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「なまえさん、起きてください。朝ですよ」
「ん~もう少し...」
「今日の朝ごはんは、なまえさんが好きなパンケーキにしたんですよ。だから早く起きてください」
そう言われてしまえば、起きる以外の選択肢はない。
あの海での出来事から、降谷さんの変わったところが三つある。
一つはすごく優しくなった、というか、甘くなった。
最初からずっと優しかったのだが、それは安室透のような誰にでも優しいという感じに近くて、それが彼女に接するような特別扱いをされるようになった。
それは今も現在進行形で...
「ハハッ、口にクリームがついてる」
そう言いながら、私の口元についたクリームを降谷さんがぬぐってくれて、そしてその指をペロリと舐めた。
「どうした?俺の顔に何かついてるか?」
そう言って、首を傾げている。
何をやっても悔しい程に、イケメンだ。
「あの、降谷さん。なんか雰囲気変わってません?」
「そうか?なまえさんは、今日も可愛いな」
違う、そうじゃない。
いや、嬉しいのだが、そういう事じゃない。
「今日は夕方まで本庁で、夜からは組織の方に行くので、遅くなります。だから、なまえさんは、先に休んでいて下さいね。あと昼食と夕食は冷蔵庫に入れといたので」
「...分かりました、ありがとうございます」
そして、二つ目の変化が、こうして組織の事も話してくれるようになった事。
前から全身真っ黒で帰ってくる日は、言われなくても組織の仕事だったんだな、と分かっていたが、今は普通に話してくれる。
もちろん内容までは教えてくれないが。
「では、行ってきますね」
「いってらっしゃい、降谷さん」
「...」
「...いってらっしゃい。れ、零さん」
「はい、いってきます。なまえさん」
最後に三つ目だが、なぜか下の名前で呼ばれたがる事。
名字で呼ぶと、やり直しになる。なぜ?
警戒を解いてくれたのは嬉しいが、なんというか、これはこれで毒だ。
私の心臓が保たない。好きになってしまう。
いや、もともと好きだったのだが、それは芸能人に憧れるような、遠くから見て楽しむような、そんな感じの好きだ。
あくまで降谷さんはみんなの降谷さんで、決して私が愛だの恋だのと言っていい相手ではない。
今こうして、一緒に暮らして、側にいるという事だけで、もう十分すぎる程幸せなのだ。
そして夜、零さんが作ってくれた夕飯を食べた後、お風呂に入りテレビを見ていた。
この世界に来てから見始めたドラマを見ていると、ピンポーン、とインターホンが鳴った。
こんな時間に誰だろう?
モニターを見ると、顎髭を生やした人物、なんとスコッチが映っていた...
私は転がるように玄関へ駆け出して、ドアを開けた。
「うお、そんな慌ててどうしたんだよ、ゼロ...あれ、俺部屋間違えた?」
「間違ってないですよ!ささ、こんなところで立ち話もなんですから、上がって下さい」
「あ、そう?じゃあお邪魔しまーす」
半ば強引に部屋に上げて、玄関を閉める。
「零さんまだ帰ってないんですけど、お茶でも飲んでるうち帰ってくると思うので」
そう言ってソファーに促し、お茶の用意をしようとすると「あ、これお土産ね」と酒類とツマミが入ったコンビニの袋を渡された。
ビールに缶チューハイ、スコッチとバーボン、それからライまであって思わず笑ってしまった。
実はあの三人仲良しなのか?
「君、酒好きなの?じゃあ、ゼロはまだ帰ってないけど、先に飲んで待ってようか」
酒を見て笑っている私を見て、酒好きだと判断したらしいスコッチがそう言って慣れたようにグラスを出し始めた。
「「乾杯」」
グラスを合わせてから、一気に喉へ流し込む。この世界に来て、初めてのアルコールだ。
一気に空になったグラスにお互いビールを注ぎ合った。
「ところで、君はなんでゼロの家にいるの?彼女?」
「言わなかった私も悪いですけど、聞くの遅くないですか?」
「でも、君いい子そうだったから」
こんなんで大丈夫なのだろうか?
今すごくスコッチの行く末が心配になった。
もちろんスコッチが組織にNOCだとバレて、自殺してしまう事は知っている。
だから、それを阻止したいと思っているが、この人はもっと人を疑う事を覚えないとまた別な所で命を落とすのではと不安になった。
「私は、みょうじなまえです。零さんの彼女ではないです」
「えっ?彼女じゃないの?」
「訳あって居候してるというか...彼女なんて恐れ多いです。」
「そうか...ゼロはいい男だぞ」
「...」
スコッチって、意外と人の話聞かないタイプなのかな...
「ゼロは、頭も良くて運動神経もよくて」
「でも、意外と細かくて口うるさいんだぜ」
「皆で飲みに行ったときなんて」
スコッチは見た目より、ずっと気さくで話しやすくて、たくさん私の知らない零さんの話をしてくれた。
「ヒロさん。そんな勝手に色々話していいんですか?怪しいとか思わないんですか?」
「ん?だって、ゼロの本名知ってるくらいだし、あいつがこうして君を家に置いておくんなら、それが答えだろ?」
途中でスコッチは、ヒロミツと名乗ってくれたので、私はヒロさんと呼ばせてもらっている。
「ああ見えて、ゼロは寂しがり屋だからさ。あいつの事よろしくな、なまえちゃん」
そう言うと、ヒロさんはテーブルに突っ伏して寝てしまった。
「零さんが寂しがり屋だって分かってるなら、絶対死んじゃだめですよ...」
そっとヒロさんにタオルケットをかけながら、呟く。
こんなに友達想いで優しい人を死なせたくない。絶対、絶対守ってみせる...
それがきっと、私がこの世界にトリップした意味で役割だ。
「ん~もう少し...」
「今日の朝ごはんは、なまえさんが好きなパンケーキにしたんですよ。だから早く起きてください」
そう言われてしまえば、起きる以外の選択肢はない。
あの海での出来事から、降谷さんの変わったところが三つある。
一つはすごく優しくなった、というか、甘くなった。
最初からずっと優しかったのだが、それは安室透のような誰にでも優しいという感じに近くて、それが彼女に接するような特別扱いをされるようになった。
それは今も現在進行形で...
「ハハッ、口にクリームがついてる」
そう言いながら、私の口元についたクリームを降谷さんがぬぐってくれて、そしてその指をペロリと舐めた。
「どうした?俺の顔に何かついてるか?」
そう言って、首を傾げている。
何をやっても悔しい程に、イケメンだ。
「あの、降谷さん。なんか雰囲気変わってません?」
「そうか?なまえさんは、今日も可愛いな」
違う、そうじゃない。
いや、嬉しいのだが、そういう事じゃない。
「今日は夕方まで本庁で、夜からは組織の方に行くので、遅くなります。だから、なまえさんは、先に休んでいて下さいね。あと昼食と夕食は冷蔵庫に入れといたので」
「...分かりました、ありがとうございます」
そして、二つ目の変化が、こうして組織の事も話してくれるようになった事。
前から全身真っ黒で帰ってくる日は、言われなくても組織の仕事だったんだな、と分かっていたが、今は普通に話してくれる。
もちろん内容までは教えてくれないが。
「では、行ってきますね」
「いってらっしゃい、降谷さん」
「...」
「...いってらっしゃい。れ、零さん」
「はい、いってきます。なまえさん」
最後に三つ目だが、なぜか下の名前で呼ばれたがる事。
名字で呼ぶと、やり直しになる。なぜ?
警戒を解いてくれたのは嬉しいが、なんというか、これはこれで毒だ。
私の心臓が保たない。好きになってしまう。
いや、もともと好きだったのだが、それは芸能人に憧れるような、遠くから見て楽しむような、そんな感じの好きだ。
あくまで降谷さんはみんなの降谷さんで、決して私が愛だの恋だのと言っていい相手ではない。
今こうして、一緒に暮らして、側にいるという事だけで、もう十分すぎる程幸せなのだ。
そして夜、零さんが作ってくれた夕飯を食べた後、お風呂に入りテレビを見ていた。
この世界に来てから見始めたドラマを見ていると、ピンポーン、とインターホンが鳴った。
こんな時間に誰だろう?
モニターを見ると、顎髭を生やした人物、なんとスコッチが映っていた...
私は転がるように玄関へ駆け出して、ドアを開けた。
「うお、そんな慌ててどうしたんだよ、ゼロ...あれ、俺部屋間違えた?」
「間違ってないですよ!ささ、こんなところで立ち話もなんですから、上がって下さい」
「あ、そう?じゃあお邪魔しまーす」
半ば強引に部屋に上げて、玄関を閉める。
「零さんまだ帰ってないんですけど、お茶でも飲んでるうち帰ってくると思うので」
そう言ってソファーに促し、お茶の用意をしようとすると「あ、これお土産ね」と酒類とツマミが入ったコンビニの袋を渡された。
ビールに缶チューハイ、スコッチとバーボン、それからライまであって思わず笑ってしまった。
実はあの三人仲良しなのか?
「君、酒好きなの?じゃあ、ゼロはまだ帰ってないけど、先に飲んで待ってようか」
酒を見て笑っている私を見て、酒好きだと判断したらしいスコッチがそう言って慣れたようにグラスを出し始めた。
「「乾杯」」
グラスを合わせてから、一気に喉へ流し込む。この世界に来て、初めてのアルコールだ。
一気に空になったグラスにお互いビールを注ぎ合った。
「ところで、君はなんでゼロの家にいるの?彼女?」
「言わなかった私も悪いですけど、聞くの遅くないですか?」
「でも、君いい子そうだったから」
こんなんで大丈夫なのだろうか?
今すごくスコッチの行く末が心配になった。
もちろんスコッチが組織にNOCだとバレて、自殺してしまう事は知っている。
だから、それを阻止したいと思っているが、この人はもっと人を疑う事を覚えないとまた別な所で命を落とすのではと不安になった。
「私は、みょうじなまえです。零さんの彼女ではないです」
「えっ?彼女じゃないの?」
「訳あって居候してるというか...彼女なんて恐れ多いです。」
「そうか...ゼロはいい男だぞ」
「...」
スコッチって、意外と人の話聞かないタイプなのかな...
「ゼロは、頭も良くて運動神経もよくて」
「でも、意外と細かくて口うるさいんだぜ」
「皆で飲みに行ったときなんて」
スコッチは見た目より、ずっと気さくで話しやすくて、たくさん私の知らない零さんの話をしてくれた。
「ヒロさん。そんな勝手に色々話していいんですか?怪しいとか思わないんですか?」
「ん?だって、ゼロの本名知ってるくらいだし、あいつがこうして君を家に置いておくんなら、それが答えだろ?」
途中でスコッチは、ヒロミツと名乗ってくれたので、私はヒロさんと呼ばせてもらっている。
「ああ見えて、ゼロは寂しがり屋だからさ。あいつの事よろしくな、なまえちゃん」
そう言うと、ヒロさんはテーブルに突っ伏して寝てしまった。
「零さんが寂しがり屋だって分かってるなら、絶対死んじゃだめですよ...」
そっとヒロさんにタオルケットをかけながら、呟く。
こんなに友達想いで優しい人を死なせたくない。絶対、絶対守ってみせる...
それがきっと、私がこの世界にトリップした意味で役割だ。