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私は今、人生の内で一つの窮地に立っているのではないかと思う。突然青年が目の前で泣きじゃくっているのだから。
旅をしているが為に主不在のこの家を、掃除していた時に突然大きな音を立てて開いたドア。そちらを見たら当の主が帰って来た訳なのだが、目を合わせて声をかけようとした瞬間、彼の目から涙がぼろぼろと零れ始めたのである。
勿論訳のわからない私は脳内パニック状態で、掃除する手は止めたもののどうしたら良いかわからず硬直。対する彼も気まずさからかその場を動かず泣きっぱなし。え、ちょっと、私にどうしろと?
これが子供や同性だったならば優しく声をかけ、話を聞いてなだめることも出来ただろう。だが相手は男性。男性の泣いた姿を目の当たりにするのは人生で初めての経験で、そこでやっと“男性は人前で泣かないもの”という考えを無意識的に持っていたことに気がついた。故にそう簡単に泣いている理由を聞き出すのは、“男性のプライドを傷付ける行為になるのではないか?”。そんな心配から、私は下手に動き出せずにいた。
「っ、はぁ…っ、悪い、何か…っ、止まらな……!!」
必死に涙を止めようと右手で顔を抑え、上を向き、嗚咽を堪えている彼は、リンクは……本人曰く勇者…らしい。
以前届いた手紙で読んだ、リンクの旅の理由。攫われた子供達は無事に見つかったこと、イリアは記憶を失なっていたこと、その記憶を取り戻す方法を探すことと、同時に───世界を救う為にある探し物をすること。
手紙を出したことなどかつて無くて、城下の知り合いに教えてもらいながら書いたという。つたない文字で綴られた、初めての手紙の内容にしてはあまりにも深刻な話だった。自分にしか出来ないことなのだと、意気地の張られた言葉があったものだから、こんな泣きじゃくる姿に対面する日が来るなんて夢にも思わなかった。だからこそどうしたら良いのかわからない。何を聞いてあげれば良いの?どうしたら泣き止むの?
わからない、わからないからなのか、
思わずそっと、リンクを抱き寄せていた。
嗚咽で震えるリンクの体は驚くほど冷え切っていて。どこで何をして来たの、ちゃんと食事はとってる?旅はもう終わったの? 何も知らない上に臆病で聞き出せない私、何でも任せっきりでごめんね。
「っ***、良か…っ!ちゃんと、い、て…っ」
「うん、大丈夫、私ちゃんと待ってるからね」
「う、ん……っ」
私がリンクの頭をゆっくり撫でると、彼の腕はまるで子供が抱き付くかのように私の背中に回された。もう泣くのを無理に止めないで。
ずっと会わずにいて、文面のリンクしか知らなかった。彼は今私の腕で泣いてくれている。抑えていた感情を零してくれたことが、何故だか無性に嬉しくて。じわりと滲み出した私の涙が、ぽろぽろとリンクの肩に落ちては濃い色を残していた。
***
【補足】
雪山の廃墟クリア後のリンクさん。憑依したマトーニャさんと次の鏡の欠片の在処が“森”なのを思い出して、トアル村にいる夢主を心配して急いで帰って来ちゃったお話です。
“碧は哀より出でて 愛より青し”
“リンクは↑の出来事によって帰って来て、その想いから未熟さを表す”
言葉遊びで思いついたネタなので、もとのことわざの意味を完全に無視してしまいました。リンクさんが女々しくなってしまった……でも勇者っていろいろため込みそうだし、たまには泣いてもいいと…思う。
お粗末様でした。
12.12.30
旅をしているが為に主不在のこの家を、掃除していた時に突然大きな音を立てて開いたドア。そちらを見たら当の主が帰って来た訳なのだが、目を合わせて声をかけようとした瞬間、彼の目から涙がぼろぼろと零れ始めたのである。
勿論訳のわからない私は脳内パニック状態で、掃除する手は止めたもののどうしたら良いかわからず硬直。対する彼も気まずさからかその場を動かず泣きっぱなし。え、ちょっと、私にどうしろと?
これが子供や同性だったならば優しく声をかけ、話を聞いてなだめることも出来ただろう。だが相手は男性。男性の泣いた姿を目の当たりにするのは人生で初めての経験で、そこでやっと“男性は人前で泣かないもの”という考えを無意識的に持っていたことに気がついた。故にそう簡単に泣いている理由を聞き出すのは、“男性のプライドを傷付ける行為になるのではないか?”。そんな心配から、私は下手に動き出せずにいた。
「っ、はぁ…っ、悪い、何か…っ、止まらな……!!」
必死に涙を止めようと右手で顔を抑え、上を向き、嗚咽を堪えている彼は、リンクは……本人曰く勇者…らしい。
以前届いた手紙で読んだ、リンクの旅の理由。攫われた子供達は無事に見つかったこと、イリアは記憶を失なっていたこと、その記憶を取り戻す方法を探すことと、同時に───世界を救う為にある探し物をすること。
手紙を出したことなどかつて無くて、城下の知り合いに教えてもらいながら書いたという。つたない文字で綴られた、初めての手紙の内容にしてはあまりにも深刻な話だった。自分にしか出来ないことなのだと、意気地の張られた言葉があったものだから、こんな泣きじゃくる姿に対面する日が来るなんて夢にも思わなかった。だからこそどうしたら良いのかわからない。何を聞いてあげれば良いの?どうしたら泣き止むの?
わからない、わからないからなのか、
思わずそっと、リンクを抱き寄せていた。
嗚咽で震えるリンクの体は驚くほど冷え切っていて。どこで何をして来たの、ちゃんと食事はとってる?旅はもう終わったの? 何も知らない上に臆病で聞き出せない私、何でも任せっきりでごめんね。
「っ***、良か…っ!ちゃんと、い、て…っ」
「うん、大丈夫、私ちゃんと待ってるからね」
「う、ん……っ」
私がリンクの頭をゆっくり撫でると、彼の腕はまるで子供が抱き付くかのように私の背中に回された。もう泣くのを無理に止めないで。
ずっと会わずにいて、文面のリンクしか知らなかった。彼は今私の腕で泣いてくれている。抑えていた感情を零してくれたことが、何故だか無性に嬉しくて。じわりと滲み出した私の涙が、ぽろぽろとリンクの肩に落ちては濃い色を残していた。
愛より青し
(彼の鼓動を感じる それは確かに生きている音、)
(もう寒くなんてない)
(もう寒くなんてない)
***
【補足】
雪山の廃墟クリア後のリンクさん。憑依したマトーニャさんと次の鏡の欠片の在処が“森”なのを思い出して、トアル村にいる夢主を心配して急いで帰って来ちゃったお話です。
“碧は哀より出でて 愛より青し”
“リンクは↑の出来事によって帰って来て、その想いから未熟さを表す”
言葉遊びで思いついたネタなので、もとのことわざの意味を完全に無視してしまいました。リンクさんが女々しくなってしまった……でも勇者っていろいろため込みそうだし、たまには泣いてもいいと…思う。
お粗末様でした。
12.12.30
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