49 降谷side
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「遅かったですね。来てくれないんじゃないかとヒヤヒヤしました」
「彼女のスカーフに似た柄がなかなか見つからなくて...」
「なるほど。で、首尾は?」
「楠田って男、あなたが予想した通り...拳銃自殺したそうよ。自分の車の中でね」
「やはり、そうでしたか...」
これでピースは揃った。
タネが分かれば、それを調べる事など俺にとっては造作もないことだ。
必ず奴が生きている事を証明してみせる。
俺はハンドルを握る手に力を込めた。
あの後、ベルモットを送ってから本庁に戻り、すぐに奴について調べた。
これは単純な遺体すり替えトリックだ。
そしてこの計画を企てたのは、おそらくあの少年...
ならば赤井が死んだとされた後に少年の周りに現れた人物を探せばいい。
そしてそれは、すぐに見つかった。
沖矢昴...工藤邸に居候する東都大学の大学院生。
沖矢昴が現れてから、隣の阿笠博士の発明品のうちチョーカー型変声機が販売中止になっている。
きっと奴は変装し変声機で声を変え、沖矢昴として生活しているに違いない。
それに、彼は赤井と同じレフティだった。
そこまで考えて、何故なまえさんは沖矢昴と知り合ったのだろうかと疑問が浮かんだ。
推測だが、ほぼ確実になまえさんは記憶を失くしたフリをしている。
だから、実際は記憶はあるはずだ。
彼女がどこまで知っているかは分からないが、スコッチがあの場所で殺される事を知っていた事などから、かなりの事を知っていると考えられる。
それなら、沖矢昴の正体が赤井秀一だと知っていても、おかしくはない。
記憶を失くしたフリをしているのに、以前の自分を知っている人間に会うのは、普通なら都合が悪いと思い出来る限り避けるだろう。
それなのに、2人は顔見知りに留まらず手を繋ぐ程の仲だった。
という事は、赤井が故意に彼女に近づいたと考えるのが普通だ。
まぁ、相手が誰であろうと彼女を渡すつもりはないが。
俺は数人の部下を引き連れて、明かりが灯る工藤邸の門の前にいた。
他の部下達は、FBIである赤井の仲間達を拘束に向かわせた。
これから真実を暴き、仲間を人質にこちらの思うままに赤井を利用する算段だ。
組織に赤井の身柄を差し出し、俺は更なる信頼と確実な地位を得る事で、組織壊滅への大きな一歩となる。
部下には待機を命じた後、一度深く息を吐き出し自身を落ち着けた。
それからインターホンを鳴らすと、すぐに「はい」と聞こえ、それに対して俺は宅配業者を装った。
しばらくして玄関の扉が開いた。
「こんばんは...初めまして...。安室透です。...でも、初めましてじゃありませんよね?」
牽制しつつも、意外にアッサリと俺を家に上げた沖矢昴について、リビングへと進んでいく。
ざっと見ただけでも、廊下やリビングにいくつか監視カメラが仕掛けられている。
誰かがこの様子を見ている。だが、赤井である沖矢昴は目の前にいる為、監視しているのは赤井ではない。となると、誰かが別室でこの状況を見ている。
「ミステリーはお好きですか?」
そう切り出してから、俺は推理小説の感想を述べるかのように話していく。
右手の指紋、指先のコーティング、ニット帽の仕掛け...そして、この計画を企てた少年...
ジリジリと獲物を狙う狼のように、少しずつ、だが確実に追い詰める。
「そしてここへ辿り着いたというわけです...」
俺はポケットからスマホを出し、テーブルに置いた。
「連絡待ちです」
俺の推理に間違いはないはずなのに、往生際が悪いのか沖矢昴は無言のままだ。
まぁいい。その為に今、部下達に赤井の仲間を追跡させているのだ。
きっともう間もなく、部下から連絡が来るはずだ。
「流石のあなたもお仲間の生死がかかれば、素直になってくれると思いまして...でも、できれば連絡がくる前にそのマスクを取ってくれませんかねぇ...沖矢昴さん...いや、FBI捜査官...赤井秀一!!」
そして奴は口元にしていたマスクを外し、風邪気味だとわざとらしく咳をした。
そのマスクじゃない。変装を解けと言っているのに、この後に及んでまだシラを切るつもりか。
「そもそも、その赤井という人は僕に似ているんですか?顔とか声とか...」
白々しくそんな事を口にする奴に、決定的な証拠をみせてやろうと俺は立ち上がって沖矢昴に近づいた。
必ずあるはずだ。そのハイネックに隠れた首元にチョーカー型変声機が...
グッと首元を掴んで、鎖骨辺りまで一気にセーターを引き下げた。
しかし、そこには何もなかった。
何故だ?俺の推理は間違っていたのか?
いや、まだだ。
焦るな。冷静さを失ってはいけない。
こうなる事をあらかじめ予想して変声機をチョーカー型ではなく、別な場所に仕込んでいただけかもしれない。
今部下達が赤井の仲間を追跡している。
問い詰めるのは、拘束してからでも遅くはない。
その時、やっとスマホが鳴った。
通話を押して耳に当てるが、様子がおかしい。
そして部下からの報告に俺は耳を疑った。
「あ、赤井が!?」
来葉峠に赤井が現れ発砲しただと...?
すると電話の向こうが騒がしくなった。応答しろとスマホに向かって声を張り上げるが、何の返答もない。
向こうで何が起こっている?
すると、突然別な人物の声が聞こえてきた。
「久しぶりだな、バーボン。いや、今は安室透くんだったかな?」
それは、俺の目の前にいるはずだった赤井秀一の声だった。
「彼女のスカーフに似た柄がなかなか見つからなくて...」
「なるほど。で、首尾は?」
「楠田って男、あなたが予想した通り...拳銃自殺したそうよ。自分の車の中でね」
「やはり、そうでしたか...」
これでピースは揃った。
タネが分かれば、それを調べる事など俺にとっては造作もないことだ。
必ず奴が生きている事を証明してみせる。
俺はハンドルを握る手に力を込めた。
あの後、ベルモットを送ってから本庁に戻り、すぐに奴について調べた。
これは単純な遺体すり替えトリックだ。
そしてこの計画を企てたのは、おそらくあの少年...
ならば赤井が死んだとされた後に少年の周りに現れた人物を探せばいい。
そしてそれは、すぐに見つかった。
沖矢昴...工藤邸に居候する東都大学の大学院生。
沖矢昴が現れてから、隣の阿笠博士の発明品のうちチョーカー型変声機が販売中止になっている。
きっと奴は変装し変声機で声を変え、沖矢昴として生活しているに違いない。
それに、彼は赤井と同じレフティだった。
そこまで考えて、何故なまえさんは沖矢昴と知り合ったのだろうかと疑問が浮かんだ。
推測だが、ほぼ確実になまえさんは記憶を失くしたフリをしている。
だから、実際は記憶はあるはずだ。
彼女がどこまで知っているかは分からないが、スコッチがあの場所で殺される事を知っていた事などから、かなりの事を知っていると考えられる。
それなら、沖矢昴の正体が赤井秀一だと知っていても、おかしくはない。
記憶を失くしたフリをしているのに、以前の自分を知っている人間に会うのは、普通なら都合が悪いと思い出来る限り避けるだろう。
それなのに、2人は顔見知りに留まらず手を繋ぐ程の仲だった。
という事は、赤井が故意に彼女に近づいたと考えるのが普通だ。
まぁ、相手が誰であろうと彼女を渡すつもりはないが。
俺は数人の部下を引き連れて、明かりが灯る工藤邸の門の前にいた。
他の部下達は、FBIである赤井の仲間達を拘束に向かわせた。
これから真実を暴き、仲間を人質にこちらの思うままに赤井を利用する算段だ。
組織に赤井の身柄を差し出し、俺は更なる信頼と確実な地位を得る事で、組織壊滅への大きな一歩となる。
部下には待機を命じた後、一度深く息を吐き出し自身を落ち着けた。
それからインターホンを鳴らすと、すぐに「はい」と聞こえ、それに対して俺は宅配業者を装った。
しばらくして玄関の扉が開いた。
「こんばんは...初めまして...。安室透です。...でも、初めましてじゃありませんよね?」
牽制しつつも、意外にアッサリと俺を家に上げた沖矢昴について、リビングへと進んでいく。
ざっと見ただけでも、廊下やリビングにいくつか監視カメラが仕掛けられている。
誰かがこの様子を見ている。だが、赤井である沖矢昴は目の前にいる為、監視しているのは赤井ではない。となると、誰かが別室でこの状況を見ている。
「ミステリーはお好きですか?」
そう切り出してから、俺は推理小説の感想を述べるかのように話していく。
右手の指紋、指先のコーティング、ニット帽の仕掛け...そして、この計画を企てた少年...
ジリジリと獲物を狙う狼のように、少しずつ、だが確実に追い詰める。
「そしてここへ辿り着いたというわけです...」
俺はポケットからスマホを出し、テーブルに置いた。
「連絡待ちです」
俺の推理に間違いはないはずなのに、往生際が悪いのか沖矢昴は無言のままだ。
まぁいい。その為に今、部下達に赤井の仲間を追跡させているのだ。
きっともう間もなく、部下から連絡が来るはずだ。
「流石のあなたもお仲間の生死がかかれば、素直になってくれると思いまして...でも、できれば連絡がくる前にそのマスクを取ってくれませんかねぇ...沖矢昴さん...いや、FBI捜査官...赤井秀一!!」
そして奴は口元にしていたマスクを外し、風邪気味だとわざとらしく咳をした。
そのマスクじゃない。変装を解けと言っているのに、この後に及んでまだシラを切るつもりか。
「そもそも、その赤井という人は僕に似ているんですか?顔とか声とか...」
白々しくそんな事を口にする奴に、決定的な証拠をみせてやろうと俺は立ち上がって沖矢昴に近づいた。
必ずあるはずだ。そのハイネックに隠れた首元にチョーカー型変声機が...
グッと首元を掴んで、鎖骨辺りまで一気にセーターを引き下げた。
しかし、そこには何もなかった。
何故だ?俺の推理は間違っていたのか?
いや、まだだ。
焦るな。冷静さを失ってはいけない。
こうなる事をあらかじめ予想して変声機をチョーカー型ではなく、別な場所に仕込んでいただけかもしれない。
今部下達が赤井の仲間を追跡している。
問い詰めるのは、拘束してからでも遅くはない。
その時、やっとスマホが鳴った。
通話を押して耳に当てるが、様子がおかしい。
そして部下からの報告に俺は耳を疑った。
「あ、赤井が!?」
来葉峠に赤井が現れ発砲しただと...?
すると電話の向こうが騒がしくなった。応答しろとスマホに向かって声を張り上げるが、何の返答もない。
向こうで何が起こっている?
すると、突然別な人物の声が聞こえてきた。
「久しぶりだな、バーボン。いや、今は安室透くんだったかな?」
それは、俺の目の前にいるはずだった赤井秀一の声だった。