37 降谷side
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ポアロでバイトをしながらも、考えるのは昨日見たあの光景だった。
一日経って冷静に思い返してみても、やはりあれはなまえさんで沖矢昴と手を繋いでいた。
そしてずっと考えているのが、なぜなまえさんは記憶を失くしたのかという事だ。
いつ彼女はこちらの世界に戻ってきて、いつ記憶を失くしたのか...
何らかの事故や事件に巻き込まれたのか、それとも世界を渡る代償や後遺症のようなものがあるのか?
でも、初めに出会ったときはそういった後遺症のようなものはなかったように思う。
なら、やはり事故か事件か。
テーブルを拭いていると外から視線を感じ顔を上げると、そこにいたのは今まさに俺の頭の中の大半を締めていたその人なまえさんだった。
彼女は俺と目が合って、なぜか息を飲んだように見えた。
一向に中へ入ってこないので、このまま帰ってしまうのかとも思ったが、どうやら彼女が店へ入る事を拒んでいるようだった。
両手を子どもたちに掴まれいて、困ったような顔をしている。
扉越しに会話に入るタイミングを伺っていると、なまえさんの叫ぶような声がした。
「わ、私、イケメンを見ると蕁麻疹がでるの!私イケメンアレルギーなの!!」
そこで俺は吹き出しそうになった。
イケメンアレルギーってなんだ。
前一緒に住んでいた時はそんな事言わなかったし、蕁麻疹なんて出なかっただろ。
つまり彼女は嘘をついている。
なぜ?
ポアロに入りたくないから。
どうして?
俺に会いたくないから。
記憶がないのに?
記憶のないはずの彼女がなぜこんな嘘をつくのか、結局思考は堂々巡りだ。
だが、ほかの誰でもない彼女にイケメンと言われるのは悪くない。
そう思ってしまう俺は重症かもしれない。
扉を開けて、いらっしゃいと声をかけると、なまえさんが勢いよくこちらを見て目が合った。
目が合ったのは一瞬だったが、俺はこのままずっと彼女の瞳を見つめていたいと思った。
もう俺の手の届かない場所にいってしまったと思っていた彼女が、今目の前にいるのだ。
しかし彼女の口から「はじめまして」と言われた瞬間、足元が崩れていくような気がした。
分かっていた、彼女が記憶を失くしたということは。
それでも、自分と会ったら何か思い出すかもしれないとほんの少し期待もしていた。
俺は彼女への想いを安室透の柔らかい表情に隠して、「はじめまして」と返した。
だが、そこで違和感を覚えた。
なぜ、彼女が悲しい瞳をしているのだろう?
なぜ、彼女が苦しそうな顔をしているのだろう?
俺はそれぞれの注文を聞きながら、彼女に感じた違和感について考えていた。
この違和感はなんだ?
なにが、変わった?
俺は何かを...見落としている...?
安室透で微笑みかければ、なまえさんも微笑み返してきたが、それは無理をしているように見えた。
そこで俺はハッとした。
逆だ。変わったんじゃない、変わっていないんだ。
3年前となまえさんは変わっていない。
答えは目の前にあった。
この彼女の笑顔が答えだった。
前にもこんな笑い方をしていたなまえさんを見た事がある。
いずれもそんな時彼女は、何かを一人で抱え込んで隠しているときだった。
それから嘘をついているとき。
注文を聞き終わり彼女たちのテーブルを離れるが、背中に彼女の視線が刺さった。
確証はないが、おそらく俺の推測は正しい。
それを確かめるため注文の品をテーブルに運んだ後、なまえさんに話しかけてみた。
記憶喪失なのかと尋ねると、やはりあの笑顔を返された。
それに彼女の返事からは、記憶を思い出そうという気がないように感じた。
やはり、なまえさんは何かを隠している。
理由は分からないが、そんなことは問題ではない。
俺はもう遠慮しない。
彼女が生きてさえいればいい、なんて綺麗事を自分に言い聞かせたが無理だった。
沖矢昴がいようが誰がいようが関係ない。
あなたが何を隠そうが、嘘をつこうが、例え俺から逃げようが、俺が全てを解き明かして、必ずあなたを捕まえてみせる。
そして、もう二度とこの手を離しはしない。
一日経って冷静に思い返してみても、やはりあれはなまえさんで沖矢昴と手を繋いでいた。
そしてずっと考えているのが、なぜなまえさんは記憶を失くしたのかという事だ。
いつ彼女はこちらの世界に戻ってきて、いつ記憶を失くしたのか...
何らかの事故や事件に巻き込まれたのか、それとも世界を渡る代償や後遺症のようなものがあるのか?
でも、初めに出会ったときはそういった後遺症のようなものはなかったように思う。
なら、やはり事故か事件か。
テーブルを拭いていると外から視線を感じ顔を上げると、そこにいたのは今まさに俺の頭の中の大半を締めていたその人なまえさんだった。
彼女は俺と目が合って、なぜか息を飲んだように見えた。
一向に中へ入ってこないので、このまま帰ってしまうのかとも思ったが、どうやら彼女が店へ入る事を拒んでいるようだった。
両手を子どもたちに掴まれいて、困ったような顔をしている。
扉越しに会話に入るタイミングを伺っていると、なまえさんの叫ぶような声がした。
「わ、私、イケメンを見ると蕁麻疹がでるの!私イケメンアレルギーなの!!」
そこで俺は吹き出しそうになった。
イケメンアレルギーってなんだ。
前一緒に住んでいた時はそんな事言わなかったし、蕁麻疹なんて出なかっただろ。
つまり彼女は嘘をついている。
なぜ?
ポアロに入りたくないから。
どうして?
俺に会いたくないから。
記憶がないのに?
記憶のないはずの彼女がなぜこんな嘘をつくのか、結局思考は堂々巡りだ。
だが、ほかの誰でもない彼女にイケメンと言われるのは悪くない。
そう思ってしまう俺は重症かもしれない。
扉を開けて、いらっしゃいと声をかけると、なまえさんが勢いよくこちらを見て目が合った。
目が合ったのは一瞬だったが、俺はこのままずっと彼女の瞳を見つめていたいと思った。
もう俺の手の届かない場所にいってしまったと思っていた彼女が、今目の前にいるのだ。
しかし彼女の口から「はじめまして」と言われた瞬間、足元が崩れていくような気がした。
分かっていた、彼女が記憶を失くしたということは。
それでも、自分と会ったら何か思い出すかもしれないとほんの少し期待もしていた。
俺は彼女への想いを安室透の柔らかい表情に隠して、「はじめまして」と返した。
だが、そこで違和感を覚えた。
なぜ、彼女が悲しい瞳をしているのだろう?
なぜ、彼女が苦しそうな顔をしているのだろう?
俺はそれぞれの注文を聞きながら、彼女に感じた違和感について考えていた。
この違和感はなんだ?
なにが、変わった?
俺は何かを...見落としている...?
安室透で微笑みかければ、なまえさんも微笑み返してきたが、それは無理をしているように見えた。
そこで俺はハッとした。
逆だ。変わったんじゃない、変わっていないんだ。
3年前となまえさんは変わっていない。
答えは目の前にあった。
この彼女の笑顔が答えだった。
前にもこんな笑い方をしていたなまえさんを見た事がある。
いずれもそんな時彼女は、何かを一人で抱え込んで隠しているときだった。
それから嘘をついているとき。
注文を聞き終わり彼女たちのテーブルを離れるが、背中に彼女の視線が刺さった。
確証はないが、おそらく俺の推測は正しい。
それを確かめるため注文の品をテーブルに運んだ後、なまえさんに話しかけてみた。
記憶喪失なのかと尋ねると、やはりあの笑顔を返された。
それに彼女の返事からは、記憶を思い出そうという気がないように感じた。
やはり、なまえさんは何かを隠している。
理由は分からないが、そんなことは問題ではない。
俺はもう遠慮しない。
彼女が生きてさえいればいい、なんて綺麗事を自分に言い聞かせたが無理だった。
沖矢昴がいようが誰がいようが関係ない。
あなたが何を隠そうが、嘘をつこうが、例え俺から逃げようが、俺が全てを解き明かして、必ずあなたを捕まえてみせる。
そして、もう二度とこの手を離しはしない。