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赤井さんが屋上を去った後、零さんはスコッチの遺体を屋上に残したまま、私の手を引いてこの場を後にした。
薄暗い裏道を進みながら、零さんはどこかに電話をかけている。
話しぶりからして、おそらく風見さんにでもかけているのだろう。
それから裏道をいくつか抜けて小道に出ると、目の前には見慣れた建物、零さんが住むアパートだった。
お互い無言のまま階段を上る。屋上を離れてから手はずっと繋いだままだ。
部屋に入ると、零さんは私に風呂に入るように言った。
正直、ゆっくり風呂に入るような心境ではない私は、断ろうと口を開くが、それを遮られるように、顔も服も汚れてるから...と言われ風呂場に押し込まれた。
そして脱衣場の鏡に映る自分の姿に、叫びそうになった。
顔には血しぶきが飛んでいて、コートもあちこち血で汚れていた。
まるで私がスコッチを殺したような姿だった...
お風呂から出ると、私が着ていた服は洗濯機に放り込まれていて、代わりに零さんのスウェットが置いてあった。着てみるが、やはり大きくてかなり捲り上げてなんとか着た。
「お風呂、ありがとうございました。あと、この服も...」
「いいえ。僕もシャワーを浴びてきますので、なまえさんはゆっくりしてて下さい」
そして零さんにお風呂と服のお礼を言うが、彼はさっさと脱衣場に行ってしまった。
ソファーの上で体育座りのように両足を両手で抱え、膝に顔を埋めた。
スコッチが引き金を引くあの瞬間が、ぐるぐると頭の中を回り続け、私を暗い底なし沼に引きずり込む。
私は、何のためにこの世界に来たのだろう?
守りたい人も助けれらず、何の役にも立たない私が、なぜこの世界に来てしまったのだろう...
きっと助けられる命だったはずなのに、何一つ変えられなくて結局彼は死んでしまった...
もしトリップしたのが私でなければ、彼は今も生きていたかもしれない。
彼は...私のせいで...
「...さん、なまえさん、なまえさん!!」
突然耳元で名前を呼ばれ、私は驚いて勢いよく顔を上げた。
そこには、眉を八の字に下げた零さんが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「あ...降谷さん...」
「なまえさん、大丈夫ですか?」
「降谷さん、私...」
「ちゃんとお風呂で温まらなかったんですか?手がこんなに冷えてる」
零さんは私の言葉を遮り、手を握ってきた。
そして、ちょっと待っててください、と言って台所に行ってしまった。
少しすると、マグカップを片手に持った零さんが戻ってきた。
それを私にそっと差し出した。
「蜂蜜入りのホットミルクです。落ち着きますよ」
「ありがとうございます...」
そして零さんは私の頭を優しく子供を落ち着かせるように撫でてくれた。
本当に辛いのは、彼のはずなのに...
「なぜ私があそこにいたのか聞かないんですか?」
「...僕はあなたが言いたくないことを、聞きたいとは思わない」
彼はどうしてこんなに優しいのだろう?
本当は今すぐにでもあの時何があったか問い詰めたいはずなのに、零さんはそれをしない。
でも今はその優しさが苦しかった。
お前のせいだと罵って欲しかった
「でも、彼は私のせいで...」
「彼が、スコッチが死んだのは僕が無力だったからです。だから、なまえさんが責任を感じることは何一つありません」
零さんは無力なんかじゃない。無力だったのは、この私だと、私のせいでスコッチは死んだのだと叫びたかった。
でも、それは零さんの力強い腕に抱きしめられたことで叶わなかった。
そして、私の存在を確かめるかのように強く強く抱きしめながら、零さんは絞り出すような、泣き出しそうな声で言った。
「なまえさん、どうかあなたは僕の前からいなくならないで」
薄暗い裏道を進みながら、零さんはどこかに電話をかけている。
話しぶりからして、おそらく風見さんにでもかけているのだろう。
それから裏道をいくつか抜けて小道に出ると、目の前には見慣れた建物、零さんが住むアパートだった。
お互い無言のまま階段を上る。屋上を離れてから手はずっと繋いだままだ。
部屋に入ると、零さんは私に風呂に入るように言った。
正直、ゆっくり風呂に入るような心境ではない私は、断ろうと口を開くが、それを遮られるように、顔も服も汚れてるから...と言われ風呂場に押し込まれた。
そして脱衣場の鏡に映る自分の姿に、叫びそうになった。
顔には血しぶきが飛んでいて、コートもあちこち血で汚れていた。
まるで私がスコッチを殺したような姿だった...
お風呂から出ると、私が着ていた服は洗濯機に放り込まれていて、代わりに零さんのスウェットが置いてあった。着てみるが、やはり大きくてかなり捲り上げてなんとか着た。
「お風呂、ありがとうございました。あと、この服も...」
「いいえ。僕もシャワーを浴びてきますので、なまえさんはゆっくりしてて下さい」
そして零さんにお風呂と服のお礼を言うが、彼はさっさと脱衣場に行ってしまった。
ソファーの上で体育座りのように両足を両手で抱え、膝に顔を埋めた。
スコッチが引き金を引くあの瞬間が、ぐるぐると頭の中を回り続け、私を暗い底なし沼に引きずり込む。
私は、何のためにこの世界に来たのだろう?
守りたい人も助けれらず、何の役にも立たない私が、なぜこの世界に来てしまったのだろう...
きっと助けられる命だったはずなのに、何一つ変えられなくて結局彼は死んでしまった...
もしトリップしたのが私でなければ、彼は今も生きていたかもしれない。
彼は...私のせいで...
「...さん、なまえさん、なまえさん!!」
突然耳元で名前を呼ばれ、私は驚いて勢いよく顔を上げた。
そこには、眉を八の字に下げた零さんが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「あ...降谷さん...」
「なまえさん、大丈夫ですか?」
「降谷さん、私...」
「ちゃんとお風呂で温まらなかったんですか?手がこんなに冷えてる」
零さんは私の言葉を遮り、手を握ってきた。
そして、ちょっと待っててください、と言って台所に行ってしまった。
少しすると、マグカップを片手に持った零さんが戻ってきた。
それを私にそっと差し出した。
「蜂蜜入りのホットミルクです。落ち着きますよ」
「ありがとうございます...」
そして零さんは私の頭を優しく子供を落ち着かせるように撫でてくれた。
本当に辛いのは、彼のはずなのに...
「なぜ私があそこにいたのか聞かないんですか?」
「...僕はあなたが言いたくないことを、聞きたいとは思わない」
彼はどうしてこんなに優しいのだろう?
本当は今すぐにでもあの時何があったか問い詰めたいはずなのに、零さんはそれをしない。
でも今はその優しさが苦しかった。
お前のせいだと罵って欲しかった
「でも、彼は私のせいで...」
「彼が、スコッチが死んだのは僕が無力だったからです。だから、なまえさんが責任を感じることは何一つありません」
零さんは無力なんかじゃない。無力だったのは、この私だと、私のせいでスコッチは死んだのだと叫びたかった。
でも、それは零さんの力強い腕に抱きしめられたことで叶わなかった。
そして、私の存在を確かめるかのように強く強く抱きしめながら、零さんは絞り出すような、泣き出しそうな声で言った。
「なまえさん、どうかあなたは僕の前からいなくならないで」