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頭が痛い...
「キャ...ル!ど...する...よ!」
なに...?なんだか周りが騒がしい。
頭がガンガンして、瞼は重いし体もだるい。
だが、少しずつ意識がはっきりしてくると、体の感覚が戻ってきた。
なんだか、乗り物に乗っているような揺れを感じるし、なんとなく体が暖かい。
その時、一際強いGがかかり体が浮くような感覚がして、私は反射的に衝撃に備えようと身を固くした。ところが、前から包み込まれるように誰かに抱き締められて衝撃がくることはなかった。
そこでやっと目を開けて、私は叫び出しそうになった。
いや、正しくは口を大きな手で塞がれて叫ぶ事ができなかった、だが。
「シー、そうだ、いい子だ...」
赤井さんの手で口を抑えられたまま、耳元で小さく囁かれた。
私は必死にコクコクと頷き、早く離れてもらえるよう目で訴えた。
だって、こんなお互いの息が掛かるほど密着して、耳元であんな素敵な声で囁かれたら腰が抜ける。
やっとの事で口元から赤井さんの手が離れると、私は混乱する頭で必死に囁き声で訴えた。
(あ、あか...なんで?)
(後で説明する。今は大人しくしていろ...)
(でも...)
大人しくしていろと言われても、今何が起こっているのか分からず、赤井さんの服をギュッと掴むと彼は小さくフッと笑った。
「屋根を開けろ...開けるんだ、キャメル」
そして赤井さんは起き上がり、そう言い放った。
キャメルは、一瞬戸惑った様子だったが、すぐに言われた通りに車の屋根を開けた。
屋根を開けた事で車内が少し明るくなり、周りの様子を見る事ができるようになった。
もう隠れなくていいようなので私も体を起こして周囲を見回すと、運転席にキャメル、助手席にはジョディさんがいた。
今は夜で、カーブの多い山道を猛スピードで走っていて、後ろからは車が数台追いかけて来ている。
どうやら、私は昨日の夜にウィスキーを飲みながら寝てしまい、そのままこの車に乗せられ、来葉峠のカーチェイスにばっちり巻き込まれてしまったようだ。
人質とは、こういう事だったのか...
今頃、工藤邸ではコナンくんと零さんの心理戦も佳境に入っている事だろう。
「シ、シュウ!?」
「赤井しゃん!!」
驚く2人に、赤井さんは淡々とハンドルを5秒固定しろと言った。このくだらないカーチェイスにけりをつける、と...
懐から拳銃を取り出した赤井さんに、私は彼の名前を呼んだ。
「赤井さん...大丈夫ですよね?」
この後の赤井さんの行動もその結果も、全て分かっている。
それでも不安で、聞かずにはいられなかった。
「そんな顔をするな...必ず守る」
そう言って微笑む赤井さんに思わずキュンとしていると、ジョディさんが声を張り上げた。
「ちょっと、シュウ!?カッコつけてないで、説明しなさいよ!これはどういう事なの!?それに、その子はなんなのよ!?」
「全て思惑通りだよ...あの坊やのな。それと...彼女は俺のお気に入りの子猫だ」
「「はぁ!?」」
こんな状況で何を言うんだ。
思わずジョディさんとハモってしまったではないか...
手を繋いできたり、病院でも気になる女性と言われたりしたが、こんなイケメンに言われても揶揄われているとしか思えない。
「200mストレート!見えました!!」
キャメルの合図で、カウントが始まった。
1、2、3、4...
ぶつかるっ...私はギュッと目を瞑り、自分の手を強く握りしめた。
バーンッ
赤井さんが発砲したと同時に、キャメルが勢いよくハンドルを切り、車はギリギリでカーブを曲がった。
後ろから1台も着いてこないことから、見事に相手の車のタイヤを撃ち抜いたようだ。
「キャメル、戻れ」
車はすぐにUターンして、先程発砲した辺りに戻っていく。
どうなるか分かっていても、やはりあれは怖かった。
自分の手を見るとまだ震えていて、心臓もバクバクと煩い。
すると、隣から赤井さんの手が伸びてきて、私の震える手を握った。
「言っただろう?必ず守ると。何より君を傷つけたら降谷君に本気で殺されそうだ」
そんな赤井さんのモスグリーンの瞳を見つめていると、だんだん気持ちが落ち着いてきた。
気づくと、先程の場所まで戻ってきていた。
赤井さんは大丈夫か?と声を掛けてから、拳銃と零さんと通話中であろうスマホとを交換しようと取引を持ちかけた。
「久しぶりだな、バーボン。いや、今は安室透くんだったかな?」
零さんの負けだ。
後は私が知っている通りの会話で、このまま私がここにいる事を零さんに知られずに終われるのでは?という淡い期待は、呆気なく消え去った。
「それから、君の大切な彼女が今俺の隣にいる。君の部下達の執拗な追跡で、危うく死ぬところだったよ...これ以上危険な目に合わせたくなかったら、手を引く事だな」
赤井さんは私を零さんの凄く大切な人みたいに言っているが、実際私たちはそんな関係ではないのだから、あまり意味がないと思うのだが...
零さんが何と言ったのか分からないが、赤井さんは小さく笑った。
「それを決めるのは、君じゃない。彼女はまだ君のものではないのだからな」
それから通話を切った赤井さんは、走り出した車からスマホを公安の彼らに向かって放り投げた。
帰りの車の中で、ジョディさんが赤井さんを質問責めにしていたが、それに対して赤井さんは言葉少なにサラッと説明しただけだった。
「キャ...ル!ど...する...よ!」
なに...?なんだか周りが騒がしい。
頭がガンガンして、瞼は重いし体もだるい。
だが、少しずつ意識がはっきりしてくると、体の感覚が戻ってきた。
なんだか、乗り物に乗っているような揺れを感じるし、なんとなく体が暖かい。
その時、一際強いGがかかり体が浮くような感覚がして、私は反射的に衝撃に備えようと身を固くした。ところが、前から包み込まれるように誰かに抱き締められて衝撃がくることはなかった。
そこでやっと目を開けて、私は叫び出しそうになった。
いや、正しくは口を大きな手で塞がれて叫ぶ事ができなかった、だが。
「シー、そうだ、いい子だ...」
赤井さんの手で口を抑えられたまま、耳元で小さく囁かれた。
私は必死にコクコクと頷き、早く離れてもらえるよう目で訴えた。
だって、こんなお互いの息が掛かるほど密着して、耳元であんな素敵な声で囁かれたら腰が抜ける。
やっとの事で口元から赤井さんの手が離れると、私は混乱する頭で必死に囁き声で訴えた。
(あ、あか...なんで?)
(後で説明する。今は大人しくしていろ...)
(でも...)
大人しくしていろと言われても、今何が起こっているのか分からず、赤井さんの服をギュッと掴むと彼は小さくフッと笑った。
「屋根を開けろ...開けるんだ、キャメル」
そして赤井さんは起き上がり、そう言い放った。
キャメルは、一瞬戸惑った様子だったが、すぐに言われた通りに車の屋根を開けた。
屋根を開けた事で車内が少し明るくなり、周りの様子を見る事ができるようになった。
もう隠れなくていいようなので私も体を起こして周囲を見回すと、運転席にキャメル、助手席にはジョディさんがいた。
今は夜で、カーブの多い山道を猛スピードで走っていて、後ろからは車が数台追いかけて来ている。
どうやら、私は昨日の夜にウィスキーを飲みながら寝てしまい、そのままこの車に乗せられ、来葉峠のカーチェイスにばっちり巻き込まれてしまったようだ。
人質とは、こういう事だったのか...
今頃、工藤邸ではコナンくんと零さんの心理戦も佳境に入っている事だろう。
「シ、シュウ!?」
「赤井しゃん!!」
驚く2人に、赤井さんは淡々とハンドルを5秒固定しろと言った。このくだらないカーチェイスにけりをつける、と...
懐から拳銃を取り出した赤井さんに、私は彼の名前を呼んだ。
「赤井さん...大丈夫ですよね?」
この後の赤井さんの行動もその結果も、全て分かっている。
それでも不安で、聞かずにはいられなかった。
「そんな顔をするな...必ず守る」
そう言って微笑む赤井さんに思わずキュンとしていると、ジョディさんが声を張り上げた。
「ちょっと、シュウ!?カッコつけてないで、説明しなさいよ!これはどういう事なの!?それに、その子はなんなのよ!?」
「全て思惑通りだよ...あの坊やのな。それと...彼女は俺のお気に入りの子猫だ」
「「はぁ!?」」
こんな状況で何を言うんだ。
思わずジョディさんとハモってしまったではないか...
手を繋いできたり、病院でも気になる女性と言われたりしたが、こんなイケメンに言われても揶揄われているとしか思えない。
「200mストレート!見えました!!」
キャメルの合図で、カウントが始まった。
1、2、3、4...
ぶつかるっ...私はギュッと目を瞑り、自分の手を強く握りしめた。
バーンッ
赤井さんが発砲したと同時に、キャメルが勢いよくハンドルを切り、車はギリギリでカーブを曲がった。
後ろから1台も着いてこないことから、見事に相手の車のタイヤを撃ち抜いたようだ。
「キャメル、戻れ」
車はすぐにUターンして、先程発砲した辺りに戻っていく。
どうなるか分かっていても、やはりあれは怖かった。
自分の手を見るとまだ震えていて、心臓もバクバクと煩い。
すると、隣から赤井さんの手が伸びてきて、私の震える手を握った。
「言っただろう?必ず守ると。何より君を傷つけたら降谷君に本気で殺されそうだ」
そんな赤井さんのモスグリーンの瞳を見つめていると、だんだん気持ちが落ち着いてきた。
気づくと、先程の場所まで戻ってきていた。
赤井さんは大丈夫か?と声を掛けてから、拳銃と零さんと通話中であろうスマホとを交換しようと取引を持ちかけた。
「久しぶりだな、バーボン。いや、今は安室透くんだったかな?」
零さんの負けだ。
後は私が知っている通りの会話で、このまま私がここにいる事を零さんに知られずに終われるのでは?という淡い期待は、呆気なく消え去った。
「それから、君の大切な彼女が今俺の隣にいる。君の部下達の執拗な追跡で、危うく死ぬところだったよ...これ以上危険な目に合わせたくなかったら、手を引く事だな」
赤井さんは私を零さんの凄く大切な人みたいに言っているが、実際私たちはそんな関係ではないのだから、あまり意味がないと思うのだが...
零さんが何と言ったのか分からないが、赤井さんは小さく笑った。
「それを決めるのは、君じゃない。彼女はまだ君のものではないのだからな」
それから通話を切った赤井さんは、走り出した車からスマホを公安の彼らに向かって放り投げた。
帰りの車の中で、ジョディさんが赤井さんを質問責めにしていたが、それに対して赤井さんは言葉少なにサラッと説明しただけだった。