ZELDA
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(ティアーズオブザキングダムの序盤にあたります。ストーリーのネタバレはありません。)
厄災が封印され、少しずつ各地が復興されつつあるハイラル。
人が住む地域の復興が優先される替わりに、ハイラル城はまだ惨憺たる有様だった。
瓦礫の撤去作業に向けて内部調査をする中で、発生している瘴気に当たり隊長を崩す人々が現れた。私もその中の1人で、調査を中止し監視砦のベッドで療養している。
そんな中、姫様とリンクが2人で瘴気の発生源を突き止めるべく地下へ向かうことが決まった。
どんな危険があるかわからない場所へ姫様を向かわせることに誰もが反対したが、瘴気の影響を受けにくい人材は他にいないのも事実。
ハイラル屈指の剣士であるリンクが同行することが、騎士達の決断を後押しした。それほどまでに彼の功績は大きい。
だとしても、私は心配のあまり気が気でない。
瘴気の影響に個人差があるとはいえ、城の状況調査をしていただけの私でさえ酷い倦怠感と眩暈で立つことすら出来ずベッドに運ばれたのだから。
ハイラル城の地下へ向かう前に私の様子を見にきたリンクは、深刻そうな表情をしながら、優しく右の掌で私の頭を撫でてくれた。
沢山の戦いを乗り越え鍛えられた逞しい手。少し硬い皮膚越しに感じる体温に、瘴気で弱った心が和らぐ。
私と同じ目に遭ってほしくなくて、私はリンクの右手を自分の両手で握って祈り、見送ることしかできなかった。
「無事に帰って来ますように」と毎日何度も神様にお願いした。けれど監視砦に届いた報告は、姫様とリンクが行方不明という信じたくないもの。
探しに行きたくても思うように体が動いてくれない。もどかしさと悔しさ、不安に押しつぶされそうな日々の中で毎晩枕を濡らしながら眠りについた。
──ある時、瞼越しにうっすらと光を感じる。
リンクを見送る前に、撫でられた記憶を夢に見ているのかな。
あの時と同じ、優しい手つき。このまま夢が覚めなければいいのに。
少しだけ違うと感じたのは、その掌があの時に比べてややひんやりとしている点。
もし、もしも彼の魂がこの地から消えてしまっていたのなら……こんな体温なのだろうか。
「リンク、私を置いていかないで」
じわりと浮かんだ涙が目頭に溜まる。
「***……」
聞き間違える筈のない、愛しい声が私の名前を呼んだ。
その声を聞いた瞬間に目を開いた。
ぼやける視界の先で、毎日無事を祈り続けていた彼が私の顔を見つめている。
嗚呼、
「リンク‼︎」
今度こそ二度と置いていかれまいと必死で彼に抱き付くと、リンクは驚き「わっ」と声を出して、私が抱きついた勢いのまま背中側へ倒れ込む。
いつものリンクなら、こんな簡単に体制を崩すこともないと違和感を感じた。
「いてて……***が急に起きるからびっくりした。急いで戻って来たつもりだったんだけど……。心配かけて、ごめん。」
リンクの言葉に、感じる体温に、今この瞬間が夢ではないことをじわりじわりと自覚する。
彼の背中に回した手でぎゅうとしがみ付きながら、落ち着くまで私はリンクの腕の中ですんすんと子供みたいに泣き続けた。
しばらくした後、二人でホットミルクを飲みながらベッドへ腰掛けて、行方不明になってからの経緯を教えてもらった。
ハイラル城の底で見つかった亡骸が動き出し、崩落する城で落下した姫様がリンクの目の前で忽然と姿を消したこと。
目覚めた時には空の上で、亡骸から発せられた瘴気に蝕まれた右手はラウルと名乗るゾナウ族の男性の右腕に変わっていたと。
「まだ少し慣れないけど、便利なこともあるよ」
自分の知らないところでまたもリンクが命を落としかけていた事実に私はゾッとしているのに、リンクは大したことないみたいな様子で、淡々と説明しながら右手を掲げて見つめている。
……彼は、強くて沢山の困難を乗り越えてきたからか、あまり自分の危険を顧みないところがあると思う。
少し瘴気に当たっただけの私が、ベッドから起き上がることもできない程だったというのに。右腕を失った時、どれだけ痛かっただろうか、きっと私が想像するより何倍も、耐え難いほど苦しかったでしょう?それなのに貴方は心配させまいと平気な顔をするものだから。
その時リンクが感じた痛みや苦しみが、少しでも早く消えますように。
祈りながら、彼の右手を両手で包んでその手の甲に口付けを落とす。
そっと顔を上げると、普段はあまり表情を露わにしないリンクが珍しく不服そうな顔をしている。
「……あ、いきなりごめんなさい。嫌だったよね…………。」
手を離そうとしたら、今度はリンクの右手が私の左手の指を絡めとり、おずおずと反対の手を差し出された。
「…………するなら、こっちにして」
さっきまでの表情が急に崩れ、拗ねた男の子のように顔を逸らして。その頬は少しだけ赤らんでいた。
思わずクスッと笑みが溢れて、“もう大きなケガしないって約束してくれるなら”という条件と共に、この瞬間の幸せをじんわりと感じながら、私はもう一度手の甲へ口付けを落とした。
***
今ではもう自分の右腕なのだけれど、元は違う人の右腕にキスされたことに嫉妬するリンクって可愛いのでは……?とピンときたネタです。
私の中で、ブレワイで記憶を取り戻した後のリンクは、100年前の近衛騎士だった頃の人格も取り戻して、普段は真顔なんだけど時々表情も崩れる、みたいなイメージです。
すごく久しぶりに夢小説書きました。
23.08.31
厄災が封印され、少しずつ各地が復興されつつあるハイラル。
人が住む地域の復興が優先される替わりに、ハイラル城はまだ惨憺たる有様だった。
瓦礫の撤去作業に向けて内部調査をする中で、発生している瘴気に当たり隊長を崩す人々が現れた。私もその中の1人で、調査を中止し監視砦のベッドで療養している。
そんな中、姫様とリンクが2人で瘴気の発生源を突き止めるべく地下へ向かうことが決まった。
どんな危険があるかわからない場所へ姫様を向かわせることに誰もが反対したが、瘴気の影響を受けにくい人材は他にいないのも事実。
ハイラル屈指の剣士であるリンクが同行することが、騎士達の決断を後押しした。それほどまでに彼の功績は大きい。
だとしても、私は心配のあまり気が気でない。
瘴気の影響に個人差があるとはいえ、城の状況調査をしていただけの私でさえ酷い倦怠感と眩暈で立つことすら出来ずベッドに運ばれたのだから。
ハイラル城の地下へ向かう前に私の様子を見にきたリンクは、深刻そうな表情をしながら、優しく右の掌で私の頭を撫でてくれた。
沢山の戦いを乗り越え鍛えられた逞しい手。少し硬い皮膚越しに感じる体温に、瘴気で弱った心が和らぐ。
私と同じ目に遭ってほしくなくて、私はリンクの右手を自分の両手で握って祈り、見送ることしかできなかった。
「無事に帰って来ますように」と毎日何度も神様にお願いした。けれど監視砦に届いた報告は、姫様とリンクが行方不明という信じたくないもの。
探しに行きたくても思うように体が動いてくれない。もどかしさと悔しさ、不安に押しつぶされそうな日々の中で毎晩枕を濡らしながら眠りについた。
──ある時、瞼越しにうっすらと光を感じる。
リンクを見送る前に、撫でられた記憶を夢に見ているのかな。
あの時と同じ、優しい手つき。このまま夢が覚めなければいいのに。
少しだけ違うと感じたのは、その掌があの時に比べてややひんやりとしている点。
もし、もしも彼の魂がこの地から消えてしまっていたのなら……こんな体温なのだろうか。
「リンク、私を置いていかないで」
じわりと浮かんだ涙が目頭に溜まる。
「***……」
聞き間違える筈のない、愛しい声が私の名前を呼んだ。
その声を聞いた瞬間に目を開いた。
ぼやける視界の先で、毎日無事を祈り続けていた彼が私の顔を見つめている。
嗚呼、
「リンク‼︎」
今度こそ二度と置いていかれまいと必死で彼に抱き付くと、リンクは驚き「わっ」と声を出して、私が抱きついた勢いのまま背中側へ倒れ込む。
いつものリンクなら、こんな簡単に体制を崩すこともないと違和感を感じた。
「いてて……***が急に起きるからびっくりした。急いで戻って来たつもりだったんだけど……。心配かけて、ごめん。」
リンクの言葉に、感じる体温に、今この瞬間が夢ではないことをじわりじわりと自覚する。
彼の背中に回した手でぎゅうとしがみ付きながら、落ち着くまで私はリンクの腕の中ですんすんと子供みたいに泣き続けた。
しばらくした後、二人でホットミルクを飲みながらベッドへ腰掛けて、行方不明になってからの経緯を教えてもらった。
ハイラル城の底で見つかった亡骸が動き出し、崩落する城で落下した姫様がリンクの目の前で忽然と姿を消したこと。
目覚めた時には空の上で、亡骸から発せられた瘴気に蝕まれた右手はラウルと名乗るゾナウ族の男性の右腕に変わっていたと。
「まだ少し慣れないけど、便利なこともあるよ」
自分の知らないところでまたもリンクが命を落としかけていた事実に私はゾッとしているのに、リンクは大したことないみたいな様子で、淡々と説明しながら右手を掲げて見つめている。
……彼は、強くて沢山の困難を乗り越えてきたからか、あまり自分の危険を顧みないところがあると思う。
少し瘴気に当たっただけの私が、ベッドから起き上がることもできない程だったというのに。右腕を失った時、どれだけ痛かっただろうか、きっと私が想像するより何倍も、耐え難いほど苦しかったでしょう?それなのに貴方は心配させまいと平気な顔をするものだから。
その時リンクが感じた痛みや苦しみが、少しでも早く消えますように。
祈りながら、彼の右手を両手で包んでその手の甲に口付けを落とす。
そっと顔を上げると、普段はあまり表情を露わにしないリンクが珍しく不服そうな顔をしている。
「……あ、いきなりごめんなさい。嫌だったよね…………。」
手を離そうとしたら、今度はリンクの右手が私の左手の指を絡めとり、おずおずと反対の手を差し出された。
「…………するなら、こっちにして」
さっきまでの表情が急に崩れ、拗ねた男の子のように顔を逸らして。その頬は少しだけ赤らんでいた。
思わずクスッと笑みが溢れて、“もう大きなケガしないって約束してくれるなら”という条件と共に、この瞬間の幸せをじんわりと感じながら、私はもう一度手の甲へ口付けを落とした。
***
今ではもう自分の右腕なのだけれど、元は違う人の右腕にキスされたことに嫉妬するリンクって可愛いのでは……?とピンときたネタです。
私の中で、ブレワイで記憶を取り戻した後のリンクは、100年前の近衛騎士だった頃の人格も取り戻して、普段は真顔なんだけど時々表情も崩れる、みたいなイメージです。
すごく久しぶりに夢小説書きました。
23.08.31
20/22ページ