17
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
心臓は苦しいし、肺は痛い。だがそんなことは言ってられない。早く早くと自分を急かして、だが音をなるべく立てないよう非常階段を上る。
やっとの思いで屋上まで辿り着くと、やはり思った通りだった。
そこには、赤井さんに拳銃を向けるスコッチがいた。
「......拳銃はお前を撃つために抜いたんじゃない。......こうする...為だ!」
「ダメ!!」
私が叫ぶのと、赤井さんがリボルバーのシリンダーを掴むのとは、ほぼ同時だった。
「な、なぜここに君が...」
「赤井さん、絶対にその手離さないで下さいね」
私はスコッチを無視して、赤井さんに声をかけた。
「おや、君はさっきのお嬢さんじゃないか。しかし、俺のことを知っているとなると、どうやらただのお嬢さんではないらしい」
「ライ、この子は組織とは何も関係ない。何も知らない一般人だ。だから...」
「スコッチ」
何も知らないスコッチが私を庇おうとしてくれた。だから、私は敢えて彼のコードネームを呼んだ。
彼は驚きに目を見開き、やがて何かを思いついたように顔を青ざめて慌てだした。
「もしかして、君は組織からの命令でノックを探っていたのか?だから、バーボンの家にいたのか?だから今もここに...」
「違う!私は、組織とは何の関係もない。スコッチ、いえ、ヒロさん。私はあなたを助けに来たんだよ」
スコッチの言葉を遮り、そう言うと目を見開いて言葉を失っているようだった。
隣を見ると、赤井さんはなぜか面白いものを見るように私を見ていた。
「組織の人間じゃないなら、なぜ俺のコードネームを知っているんだ?」
「それは後で説明するから、今はこの状況を何とかしないと。何か考えがあるんですよね?赤井秀一さん」
後は赤井さんにお願いした方がいいと判断して、私は彼の本名をフルネームで呼んだ。
すると、赤井さんは目を細めて鋭い視線を私に向け、少しの間見つめあってから頷いてくれた。
「リボルバーのシリンダーを掴まれたら、人間の力で引き金を引くのは不可能だよ。自殺は諦めろ、スコッチ。君はここで死ぬべき男ではない」
「何?」
「さっきそこの彼女に言われてしまったが、俺はFBIから潜入している赤井秀一。お前と同じやつらに噛みつこうとしている犬だ。さぁ、分かったら拳銃を離して俺の話を聞け。お前ひとり逃がすぐらい造作もないのだから」
赤井さんがFBIだと分かり、スコッチは少し落ち着きを取り戻したようで拳銃を自身の胸から離して下した。
よかった。これならきっともう大丈夫だ
「ヒロさん。自殺なんてしたら、バーボンが悲しむよ。もちろん私もね」
「...あぁ、ありがとう。なまえちゃん。だが君は一体...」
そうスコッチが言いかけたところで、非常階段を駆け上る足音が聞こえた。おそらく零さんだ。
私はスコッチが拳銃を下ろしていた為、油断してしまっていた。
気づいた時には、もう遅かった。
「ライ。なまえちゃんを頼む」
そう言って微笑むと、スコッチは素早く胸に拳銃を当てて、その引き金を引いた。
彼の指が引き金を引いていくその瞬間が、まるでスローモーションのように、ひどくゆっくりに見えた。
バーンッ
空気を引き裂くような鋭い銃声の音が鳴り響いた。
「ヒロさん!!」
彼を揺さぶって呼びかけるが、反応はない。
すでに心臓の鼓動も、呼吸も止まっていた。
「違うのに、この足音は違うのに!!なんでよ、ヒロさん!!」
泣きながらスコッチの遺体に縋りついていると、赤井さんがスコッチの胸ポケットへと手を伸ばした。その手には、銃弾に撃ち抜かれた携帯があった。
スコッチはみんなを守るために、零さんを守るために...
私がもっとちゃんと上手く出来ていれば、彼を死なせずに済んだのに。私は知っていたのに...
そして赤井さんはスコッチの携帯をまた胸ポケットに戻すと、彼の手から拳銃を抜き取った。
「悪いがお嬢ちゃん、少し大人しくしていてくれ。それから、今見た出来事と俺の事は、他言無用で頼む」
赤井さんはそう言って、拳銃を私の頭へ突き付けた。
それからすぐ近くで足音が聞こえ、息を切らした零さんが現れた。
彼はこの惨状に大きく目を見開き絶望したような顔をしていた。
そして、赤井さんは私に拳銃を突き付けながら、零さんの方へ振り返った。
「裏切りには、制裁をもって応える...だったよな」
この世界から他の音がきえてしまったかのように、赤井さんの声と零さんが息を呑む音だけが響き渡った。
やっとの思いで屋上まで辿り着くと、やはり思った通りだった。
そこには、赤井さんに拳銃を向けるスコッチがいた。
「......拳銃はお前を撃つために抜いたんじゃない。......こうする...為だ!」
「ダメ!!」
私が叫ぶのと、赤井さんがリボルバーのシリンダーを掴むのとは、ほぼ同時だった。
「な、なぜここに君が...」
「赤井さん、絶対にその手離さないで下さいね」
私はスコッチを無視して、赤井さんに声をかけた。
「おや、君はさっきのお嬢さんじゃないか。しかし、俺のことを知っているとなると、どうやらただのお嬢さんではないらしい」
「ライ、この子は組織とは何も関係ない。何も知らない一般人だ。だから...」
「スコッチ」
何も知らないスコッチが私を庇おうとしてくれた。だから、私は敢えて彼のコードネームを呼んだ。
彼は驚きに目を見開き、やがて何かを思いついたように顔を青ざめて慌てだした。
「もしかして、君は組織からの命令でノックを探っていたのか?だから、バーボンの家にいたのか?だから今もここに...」
「違う!私は、組織とは何の関係もない。スコッチ、いえ、ヒロさん。私はあなたを助けに来たんだよ」
スコッチの言葉を遮り、そう言うと目を見開いて言葉を失っているようだった。
隣を見ると、赤井さんはなぜか面白いものを見るように私を見ていた。
「組織の人間じゃないなら、なぜ俺のコードネームを知っているんだ?」
「それは後で説明するから、今はこの状況を何とかしないと。何か考えがあるんですよね?赤井秀一さん」
後は赤井さんにお願いした方がいいと判断して、私は彼の本名をフルネームで呼んだ。
すると、赤井さんは目を細めて鋭い視線を私に向け、少しの間見つめあってから頷いてくれた。
「リボルバーのシリンダーを掴まれたら、人間の力で引き金を引くのは不可能だよ。自殺は諦めろ、スコッチ。君はここで死ぬべき男ではない」
「何?」
「さっきそこの彼女に言われてしまったが、俺はFBIから潜入している赤井秀一。お前と同じやつらに噛みつこうとしている犬だ。さぁ、分かったら拳銃を離して俺の話を聞け。お前ひとり逃がすぐらい造作もないのだから」
赤井さんがFBIだと分かり、スコッチは少し落ち着きを取り戻したようで拳銃を自身の胸から離して下した。
よかった。これならきっともう大丈夫だ
「ヒロさん。自殺なんてしたら、バーボンが悲しむよ。もちろん私もね」
「...あぁ、ありがとう。なまえちゃん。だが君は一体...」
そうスコッチが言いかけたところで、非常階段を駆け上る足音が聞こえた。おそらく零さんだ。
私はスコッチが拳銃を下ろしていた為、油断してしまっていた。
気づいた時には、もう遅かった。
「ライ。なまえちゃんを頼む」
そう言って微笑むと、スコッチは素早く胸に拳銃を当てて、その引き金を引いた。
彼の指が引き金を引いていくその瞬間が、まるでスローモーションのように、ひどくゆっくりに見えた。
バーンッ
空気を引き裂くような鋭い銃声の音が鳴り響いた。
「ヒロさん!!」
彼を揺さぶって呼びかけるが、反応はない。
すでに心臓の鼓動も、呼吸も止まっていた。
「違うのに、この足音は違うのに!!なんでよ、ヒロさん!!」
泣きながらスコッチの遺体に縋りついていると、赤井さんがスコッチの胸ポケットへと手を伸ばした。その手には、銃弾に撃ち抜かれた携帯があった。
スコッチはみんなを守るために、零さんを守るために...
私がもっとちゃんと上手く出来ていれば、彼を死なせずに済んだのに。私は知っていたのに...
そして赤井さんはスコッチの携帯をまた胸ポケットに戻すと、彼の手から拳銃を抜き取った。
「悪いがお嬢ちゃん、少し大人しくしていてくれ。それから、今見た出来事と俺の事は、他言無用で頼む」
赤井さんはそう言って、拳銃を私の頭へ突き付けた。
それからすぐ近くで足音が聞こえ、息を切らした零さんが現れた。
彼はこの惨状に大きく目を見開き絶望したような顔をしていた。
そして、赤井さんは私に拳銃を突き付けながら、零さんの方へ振り返った。
「裏切りには、制裁をもって応える...だったよな」
この世界から他の音がきえてしまったかのように、赤井さんの声と零さんが息を呑む音だけが響き渡った。