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パンプキンバー店長のプーキンさんが、久し振りに休暇をくれたので私は相棒のロフトバードと共に空の散歩をしていた。夜も人気のあるパンプキンバーは、このところずっと夜勤続きだったから本当は寝ておきたくて、実はこれも空の散歩と言うより昼寝をするのにちょうどいい島を探しているところ。一口に島と言っても、池の溜まった島や変わった形の島とか様々な形がある為、それが私に探す楽しみを煽るのだ。
今日はちょっとバーから遠出して、出来れば人気の無い島を探してみよう。スカイロフトの真上を横切り、更に先を相棒のロフトバードと共に目指す。そういえばここ最近になって現れた、雲から伸びているあの光の柱は何なんだろう。通り過ぎちゃったからよく見えなかったけど。
そう考えているうちに一つの孤島が見えてきた、のは良いけど…遠目からでもわかるその孤島は、明らかにただ浮かんでいて何も無いような平べったいものでないことに気付いた。孤島に何かがあるのだ。
「よぉぉっし、今日は高いダイビング決めちゃおうか!」
己の好奇心の儘に、何があるのかを調べて行く行くはその孤島で昼寝をしようと決め、急上昇する。うわぁぁぁ太陽が眩しい、くしゃみ出そう。
結構な高さまで上がり、ダイビング。大きく腕と足を開き、体いっぱいに風を感じるダイビングはやっぱり気持ちいい。そういえばダイビング島的な感じの、ちょっとしたゲームが楽しめる島が近々出来るらしい。絶対行こう。パラショールは使えないらしいけど………………ん!?そういえば私今ちゃんとパラショール持ってる!?確認忘れたけど持ってるよね!?あぁぁぁ持ってる持ってる、なぁんだ大丈夫じゃないの、びっくりし…た……?
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
一人漫才のように続いた脳内での会話が自己完結して、現在降りようとしてる孤島を見て驚愕した。ななな何アレ何アレ!刺さる刺さるさっささっさ!?
…ちょっと落ち着こう、今私の落下地点には先端の尖った植物(しかも結構固そう)が大量にある。勿論このままのスピードで落ちればきっとざっくり!チーン!だね言わずもがな!!擦り傷とかじゃ済まないわ!そうだ、じゃあパラショール開けば良いじゃない!
思いのままにパラショールを開く。ほーら、落下速度はゆっくりになっ……、パラショール開いたところで…落下地点…変わらない……よ…?私、こんな馬鹿、だったけ。
今の私の絶望を、絵図で表せば何とかの叫びみたいな表情してたと思う。手は離せないけど。このまま落下すれば、あの植物からは逃れられない…!さあどうする***!パラショールだけでは落下地点は変えられない、ロフトバードを呼ぶにも手をパラショールから離せば急降下してお陀仏!!はは、何かもう、考えるの…無理だわ……。どうしよう他に思い付かない。
仕方なくダメ元で、パラショールの端を持ちながら口笛を吹こうと恐る恐る唇へ指を寄せる。と、パラショールを思わず大きく握ってしまった為にバランスが崩れて急速落下。いつもは気持ち良い風さえも今回ばかりは怖くて先程のようには叫び声すら出せなかった。ああどうせ死ぬならこんな間抜けな死に方じゃなくて、雲の下に落下して皆の知らない世界を知ってから死ぬ方が良かった。真下から迫ってくる鋭利な植物が目に入り、死が近いことを意識したら胸苦しさが込み上げてきてぎゅうっと目をつぶる。死にたくない…!!
ばすん、という思ったより柔らかい衝撃音を立てた私の体は心地よさを認識した。目を開くと先程恐れながら見ていた植物と同じ色が視界に入り、一瞬息が止まりそうになった。でもその下にちらりと見える赤は、血だとかそういう生々しいものではないふさふさしたもの。これって、
「大丈夫?」
青年の声が聞こえた。俯いていた顔を上げると、亜麻色の髪を生やした青くて大きい目をした人が私を見ていた。彼の身を包むこの制服は間違いない、騎士学校の生徒さん…もしくは卒業生のレスキュー隊の人かぁ。でも緑色の制服なんて見たこと無いし、最近高等部に進級した人、かな?穏やかな浮遊感は相棒に乗っている時と同じで。
私、助けられたんだ。
じんわりと安心感が滲んできて、息を吸った。私まだ生きてる…!
「変な死に方しなくて良かったぁぁぁ…!」
「…えっ?」
私の発言に不思議に思いつつも彼は両腕に私を抱えながら、低位置から島に着地してくれた。もう大丈夫です。そう私が言うとゆるゆると降ろされた。
「あの、ありがとうございます!あなたは命の恩人です!ヒーローは遅れて来るものだって聞いた時は早く来いよとか思ってましたけど、実際来るだけですごく恵まれてるんですねあんなこと思ってごめんなさい!」
「う、うん思うのは自由だから良いんじゃないかな……とりあえず落ち着いて?」
思いが突っ走ったせいでいらない本音出たぁぁぁ!?
やらかした、と失態を悔やんでいる私の肩がぽんぽんと優しく叩かれた。素直に深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。そうだ、お礼しないと。
「あの、私パンプキンバーで働いてる***って言います。よろしければ、あなたの名前を教えていただけますか?」
「うん、僕はリンク。今年高等部に進級したばっかりで騎士見習いの生徒なんだ」
「(やっぱり最近進級したんだ…)…リンクさん、」
「あ、さんとか敬語とか無しでいいよ、歳同じぐらいだと思うし」
「は……うん。あの、リンク…本当にありがとう。私死んじゃうかと思ったから」
「うん、僕も間に合って良かったよ」
リンクがにこりと笑う。落ち着く笑顔だなぁ、えへへ……じゃない!お礼しようとしてるんだから話を脱線させるんじゃない。
「それで、是非ともお礼をしたいのだけれど、予定さえ無いならこれからパンブキンバーに…で……も………?」
あれ?何だろうこのナンパみたいな誘い方?最後になるに連れて声が小さくなっていってしまった。リンクはうーん、と少し考える素振りをした直後にいいよ!とあっさり返してくれた。
「本当に?ここまで来たから何か用事でもあったんじゃないの?」
「ちょっと、ストレス発散にね。でもいいよ、大したことじゃないから。それに僕、まだパンブキンバーに行ったこと無かったから、せっかく良い機会だし案内してほしいんだ」
「そうなの?じゃあ店長に頼んで腕を奮ってもらおうかな!」
えへへ、これを機に常連客にならないかなぁ、良い人だし。ちらりとリンクの隣で大人しくしていた彼のロフトバードを撫でる。
「君もありがとうねー」
形容し難い、鳥独特の声で鳴いて目を細めたロフトバードに思わず感嘆の声を漏らした。
「紅族のロフトバードなんて、私初めて見た!絶滅したって聞いてたから…こんな子と相棒だなんて、リンクってきっとすごい人材なのね」
「そう…なのかな?僕の周りのものがすごいんだと思うけど」
そう謙遜して、はにかみながら笑うリンクの背中を叩いて早速行こうと出発の合図を示し、空へとダイビングする。直ぐにリンクも付いて来てくれた。
「店長!」
「おお、***じゃねぇか、今日は仕事休みの筈だがどうした?」
「えーっと、こっちの彼、リンクって言うんだけど」
「何だ珍しく男なんか連れて来て。まさか付き合うことになったのか?そうか***にも遂にそういう人が出来たのかぁ!!」
「アラ、そうなの***?」
「パナンちゃんまで誤解しないで!強いてざっくり簡潔に説明するなら今日初めて会った命の恩人だから!」
「ざっくりし過ぎて、どこから突っ込み入れれば良いか分からないわよ…」
も、どうしてそういう考えになったのかな。そうとしか思えない店長ことプーキンさんに対して、隣のリンクは苦笑いしていた。
「兎に角店長!私の奢りで、お礼だから飛び切り美味しいカボチャスープをリンクにお願いします!飛び切り美味しいカボチャスープ!大事なことなので二度言いました!」
「おうよ!」
「あっ、ちなみに“飛び切り美味しいカボチャスープ”なんてメニューにはありませんので、皆様悪しからず」
誤解の無いように他の客に笑顔で注意を促し、私はパナンちゃんと一緒に裏口からバーを出た。
「何だか間抜けネ」
「で す よ ねー!」
自分でもそう思う!何故あんな馬鹿らしい死に方をしそうになったのか。カボチャ畑の土を避けてごろりと寝転がりながら(パナンちゃんは座ってるけど)説明を終えて思う。今考えれば、あの時すぐに相棒を呼べば良かったものを。冷静さって大事ね。
「パナンちゃん……いついかなる時も冷静さを見失ってはならん。死ぬぞ」
「うーん、冷静な判断が出来るように、***はちゃんと睡眠を取るべきじゃないかしら」
「(えっ、さっきのノリ華麗にスルーされた)うん、もう今日は午後から寝ようかな……あの、パナンちゃんのベッド、貸してくれないかな?」
結局さっきの島何なのかわからなかったし。ぐぬぬ、こうなったらふて寝してやる。
「お仕事中であんまり静かじゃないと思うけど…」
「いいの、次にドジったら今度こそ間抜けな死に方しそうなの。だからちょっとでも生きる為の冷静さを!私に!与えてください!」
両手を合わせてパナンちゃんに懇願する。あ、やばい、そういえば最近ハイリア様に信仰心捧げてない気が。死にそうになったのこれかもしれない。別の原因が浮き出てきた頃にパナンちゃんは良いわよ、と快く許可してくれた。
「ありがとうパナンちゃん!私頑張ってちゃんと寝て生きるから!」
「もー、大袈裟なんだからー」
くすくすと笑うパナンちゃんに釣られて、笑いながら寝返りをうつとふわりと土の匂いがした。そういえば、さっきリンクに助けて貰った時に服から砂の匂いがしたんだよなぁ。彼も野菜育てたりするのかなー。
次の瞬間、大きな音がバーの中から聞こえた。鈍い音なんかじゃない、物が割れる音だ。それも食器を落としたなんてレベルじゃない。びっくりしてパナンちゃんと顔を見合わせた直後に一緒にバーに入った。何か、入る直前に怒鳴り声が聞こえた気がするんだけど…。
「あーあ…」
「うわっ、シャンデリアァァァ!!」
「ちょっと、うるさいわよ」
「あっごめんなさい…」
店長自慢のシャンデリアが、テーブルの上に落下して無残に割れていた。テーブルの近くに座っていた客は、私とは逆に呆気にとられているようだった。暴れない限りは落ちない筈なのに。今日来ていた客には荒っぽい人はいないし、外にいたけどそんな客が入った様子も見ていない。
厨房から店長に話し掛けようと近づくと、カウンター越しにリンクが相対して立っていた。二人の真剣な表情で理解した。
多分、シャンデリアを壊したのはリンクだって。
そんな人には見えないのになぁ。でも島で会った時に、ストレス発散とか言ってたから何かあったのかな。顔は良いのに勿体無い。
「おらっちが大切にしていた、オーダーメードのシャンデリアが台無しじゃねぇか!壊れたシャンデリアの代金を全部返すまでただ働きしてもらうからな!
どうだ?覚悟はできてんだろうな?」
リンクはごくりと喉を鳴らし、真っ直ぐに店長を見た。どうやら覚悟を決めたようだ。客が皆、張り詰めた空気に緊張して見守っている中に、そのよく通る声がはっきりと響いた。
「できてない!!」
店長の手がリンクの胸倉を掴み上げ、僅かに彼の足が床から浮いた。
身長はそんなに高くないらしい。意外だった。いろいろと。
***
自分の気持ちに正直なだけでリンク君に悪気は無いです。ギャグに成りきれていない気がする。
竹斬り島って、竹に直撃落下したら絶対かすり傷じゃ済まないだろーっていうところから始まったらこんなことに…。それなのにしょっちゅう距離感間違えて、直撃落下ばかりしてごめんなさい←
12.03.30
今日はちょっとバーから遠出して、出来れば人気の無い島を探してみよう。スカイロフトの真上を横切り、更に先を相棒のロフトバードと共に目指す。そういえばここ最近になって現れた、雲から伸びているあの光の柱は何なんだろう。通り過ぎちゃったからよく見えなかったけど。
そう考えているうちに一つの孤島が見えてきた、のは良いけど…遠目からでもわかるその孤島は、明らかにただ浮かんでいて何も無いような平べったいものでないことに気付いた。孤島に何かがあるのだ。
「よぉぉっし、今日は高いダイビング決めちゃおうか!」
己の好奇心の儘に、何があるのかを調べて行く行くはその孤島で昼寝をしようと決め、急上昇する。うわぁぁぁ太陽が眩しい、くしゃみ出そう。
結構な高さまで上がり、ダイビング。大きく腕と足を開き、体いっぱいに風を感じるダイビングはやっぱり気持ちいい。そういえばダイビング島的な感じの、ちょっとしたゲームが楽しめる島が近々出来るらしい。絶対行こう。パラショールは使えないらしいけど………………ん!?そういえば私今ちゃんとパラショール持ってる!?確認忘れたけど持ってるよね!?あぁぁぁ持ってる持ってる、なぁんだ大丈夫じゃないの、びっくりし…た……?
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
一人漫才のように続いた脳内での会話が自己完結して、現在降りようとしてる孤島を見て驚愕した。ななな何アレ何アレ!刺さる刺さるさっささっさ!?
…ちょっと落ち着こう、今私の落下地点には先端の尖った植物(しかも結構固そう)が大量にある。勿論このままのスピードで落ちればきっとざっくり!チーン!だね言わずもがな!!擦り傷とかじゃ済まないわ!そうだ、じゃあパラショール開けば良いじゃない!
思いのままにパラショールを開く。ほーら、落下速度はゆっくりになっ……、パラショール開いたところで…落下地点…変わらない……よ…?私、こんな馬鹿、だったけ。
今の私の絶望を、絵図で表せば何とかの叫びみたいな表情してたと思う。手は離せないけど。このまま落下すれば、あの植物からは逃れられない…!さあどうする***!パラショールだけでは落下地点は変えられない、ロフトバードを呼ぶにも手をパラショールから離せば急降下してお陀仏!!はは、何かもう、考えるの…無理だわ……。どうしよう他に思い付かない。
仕方なくダメ元で、パラショールの端を持ちながら口笛を吹こうと恐る恐る唇へ指を寄せる。と、パラショールを思わず大きく握ってしまった為にバランスが崩れて急速落下。いつもは気持ち良い風さえも今回ばかりは怖くて先程のようには叫び声すら出せなかった。ああどうせ死ぬならこんな間抜けな死に方じゃなくて、雲の下に落下して皆の知らない世界を知ってから死ぬ方が良かった。真下から迫ってくる鋭利な植物が目に入り、死が近いことを意識したら胸苦しさが込み上げてきてぎゅうっと目をつぶる。死にたくない…!!
ばすん、という思ったより柔らかい衝撃音を立てた私の体は心地よさを認識した。目を開くと先程恐れながら見ていた植物と同じ色が視界に入り、一瞬息が止まりそうになった。でもその下にちらりと見える赤は、血だとかそういう生々しいものではないふさふさしたもの。これって、
「大丈夫?」
青年の声が聞こえた。俯いていた顔を上げると、亜麻色の髪を生やした青くて大きい目をした人が私を見ていた。彼の身を包むこの制服は間違いない、騎士学校の生徒さん…もしくは卒業生のレスキュー隊の人かぁ。でも緑色の制服なんて見たこと無いし、最近高等部に進級した人、かな?穏やかな浮遊感は相棒に乗っている時と同じで。
私、助けられたんだ。
じんわりと安心感が滲んできて、息を吸った。私まだ生きてる…!
「変な死に方しなくて良かったぁぁぁ…!」
「…えっ?」
私の発言に不思議に思いつつも彼は両腕に私を抱えながら、低位置から島に着地してくれた。もう大丈夫です。そう私が言うとゆるゆると降ろされた。
「あの、ありがとうございます!あなたは命の恩人です!ヒーローは遅れて来るものだって聞いた時は早く来いよとか思ってましたけど、実際来るだけですごく恵まれてるんですねあんなこと思ってごめんなさい!」
「う、うん思うのは自由だから良いんじゃないかな……とりあえず落ち着いて?」
思いが突っ走ったせいでいらない本音出たぁぁぁ!?
やらかした、と失態を悔やんでいる私の肩がぽんぽんと優しく叩かれた。素直に深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。そうだ、お礼しないと。
「あの、私パンプキンバーで働いてる***って言います。よろしければ、あなたの名前を教えていただけますか?」
「うん、僕はリンク。今年高等部に進級したばっかりで騎士見習いの生徒なんだ」
「(やっぱり最近進級したんだ…)…リンクさん、」
「あ、さんとか敬語とか無しでいいよ、歳同じぐらいだと思うし」
「は……うん。あの、リンク…本当にありがとう。私死んじゃうかと思ったから」
「うん、僕も間に合って良かったよ」
リンクがにこりと笑う。落ち着く笑顔だなぁ、えへへ……じゃない!お礼しようとしてるんだから話を脱線させるんじゃない。
「それで、是非ともお礼をしたいのだけれど、予定さえ無いならこれからパンブキンバーに…で……も………?」
あれ?何だろうこのナンパみたいな誘い方?最後になるに連れて声が小さくなっていってしまった。リンクはうーん、と少し考える素振りをした直後にいいよ!とあっさり返してくれた。
「本当に?ここまで来たから何か用事でもあったんじゃないの?」
「ちょっと、ストレス発散にね。でもいいよ、大したことじゃないから。それに僕、まだパンブキンバーに行ったこと無かったから、せっかく良い機会だし案内してほしいんだ」
「そうなの?じゃあ店長に頼んで腕を奮ってもらおうかな!」
えへへ、これを機に常連客にならないかなぁ、良い人だし。ちらりとリンクの隣で大人しくしていた彼のロフトバードを撫でる。
「君もありがとうねー」
形容し難い、鳥独特の声で鳴いて目を細めたロフトバードに思わず感嘆の声を漏らした。
「紅族のロフトバードなんて、私初めて見た!絶滅したって聞いてたから…こんな子と相棒だなんて、リンクってきっとすごい人材なのね」
「そう…なのかな?僕の周りのものがすごいんだと思うけど」
そう謙遜して、はにかみながら笑うリンクの背中を叩いて早速行こうと出発の合図を示し、空へとダイビングする。直ぐにリンクも付いて来てくれた。
「店長!」
「おお、***じゃねぇか、今日は仕事休みの筈だがどうした?」
「えーっと、こっちの彼、リンクって言うんだけど」
「何だ珍しく男なんか連れて来て。まさか付き合うことになったのか?そうか***にも遂にそういう人が出来たのかぁ!!」
「アラ、そうなの***?」
「パナンちゃんまで誤解しないで!強いてざっくり簡潔に説明するなら今日初めて会った命の恩人だから!」
「ざっくりし過ぎて、どこから突っ込み入れれば良いか分からないわよ…」
も、どうしてそういう考えになったのかな。そうとしか思えない店長ことプーキンさんに対して、隣のリンクは苦笑いしていた。
「兎に角店長!私の奢りで、お礼だから飛び切り美味しいカボチャスープをリンクにお願いします!飛び切り美味しいカボチャスープ!大事なことなので二度言いました!」
「おうよ!」
「あっ、ちなみに“飛び切り美味しいカボチャスープ”なんてメニューにはありませんので、皆様悪しからず」
誤解の無いように他の客に笑顔で注意を促し、私はパナンちゃんと一緒に裏口からバーを出た。
「何だか間抜けネ」
「で す よ ねー!」
自分でもそう思う!何故あんな馬鹿らしい死に方をしそうになったのか。カボチャ畑の土を避けてごろりと寝転がりながら(パナンちゃんは座ってるけど)説明を終えて思う。今考えれば、あの時すぐに相棒を呼べば良かったものを。冷静さって大事ね。
「パナンちゃん……いついかなる時も冷静さを見失ってはならん。死ぬぞ」
「うーん、冷静な判断が出来るように、***はちゃんと睡眠を取るべきじゃないかしら」
「(えっ、さっきのノリ華麗にスルーされた)うん、もう今日は午後から寝ようかな……あの、パナンちゃんのベッド、貸してくれないかな?」
結局さっきの島何なのかわからなかったし。ぐぬぬ、こうなったらふて寝してやる。
「お仕事中であんまり静かじゃないと思うけど…」
「いいの、次にドジったら今度こそ間抜けな死に方しそうなの。だからちょっとでも生きる為の冷静さを!私に!与えてください!」
両手を合わせてパナンちゃんに懇願する。あ、やばい、そういえば最近ハイリア様に信仰心捧げてない気が。死にそうになったのこれかもしれない。別の原因が浮き出てきた頃にパナンちゃんは良いわよ、と快く許可してくれた。
「ありがとうパナンちゃん!私頑張ってちゃんと寝て生きるから!」
「もー、大袈裟なんだからー」
くすくすと笑うパナンちゃんに釣られて、笑いながら寝返りをうつとふわりと土の匂いがした。そういえば、さっきリンクに助けて貰った時に服から砂の匂いがしたんだよなぁ。彼も野菜育てたりするのかなー。
次の瞬間、大きな音がバーの中から聞こえた。鈍い音なんかじゃない、物が割れる音だ。それも食器を落としたなんてレベルじゃない。びっくりしてパナンちゃんと顔を見合わせた直後に一緒にバーに入った。何か、入る直前に怒鳴り声が聞こえた気がするんだけど…。
「あーあ…」
「うわっ、シャンデリアァァァ!!」
「ちょっと、うるさいわよ」
「あっごめんなさい…」
店長自慢のシャンデリアが、テーブルの上に落下して無残に割れていた。テーブルの近くに座っていた客は、私とは逆に呆気にとられているようだった。暴れない限りは落ちない筈なのに。今日来ていた客には荒っぽい人はいないし、外にいたけどそんな客が入った様子も見ていない。
厨房から店長に話し掛けようと近づくと、カウンター越しにリンクが相対して立っていた。二人の真剣な表情で理解した。
多分、シャンデリアを壊したのはリンクだって。
そんな人には見えないのになぁ。でも島で会った時に、ストレス発散とか言ってたから何かあったのかな。顔は良いのに勿体無い。
「おらっちが大切にしていた、オーダーメードのシャンデリアが台無しじゃねぇか!壊れたシャンデリアの代金を全部返すまでただ働きしてもらうからな!
どうだ?覚悟はできてんだろうな?」
リンクはごくりと喉を鳴らし、真っ直ぐに店長を見た。どうやら覚悟を決めたようだ。客が皆、張り詰めた空気に緊張して見守っている中に、そのよく通る声がはっきりと響いた。
「できてない!!」
店長の手がリンクの胸倉を掴み上げ、僅かに彼の足が床から浮いた。
身長はそんなに高くないらしい。意外だった。いろいろと。
何だこの人
(「店長!私が責任持って働かせますのでやめたげてくださいぃぃぃ!!」)(お礼するどころか酷い目に合わせてしまった)
***
自分の気持ちに正直なだけでリンク君に悪気は無いです。ギャグに成りきれていない気がする。
竹斬り島って、竹に直撃落下したら絶対かすり傷じゃ済まないだろーっていうところから始まったらこんなことに…。それなのにしょっちゅう距離感間違えて、直撃落下ばかりしてごめんなさい←
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