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彼女の名前は***。今はカカリコ村で生活しているけれど、7年前は城下町に住んでいた。知り合ったのもその時で、大人になってもオレのことを覚えていてくれた。だから、嬉しくて何度も***の家にお世話になってしまう。
***は一人で生活していた。オレが長い眠りに付いている間に両親が亡くなったと、いつだったか悲しむ素振りも無く教えてくれた。大切な人が死んだりその事実に触れる時、大抵の人は皆悲しんでいたから***のそんな様子には内心で驚いたことを未だに覚えている。でも、決して彼女は平気な訳ではないんだと思う。子供の頃はとても親思いで、よく寄り添っていたのを覚えていたから。
…***はオレなんかよりずっと大人だと、よく思う。本当は悲しかっただろうに、表には出さない。知識も沢山あって、考え方だってしっかりしていて。
だから、時々***の考えがわからなくて苦しくなる。
「私って生きてる価値あるのかな。」
「ん?」
夕飯に作られたスープをゴクリと飲み込むのと同時に、彼女の問いを頭の中で噛み砕く。……正解を求めている訳ではないと思う、多分。
「私は愚図ってことよ。」
「………ごめん、わからないや。」
オレが理解出来なくても、***はいつも面倒くさがらずに話してくれる。
「最近ね、何も楽しくないのよ。毎日起きて、ご飯を食べて、洗濯をして、花の手入れをして、またご飯を食べて、家の掃除をして、お墓参りに行って、たまに本を読んで、体を洗って、またご飯を食べて、寝るの。それだけなの、私の毎日。」
「うん…。」
「皆は、それぞれに楽しみを見つけて生きてるのに。」
ある子は毎日村の花を愛でたり、ある子は大好きな本を沢山読みふけって友達に勧めたり、ある子は薬の研究の為一生懸命勉強に励んだり、ある子はたっぷり時間をかけてとても綺麗な絵を描いたり。
「でも私、何も出来ないの。何かをしようと思っても、どうしてか始められないの。リンクは毎日命をかけて戦ってるのに、私は、こんな無駄な生き方をしてるの。…あ、別に死にたいって訳じゃないのよ?」
淡々と話した後、安心させるように微笑んだ。本当は笑える気分じゃない癖に、と内心で悪態づく。
「ただ、申し訳ないと思って。どうせなら人の怪我や病気を癒せるような、妖精として命を使えれば良いのになぁとか思ったの。」
「妖精は人の怪我や病気を癒やしたら消えちゃうんだよ、***が消えたらきっと悲しむ人いるよ…。」
「ふふ、やだなぁリンク、そりゃあ私は、子供としてお父さんとお母さんの人生の中では宝物のような存在だったでしょうけど。でもお父さんとお母さんはもういないの。だから、いいのよきっと。」
「宝物…?何で、宝物?***は物じゃないだろ?」
「例えよ、例え。お母さんもお婆ちゃんも、ずっとその先のご先祖様も、立派に生きて、人を愛して、結婚して、子供を生んで、大切に育てて幸せな家庭を築いてきたのよ、きっと。それが命のサイクルなの。その結果が、今の私。」
「家庭…」
「家族が一緒に生活してる場のことよ。昔、お父さんとお母さんと私は3人で一緒に暮らしていたでしょう?お母さんは幸せだって言ってたわ…。」
「じゃあ、***は、その家庭を…築く?のをすれば良いんじゃないの?そしたら幸せに…」
「もー、そんなのきっと無理よっ!ほら、冷めちゃうから早く食べて?…って、私が話してるからよね、ごめんなさい。」
いつの間にか***の皿から料理が無くなっていて、立ち上がると食器を片付け始めた。
それでもオレは話すのをやめない、***のことをちゃんと知りたい、話を理解出来るようになりたい。何より、このまま***がそう思って独りで生活し続けるのかと思うと、心苦しくて放っておけなかった。
「何で?何で無理なんだ?」
「……私は今でさえ立派に生きてないし、こんな愚図だから…きっと誰も私のことなんて好きになってくれないもの、それなのに結婚出来る筈がないし、子供なんてとても育てられると思えないの。…ほら、もうわかったでしょ、片付かないから早く食べちゃって、」
「オレは***のこと好きだよ!!」
「…えっ……?」
逃げるように話を終えようとする***に、質問しか出来なかったオレが唯一教えられる事実。
***は目を大きく開いて、立ったまま固まっていた。
「………う、そ…」
「オレは嘘なんて吐かない!嘘吐きなのは***だろ、悲しい癖にそんな簡単に親のこと話して、人には気遣って笑いかけて!」
立ち上がってずんずんと***の前に詰め寄り、両肩に手を添えると一瞬だけびくりと跳ねた***の肩。こんなに、小さかったんだ…。
「ごめんなさいっ!!私、リンクに嫌な思いさせてたなんて気付かなくて、」
「あぁぁ!いや、だから嫌いって訳じゃないんだけど、オレは***のこと好きだから、その、幸せに生きてほしいし、もっと素直に笑ったり辛い時は泣いたり頼ってほしいんだよ!!!毎日立派に生きたいんだったら、えぇっと、ほら、今度オレに本読み聞かせてくれよ、オレまだ子供だからさ、わからないこといっぱい聞いていつも説明するの大変だったろ?だから昼間のうちに読みながらどう説明するかじっくり考えればいいんだよ、そしたらいくらか立派に生きてると思うんだ!」
「え、あ、いいけど…」
「もし、もしそれでも毎日が無駄だと思ったらさ、オレと結婚しよう!旅が終わるまではまだ時間かかっちゃうけど、***が幸せになれるなら、オレ家庭だって築いてみせるさ!!子供を育てるの大変だろうけど、***のお母さんは幸せだったんだろ?だから、だから……!!」
「……………プロポーズ…。」
「えっ!?」
「リンク、結婚の意味、ちゃんとわかって言ってる…?」
「わ、わかってる!!…と思う、多分……。あれだろ、ほら、子供の頃に***が好きな絵本を教えてくれた、好きな人同士がずっと一緒に暮らすっていう…」
あれ?好きな人同士?ってことは***もオレのこと好きじゃないと駄目なのか?えぇぇじゃあもしかしたら無理だったりする!?ここまで話して!?
興奮したせいで胸が落ち着かない上に、頭の中がぐるぐるして上手く考えられない!
「うん、間違ってないよ。でもね、ただ幸せなだけじゃないんだよ。どんなに辛い時も、病気の時も、相手を愛して2人で支え合って乗り越えるって誓うことが出来ないと、駄目なの。」
「***はオレのこと好き!?もしかして嫌い!?」
「話聞いてた?それにどうして2択しかないのよ、嫌いだったらこうやって家に泊める訳ないでしょう。」
「聞いてたよ、オレは誓える!じゃあ、じゃあ俺のこと好きなんだな?」
「……………。」
「なぁ、好き?」
「………す、…好き……よ…。」
小さく、そう答えると***は俯いてしまった。歓喜に打ち震えた心が顔を上げてほしいと叫んでいたが、耳は***の不安気な声を聞き逃さず、すぐにオレの頭を冷静にさせた。
「…でも私、リンクのこと支えられる自信無いわ…。」
「オレ、もう十分***に支えられてきたよ。」
「そんな覚え……」
「オレはあるよ。子供だった頃から、沢山。頑張ってって見送ってくれただろ?あれ、すっげー嬉しかったんだ!」
「リンク、もう行っちゃうの?」
「***!うん、あと一つ精霊石を手に入れなくちゃならないんだ!!」
「そっか…頑張ってね!」
「いつもオレの怪我に気付いて、体調の心配してくれたし…」
「リンク、手にそんな怪我してたらろくに戦えないでしょう。危ないから治るまでは絶対に行っちゃ駄目よ。」
「今晩は冷えるから、もう一つ毛布かけて寝て頂戴。あ、ホットミルク飲む?体温まるわよ。」
「無理だけはしないでよ、ちょっとしたことが命取りに繋がるんだから。」
「オレが風邪ひいた時も、ずっと側で看病してくれたから、寂しくなかったよ。」
「***…手、握ってて、お願い……。」
「良いわ。結構熱あるわね…。」
「どうしよう***、オレ、こんな休んでる場合じゃないのに…っ!」
「大丈夫……大丈夫よ。安心して、リンク。焦らなくていいの。ゆっくり、元気になってね…。」
「***が笑うといっつも安心するし、すごく好きだ。でも、もう人の為だけじゃなくて、心から笑ってほしい。今度はオレが支える番なんだよ。まだまだ子供だけど、絶対***のこと幸せにしてみせる。だから、結婚しよう?
…いや、
***
そしてリンクはこの後、冷たくなってしまった夕飯を口にするのです!!!!!
13.10.17
***は一人で生活していた。オレが長い眠りに付いている間に両親が亡くなったと、いつだったか悲しむ素振りも無く教えてくれた。大切な人が死んだりその事実に触れる時、大抵の人は皆悲しんでいたから***のそんな様子には内心で驚いたことを未だに覚えている。でも、決して彼女は平気な訳ではないんだと思う。子供の頃はとても親思いで、よく寄り添っていたのを覚えていたから。
…***はオレなんかよりずっと大人だと、よく思う。本当は悲しかっただろうに、表には出さない。知識も沢山あって、考え方だってしっかりしていて。
だから、時々***の考えがわからなくて苦しくなる。
「私って生きてる価値あるのかな。」
「ん?」
夕飯に作られたスープをゴクリと飲み込むのと同時に、彼女の問いを頭の中で噛み砕く。……正解を求めている訳ではないと思う、多分。
「私は愚図ってことよ。」
「………ごめん、わからないや。」
オレが理解出来なくても、***はいつも面倒くさがらずに話してくれる。
「最近ね、何も楽しくないのよ。毎日起きて、ご飯を食べて、洗濯をして、花の手入れをして、またご飯を食べて、家の掃除をして、お墓参りに行って、たまに本を読んで、体を洗って、またご飯を食べて、寝るの。それだけなの、私の毎日。」
「うん…。」
「皆は、それぞれに楽しみを見つけて生きてるのに。」
ある子は毎日村の花を愛でたり、ある子は大好きな本を沢山読みふけって友達に勧めたり、ある子は薬の研究の為一生懸命勉強に励んだり、ある子はたっぷり時間をかけてとても綺麗な絵を描いたり。
「でも私、何も出来ないの。何かをしようと思っても、どうしてか始められないの。リンクは毎日命をかけて戦ってるのに、私は、こんな無駄な生き方をしてるの。…あ、別に死にたいって訳じゃないのよ?」
淡々と話した後、安心させるように微笑んだ。本当は笑える気分じゃない癖に、と内心で悪態づく。
「ただ、申し訳ないと思って。どうせなら人の怪我や病気を癒せるような、妖精として命を使えれば良いのになぁとか思ったの。」
「妖精は人の怪我や病気を癒やしたら消えちゃうんだよ、***が消えたらきっと悲しむ人いるよ…。」
「ふふ、やだなぁリンク、そりゃあ私は、子供としてお父さんとお母さんの人生の中では宝物のような存在だったでしょうけど。でもお父さんとお母さんはもういないの。だから、いいのよきっと。」
「宝物…?何で、宝物?***は物じゃないだろ?」
「例えよ、例え。お母さんもお婆ちゃんも、ずっとその先のご先祖様も、立派に生きて、人を愛して、結婚して、子供を生んで、大切に育てて幸せな家庭を築いてきたのよ、きっと。それが命のサイクルなの。その結果が、今の私。」
「家庭…」
「家族が一緒に生活してる場のことよ。昔、お父さんとお母さんと私は3人で一緒に暮らしていたでしょう?お母さんは幸せだって言ってたわ…。」
「じゃあ、***は、その家庭を…築く?のをすれば良いんじゃないの?そしたら幸せに…」
「もー、そんなのきっと無理よっ!ほら、冷めちゃうから早く食べて?…って、私が話してるからよね、ごめんなさい。」
いつの間にか***の皿から料理が無くなっていて、立ち上がると食器を片付け始めた。
それでもオレは話すのをやめない、***のことをちゃんと知りたい、話を理解出来るようになりたい。何より、このまま***がそう思って独りで生活し続けるのかと思うと、心苦しくて放っておけなかった。
「何で?何で無理なんだ?」
「……私は今でさえ立派に生きてないし、こんな愚図だから…きっと誰も私のことなんて好きになってくれないもの、それなのに結婚出来る筈がないし、子供なんてとても育てられると思えないの。…ほら、もうわかったでしょ、片付かないから早く食べちゃって、」
「オレは***のこと好きだよ!!」
「…えっ……?」
逃げるように話を終えようとする***に、質問しか出来なかったオレが唯一教えられる事実。
***は目を大きく開いて、立ったまま固まっていた。
「………う、そ…」
「オレは嘘なんて吐かない!嘘吐きなのは***だろ、悲しい癖にそんな簡単に親のこと話して、人には気遣って笑いかけて!」
立ち上がってずんずんと***の前に詰め寄り、両肩に手を添えると一瞬だけびくりと跳ねた***の肩。こんなに、小さかったんだ…。
「ごめんなさいっ!!私、リンクに嫌な思いさせてたなんて気付かなくて、」
「あぁぁ!いや、だから嫌いって訳じゃないんだけど、オレは***のこと好きだから、その、幸せに生きてほしいし、もっと素直に笑ったり辛い時は泣いたり頼ってほしいんだよ!!!毎日立派に生きたいんだったら、えぇっと、ほら、今度オレに本読み聞かせてくれよ、オレまだ子供だからさ、わからないこといっぱい聞いていつも説明するの大変だったろ?だから昼間のうちに読みながらどう説明するかじっくり考えればいいんだよ、そしたらいくらか立派に生きてると思うんだ!」
「え、あ、いいけど…」
「もし、もしそれでも毎日が無駄だと思ったらさ、オレと結婚しよう!旅が終わるまではまだ時間かかっちゃうけど、***が幸せになれるなら、オレ家庭だって築いてみせるさ!!子供を育てるの大変だろうけど、***のお母さんは幸せだったんだろ?だから、だから……!!」
「……………プロポーズ…。」
「えっ!?」
「リンク、結婚の意味、ちゃんとわかって言ってる…?」
「わ、わかってる!!…と思う、多分……。あれだろ、ほら、子供の頃に***が好きな絵本を教えてくれた、好きな人同士がずっと一緒に暮らすっていう…」
あれ?好きな人同士?ってことは***もオレのこと好きじゃないと駄目なのか?えぇぇじゃあもしかしたら無理だったりする!?ここまで話して!?
興奮したせいで胸が落ち着かない上に、頭の中がぐるぐるして上手く考えられない!
「うん、間違ってないよ。でもね、ただ幸せなだけじゃないんだよ。どんなに辛い時も、病気の時も、相手を愛して2人で支え合って乗り越えるって誓うことが出来ないと、駄目なの。」
「***はオレのこと好き!?もしかして嫌い!?」
「話聞いてた?それにどうして2択しかないのよ、嫌いだったらこうやって家に泊める訳ないでしょう。」
「聞いてたよ、オレは誓える!じゃあ、じゃあ俺のこと好きなんだな?」
「……………。」
「なぁ、好き?」
「………す、…好き……よ…。」
小さく、そう答えると***は俯いてしまった。歓喜に打ち震えた心が顔を上げてほしいと叫んでいたが、耳は***の不安気な声を聞き逃さず、すぐにオレの頭を冷静にさせた。
「…でも私、リンクのこと支えられる自信無いわ…。」
「オレ、もう十分***に支えられてきたよ。」
「そんな覚え……」
「オレはあるよ。子供だった頃から、沢山。頑張ってって見送ってくれただろ?あれ、すっげー嬉しかったんだ!」
「リンク、もう行っちゃうの?」
「***!うん、あと一つ精霊石を手に入れなくちゃならないんだ!!」
「そっか…頑張ってね!」
「いつもオレの怪我に気付いて、体調の心配してくれたし…」
「リンク、手にそんな怪我してたらろくに戦えないでしょう。危ないから治るまでは絶対に行っちゃ駄目よ。」
「今晩は冷えるから、もう一つ毛布かけて寝て頂戴。あ、ホットミルク飲む?体温まるわよ。」
「無理だけはしないでよ、ちょっとしたことが命取りに繋がるんだから。」
「オレが風邪ひいた時も、ずっと側で看病してくれたから、寂しくなかったよ。」
「***…手、握ってて、お願い……。」
「良いわ。結構熱あるわね…。」
「どうしよう***、オレ、こんな休んでる場合じゃないのに…っ!」
「大丈夫……大丈夫よ。安心して、リンク。焦らなくていいの。ゆっくり、元気になってね…。」
「***が笑うといっつも安心するし、すごく好きだ。でも、もう人の為だけじゃなくて、心から笑ってほしい。今度はオレが支える番なんだよ。まだまだ子供だけど、絶対***のこと幸せにしてみせる。だから、結婚しよう?
…いや、
結婚してください。」
「―……はい。」
ただ一人、君の為に
(「ありがとう」と泣きそうになる***を見て、こんな顔もするんだと知った)(ほんの少しかかとを浮かしながらキスをしてきたかと思えば、今度は頬を染めてはにかむ***が愛おしくて、力いっぱい抱き締めた)
「大好き、 。」
「大好き、 。」
***
そしてリンクはこの後、冷たくなってしまった夕飯を口にするのです!!!!!
13.10.17
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