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「3・2・1……ハッピーニューイヤー!」
年越しのカウントダウンの声が、消防局本部内に響き渡る。出動命令が出ずに新年を迎えられたことに皆で安堵し、新年を祝った。やれ一年間いろんなことがあったとか、今年はこういう一年にしたいなど隊員同士で雑談していると、あっという間に当番時間が終わり晴れて非番の時間が訪れる。バーニッシュの存在が世界から消えたことで火災の発生件数はぐんと減り、別動隊との調整を頑張った甲斐もあってか、今年の三番隊メンバーにはニュー・イヤーズ・デイを満喫する時間が設けられた。せっかくの機会だからと、ささやかなパーティーが開催される。
「なぁ、誰か二人羽織やろうぜ!」
「出たよ、ガロの日本文化チャレンジ」
「最近、何かコソコソ作ってると思ったら……」
飲み物や軽食をテーブルに並べて朗らかな雰囲気が広がる中、ガロが手を挙げて提案した。極東の島国、日本の伝統余興をやりたいと言って用意した羽織を取り出す。非番の日、ガロが家で何か作っていたのはこのためだったのかと一人で納得した。
「レミー!」
「絶対にやらない」
「バリス!」
「無理だろ」
「そもそも服に身体が入らないねェ〜」
この余興は二人で前後に並び、一枚の羽織を着る必要がある。視界を遮られた後ろの人が、前の人の口へ食べ物を運ぶ様子の動画を見て、レミーは絶対にやりたくないと言い、バリスの体格では組める相手がいなかった。そんな中、アイナがある人物の名前を挙げた。
「リオならガロと出来そうじゃない?」
「は……?僕が?」
「おお!そうだそうだ、リオとなら上手くやれる自信あるぜ」
「一体、どこからそんな自信が湧くんだ」
一瞬怪訝そうな表情を浮かべたものの、肩を組んで誘うガロの一言を聞いたリオは満更でもない様子で「仕方ないな」と笑って承諾した。ガロが前になり、リオが後ろから羽織に袖を通す。二人が一つの姿になって、デリバリーで届いた出来立てのピザを食べようとする。
「ちょ!待て待て、もっと下だって!」
「前が見えないんだ、仕方ないだろ」
「そうだけど!せめてもうちょいゆっくり……」
「オマエがやれと言うからやってるのに、この有様か。ちゃんと食べろ」
「アッツ!服の中落ちた!」
「テメェ、ボスからの施しを無駄にすんな!」
ゲーラとメイスからの野次が飛び交う中、ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人を眺めながら食事を楽しんでいると、イグニス隊長が労いの言葉をかけてくれた。
「一年間、よくやってくれた」
「私の働きなんて、まだまだ小さいものです」
「少なくとも、この時間はお前がスケジュール調整したおかげだ」
いつもと変わらない声色で隊長は言う。常に冷静で、そして全員に気を配るあたたかな一面を持つ、この人の元で働けることに心の底から感謝した。
「今年の士気も上がるだろう。今日は気にせず飲むと良い」
「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて」
勧められるままに、並んだシャンパンに手を伸ばす。口当たりの良い爽やかな風味を味わいながら、二人羽織をするガロ達を見て笑ったところで私の記憶は途切れた。
携帯端末で動画を撮るルチアが「***って笑い上戸だったんだ~」と面白がるのを見て、彼女が酒に酔ってるんだと気が付いた。
何かと気を張りがちな***が、腹を抱えて笑うのは珍しい光景で。オレはまだ酒を飲んだ経験が無いからその感覚がわからねぇが、何を見ても笑壺に入る様を見て羨ましい気持ちになった。
ただ、酔った彼女を連れて家に帰るのはちょっとばかり大変だった。
「ん、ふふっ!地面近ぁ……!」
数歩進む度にふとした拍子で笑い始めると、彼女は膝の力が抜けてその場にしゃがみ込んでしまう。オレ達が住むアパートメントと職場の距離はそう遠くない。寧ろかなり近いほうだ。にも拘わらず、帰り道にいつもの倍以上時間がかかっていた。酒で温まってるとはいえ、寒空の下を長時間歩くのは身体に良くない気がする。***の身体に腕を回して抱き上げると、また無邪気な笑い声が響いた。
「ふ、アハハ!今度は高い!ね、ガロの髪の毛、なんでこんな跳ねてるの」
「オマエ、ちょっと酔い過ぎじゃねぇ……?」
部屋に入り、彼女の靴やコートを脱がせてベッドに寝かせる。これは今後、酒を飲む場所は選んだ方がいいだろうなと考えるオレへ、***が何か言いたげに手招きする。
「なんだぁ……?」
先ほどと打って変わって静かな様子に、気分でも悪くなったかと心配して顔を近づけると、唐突に唇を吸われた。
「んんっ?」
「ハッピーニューイヤー、ガロ」
とろんとした穏やかな笑顔で言うと、***はすぐに瞼を閉じてしまった。暗い部屋にすうすうと彼女の寝息が響く中、ポケットに入れた端末から通知音が鳴る。今日のパーティーの様子を撮った動画が、ルチアから届いていた。
「……あぁ~、クソッ」
こっちの気も知らねえで、幸せそうに一人でさっさと寝やがって!火照った顔の熱を振り払うように頭を掻き、ベッドで眠る彼女が風邪をひかないよう布団を掛け直す。楽し気に笑う彼女の動画をお気に入りに保存して、オレはいつまでもだらしなく頬を緩ませながら、その笑顔を眺め続けていた。
年越しのカウントダウンの声が、消防局本部内に響き渡る。出動命令が出ずに新年を迎えられたことに皆で安堵し、新年を祝った。やれ一年間いろんなことがあったとか、今年はこういう一年にしたいなど隊員同士で雑談していると、あっという間に当番時間が終わり晴れて非番の時間が訪れる。バーニッシュの存在が世界から消えたことで火災の発生件数はぐんと減り、別動隊との調整を頑張った甲斐もあってか、今年の三番隊メンバーにはニュー・イヤーズ・デイを満喫する時間が設けられた。せっかくの機会だからと、ささやかなパーティーが開催される。
「なぁ、誰か二人羽織やろうぜ!」
「出たよ、ガロの日本文化チャレンジ」
「最近、何かコソコソ作ってると思ったら……」
飲み物や軽食をテーブルに並べて朗らかな雰囲気が広がる中、ガロが手を挙げて提案した。極東の島国、日本の伝統余興をやりたいと言って用意した羽織を取り出す。非番の日、ガロが家で何か作っていたのはこのためだったのかと一人で納得した。
「レミー!」
「絶対にやらない」
「バリス!」
「無理だろ」
「そもそも服に身体が入らないねェ〜」
この余興は二人で前後に並び、一枚の羽織を着る必要がある。視界を遮られた後ろの人が、前の人の口へ食べ物を運ぶ様子の動画を見て、レミーは絶対にやりたくないと言い、バリスの体格では組める相手がいなかった。そんな中、アイナがある人物の名前を挙げた。
「リオならガロと出来そうじゃない?」
「は……?僕が?」
「おお!そうだそうだ、リオとなら上手くやれる自信あるぜ」
「一体、どこからそんな自信が湧くんだ」
一瞬怪訝そうな表情を浮かべたものの、肩を組んで誘うガロの一言を聞いたリオは満更でもない様子で「仕方ないな」と笑って承諾した。ガロが前になり、リオが後ろから羽織に袖を通す。二人が一つの姿になって、デリバリーで届いた出来立てのピザを食べようとする。
「ちょ!待て待て、もっと下だって!」
「前が見えないんだ、仕方ないだろ」
「そうだけど!せめてもうちょいゆっくり……」
「オマエがやれと言うからやってるのに、この有様か。ちゃんと食べろ」
「アッツ!服の中落ちた!」
「テメェ、ボスからの施しを無駄にすんな!」
ゲーラとメイスからの野次が飛び交う中、ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人を眺めながら食事を楽しんでいると、イグニス隊長が労いの言葉をかけてくれた。
「一年間、よくやってくれた」
「私の働きなんて、まだまだ小さいものです」
「少なくとも、この時間はお前がスケジュール調整したおかげだ」
いつもと変わらない声色で隊長は言う。常に冷静で、そして全員に気を配るあたたかな一面を持つ、この人の元で働けることに心の底から感謝した。
「今年の士気も上がるだろう。今日は気にせず飲むと良い」
「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて」
勧められるままに、並んだシャンパンに手を伸ばす。口当たりの良い爽やかな風味を味わいながら、二人羽織をするガロ達を見て笑ったところで私の記憶は途切れた。
携帯端末で動画を撮るルチアが「***って笑い上戸だったんだ~」と面白がるのを見て、彼女が酒に酔ってるんだと気が付いた。
何かと気を張りがちな***が、腹を抱えて笑うのは珍しい光景で。オレはまだ酒を飲んだ経験が無いからその感覚がわからねぇが、何を見ても笑壺に入る様を見て羨ましい気持ちになった。
ただ、酔った彼女を連れて家に帰るのはちょっとばかり大変だった。
「ん、ふふっ!地面近ぁ……!」
数歩進む度にふとした拍子で笑い始めると、彼女は膝の力が抜けてその場にしゃがみ込んでしまう。オレ達が住むアパートメントと職場の距離はそう遠くない。寧ろかなり近いほうだ。にも拘わらず、帰り道にいつもの倍以上時間がかかっていた。酒で温まってるとはいえ、寒空の下を長時間歩くのは身体に良くない気がする。***の身体に腕を回して抱き上げると、また無邪気な笑い声が響いた。
「ふ、アハハ!今度は高い!ね、ガロの髪の毛、なんでこんな跳ねてるの」
「オマエ、ちょっと酔い過ぎじゃねぇ……?」
部屋に入り、彼女の靴やコートを脱がせてベッドに寝かせる。これは今後、酒を飲む場所は選んだ方がいいだろうなと考えるオレへ、***が何か言いたげに手招きする。
「なんだぁ……?」
先ほどと打って変わって静かな様子に、気分でも悪くなったかと心配して顔を近づけると、唐突に唇を吸われた。
「んんっ?」
「ハッピーニューイヤー、ガロ」
とろんとした穏やかな笑顔で言うと、***はすぐに瞼を閉じてしまった。暗い部屋にすうすうと彼女の寝息が響く中、ポケットに入れた端末から通知音が鳴る。今日のパーティーの様子を撮った動画が、ルチアから届いていた。
「……あぁ~、クソッ」
こっちの気も知らねえで、幸せそうに一人でさっさと寝やがって!火照った顔の熱を振り払うように頭を掻き、ベッドで眠る彼女が風邪をひかないよう布団を掛け直す。楽し気に笑う彼女の動画をお気に入りに保存して、オレはいつまでもだらしなく頬を緩ませながら、その笑顔を眺め続けていた。
