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「ありがとうございました」
男性客が帰り、ふぅと息を吐きだした。
その男性客はこれから彼女にプロポーズするらしく、その時に指輪と一緒に渡す花束を買いに来たと言っていた。
花束を受け取った男性は、嬉しそうな顔をしていて、これからプロポーズする彼女の事がとても大切なのだなと思った。
零さんは、今頃何をしているだろうか。
怪我などしていないだろうか。
「なまえちゃん、今日はもう上がっていいよ。ご苦労様」
「分かりました。お疲れ様です」
私はエプロンを外し秋物のコートを羽織って、自分のアパートがある方向とは逆方向に歩いていく。
零さんの家を出てから毎日、私はバイトが終わるとこうして町を歩き、ある建物を探していた。
今日は、町の西側を探すことに決めていた。
それらしい建物がある場所に印をつけた地図を片手に、私は歩き続けた。
「ここも違うか...」
そして、一つの印にバツをつけた。
すでに地図の東側は、バツだらけだった。
私が夜な夜な探しているもの、それは外に非常階段があり、おそらく5階かもしくはそれ以上のビル。
そう、スコッチが拳銃自殺してしまうビルだ。
原作を思い出して探しているのだが、ビルの色も分からないため、なかなか上手くいかない。
似たようなビルもいくつかあったにはあったが、なんとなくピンと来なかった。
空には星が輝いていて、人通りも少なくなってきた。
あれから季節は進み、もうすっかり秋だ。夜の空気は冷たい。
時間がない。早く見つけなければと焦る。私の記憶が正しければ、きっともうそろそろスコッチは...
その時、建物と建物の間から人が飛び出してきた。
地図を見ながら歩いていた私は、反応が遅れ勢いよくぶつかってしまった。
後ろに吹っ飛び、衝撃に備えようとギュッと目を瞑り体を丸めるが、来るはずの衝撃はいつまで経っても来ない。
そっと目を開くと、目の前には黒いシャツがあった。そして、自分が今誰かに抱きしめられるような体制でいたことに驚き、慌てて離れた。しかし、その誰かの顔を見て、さらに驚いて固まってしまった。
そこにいたのはニット帽に、モスグリーンの瞳、黒い綺麗な長髪の男、赤井秀一だった。
固まっている私の顔を赤井さんが覗き込んできて、その綺麗なモスグリーンの瞳と至近距離で目が合う。
「すまない。怪我はないか?お嬢さん」
「い、いえ。私こそ前を見てなくて、すみませんでした」
そう声を掛けられて、怪しまれないよう慌てて謝罪する。
「そうだな。俺も勢いよく飛び出してしまったが、お嬢さんも前を見ていなかった。過失の割合は50:50だからお互い様だ」
「はい、本当にすみませんでした」
「それに、こんな時間に女が一人で歩くのは感心しないな。危ない目に遭いたくなかったら、早く家に帰るんだな」
そう言うと赤井さんは、さっと身を翻して歩いて行ってしまった。
生フィフティーフィフティー聞いてしまった...
赤井さんかっこいい...
そこまで考えたところで、ハッとした。
今ここに赤井さんがいたということは、もしかして今夜がその日なのではないか。
すぐに赤井さんが歩いて行った方に向かうが、もうそこには彼の姿はなく、周辺を走って探すがそれらしいビルも見当たらない。
走り回って乱れた呼吸が苦しくて、膝に手をつく。
どうしよう、早くしなきゃスコッチが...ふと、顔を上げると少し離れたところに見覚えのあるビルの非常階段が見えた。
見つけた、きっとあそこだ。
男性客が帰り、ふぅと息を吐きだした。
その男性客はこれから彼女にプロポーズするらしく、その時に指輪と一緒に渡す花束を買いに来たと言っていた。
花束を受け取った男性は、嬉しそうな顔をしていて、これからプロポーズする彼女の事がとても大切なのだなと思った。
零さんは、今頃何をしているだろうか。
怪我などしていないだろうか。
「なまえちゃん、今日はもう上がっていいよ。ご苦労様」
「分かりました。お疲れ様です」
私はエプロンを外し秋物のコートを羽織って、自分のアパートがある方向とは逆方向に歩いていく。
零さんの家を出てから毎日、私はバイトが終わるとこうして町を歩き、ある建物を探していた。
今日は、町の西側を探すことに決めていた。
それらしい建物がある場所に印をつけた地図を片手に、私は歩き続けた。
「ここも違うか...」
そして、一つの印にバツをつけた。
すでに地図の東側は、バツだらけだった。
私が夜な夜な探しているもの、それは外に非常階段があり、おそらく5階かもしくはそれ以上のビル。
そう、スコッチが拳銃自殺してしまうビルだ。
原作を思い出して探しているのだが、ビルの色も分からないため、なかなか上手くいかない。
似たようなビルもいくつかあったにはあったが、なんとなくピンと来なかった。
空には星が輝いていて、人通りも少なくなってきた。
あれから季節は進み、もうすっかり秋だ。夜の空気は冷たい。
時間がない。早く見つけなければと焦る。私の記憶が正しければ、きっともうそろそろスコッチは...
その時、建物と建物の間から人が飛び出してきた。
地図を見ながら歩いていた私は、反応が遅れ勢いよくぶつかってしまった。
後ろに吹っ飛び、衝撃に備えようとギュッと目を瞑り体を丸めるが、来るはずの衝撃はいつまで経っても来ない。
そっと目を開くと、目の前には黒いシャツがあった。そして、自分が今誰かに抱きしめられるような体制でいたことに驚き、慌てて離れた。しかし、その誰かの顔を見て、さらに驚いて固まってしまった。
そこにいたのはニット帽に、モスグリーンの瞳、黒い綺麗な長髪の男、赤井秀一だった。
固まっている私の顔を赤井さんが覗き込んできて、その綺麗なモスグリーンの瞳と至近距離で目が合う。
「すまない。怪我はないか?お嬢さん」
「い、いえ。私こそ前を見てなくて、すみませんでした」
そう声を掛けられて、怪しまれないよう慌てて謝罪する。
「そうだな。俺も勢いよく飛び出してしまったが、お嬢さんも前を見ていなかった。過失の割合は50:50だからお互い様だ」
「はい、本当にすみませんでした」
「それに、こんな時間に女が一人で歩くのは感心しないな。危ない目に遭いたくなかったら、早く家に帰るんだな」
そう言うと赤井さんは、さっと身を翻して歩いて行ってしまった。
生フィフティーフィフティー聞いてしまった...
赤井さんかっこいい...
そこまで考えたところで、ハッとした。
今ここに赤井さんがいたということは、もしかして今夜がその日なのではないか。
すぐに赤井さんが歩いて行った方に向かうが、もうそこには彼の姿はなく、周辺を走って探すがそれらしいビルも見当たらない。
走り回って乱れた呼吸が苦しくて、膝に手をつく。
どうしよう、早くしなきゃスコッチが...ふと、顔を上げると少し離れたところに見覚えのあるビルの非常階段が見えた。
見つけた、きっとあそこだ。