10 降谷side
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すっかり遅くなってしまった...
組織の仕事で、今までベルモットと一緒だった。車で彼女のセーフハウスの一つのホテルまで送り届け、盗聴器が仕掛けられていないか確認する。
ベルモットの香水の匂いが、嫌に鼻をついて、早くなまえさんに会いたくなった。
アパートへ車を走らせながらふと夜空を見上げると、今夜は満月だった。
そういえば、なまえさんが俺の部屋に現れた夜も満月だったな...あれから1ヶ月か。暑かった夏も終わり、すっかり季節は秋だ。
あの時は、自分がこんな気持ちになるなんて思いもしなかった。
誰かが待つ家に、早く帰りたいなんて...
静かに玄関を開けると、男物の靴があった。俺は一瞬で血の気が引くような感覚がし、靴も履いたままに部屋の中へ駆け込んだ。
「なまえさん!!」
「おぅ、ゼロおかえり。遅かったな」
そこには、親友であり同期のあいつがいた。
すぐそばのソファーにはなまえさんが丸くなって眠っていた。
テーブルにはグラスが2つに、ビールや酎ハイの空き缶、ウィスキーが入っていたであろう空き瓶が転がっている。
思わず親友を睨みつけるが、彼はニヤニヤとして全く悪びれる様子はない。
「まぁまぁ、そんなに怒るなって。靴ぐらい脱いだらどうだ?」
「来るなら来るって言っておいてくれ」
「それは悪かったって。今日は組織の仕事だったんだな」
「...あぁ。それより何か用があったんじゃないのか」
全く悪いと思ってない悪かったを聞きながら、靴を脱いで靴箱にしまった。
「いや、久しぶりにお前と飲もうかと思ってさ。ライも誘ったんだけど、断られちまったよ」
そう言って笑う親友に、気を緩めてると足元を掬われるぞ、と何度目か分からない忠告をするが、毎回この男は聞いているのかいないのか。
「なぁ、ゼロ。なまえちゃん、いい子だな」
そう言いながら、俺にライを差し出してきた。それを断って、バーボンをグラスに注ぎ、ストレートで喉に流し込む。
「お前が女と一緒に暮らす日が来るなんてなぁ。でも、まだ付き合ってはないんだろ?」
「...付き合ってはいないな」
そう言われれば、付き合おうとか好きだとか、そういった事は言っていなかったな、とふと思った。
しかし、海での彼女のあの殺し文句は”そういう事”ではないのか。
そしてそれに対する俺のあの返事も”そういう事”ではないのか。
ちらりと親友の方を見ると、肩を震わせて笑いを堪えていた。
ムッとして見ていると、
「ククッ...ごめんって。いやぁ、お前にそんな顔させるなんてな。なまえちゃんは、なかなか手強いかもな」
そう言いながら、スコッチはグラスに残ったライを飲み干すと立ち上がって玄関へ向かった。
見送るために着いていくと、靴を履いた後に俺の肩をポンポンと2回叩いて「まぁ、大切にしろよ。ゼロ」と言ってスコッチは帰っていった。
部屋に戻り、テーブルの上を片付ける。ソファーでは相変わらずなまえさんが気持ちよさそうに眠っている。
そんな眠っている彼女を抱き上げて、寝室へ運びそっとベッドへ下した。
スコッチと一緒に酒を飲んだのか、いつもより頬が上気していて唇も赤い。
酒に酔っていたのか、それとも彼女に酔っていたのか、気づいた時にはその赤に引き寄せられるように俺は彼女に口付けていた。
ハッとして唇を離し、俺は誤魔化すように彼女の頭を撫でてから寝室を出た。
そして帰り際の親友の言葉を思い出し、思わず前髪をかき上げ、ため息をついた。
「そんなこと分かってる...」
組織の仕事で、今までベルモットと一緒だった。車で彼女のセーフハウスの一つのホテルまで送り届け、盗聴器が仕掛けられていないか確認する。
ベルモットの香水の匂いが、嫌に鼻をついて、早くなまえさんに会いたくなった。
アパートへ車を走らせながらふと夜空を見上げると、今夜は満月だった。
そういえば、なまえさんが俺の部屋に現れた夜も満月だったな...あれから1ヶ月か。暑かった夏も終わり、すっかり季節は秋だ。
あの時は、自分がこんな気持ちになるなんて思いもしなかった。
誰かが待つ家に、早く帰りたいなんて...
静かに玄関を開けると、男物の靴があった。俺は一瞬で血の気が引くような感覚がし、靴も履いたままに部屋の中へ駆け込んだ。
「なまえさん!!」
「おぅ、ゼロおかえり。遅かったな」
そこには、親友であり同期のあいつがいた。
すぐそばのソファーにはなまえさんが丸くなって眠っていた。
テーブルにはグラスが2つに、ビールや酎ハイの空き缶、ウィスキーが入っていたであろう空き瓶が転がっている。
思わず親友を睨みつけるが、彼はニヤニヤとして全く悪びれる様子はない。
「まぁまぁ、そんなに怒るなって。靴ぐらい脱いだらどうだ?」
「来るなら来るって言っておいてくれ」
「それは悪かったって。今日は組織の仕事だったんだな」
「...あぁ。それより何か用があったんじゃないのか」
全く悪いと思ってない悪かったを聞きながら、靴を脱いで靴箱にしまった。
「いや、久しぶりにお前と飲もうかと思ってさ。ライも誘ったんだけど、断られちまったよ」
そう言って笑う親友に、気を緩めてると足元を掬われるぞ、と何度目か分からない忠告をするが、毎回この男は聞いているのかいないのか。
「なぁ、ゼロ。なまえちゃん、いい子だな」
そう言いながら、俺にライを差し出してきた。それを断って、バーボンをグラスに注ぎ、ストレートで喉に流し込む。
「お前が女と一緒に暮らす日が来るなんてなぁ。でも、まだ付き合ってはないんだろ?」
「...付き合ってはいないな」
そう言われれば、付き合おうとか好きだとか、そういった事は言っていなかったな、とふと思った。
しかし、海での彼女のあの殺し文句は”そういう事”ではないのか。
そしてそれに対する俺のあの返事も”そういう事”ではないのか。
ちらりと親友の方を見ると、肩を震わせて笑いを堪えていた。
ムッとして見ていると、
「ククッ...ごめんって。いやぁ、お前にそんな顔させるなんてな。なまえちゃんは、なかなか手強いかもな」
そう言いながら、スコッチはグラスに残ったライを飲み干すと立ち上がって玄関へ向かった。
見送るために着いていくと、靴を履いた後に俺の肩をポンポンと2回叩いて「まぁ、大切にしろよ。ゼロ」と言ってスコッチは帰っていった。
部屋に戻り、テーブルの上を片付ける。ソファーでは相変わらずなまえさんが気持ちよさそうに眠っている。
そんな眠っている彼女を抱き上げて、寝室へ運びそっとベッドへ下した。
スコッチと一緒に酒を飲んだのか、いつもより頬が上気していて唇も赤い。
酒に酔っていたのか、それとも彼女に酔っていたのか、気づいた時にはその赤に引き寄せられるように俺は彼女に口付けていた。
ハッとして唇を離し、俺は誤魔化すように彼女の頭を撫でてから寝室を出た。
そして帰り際の親友の言葉を思い出し、思わず前髪をかき上げ、ため息をついた。
「そんなこと分かってる...」