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「なまえお姉さん、どこまで行くの?」
歩美ちゃんに聞かれて、ハッとした。
一刻も早くあの場を離れたくて、そればかり考えて歩いていたら、人が多くいる場所から大分離れてしまったようだ。
「ごめんごめん!みんなの所に戻ろっか」
キョトンとした歩美ちゃんに慌てて笑いかけてから、元来た道を戻ろうとしたその時、背後で砂を踏む音がした。
蘭ちゃんが心配して追いかけてきてくれたのかな?と思い、振り返るとそこにいたのは蘭ちゃんではなかった。
「お姉さん、こんなとこで何してんの?ガキとなんか遊んでないで俺たちと遊ぼうよ」
「俺たちの方が、ずーっと楽しい事してあげるよ?」
2人組の男がニヤニヤと下品な笑みを浮かべながら、私達に近づいてきていた。
「行こう、歩美ちゃん」
「う、うん」
私は歩美ちゃんの手をしっかりと握って、男達を無視して歩き出した。
ところが、男達の傍を通り過ぎようとしたその瞬間、視界の端にキラリと光るものが見えて反射的に歩美ちゃんの手を引っ張って後ずさった。
「怪我したくなかったら、言うこと聞けよ」
そう言って、男はサバイバルナイフのようなものを片手にニヤニヤしていた。
ただのナンパ男達かと思ったのだが、どうも様子がおかしい。
目は焦点が合っていないし、足元も若干覚束ない。
歩美ちゃんも怖がって、私にしがみつくように怯えている。
とにかく、向こうはナイフを持っているから下手な動きはできない。
誰かがこちらの異変に気付いてくれないかと、私達が歩いて来た方向を見るが、今いる場所は少し岩陰になっているようで向こうからは見えづらい。
なら、走って逃げようか?いや、でも足元は砂浜で走りづらいから、歩美ちゃんを連れて逃げるのは難しそうだ。
途中で転んだり、捕まったらアウトだ。
どうしよう。私が醜い嫉妬に駆られて、こんなところまで来てしまったばっかりに歩美ちゃんまで危険な目に合わせてしまっている。
完全に私のせいだ...
この子だけは絶対に守らなきゃ...私は歩美ちゃんの手を一度強く握ってから、パッと振りほどいた。
「私だけいればいいよね?これから楽しい事するのに、子供にはまだ早いでしょ?」
震え出しそうな足にグッと力を込めて、出来ているかは分からないが、男達を誘うような顔をする。
「お?いいねー!お姉さん乗り気だねー!んじゃ、ガキはとっとと向こう行きな」
「...なまえ、お姉さん...?」
歩美ちゃんは戸惑ったように、私の顔を不安げに見つめている。
「ほら、子供は邪魔だから、早く向こうに戻って」
私は敢えて冷たく言い放った。
お願い、男達の気が変わらないうちに早く逃げて...
そんな私の思いが通じたのか、歩美ちゃんは身を翻して人が多くいる方向へ走り出した。
よかった...これであの子は大丈夫。
「さてと、お姉さん。早くイイコトしよーぜ?」
ナイフを持った男が私の肩を抱いて、耳元で囁いてきた。私の体はさっきまでの強がりが嘘のように震え出した。
「さっきまで強気だったのに、震えちゃってカワイイー」
「じゃあさ、お姉さんには特別にコレ使ってやるよ」
男がコレと言って出したものは、注射器のようなものだった。中には透明な液体が入っている。
どんな効果があるのかは分からないが、直感的に危ない物だと感じた。
思わず後ずさろうとするが、砂浜に足を取られバランスを崩した私は尻餅をついた。
そして、そのまま砂浜に押し倒され男が覆い被さってきた。
「いゃ...やめて...!」
男が私のお腹辺りに馬乗りになってきて、両腕を頭の上で固定されてしまい、逃げる事ができない。
男は相変わらず焦点の合わない目でニヤニヤしながら、注射器を片手に私を見下ろしている。
「コレ打ったら、一発だから」
私の首筋に向かって注射器を持った男の手が近づいてくる。
「やだ!離して!!やめて!!」
助けて、零さん...
もうダメだと思い目をギュッと閉じていると、呻き声が聞こえてお腹の辺りにあった男の重みが急になくなった。両腕を掴んでいた手もない。
恐る恐る目を開けると、そこには大好きな広い背中があった。
男達は零さんに殴られたのか、2人とも伸びていた。
その背中はパッと私の方へ振り返ると、駆け寄ってきた。
「なまえさん!大丈夫ですか!?」
「れ、安室さん、わたし...」
うっかり、零さんと呼びそうになって咄嗟に安室さんと言い直す。
それから、安心したのか涙がこみ上げてきた。
「もう大丈夫です」
零さんはそっと私を抱き寄せ、そう囁いた。
どうしてこの人の腕の中は、こんなにも安心するのだろう。
この人の温もりさえあれば私は何があっても大丈夫だと、そんな気がした。
歩美ちゃんに聞かれて、ハッとした。
一刻も早くあの場を離れたくて、そればかり考えて歩いていたら、人が多くいる場所から大分離れてしまったようだ。
「ごめんごめん!みんなの所に戻ろっか」
キョトンとした歩美ちゃんに慌てて笑いかけてから、元来た道を戻ろうとしたその時、背後で砂を踏む音がした。
蘭ちゃんが心配して追いかけてきてくれたのかな?と思い、振り返るとそこにいたのは蘭ちゃんではなかった。
「お姉さん、こんなとこで何してんの?ガキとなんか遊んでないで俺たちと遊ぼうよ」
「俺たちの方が、ずーっと楽しい事してあげるよ?」
2人組の男がニヤニヤと下品な笑みを浮かべながら、私達に近づいてきていた。
「行こう、歩美ちゃん」
「う、うん」
私は歩美ちゃんの手をしっかりと握って、男達を無視して歩き出した。
ところが、男達の傍を通り過ぎようとしたその瞬間、視界の端にキラリと光るものが見えて反射的に歩美ちゃんの手を引っ張って後ずさった。
「怪我したくなかったら、言うこと聞けよ」
そう言って、男はサバイバルナイフのようなものを片手にニヤニヤしていた。
ただのナンパ男達かと思ったのだが、どうも様子がおかしい。
目は焦点が合っていないし、足元も若干覚束ない。
歩美ちゃんも怖がって、私にしがみつくように怯えている。
とにかく、向こうはナイフを持っているから下手な動きはできない。
誰かがこちらの異変に気付いてくれないかと、私達が歩いて来た方向を見るが、今いる場所は少し岩陰になっているようで向こうからは見えづらい。
なら、走って逃げようか?いや、でも足元は砂浜で走りづらいから、歩美ちゃんを連れて逃げるのは難しそうだ。
途中で転んだり、捕まったらアウトだ。
どうしよう。私が醜い嫉妬に駆られて、こんなところまで来てしまったばっかりに歩美ちゃんまで危険な目に合わせてしまっている。
完全に私のせいだ...
この子だけは絶対に守らなきゃ...私は歩美ちゃんの手を一度強く握ってから、パッと振りほどいた。
「私だけいればいいよね?これから楽しい事するのに、子供にはまだ早いでしょ?」
震え出しそうな足にグッと力を込めて、出来ているかは分からないが、男達を誘うような顔をする。
「お?いいねー!お姉さん乗り気だねー!んじゃ、ガキはとっとと向こう行きな」
「...なまえ、お姉さん...?」
歩美ちゃんは戸惑ったように、私の顔を不安げに見つめている。
「ほら、子供は邪魔だから、早く向こうに戻って」
私は敢えて冷たく言い放った。
お願い、男達の気が変わらないうちに早く逃げて...
そんな私の思いが通じたのか、歩美ちゃんは身を翻して人が多くいる方向へ走り出した。
よかった...これであの子は大丈夫。
「さてと、お姉さん。早くイイコトしよーぜ?」
ナイフを持った男が私の肩を抱いて、耳元で囁いてきた。私の体はさっきまでの強がりが嘘のように震え出した。
「さっきまで強気だったのに、震えちゃってカワイイー」
「じゃあさ、お姉さんには特別にコレ使ってやるよ」
男がコレと言って出したものは、注射器のようなものだった。中には透明な液体が入っている。
どんな効果があるのかは分からないが、直感的に危ない物だと感じた。
思わず後ずさろうとするが、砂浜に足を取られバランスを崩した私は尻餅をついた。
そして、そのまま砂浜に押し倒され男が覆い被さってきた。
「いゃ...やめて...!」
男が私のお腹辺りに馬乗りになってきて、両腕を頭の上で固定されてしまい、逃げる事ができない。
男は相変わらず焦点の合わない目でニヤニヤしながら、注射器を片手に私を見下ろしている。
「コレ打ったら、一発だから」
私の首筋に向かって注射器を持った男の手が近づいてくる。
「やだ!離して!!やめて!!」
助けて、零さん...
もうダメだと思い目をギュッと閉じていると、呻き声が聞こえてお腹の辺りにあった男の重みが急になくなった。両腕を掴んでいた手もない。
恐る恐る目を開けると、そこには大好きな広い背中があった。
男達は零さんに殴られたのか、2人とも伸びていた。
その背中はパッと私の方へ振り返ると、駆け寄ってきた。
「なまえさん!大丈夫ですか!?」
「れ、安室さん、わたし...」
うっかり、零さんと呼びそうになって咄嗟に安室さんと言い直す。
それから、安心したのか涙がこみ上げてきた。
「もう大丈夫です」
零さんはそっと私を抱き寄せ、そう囁いた。
どうしてこの人の腕の中は、こんなにも安心するのだろう。
この人の温もりさえあれば私は何があっても大丈夫だと、そんな気がした。