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「なまえさん...協力、してくれるよね?」
今私は、小学生に脅迫されている。
目の前にはコナンくん...
私ではやっぱり彼らに叶わないようだ。
むしろここまで保ったのが奇跡かもしれない。
まぁ、こんな形で巻き込まれるとは思わなかったが。
遡ること、数時間前...
私は惰眠を貪っていた。
今日から2日間ポアロのバイトが休みだった。
どうやら、私の指導係らしい零さんとシフトを合わせられているようで、彼が休みなので私も休みになったようだ。
そんな時に、スマホに電話が掛かってきた。
相手はコナンくんで、時計を見るとお昼を少し過ぎたところだった。
学校は?と思ったが、とりあえず出てみる事にした。
しかし、それが間違いだった。
時間を巻き戻せるなら、電話に出る前に戻りたい。
「コナンくん?学校終わったの?」
「なまえさん、今日夕方から新一兄ちゃんの家に来られる?」
なんだか、コナンくんは焦っているような感じで私の学校は?という問はスルーされた。
新一兄ちゃん家という事は、沖矢さん、つまり赤井さんが私に用があるという事?
「え、今日?今日はバイトも休みだから特に予定はないけど...」
予定はないが、そんなに急に呼ばれるなんて何事だろうか。
コナンくんの雰囲気から、あまりいい予感はしない。
「じゃあ、4時に新一兄ちゃん家に来てね!」
コナンくんはそう言うと、一方的に電話を切った。
行くとは言ってないが、これでは行くしかないじゃないか。
私は、はぁとため息をついて、後ろ髪を引かれる気分で仕方なくベッドから出た。
あれからダラダラと準備をして、3時頃にマンションを出た。
向かう途中のお菓子屋さんで手土産に焼き菓子の詰め合わせを買った。
赤井さんって甘いもの食べるっけ?とも、ふと思ったが、こういうのは気持ちが大切だ。
食べなければ、きっと哀ちゃん辺りにあげるだろう。
そんなこんなで、到着したのは約束の4時を少し過ぎたくらいだった。
インターホンを鳴らすと、沖矢さんの声で「どうぞ」と聞こえてきたので、お邪魔しますと玄関の扉を開けた。
しかし家の中はしん、としていて人の気配が感じられない。
沖矢さんが出たのだから、中にいるはずなのだが様子がおかしい。
「お邪魔しまーす、沖矢さーん?コナンくーん?」
呼びかけながら静かな廊下を進んでいくが、一向に誰の気配もなければ、物音ひとつしない。
沖矢さん、いや、赤井さんに何かあったのだろうか?でも、原作でこんな話なかったと思う。
リビングの扉の前まで来たが、この扉を開けたらもう戻れない、なんとなくそんな気がして、私はドアノブに手を掛けたまま立ち尽くしていた。
だが、いつまでも、こうしていたって何も解決しない。この家の中の様子がおかしいのは間違いないのだから、早くリビングを確認しなければ。
一度ドアノブから手を離し、両手で自分の頬をパンパンと叩いて気合を入れる。
「よし...」
細く扉を開けて、そっと中を盗み見るが、見える範囲には人影はないようだし、何か変わった様子もない。
そして意を決して扉を全部開けたのだが、なんとリビングには誰もいなかった。
私の気にしすぎ?
でも、なんだろう?この胸がざわつく感じは...
「沖矢さーん?コナンくーん?どこにいるのー?」
もう一度リビングから呼んでみるが、やはり返事はない。
別な部屋にでもいるのだろうか、この家広いし。
『この部屋から出ないで下さい』
別な部屋を探そうと、リビングから出ようとしたその時、どこかから声がして私は動けなくなった。
この部屋から出るな、と言われたから動けなくなったんじゃない。
この声の持ち主が、私がよく知る人物であり、そして、誰よりも愛しい人の声だったから。
『なまえさん、どうして教えてくれなかったんですか?』
「な、なにを...?」
『あなたは、沖矢昴が赤井だと知っていたでしょう。なぜ、黙っていたんですか?』
「なぜって...私は...何も知らない...」
一体どこから声がするのか?
リビングを見回してみるが、零さんの姿はどこにもない。
『...まぁいいです。やっと赤井を見つけた。今日やっと、あいつの仇が打てる』
違うよ、ヒロさんが死んだのは誰のせいでもないよ。
赤井さんはヒロさんを助けようとしていたんだよ。
そう言えたら、どんなにいいか...
今これを言えば、記憶を失くしていない事がバレてしまうし、真実をあるがままに伝えれば、もしかしたら零さんは自分を更に責めてしまうかもしれない。
でも、零さんが憎しみに駆られて手を汚す姿も見たくない。
ヒロさんの死の真相は例え零さんだろうと、全てを話すつもりはないけれど、それでも彼を憎しみの渦から引っ張りあげなければならない。
零さんがこの世界に私の居場所を作ってくれたように、今度は私がこの世界でただ一つ彼が羽を休められる居場所でいたい。
「...黙っていて、ごめんなさい。でも、ヒロさんが死んだのは誰のせいでもなかったんです。ヒロさん笑っていました。ゼロを守れたって。だから、だから...」
言いたい事も、伝えたい想いも、たくさんあるのに上手く言葉にならなくて、涙となって溢れた。
止め処なく零れ落ちる涙は、ずっと心にしまってきた気持ちのようだ。
「もう自分を許してあげて...」
後ろからガタッと聞こえ、すぐに音がした方に振り返って私は目を見開いた。
「コナン、くん...どうして...?」
「ごめんね、なまえさん」
コナンくんの姿を見た瞬間、私は全てを理解した。
私は彼らに嵌められたのだと。
いつからかは分からないが、きっとコナンくん達は私に記憶がある事に気づいていた。
さっきの零さんの声は、全てコナンくんが変声機を使っていたのだろう。
そして今、赤井さんの死が偽造であり、沖矢昴として身を隠している事がバレそうになっている。
だが、なぜ私を...?
「2人はやっぱり恋人だったの?」
「恋人じゃないよ。それよりも、もっと大切でかけがえのない人」
「そっか...」
「なんでこんな事を?」
「安室さんが沖矢さんの正体に気づこうとしてる。この意味、なまえさんなら分かるよね?」
私の知らないところで、物語は確実に進んでいたようだ。
でも、ここで私を巻き込む理由が分からない。
「私に何を求める?」
「協力してほしいんだ」
「...もし、断ったら?」
今回コナンくん達に協力するという事は、零さんを裏切るという事。
私が何もしなくても物語は勝手に進むし、コナンくんの作戦は問題ないはずだ。
それなのに、なんで...
「安室さんの事、バラされたら困るよね?」
「...」
「なまえさん...協力、してくれるよね?」
やっぱりコナンくんには叶わない。
もし私が断ったとしても、コナンくん達が本当に零さんの事をバラすとは思っていない。
だが、こんな風に言われたら私に残された道はただ一つだ...
「私はどうしたらいい?」
今私は、小学生に脅迫されている。
目の前にはコナンくん...
私ではやっぱり彼らに叶わないようだ。
むしろここまで保ったのが奇跡かもしれない。
まぁ、こんな形で巻き込まれるとは思わなかったが。
遡ること、数時間前...
私は惰眠を貪っていた。
今日から2日間ポアロのバイトが休みだった。
どうやら、私の指導係らしい零さんとシフトを合わせられているようで、彼が休みなので私も休みになったようだ。
そんな時に、スマホに電話が掛かってきた。
相手はコナンくんで、時計を見るとお昼を少し過ぎたところだった。
学校は?と思ったが、とりあえず出てみる事にした。
しかし、それが間違いだった。
時間を巻き戻せるなら、電話に出る前に戻りたい。
「コナンくん?学校終わったの?」
「なまえさん、今日夕方から新一兄ちゃんの家に来られる?」
なんだか、コナンくんは焦っているような感じで私の学校は?という問はスルーされた。
新一兄ちゃん家という事は、沖矢さん、つまり赤井さんが私に用があるという事?
「え、今日?今日はバイトも休みだから特に予定はないけど...」
予定はないが、そんなに急に呼ばれるなんて何事だろうか。
コナンくんの雰囲気から、あまりいい予感はしない。
「じゃあ、4時に新一兄ちゃん家に来てね!」
コナンくんはそう言うと、一方的に電話を切った。
行くとは言ってないが、これでは行くしかないじゃないか。
私は、はぁとため息をついて、後ろ髪を引かれる気分で仕方なくベッドから出た。
あれからダラダラと準備をして、3時頃にマンションを出た。
向かう途中のお菓子屋さんで手土産に焼き菓子の詰め合わせを買った。
赤井さんって甘いもの食べるっけ?とも、ふと思ったが、こういうのは気持ちが大切だ。
食べなければ、きっと哀ちゃん辺りにあげるだろう。
そんなこんなで、到着したのは約束の4時を少し過ぎたくらいだった。
インターホンを鳴らすと、沖矢さんの声で「どうぞ」と聞こえてきたので、お邪魔しますと玄関の扉を開けた。
しかし家の中はしん、としていて人の気配が感じられない。
沖矢さんが出たのだから、中にいるはずなのだが様子がおかしい。
「お邪魔しまーす、沖矢さーん?コナンくーん?」
呼びかけながら静かな廊下を進んでいくが、一向に誰の気配もなければ、物音ひとつしない。
沖矢さん、いや、赤井さんに何かあったのだろうか?でも、原作でこんな話なかったと思う。
リビングの扉の前まで来たが、この扉を開けたらもう戻れない、なんとなくそんな気がして、私はドアノブに手を掛けたまま立ち尽くしていた。
だが、いつまでも、こうしていたって何も解決しない。この家の中の様子がおかしいのは間違いないのだから、早くリビングを確認しなければ。
一度ドアノブから手を離し、両手で自分の頬をパンパンと叩いて気合を入れる。
「よし...」
細く扉を開けて、そっと中を盗み見るが、見える範囲には人影はないようだし、何か変わった様子もない。
そして意を決して扉を全部開けたのだが、なんとリビングには誰もいなかった。
私の気にしすぎ?
でも、なんだろう?この胸がざわつく感じは...
「沖矢さーん?コナンくーん?どこにいるのー?」
もう一度リビングから呼んでみるが、やはり返事はない。
別な部屋にでもいるのだろうか、この家広いし。
『この部屋から出ないで下さい』
別な部屋を探そうと、リビングから出ようとしたその時、どこかから声がして私は動けなくなった。
この部屋から出るな、と言われたから動けなくなったんじゃない。
この声の持ち主が、私がよく知る人物であり、そして、誰よりも愛しい人の声だったから。
『なまえさん、どうして教えてくれなかったんですか?』
「な、なにを...?」
『あなたは、沖矢昴が赤井だと知っていたでしょう。なぜ、黙っていたんですか?』
「なぜって...私は...何も知らない...」
一体どこから声がするのか?
リビングを見回してみるが、零さんの姿はどこにもない。
『...まぁいいです。やっと赤井を見つけた。今日やっと、あいつの仇が打てる』
違うよ、ヒロさんが死んだのは誰のせいでもないよ。
赤井さんはヒロさんを助けようとしていたんだよ。
そう言えたら、どんなにいいか...
今これを言えば、記憶を失くしていない事がバレてしまうし、真実をあるがままに伝えれば、もしかしたら零さんは自分を更に責めてしまうかもしれない。
でも、零さんが憎しみに駆られて手を汚す姿も見たくない。
ヒロさんの死の真相は例え零さんだろうと、全てを話すつもりはないけれど、それでも彼を憎しみの渦から引っ張りあげなければならない。
零さんがこの世界に私の居場所を作ってくれたように、今度は私がこの世界でただ一つ彼が羽を休められる居場所でいたい。
「...黙っていて、ごめんなさい。でも、ヒロさんが死んだのは誰のせいでもなかったんです。ヒロさん笑っていました。ゼロを守れたって。だから、だから...」
言いたい事も、伝えたい想いも、たくさんあるのに上手く言葉にならなくて、涙となって溢れた。
止め処なく零れ落ちる涙は、ずっと心にしまってきた気持ちのようだ。
「もう自分を許してあげて...」
後ろからガタッと聞こえ、すぐに音がした方に振り返って私は目を見開いた。
「コナン、くん...どうして...?」
「ごめんね、なまえさん」
コナンくんの姿を見た瞬間、私は全てを理解した。
私は彼らに嵌められたのだと。
いつからかは分からないが、きっとコナンくん達は私に記憶がある事に気づいていた。
さっきの零さんの声は、全てコナンくんが変声機を使っていたのだろう。
そして今、赤井さんの死が偽造であり、沖矢昴として身を隠している事がバレそうになっている。
だが、なぜ私を...?
「2人はやっぱり恋人だったの?」
「恋人じゃないよ。それよりも、もっと大切でかけがえのない人」
「そっか...」
「なんでこんな事を?」
「安室さんが沖矢さんの正体に気づこうとしてる。この意味、なまえさんなら分かるよね?」
私の知らないところで、物語は確実に進んでいたようだ。
でも、ここで私を巻き込む理由が分からない。
「私に何を求める?」
「協力してほしいんだ」
「...もし、断ったら?」
今回コナンくん達に協力するという事は、零さんを裏切るという事。
私が何もしなくても物語は勝手に進むし、コナンくんの作戦は問題ないはずだ。
それなのに、なんで...
「安室さんの事、バラされたら困るよね?」
「...」
「なまえさん...協力、してくれるよね?」
やっぱりコナンくんには叶わない。
もし私が断ったとしても、コナンくん達が本当に零さんの事をバラすとは思っていない。
だが、こんな風に言われたら私に残された道はただ一つだ...
「私はどうしたらいい?」