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ヒロさんが立ち上がった音で目が覚めた。
いつの間にか、零さんも帰ってきていたようだ。
二人が玄関へ向かう足音を聞いてから目を開けると、テーブルの上はお酒の缶や瓶、おつまみのゴミが散乱していた。
さっきより増えてる...
そして私の体には、ヒロさんに掛けてあげたはずのタオルケットが掛けられており、どうやら零さんを待っている間に寝てしまった私に、さきに起きたヒロさんが掛けてくれたようだ。
ヒロさんが帰ったようで、零さんがこちらに戻ってくる音がして、私は咄嗟に寝たふりをした。ヒロさんが眠る前に言ったゼロをよろしく、という言葉を思い出し、なんとなく零さんと顔を合わせるのが恥ずかしかった。
部屋に入ってきた零さんは、幸い私の狸寝入りには気づかなかったようで、テーブルの上を片付け始めた。
組織の仕事もあって疲れているだろうから、どうかこのまま私の事は気にせず早く寝てくれますように...と祈るが、そんな願いはむなしく零さんは寝たふりをした私に近づいてきた。
そして、優しく壊れ物を扱うかのようにそっと私を抱き上げた。
ひぃぃ、叫び出したい気持ちをなんとか堪え、寝たふりがバレないよう全身から力を抜く。
頼むから、早く寝室に着いてくれ。
この際、ベッドにぶん投げてくれても構わないから。
こんなことなら、寝たふりしなきゃよかった...
やっと寝室にたどり着くと、零さんは私を優しくベッドへ下してくれた。
そしてホッとしたのも束の間、唇に温かく柔らかい何かが触れた。
その何かはすぐに離れていき、頭を優しく撫でられて、やがて零さんが寝室から出ていく気配がした。
パチッと目を開いて、今起こった出来事について考えるが、何をどう考えてもたった一つの結論にしか辿り着かない。
私は、零さんにキスされた...
ど、ど、どうしよう。あの零さんにキスされてしまった。
みんなの降谷さんなのに?
もしかして何かのドッキリ?
え、私たち付き合ってないよね?
そのままグルグル考えてしまい、結局眠れたのはもう日も登る頃だった。
−−−−−−
あれから数日が経つが、私は困っていた。
まず、零さんの顔が見られない。
そして声を掛けられようものなら、跳び上がる勢いで反応してしまう。
それはもう、挙動不審もいいところだ。
きっと零さんも、こんな私を不審がっていることだろう。
でも、どうしたらいいのか分からないのだ。
もちろん零さんのことは、もうずっとこの世界に来る前から好きだ。
だが、私は付き合いたいとは思っていない。
なぜなら、命が生まれ、やがて死ぬように、始まりがあれば終わりがある...それが自然の摂理だから。
仮に付き合ったとして、もし振られたら?
きっと私は生きていけない。
そもそも零さんが私を好きになるなんて夢みたいな事、起こるはずがないのだ。
きっと、あの日の零さんは組織の仕事で疲れていたとか、酔っ払っていたとか、そんな諸々が重なって、なんとなくキスした。
うん、きっとそうだ。それ以外ない。
なんだ、悩むだけ無駄じゃないか。
零さんにも嫌な態度とって、申し訳なかったな...
その時、鍵の回す音がして零さんが帰ってきた。
大丈夫。普通に、普通に...今まで通りにすればいいだけ。
「おかえりなさい、零さん」
「ただいま、なまえさん」
よしよし、いい感じだ。
「零さん、コーヒー飲みます?」
「うん、飲む」
うん、ってかわいいな...
私は零さんに習った美味しい入れ方で、コーヒーを入れる。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
「零さん、今日は早かったんですね」
「そうですね。そんなことより、なまえさん」
「はい、なんですか?」
なんだ、全然大丈夫じゃないか。
私が意識し過ぎだったんだな。
自意識過剰で恥ずかしい。
そう思いながら自分で入れたコーヒーに口をつけた。
うん、なかなか上手くできた。
「なまえさん、あの夜起きてましたよね」
ブフッ、私は勢いよくコーヒーを吹いた。
なんてこった、やっぱりダメだった...
いつの間にか、零さんも帰ってきていたようだ。
二人が玄関へ向かう足音を聞いてから目を開けると、テーブルの上はお酒の缶や瓶、おつまみのゴミが散乱していた。
さっきより増えてる...
そして私の体には、ヒロさんに掛けてあげたはずのタオルケットが掛けられており、どうやら零さんを待っている間に寝てしまった私に、さきに起きたヒロさんが掛けてくれたようだ。
ヒロさんが帰ったようで、零さんがこちらに戻ってくる音がして、私は咄嗟に寝たふりをした。ヒロさんが眠る前に言ったゼロをよろしく、という言葉を思い出し、なんとなく零さんと顔を合わせるのが恥ずかしかった。
部屋に入ってきた零さんは、幸い私の狸寝入りには気づかなかったようで、テーブルの上を片付け始めた。
組織の仕事もあって疲れているだろうから、どうかこのまま私の事は気にせず早く寝てくれますように...と祈るが、そんな願いはむなしく零さんは寝たふりをした私に近づいてきた。
そして、優しく壊れ物を扱うかのようにそっと私を抱き上げた。
ひぃぃ、叫び出したい気持ちをなんとか堪え、寝たふりがバレないよう全身から力を抜く。
頼むから、早く寝室に着いてくれ。
この際、ベッドにぶん投げてくれても構わないから。
こんなことなら、寝たふりしなきゃよかった...
やっと寝室にたどり着くと、零さんは私を優しくベッドへ下してくれた。
そしてホッとしたのも束の間、唇に温かく柔らかい何かが触れた。
その何かはすぐに離れていき、頭を優しく撫でられて、やがて零さんが寝室から出ていく気配がした。
パチッと目を開いて、今起こった出来事について考えるが、何をどう考えてもたった一つの結論にしか辿り着かない。
私は、零さんにキスされた...
ど、ど、どうしよう。あの零さんにキスされてしまった。
みんなの降谷さんなのに?
もしかして何かのドッキリ?
え、私たち付き合ってないよね?
そのままグルグル考えてしまい、結局眠れたのはもう日も登る頃だった。
−−−−−−
あれから数日が経つが、私は困っていた。
まず、零さんの顔が見られない。
そして声を掛けられようものなら、跳び上がる勢いで反応してしまう。
それはもう、挙動不審もいいところだ。
きっと零さんも、こんな私を不審がっていることだろう。
でも、どうしたらいいのか分からないのだ。
もちろん零さんのことは、もうずっとこの世界に来る前から好きだ。
だが、私は付き合いたいとは思っていない。
なぜなら、命が生まれ、やがて死ぬように、始まりがあれば終わりがある...それが自然の摂理だから。
仮に付き合ったとして、もし振られたら?
きっと私は生きていけない。
そもそも零さんが私を好きになるなんて夢みたいな事、起こるはずがないのだ。
きっと、あの日の零さんは組織の仕事で疲れていたとか、酔っ払っていたとか、そんな諸々が重なって、なんとなくキスした。
うん、きっとそうだ。それ以外ない。
なんだ、悩むだけ無駄じゃないか。
零さんにも嫌な態度とって、申し訳なかったな...
その時、鍵の回す音がして零さんが帰ってきた。
大丈夫。普通に、普通に...今まで通りにすればいいだけ。
「おかえりなさい、零さん」
「ただいま、なまえさん」
よしよし、いい感じだ。
「零さん、コーヒー飲みます?」
「うん、飲む」
うん、ってかわいいな...
私は零さんに習った美味しい入れ方で、コーヒーを入れる。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
「零さん、今日は早かったんですね」
「そうですね。そんなことより、なまえさん」
「はい、なんですか?」
なんだ、全然大丈夫じゃないか。
私が意識し過ぎだったんだな。
自意識過剰で恥ずかしい。
そう思いながら自分で入れたコーヒーに口をつけた。
うん、なかなか上手くできた。
「なまえさん、あの夜起きてましたよね」
ブフッ、私は勢いよくコーヒーを吹いた。
なんてこった、やっぱりダメだった...