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「あー、あったかい。」
頭上でリンクは気の抜けた声で呟いた。
旅の途中は殆ど野宿だから、こうして宿のベッドで眠る時間は数少ない安息時だった。温かくて心地良いし、どちらかが見張りで起きている必要もない。
でも何でわざわざ、同じベッドに寝ているのかな。
もぞもぞ。頭を動かしリンクの顔を見上げる。というかこっちは息もしにくいんだぞー。
「…あの、リンク、前から思ってたんだけど…もう一緒に寝なくてもいいんじゃないかな?」
夢の世界へ意識を落としそうなリンクに、やんわりと問う。別に嫌って訳ではないけれど、当然寝る場所は狭くなるし抱き締められてると非常に眠りにくいのだ。
リンクはその金糸で縁取ったような瞼を上げ、不安気な声色で私の問いに問い返した。あ、まじまじと見ると綺麗な青い目。眠い為か力が無く、儚い印象を受ける。
「…何で?子供の頃だって同じベッドで寝ただろ?」
「そうだけど…」
あー、そういえばそうだったなぁ。自分が普段使うのとはまた違って、いつも綺麗に整えられていてふかふかのベッドに大はしゃぎしてたっけ。3人でシーツにくるまったら薄暗い秘密の空間みたいで、ナビィの淡い光に照らされながら楽しくて夜中までずーっと話をしてた。
結局、朝は起きられなくて朝食を逃した挙げ句に『ご飯を食べないまま不調で出発しても危険なだけよ!』というナビィの忠告に従って出発が遅れたり、「作った料理が勿体ない!」って宿主さんに怒られたんだよね…。
…って、思い出にふけっていたらリンクが夢の世界へ旅立ちそうになっていた。待って待って、安眠を独り占めしないで。こっちは以前それで寝違えたんだから。…あれ、でもこのチャンスに隣のベッドへ移った方が、確実に別々に寝られるんじゃない?
リンクの腕を抜け出そうと、そっと身をよじった。あ、れ、何これ、リンク力入れてる?
「何で、別々に寝ようとするの。」
しまった起こしてしまった。再度リンクが疑問を投げかけてきた。いいやもう説得しよう。
「ほら、こんなに心地良い場所で折角落ち着いて寝られるんだし……!リンクも1人で寝た方が疲れ取れるかなって…」
「それってつまり、***は俺と一緒じゃ落ち着けないし疲れが取れないってこと?」
「えっ…?」
冷たい声と、僅かに核心を突かれたことに心が焦る。違う、落ち着けない訳じゃない。更に強く抱き締められて、この焦りが伝わってしまいそうで怖かった。傷付けたく、ない。
『リンク、そんなこと***は言ってないでしょ!!気を遣って提案してくれただけじゃない。』
「あ………ごっ、ごめん!つい!!***が嫌だって言うなら、別々に寝る!けどっ……」
ナビィの発言にはっとして謝ったリンクの腕が、先程とは打って変わって弱々しくなった。
「俺、森ではナビィが来る前までいつも一人で寝てて………夜も誰かと一緒に過ごせるのが嬉しかったから…。それに今はいつ何が起こるかもわからないし、折角一緒に寝られるのに一人で寝るなんて…勿体無いって言うか、その、」
『リンク…。』
「ふふっ」
「え、えっ?何!?」
「だって、さっきまで怒ってるみたいだったのに。そんな寂しそうな顔するから…。」
何だか子供みたい、なんて。あ、実際に中身はまだ子供だったね。
「な、何だよ!悪いかよ!?」
「ううん、むしろ嬉しいな。」
『リンクは寂しいから、一人で寝るのが嫌だっただけなのよね!』
ナビィが楽しげにくるくると飛び周り、綺麗な弧を描いた。
「嫌だなんて言ってないだろ!!」
「まあまあ。別々に寝るだなんて提案してごめんね、リンク。一緒に寝よう?」
「あー……うん、」
ちょっとだけ鼓動が早くなっている、彼の胸に顔を埋めた。あと何回この音を聞けるだろうか。
寝違えたことも、一人じゃきっとなかった経験なのかな。
独りぼっちの“寂しい”や、いつか訪れるかもしれないことへの“怖い”が胸を埋める、暗い暗いいくつもの夜を共に越えよう。
「明日も頑張ろうね。」
ナビィがそっと枕元に羽を降ろすのを見て、瞼を閉じた。
(そう言って彼は私の額へ口付けを落とす)(私を包む腕は窮屈で、だけどとても愛おしく感じられた)
14.07.31
頭上でリンクは気の抜けた声で呟いた。
旅の途中は殆ど野宿だから、こうして宿のベッドで眠る時間は数少ない安息時だった。温かくて心地良いし、どちらかが見張りで起きている必要もない。
でも何でわざわざ、同じベッドに寝ているのかな。
もぞもぞ。頭を動かしリンクの顔を見上げる。というかこっちは息もしにくいんだぞー。
「…あの、リンク、前から思ってたんだけど…もう一緒に寝なくてもいいんじゃないかな?」
夢の世界へ意識を落としそうなリンクに、やんわりと問う。別に嫌って訳ではないけれど、当然寝る場所は狭くなるし抱き締められてると非常に眠りにくいのだ。
リンクはその金糸で縁取ったような瞼を上げ、不安気な声色で私の問いに問い返した。あ、まじまじと見ると綺麗な青い目。眠い為か力が無く、儚い印象を受ける。
「…何で?子供の頃だって同じベッドで寝ただろ?」
「そうだけど…」
あー、そういえばそうだったなぁ。自分が普段使うのとはまた違って、いつも綺麗に整えられていてふかふかのベッドに大はしゃぎしてたっけ。3人でシーツにくるまったら薄暗い秘密の空間みたいで、ナビィの淡い光に照らされながら楽しくて夜中までずーっと話をしてた。
結局、朝は起きられなくて朝食を逃した挙げ句に『ご飯を食べないまま不調で出発しても危険なだけよ!』というナビィの忠告に従って出発が遅れたり、「作った料理が勿体ない!」って宿主さんに怒られたんだよね…。
…って、思い出にふけっていたらリンクが夢の世界へ旅立ちそうになっていた。待って待って、安眠を独り占めしないで。こっちは以前それで寝違えたんだから。…あれ、でもこのチャンスに隣のベッドへ移った方が、確実に別々に寝られるんじゃない?
リンクの腕を抜け出そうと、そっと身をよじった。あ、れ、何これ、リンク力入れてる?
「何で、別々に寝ようとするの。」
しまった起こしてしまった。再度リンクが疑問を投げかけてきた。いいやもう説得しよう。
「ほら、こんなに心地良い場所で折角落ち着いて寝られるんだし……!リンクも1人で寝た方が疲れ取れるかなって…」
「それってつまり、***は俺と一緒じゃ落ち着けないし疲れが取れないってこと?」
「えっ…?」
冷たい声と、僅かに核心を突かれたことに心が焦る。違う、落ち着けない訳じゃない。更に強く抱き締められて、この焦りが伝わってしまいそうで怖かった。傷付けたく、ない。
『リンク、そんなこと***は言ってないでしょ!!気を遣って提案してくれただけじゃない。』
「あ………ごっ、ごめん!つい!!***が嫌だって言うなら、別々に寝る!けどっ……」
ナビィの発言にはっとして謝ったリンクの腕が、先程とは打って変わって弱々しくなった。
「俺、森ではナビィが来る前までいつも一人で寝てて………夜も誰かと一緒に過ごせるのが嬉しかったから…。それに今はいつ何が起こるかもわからないし、折角一緒に寝られるのに一人で寝るなんて…勿体無いって言うか、その、」
『リンク…。』
「ふふっ」
「え、えっ?何!?」
「だって、さっきまで怒ってるみたいだったのに。そんな寂しそうな顔するから…。」
何だか子供みたい、なんて。あ、実際に中身はまだ子供だったね。
「な、何だよ!悪いかよ!?」
「ううん、むしろ嬉しいな。」
『リンクは寂しいから、一人で寝るのが嫌だっただけなのよね!』
ナビィが楽しげにくるくると飛び周り、綺麗な弧を描いた。
「嫌だなんて言ってないだろ!!」
「まあまあ。別々に寝るだなんて提案してごめんね、リンク。一緒に寝よう?」
「あー……うん、」
ちょっとだけ鼓動が早くなっている、彼の胸に顔を埋めた。あと何回この音を聞けるだろうか。
寝違えたことも、一人じゃきっとなかった経験なのかな。
独りぼっちの“寂しい”や、いつか訪れるかもしれないことへの“怖い”が胸を埋める、暗い暗いいくつもの夜を共に越えよう。
「明日も頑張ろうね。」
ナビィがそっと枕元に羽を降ろすのを見て、瞼を閉じた。
おやすみ。
(そう言って彼は私の額へ口付けを落とす)(私を包む腕は窮屈で、だけどとても愛おしく感じられた)
14.07.31
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