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バイトが終わってから、私はコナンくんに電話をして工藤邸にやってきていた。
「随分早い、いつかだったな」
「...すみません」
別に責めてる訳じゃないと赤井さんは言うが、「いつか話を聞いてほしい」と昨日言ったばかりで、その「いつか」が今日なんて、なんとなく気まずい。
私だって、こんなに早く話すつもりはなかった。
だが、昨夜の赤井さんに1人で頑張ろうとするなと言われ、更に今朝コナンくんからも1人で頑張らなくていいんだよと言われ...昨日の今日で私の決意は崩れ去ってしまった。
それに、私1人大して良くない頭で考えるより、赤井さんやコナンくんの優秀な頭脳で知恵をお借りした方がいいかもしれない、と思い直したのもある。
言っても大丈夫そうな事、ダメな事、それだけ気をつけて話せば、物語には影響を与えずに何かいい道を探せるかもしれない。
私としても、早く黒の組織は壊滅してほしい。
私は一度ゆっくり深呼吸してから、目の前の赤井さんとコナンくんを見つめた。
きっと大丈夫、コナンくんだって、それが真実なら信じると言ってくれたんだから。
信じてほしいと言う前に、まずは私が彼らを信じよう。
「単刀直入に言うと、私はこの世界の人間ではありません」
「そうか」
「......えっと、それ、だけ?」
「ん?あぁ、まぁ普通は信じないだろうな。だが、前になまえについて調べたと言っただろう?その時なまえの情報が3年前からしか出てこなかった。そしてまた突然痕跡がなくなった。まるで、突然現れて消えたかのようにな」
「僕も調べてみたけど、結果は赤井さんと同じだったよ。確かにこの世界の人間じゃないなんて常識ではあり得ない事だけど、もし本当になまえさんの言う通りなら、3年より前の情報が出てこない事も、なまえさんが普通なら知り得ない事を知っているのも、全ての辻褄が合うんだ」
「そんなに簡単に信じちゃっていいの...?私悪い人かもしれないんだよ...?」
「人を騙そうとしているやつは、そんな情けない顔はしてないだろうな」
「僕もなまえさんを信じるよ」
ありがとうと、そう言いたいのに、涙が溢れて言葉にならなかった。
もっと話さなければならない事があるのに、必死で涙を拭っても、次から次へと涙が溢れて止まらない。
「あまり擦るな。赤くなるぞ」
赤井さんは目を擦る私の手を掴んで止めると、親指でそっと涙を拭ってくれた。
それでも、どんどん溢れてくる涙が赤井さんの指を濡らす。
「お前は、強がりのくせに泣き虫だな」
「赤井、さん...私、怖いん、です...」
泣きすぎて子供のようにしゃくり上げながら、私は必死に言葉を紡いだ。
「私が、いる事で、物語が変わってしまう、かもしれない。そのせいで、誰かが傷つくのが、怖くて堪らない...」
原作通りのタイミングで零さんの正体が赤井さんやコナンくんにバレた今、もう記憶がないフリをする必要はなくなった。
それでも、私は怖いのだ。
今回、私は零さんを裏切った。ほぼ巻き込まれたようなものだが、私が零さんの足を引っ張った。
私がいても、いなくても、結果は同じだった事くらい分かっている。
それでも、もしかしたら...と考えずにはいられなかった。
この世界でイレギュラーな私の存在が、物語に影響を与えているかもしれない。
今は誰も気づかない程の小さな小さな変化でも、少しずつ少しずつ積み重なっていけば、やがて大きな変化となる。
今後私の存在が、皆を、零さんを危険に晒す可能性だってあるのだ。
ヒックヒックと途切れ途切れで、それでも私は心の内を吐き出し続けた。
ずっとずっと1人で怯えていた。
自分の存在が大切な人達の命を脅かすのではないか...
自分はここにいてはいけないのではないか...
「もしも、私のせいで零さんに何かあったら...私は自分を許せない...私はただ...」
ただあなたが好きなだけなのに...
私とあなたの生まれた世界が同じだったなら、こんな事で悩む必要も恐れる必要もなかった。
だけど、もし最初から同じ世界に生きていたのなら、多分私と零さんが出逢う事はなかった。
お互いの存在を知る事もなく、すれ違っても気づかずに生きていったのだろう。
どちらが良かったのか。
でも、私はきっと、どの世界に生きようが、あなたを一目見た瞬間から、恋に落ちるだろう。
例え、その先がどんなに苦しいと分かっていたとしても、私の心はいつだってあなたに奪われるのだ。
「随分早い、いつかだったな」
「...すみません」
別に責めてる訳じゃないと赤井さんは言うが、「いつか話を聞いてほしい」と昨日言ったばかりで、その「いつか」が今日なんて、なんとなく気まずい。
私だって、こんなに早く話すつもりはなかった。
だが、昨夜の赤井さんに1人で頑張ろうとするなと言われ、更に今朝コナンくんからも1人で頑張らなくていいんだよと言われ...昨日の今日で私の決意は崩れ去ってしまった。
それに、私1人大して良くない頭で考えるより、赤井さんやコナンくんの優秀な頭脳で知恵をお借りした方がいいかもしれない、と思い直したのもある。
言っても大丈夫そうな事、ダメな事、それだけ気をつけて話せば、物語には影響を与えずに何かいい道を探せるかもしれない。
私としても、早く黒の組織は壊滅してほしい。
私は一度ゆっくり深呼吸してから、目の前の赤井さんとコナンくんを見つめた。
きっと大丈夫、コナンくんだって、それが真実なら信じると言ってくれたんだから。
信じてほしいと言う前に、まずは私が彼らを信じよう。
「単刀直入に言うと、私はこの世界の人間ではありません」
「そうか」
「......えっと、それ、だけ?」
「ん?あぁ、まぁ普通は信じないだろうな。だが、前になまえについて調べたと言っただろう?その時なまえの情報が3年前からしか出てこなかった。そしてまた突然痕跡がなくなった。まるで、突然現れて消えたかのようにな」
「僕も調べてみたけど、結果は赤井さんと同じだったよ。確かにこの世界の人間じゃないなんて常識ではあり得ない事だけど、もし本当になまえさんの言う通りなら、3年より前の情報が出てこない事も、なまえさんが普通なら知り得ない事を知っているのも、全ての辻褄が合うんだ」
「そんなに簡単に信じちゃっていいの...?私悪い人かもしれないんだよ...?」
「人を騙そうとしているやつは、そんな情けない顔はしてないだろうな」
「僕もなまえさんを信じるよ」
ありがとうと、そう言いたいのに、涙が溢れて言葉にならなかった。
もっと話さなければならない事があるのに、必死で涙を拭っても、次から次へと涙が溢れて止まらない。
「あまり擦るな。赤くなるぞ」
赤井さんは目を擦る私の手を掴んで止めると、親指でそっと涙を拭ってくれた。
それでも、どんどん溢れてくる涙が赤井さんの指を濡らす。
「お前は、強がりのくせに泣き虫だな」
「赤井、さん...私、怖いん、です...」
泣きすぎて子供のようにしゃくり上げながら、私は必死に言葉を紡いだ。
「私が、いる事で、物語が変わってしまう、かもしれない。そのせいで、誰かが傷つくのが、怖くて堪らない...」
原作通りのタイミングで零さんの正体が赤井さんやコナンくんにバレた今、もう記憶がないフリをする必要はなくなった。
それでも、私は怖いのだ。
今回、私は零さんを裏切った。ほぼ巻き込まれたようなものだが、私が零さんの足を引っ張った。
私がいても、いなくても、結果は同じだった事くらい分かっている。
それでも、もしかしたら...と考えずにはいられなかった。
この世界でイレギュラーな私の存在が、物語に影響を与えているかもしれない。
今は誰も気づかない程の小さな小さな変化でも、少しずつ少しずつ積み重なっていけば、やがて大きな変化となる。
今後私の存在が、皆を、零さんを危険に晒す可能性だってあるのだ。
ヒックヒックと途切れ途切れで、それでも私は心の内を吐き出し続けた。
ずっとずっと1人で怯えていた。
自分の存在が大切な人達の命を脅かすのではないか...
自分はここにいてはいけないのではないか...
「もしも、私のせいで零さんに何かあったら...私は自分を許せない...私はただ...」
ただあなたが好きなだけなのに...
私とあなたの生まれた世界が同じだったなら、こんな事で悩む必要も恐れる必要もなかった。
だけど、もし最初から同じ世界に生きていたのなら、多分私と零さんが出逢う事はなかった。
お互いの存在を知る事もなく、すれ違っても気づかずに生きていったのだろう。
どちらが良かったのか。
でも、私はきっと、どの世界に生きようが、あなたを一目見た瞬間から、恋に落ちるだろう。
例え、その先がどんなに苦しいと分かっていたとしても、私の心はいつだってあなたに奪われるのだ。