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「いつから気づいていたんですか?」
「この家で最初に会った時から、違和感は感じていた」
コナンくんが変声機を使い零さんのフリをし、私はそれにまんまと騙された。
仕方なく協力する事になり、ひとまずリビングのソファーに座っていた。
長い足を組んでコーヒーを啜る沖矢さんに、いつから気づいていたのかと問いかければ、赤井さんの声で最初から違和感があったと言われた。
この工藤邸にトリップした時から、もうダメだったのか。それならそうと言ってくれたらいいのに、これじゃ私の一人芝居じゃないか...
「コナンくんも?」
「僕も最初から違和感は感じてたけど、確信したのはこの間のポアロでかな。それにずっと安室さんの様子がおかしかったから」
それ零さんのせいじゃん。
まぁ赤井さんには最初から気づかれていたから、どっちみちダメだったのだが。
「それで、なぜ記憶喪失のフリをしたんだ?」
「答えたら、協力しなくていい?」
「...」
2人の無言が怖い。圧がすごい。
「...私は何をするの?言っておくけど、私は何があっても降谷さんの味方だから」
「そんなに思われて彼も幸せだな。なに、大したことじゃない。なまえには、降谷くんに大人しく手を引いてもらう為の人質になってもらいたいだけだ」
大したことじゃない?
人質になってもらいたいだけ?
十分大したことではないか。
人質になるという事は、私が彼の足手纏いになるという事だ。
そんなの嫌だ...
だが、協力しないと零さんの事をバラすと言っている。
もちろん彼らが本当にバラすとは思っていないが、零さんの命に関わる事なら万が一のほんの少しのリスクだって気になるのだ。
それに、きっと彼らの本当の目的は私が知っている組織の情報だろうから、そっちもなんとかしなければならない。
零さんには私を、私には零さんを、お互いを人質にする事を考えつくなんて...この2人怖い。
でも、私は人質になれる程、零さんにとって価値のある存在なのだろうか?
「ひとつ、条件があります」
「...条件?」
「協力する代わりに、組織について何も聞かないで」
そう言うと、赤井さんとコナンくんは目を合わせてから小さく頷いた。
私は情報を教えるつもりはない。
私が下手に何かを教えた事で、未来が変わってしまうかもしれないから。
私は必要があれば、自分1人で動くつもりだ。
「わかった。今はそれでいい」
「ありがとうございます。人質って具体的にはどうするんですか?」
「詳しくは明日、説明する。とりあえず、今日は泊まっていくといい」
とりあえずの意味が分からない。
そんなアッサリ泊まっていけなんて言われる程、親しかったっけ?
もちろん赤井さんは好きだけど、私の本命は零さんで...いや、大事なのはそこじゃない。
成人した男女が2人、同じ屋根の下は良くない。色々とダメなやつだ。
「いや、一旦帰ります」
「心配するな。夕飯はカレーだ」
夕飯の心配はしていない。
それより、今って赤井さんやばい状況なんじゃないの?
正体バレそうなんだよね?
バレたら哀ちゃんの近くにいられなくなるよ?
「余裕そうですね」
「あぁ。坊やがついてるからな」
コナンくんは苦笑いしてる。そりゃそうだろう。
これから彼らは今まで積み上げてきたもの全てをかけた騙し合いをするのだ。
私は結末を知っているが、彼らは知らない。
それなのに、いつもと変わらない赤井さんは、さすだと思う。
「なまえさん、泊まっていきなよ。赤井さんは大丈夫だよ」
「あぁ。いいウイスキーが手に入ったんだが、一緒にどうだ?」
コナンくんの大丈夫は、何が大丈夫なのか分からない。
だが、赤井さんとは一度は一緒に飲んでみたい。
こんな機会もうないかもしれないし...
「と、とりあえず一杯だけ飲んだら帰ります」
私は誘惑に負けた。
だって、もう今日を逃したら、もうチャンスは巡ってこないかもしれないのだ。
一杯だけ。そう思っていたのに、イケメンに美味しいウイスキー、最高の組み合わせに気づけば結構な量を飲んでいた。
そして、私はいつの間にか眠ってしまった。
次に目が覚めた時、あんな状況になるなんて...この時は思いもよらなかった。
————
赤井side
「なまえさん、寝た?」
「あぁ、大分飲んだからな。それに坊やの言った通り少し強めの睡眠薬を盛ったから、明日の夕方くらいまでは目を覚まさないはずだ」
じゃあ、安心だね、と笑う坊やに俺は頷き返した。
この坊やは見た目こそ小学生だが、中身はあの高校生探偵の工藤新一だ。
俺が組織にノックだとバレた時も、この坊やのおかげで命を繋がれた。
そして、今回もまたバーボンこと降谷零を出し抜く策を考え協力してくれている。
まさか、ここまでとはな...2度も同じ人物にこのセリフを言う事になるとは思わなかったが、この坊やは敵に回したくない1人だという事は確かだ。
「じゃあ、赤井さん、明日は作戦通りで。僕は博士の家で準備があるから、なまえさんをお願いね」
「あぁ。世話になる」
坊やが出て行った後も、しばらくテーブルに突っ伏して眠る彼女の横顔を見つめていた。
彼女は降谷君の弱点だと、坊やは言っていた。
それに反論するつもりはないが、俺は弱点だけではないと思っている。
彼女は光だ。
黒をも溶かすような優しく、だが強い光だ。
だから、彼女はきっと降谷君の弱点ではあるが、同時に希望でもある。
希望のある人間は強い。
さて、彼女を巻き込んだ事が、凶と出るか吉と出るか...
「Good night,kitten」
俺は彼女の髪に、そっとキスを落とした。
「この家で最初に会った時から、違和感は感じていた」
コナンくんが変声機を使い零さんのフリをし、私はそれにまんまと騙された。
仕方なく協力する事になり、ひとまずリビングのソファーに座っていた。
長い足を組んでコーヒーを啜る沖矢さんに、いつから気づいていたのかと問いかければ、赤井さんの声で最初から違和感があったと言われた。
この工藤邸にトリップした時から、もうダメだったのか。それならそうと言ってくれたらいいのに、これじゃ私の一人芝居じゃないか...
「コナンくんも?」
「僕も最初から違和感は感じてたけど、確信したのはこの間のポアロでかな。それにずっと安室さんの様子がおかしかったから」
それ零さんのせいじゃん。
まぁ赤井さんには最初から気づかれていたから、どっちみちダメだったのだが。
「それで、なぜ記憶喪失のフリをしたんだ?」
「答えたら、協力しなくていい?」
「...」
2人の無言が怖い。圧がすごい。
「...私は何をするの?言っておくけど、私は何があっても降谷さんの味方だから」
「そんなに思われて彼も幸せだな。なに、大したことじゃない。なまえには、降谷くんに大人しく手を引いてもらう為の人質になってもらいたいだけだ」
大したことじゃない?
人質になってもらいたいだけ?
十分大したことではないか。
人質になるという事は、私が彼の足手纏いになるという事だ。
そんなの嫌だ...
だが、協力しないと零さんの事をバラすと言っている。
もちろん彼らが本当にバラすとは思っていないが、零さんの命に関わる事なら万が一のほんの少しのリスクだって気になるのだ。
それに、きっと彼らの本当の目的は私が知っている組織の情報だろうから、そっちもなんとかしなければならない。
零さんには私を、私には零さんを、お互いを人質にする事を考えつくなんて...この2人怖い。
でも、私は人質になれる程、零さんにとって価値のある存在なのだろうか?
「ひとつ、条件があります」
「...条件?」
「協力する代わりに、組織について何も聞かないで」
そう言うと、赤井さんとコナンくんは目を合わせてから小さく頷いた。
私は情報を教えるつもりはない。
私が下手に何かを教えた事で、未来が変わってしまうかもしれないから。
私は必要があれば、自分1人で動くつもりだ。
「わかった。今はそれでいい」
「ありがとうございます。人質って具体的にはどうするんですか?」
「詳しくは明日、説明する。とりあえず、今日は泊まっていくといい」
とりあえずの意味が分からない。
そんなアッサリ泊まっていけなんて言われる程、親しかったっけ?
もちろん赤井さんは好きだけど、私の本命は零さんで...いや、大事なのはそこじゃない。
成人した男女が2人、同じ屋根の下は良くない。色々とダメなやつだ。
「いや、一旦帰ります」
「心配するな。夕飯はカレーだ」
夕飯の心配はしていない。
それより、今って赤井さんやばい状況なんじゃないの?
正体バレそうなんだよね?
バレたら哀ちゃんの近くにいられなくなるよ?
「余裕そうですね」
「あぁ。坊やがついてるからな」
コナンくんは苦笑いしてる。そりゃそうだろう。
これから彼らは今まで積み上げてきたもの全てをかけた騙し合いをするのだ。
私は結末を知っているが、彼らは知らない。
それなのに、いつもと変わらない赤井さんは、さすだと思う。
「なまえさん、泊まっていきなよ。赤井さんは大丈夫だよ」
「あぁ。いいウイスキーが手に入ったんだが、一緒にどうだ?」
コナンくんの大丈夫は、何が大丈夫なのか分からない。
だが、赤井さんとは一度は一緒に飲んでみたい。
こんな機会もうないかもしれないし...
「と、とりあえず一杯だけ飲んだら帰ります」
私は誘惑に負けた。
だって、もう今日を逃したら、もうチャンスは巡ってこないかもしれないのだ。
一杯だけ。そう思っていたのに、イケメンに美味しいウイスキー、最高の組み合わせに気づけば結構な量を飲んでいた。
そして、私はいつの間にか眠ってしまった。
次に目が覚めた時、あんな状況になるなんて...この時は思いもよらなかった。
————
赤井side
「なまえさん、寝た?」
「あぁ、大分飲んだからな。それに坊やの言った通り少し強めの睡眠薬を盛ったから、明日の夕方くらいまでは目を覚まさないはずだ」
じゃあ、安心だね、と笑う坊やに俺は頷き返した。
この坊やは見た目こそ小学生だが、中身はあの高校生探偵の工藤新一だ。
俺が組織にノックだとバレた時も、この坊やのおかげで命を繋がれた。
そして、今回もまたバーボンこと降谷零を出し抜く策を考え協力してくれている。
まさか、ここまでとはな...2度も同じ人物にこのセリフを言う事になるとは思わなかったが、この坊やは敵に回したくない1人だという事は確かだ。
「じゃあ、赤井さん、明日は作戦通りで。僕は博士の家で準備があるから、なまえさんをお願いね」
「あぁ。世話になる」
坊やが出て行った後も、しばらくテーブルに突っ伏して眠る彼女の横顔を見つめていた。
彼女は降谷君の弱点だと、坊やは言っていた。
それに反論するつもりはないが、俺は弱点だけではないと思っている。
彼女は光だ。
黒をも溶かすような優しく、だが強い光だ。
だから、彼女はきっと降谷君の弱点ではあるが、同時に希望でもある。
希望のある人間は強い。
さて、彼女を巻き込んだ事が、凶と出るか吉と出るか...
「Good night,kitten」
俺は彼女の髪に、そっとキスを落とした。