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私は今、喫茶ポアロの前にいる。
手にはあの日零さんが貸してくれたジャケットが入った紙袋とデパートで買った菓子折り。
この一週間、早く返しに行かなきゃと思いつつ、なかなか行けずにいた。
そして今日やっと自分を奮い立たせて、ここまで来たのだが、果たして喫茶店の扉を開けるのにこんなに勇気がいる事があるだろうか。
「なまえさん?どうしたの?」
手を上げたり下ろしたりしていると突然横から声を掛けられた。
パッと声のした方を見ると、そこにはなんと毛利さん御一行がいてコナンくんが不思議そうに私を見ていた。
「コ、コナンくん!えっと、安室さんにこの間のお礼をしに来たんだけど、忙しいかもしれないし今日はやっぱり帰ろかなぁって」
そう言って回れ右しようとした私に、今度は蘭ちゃんが話しかけてきた。
「あの、なまえさんですよね?私、毛利蘭といいます。コナンくんから話を聞いていて、ずっとお話したいなって思っていたんです!今の時間ならそんなに混んでないだろうし、よかったら一緒に入りませんか?」
蘭ちゃんはニコニコと、私にとっては死刑宣告のような事を言った。
そんな可愛い笑顔で言われたら、断れるはずがない。本当はずっとコナンの世界に来たら蘭ちゃんとも仲良くなりたいと思っていたのだ。
でも、まぁいつかはこのジャケットも返さなければならない。
私は腹をくくって、手に持った紙袋をギュッと握りしめた。
それに蘭ちゃんやコナンくんが一緒の方が、一人より入りやすいだろう。
「ありがとう!それじゃあ、お言葉に甘えてご一緒させてもらおうかな?えっと、そちらは蘭ちゃんのお父様かな?」
「あ、はい。私の父で...「探偵をやっております毛利小五郎と申します!いやぁ、この小僧にこんな可愛らしい知り合いがいたなんて!もし困った事がありましたら、いつでも、この名探偵毛利小五郎にお任せ下さい!!」
本当は知っているが、知っていたらおかしいので、ボロが出る前にと毛利さんの方に話を振る。
すると毛利さんは待ってましたとばかりに、蘭ちゃんの言葉を遮って自己紹介を始めた。
私は別に美人じゃないし、至って普通の容姿だが、毛利さんは女性に優しい紳士な人なんだな。
なんだかそれがテレビや漫画で見ていた通りで、つい面白くて笑ってしまった。
「申し遅れました。みょうじなまえです。名探偵がいれば、心強いですね」
そう言って毛利さんを見ると満更でもなさそうで、嬉しそうだ。
名探偵かはさておき、気のいい人なのだろう。
「それじゃあ、中に入りましょうか」
そうして私たちは蘭ちゃんの言葉を合図にポアロへと入っていった。
「いらっしゃいませ!あ、なまえさん!あれからお体は大丈夫ですか?」
毛利さんや蘭ちゃんの影に隠れるように、一番最後に店内に入ったはずなのに、何故か一番に声を掛けられてしまった。
きっと彼の事だから、私が扉の前で入るのを躊躇っていたのに気づいていたのだろう。
「は、はい。その節はご迷惑をお掛けして、すみませんでした。これ、その時お借りしたジャケットと、少しですが良かったら皆さんで召し上がって下さい。本当にありがとうございました」
深々と頭を下げて紙袋を差し出せば、安室さんは「僕が好きでした事ですから気にしないで下さい。ですが、せっかくですから皆でいただきますね」と言って受け取ってくれた。
「なんだよ、小僧だけじゃなくて、お前までなまえさんと知り合いだったのか」
「あ、毛利先生。えぇ、先日ポアロに来て下さった時に」
安室さんは、まるで今気づいたかのように毛利さんの方を見た。それはちょっと白々しくないか?と思ったが、毛利さんは別に気にしていないようだ。
それから、お好きな席にどうぞと促されて、四人でテーブル席に着いた。
この時間は本当に空いているようで、店内は私たち以外お客さんはいない。
「なまえさんはコナンくんと、どこで知り合ったんですか?」
「えっとー、どこだったかな?ねぇコナンくんどこだっけ?」
「え?えっと、こ、公園だよ!公園で遊んでた時に僕転んじゃって、たまたま通りがかったなまえさんが手当てしてくれたんだ」
突然どこで知り合ったか聞かれて、私は困ってしまい助けを求めるようにコナンくんに振った。
だって言えない。気づいたら工藤邸にいたなんて。蘭ちゃん勘違いしちゃう。
「そ、そう!そういえば、そんな事あったね」
「そうだったんですね。コナンくんからよく話は聞いてたから、今日こうしてお話できて嬉しいです」
蘭ちゃん、なんていい子なんだ。もはや天使。
ベルモットがエンジェルって呼びたくなる気持ちも分かる。
「私も!こっちで女友達いないから、蘭ちゃんとお話できて嬉しい」
「こっちって事は、なまえさんは転勤か何かで引っ越してきたんですか?」
「え?あぁ、えっと、私記憶がなくて...」
まずい、つい嬉しくて口が滑った。
今この瞬間、コナンくんや安室さんが私を鋭い目で見ている気がして、顔が引きつる。
「あ、そうだったんですか。私知らなくて、無神経にすみません...」
「ううん。全然。私も最近は記憶喪失だって忘れちゃうくらいだから、気にしないで」
シュンとしてしまった蘭ちゃんに、罪悪感が押し寄せる。
私は慌てて笑って大丈夫だと告げると、やっと蘭ちゃんも笑ってくれた。
「記憶喪失とは大変ですな。じゃあ、仕事はどうされてるんですか?」
「今は仕事はしてなくて。でも、そろそろ働きたいなって思ってて...これから探すつもりです」
毛利さんに仕事について聞かれて、仕事を探そうと思っていたことを思い出した。
事件に巻き込まれたり、一晩だが入院したりと、バタバタしていてすっかり忘れていた。
そこでちょうど、私たちの注文していた飲み物を持ってきた零さんが口を開いた。
「なまえさん、仕事を探しているんですか?それなら、ここで働きませんか?」
手にはあの日零さんが貸してくれたジャケットが入った紙袋とデパートで買った菓子折り。
この一週間、早く返しに行かなきゃと思いつつ、なかなか行けずにいた。
そして今日やっと自分を奮い立たせて、ここまで来たのだが、果たして喫茶店の扉を開けるのにこんなに勇気がいる事があるだろうか。
「なまえさん?どうしたの?」
手を上げたり下ろしたりしていると突然横から声を掛けられた。
パッと声のした方を見ると、そこにはなんと毛利さん御一行がいてコナンくんが不思議そうに私を見ていた。
「コ、コナンくん!えっと、安室さんにこの間のお礼をしに来たんだけど、忙しいかもしれないし今日はやっぱり帰ろかなぁって」
そう言って回れ右しようとした私に、今度は蘭ちゃんが話しかけてきた。
「あの、なまえさんですよね?私、毛利蘭といいます。コナンくんから話を聞いていて、ずっとお話したいなって思っていたんです!今の時間ならそんなに混んでないだろうし、よかったら一緒に入りませんか?」
蘭ちゃんはニコニコと、私にとっては死刑宣告のような事を言った。
そんな可愛い笑顔で言われたら、断れるはずがない。本当はずっとコナンの世界に来たら蘭ちゃんとも仲良くなりたいと思っていたのだ。
でも、まぁいつかはこのジャケットも返さなければならない。
私は腹をくくって、手に持った紙袋をギュッと握りしめた。
それに蘭ちゃんやコナンくんが一緒の方が、一人より入りやすいだろう。
「ありがとう!それじゃあ、お言葉に甘えてご一緒させてもらおうかな?えっと、そちらは蘭ちゃんのお父様かな?」
「あ、はい。私の父で...「探偵をやっております毛利小五郎と申します!いやぁ、この小僧にこんな可愛らしい知り合いがいたなんて!もし困った事がありましたら、いつでも、この名探偵毛利小五郎にお任せ下さい!!」
本当は知っているが、知っていたらおかしいので、ボロが出る前にと毛利さんの方に話を振る。
すると毛利さんは待ってましたとばかりに、蘭ちゃんの言葉を遮って自己紹介を始めた。
私は別に美人じゃないし、至って普通の容姿だが、毛利さんは女性に優しい紳士な人なんだな。
なんだかそれがテレビや漫画で見ていた通りで、つい面白くて笑ってしまった。
「申し遅れました。みょうじなまえです。名探偵がいれば、心強いですね」
そう言って毛利さんを見ると満更でもなさそうで、嬉しそうだ。
名探偵かはさておき、気のいい人なのだろう。
「それじゃあ、中に入りましょうか」
そうして私たちは蘭ちゃんの言葉を合図にポアロへと入っていった。
「いらっしゃいませ!あ、なまえさん!あれからお体は大丈夫ですか?」
毛利さんや蘭ちゃんの影に隠れるように、一番最後に店内に入ったはずなのに、何故か一番に声を掛けられてしまった。
きっと彼の事だから、私が扉の前で入るのを躊躇っていたのに気づいていたのだろう。
「は、はい。その節はご迷惑をお掛けして、すみませんでした。これ、その時お借りしたジャケットと、少しですが良かったら皆さんで召し上がって下さい。本当にありがとうございました」
深々と頭を下げて紙袋を差し出せば、安室さんは「僕が好きでした事ですから気にしないで下さい。ですが、せっかくですから皆でいただきますね」と言って受け取ってくれた。
「なんだよ、小僧だけじゃなくて、お前までなまえさんと知り合いだったのか」
「あ、毛利先生。えぇ、先日ポアロに来て下さった時に」
安室さんは、まるで今気づいたかのように毛利さんの方を見た。それはちょっと白々しくないか?と思ったが、毛利さんは別に気にしていないようだ。
それから、お好きな席にどうぞと促されて、四人でテーブル席に着いた。
この時間は本当に空いているようで、店内は私たち以外お客さんはいない。
「なまえさんはコナンくんと、どこで知り合ったんですか?」
「えっとー、どこだったかな?ねぇコナンくんどこだっけ?」
「え?えっと、こ、公園だよ!公園で遊んでた時に僕転んじゃって、たまたま通りがかったなまえさんが手当てしてくれたんだ」
突然どこで知り合ったか聞かれて、私は困ってしまい助けを求めるようにコナンくんに振った。
だって言えない。気づいたら工藤邸にいたなんて。蘭ちゃん勘違いしちゃう。
「そ、そう!そういえば、そんな事あったね」
「そうだったんですね。コナンくんからよく話は聞いてたから、今日こうしてお話できて嬉しいです」
蘭ちゃん、なんていい子なんだ。もはや天使。
ベルモットがエンジェルって呼びたくなる気持ちも分かる。
「私も!こっちで女友達いないから、蘭ちゃんとお話できて嬉しい」
「こっちって事は、なまえさんは転勤か何かで引っ越してきたんですか?」
「え?あぁ、えっと、私記憶がなくて...」
まずい、つい嬉しくて口が滑った。
今この瞬間、コナンくんや安室さんが私を鋭い目で見ている気がして、顔が引きつる。
「あ、そうだったんですか。私知らなくて、無神経にすみません...」
「ううん。全然。私も最近は記憶喪失だって忘れちゃうくらいだから、気にしないで」
シュンとしてしまった蘭ちゃんに、罪悪感が押し寄せる。
私は慌てて笑って大丈夫だと告げると、やっと蘭ちゃんも笑ってくれた。
「記憶喪失とは大変ですな。じゃあ、仕事はどうされてるんですか?」
「今は仕事はしてなくて。でも、そろそろ働きたいなって思ってて...これから探すつもりです」
毛利さんに仕事について聞かれて、仕事を探そうと思っていたことを思い出した。
事件に巻き込まれたり、一晩だが入院したりと、バタバタしていてすっかり忘れていた。
そこでちょうど、私たちの注文していた飲み物を持ってきた零さんが口を開いた。
「なまえさん、仕事を探しているんですか?それなら、ここで働きませんか?」