、私はもう立ち直れない気がする。
それに、女心としては、やっぱり言葉がほしい。
私は自分で思うよりも、欲深い人間だったようだ。
1度目にトリップした時は、終わるのが怖くて、あんなに自分の気持ちから目を逸らしていたのに、今は零さんに好きだと言われただけでは満足出来ず、言葉まで求めている。
「私達は付き合っていると思っていいのだろうか?」
「え!?」
信号が赤になり、車がゆっくり停車すると、零さんは突然そう言った。
たった今私が考えていた事を言われ、私は驚いて目を瞬かせた。
「なまえさんが今考えている事です。当たりですか?」
零さんはいたずらっ子のような顔で、そう問いかけると、信号が青に変わりアクセルを踏んだ。
もしかして全部声に出していたのだろうか?
そうなら恥ずかしすぎる...
「声には出していませんよ。ただ、あなたは自分で思っているより顔に出るので、凄く分かりやすいです」
「じゃ、じゃあ、私の嘘にも最初から気づいて...?」
「何か嘘をついているという違和感は感じてましたね」
なんてこった。
赤井さんにも零さんにも、最初からバレていたのか。
やっぱり敵わないなぁ。
「そうですか...あれ?この道って」
「そうです。僕の家に向かっています」
僕の家...?
「えぇ!?零さんの家!?」
「言ったでしょう?話はまた後で、と」
あなたには言いたいことも聞きたいことも山程あるので、と続けた零さんに、私はピシリと固まった。
何を言われ何を聞かれるのか、恐ろしい。
このまま永遠に着かなければいいのに...そう願うが、ついに零さんの住むアパートの前まで来てしまった。
零さんに続いて階段を上がるが、鉛でも付いているかのように足取りは重い。
そして、ついに玄関前に到着してしまった。
「どうぞ」
「...お邪魔します」
零さんが鍵を開けて、玄関のドアを開けてくれる。
そのまま真っ直ぐ廊下を進んで、リビングへ続くドアを開け、私は思わず息を呑んだ。
「変わって、ない...」
そう、何も変わっていなかった。
カーテンも絨毯も家具の位置までも、何もかも前に一緒に住んでいた時のままだった。
「いつ、あなたが戻ってきてもいいように大体の物の位置や家具の配置は、以前のままです」
「もし私がずっと戻って来なかったら、どうするつもりだったんですか?」
「その時は、何年でも何十年でもこのままですね。僕はなまえさんがこの世界から居なくなって、後悔しました。この手をあなたから離した事を...だから、もしまたもう一度会うことが出来たら、今度はちゃんとあなたを捕まえて二度と離さないと決めていたんです」
「零さん...」
真っ直ぐに青い瞳に見つめられ、私は吸い込まれるかのように、その瞳に囚われた。
いつのまにか外はすっかり暗くなり月が明るく輝いていた。
「なまえさん、そこの引き出しを開けてみて下さい」
零さんは寝室にある棚の一番上の引き出しを指差した。
私は言われた通りに、その引き出しを開けて目を見開いた。
「これって...」
引き出しの中にあった物、それはGPS付きのあのネックレスだった。
そしてその隣には、手紙とアヤメの花の栞があった。
もしかして、この手紙とアヤメは私が零さんのアパートを出た日に置いていったもの?
「なまえさんから貰った手紙とアヤメ、それから、あの時のネックレスです」
零さんは捨てずに取っておいてくれたのだ。
それが堪らなく嬉しくて、私は思わず零さんに抱きついた。
「ありがとう、零さん...」
「なまえさん、またここに住みませんか?」
私は驚いて、抱きついたまま勢いよく顔を上げると、零さんは私に優しく微笑みかけていた。
その微笑みに心が落ちる音がした。
こんなに幸せでいいのだろうか?
幸せすぎて怖い、ありきたりだが今の私の気持ちにピッタリだった。
この幸せが、いつか壊れてしまうかもしれない。
そうなった時、私は生きていけるだろうか...