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「はい、それじゃコレ!一人一個がノルマだからよろしくね~」
ルチアからオレンジ色のカボチャを渡される。聞くに、今度の10月31日にハロウィンイベントが開催されるから、そこに飾るジャック・オ・ランタンをみんなで手分けして作るのだそうだ。中に火を灯したキャンドルを置くため、安全確保としてバーニングレスキューもイベントに常駐するらしい。今までこの時期に街中の飾りで見かけたことはあっても、実物に触れる……ましてやこの手で作る機会なんて一度も無かった。
「わぁ!私、作るの初めてだよ!」
早速ワクワクしながら準備に取り掛かる。くりぬく部分に印を付けた後、カボチャをひっくり返して底になる面へ切り込みを入れようとしたタイミングで、握ったナイフが手から離れる。
「リオ!」
「切るのは僕がやるから、君はスプーンでくりぬいてくれ」
私の分と引き換えにリオのカボチャが押し付けられて、むうと頬が膨れる。リオは相変わらず、なかなか私にナイフを使わせてくれない。
「料理とは違うんだぞ」
「それはわかってるけど~……」
私、そこまで不器用じゃないよ。そう言おうとしたけれど、スルスルと切り込みを入れていくリオの手捌きを見ると何も言えなくなってしまった。素直に黙々とカボチャの内側に詰まった実をくりぬきながら、イベントの夜に個性的な表情のジャック・オ・ランタンが沢山灯る様子を想像する。オレンジ色の皮を通して輝く炎の光は、きっと幻想的でキレイだろうな。
「イベントの日は、バーニッシュだったみんなにも会えるかな?」
「お菓子を配るらしいし、きっと来るだろうな」
楽しみだね、と笑いあって手を進めた。
「トリックオアトリート!」
「はい、かわいいオバケさん。どう、新しいお友達は出来た?」
「うん!今日一緒に来たんだよ」
「そっか、そっか!」
「どっちがいっぱいお菓子もらえるか、競争しようぜ!」
「あ、待って〜!」
ハロウィンイベントの当日、仮装した姿の子供たちへお菓子を配る。元バーニッシュの子供たちが血色の良い顔つきで屈託のない笑顔を浮かべる様を見て、自然とこちらの頬も緩む。少し離れたところから、メイスの声が聞こえた。
「***、そっちの菓子はまだ余ってるか?」
「あるよ!無くなっちゃった?」
「すごい勢いで減っちまった。こりゃ、足りるか怪しいな」
「人気者だね〜」
元マッドバーニッシュの三人は特に、当時一緒に逃亡生活をしていた子供たちから人気殺到中。周りを囲まれて動けなくなっている。
「お菓子無いの?」
「じゃあイタズラだ!」
「だーっ、気が早ぇって!引っ張るな!少し待ってろ。***、こっちに寄越せ!」
「ゲーラも結構短気だよ……?」
「お菓子よりも、お前たちと一緒に遊びたいんじゃないか」
イタズラのターゲットにされたゲーラが、あちこちから身体を引っ張られて悲鳴を上げている。それを言うリオのカボチャ型バスケットの中身も空っぽだ。
「ゲーラとメイスもそうだけど、みんなはリオとも遊びたいんじゃないかな。ね?」
子供たちに問いかけると「もちろん!」と目を輝かせて元気な返事が返ってきた。
「トリックオアトリート!お菓子が無いなら……イタズラしちゃうよ?」
「へぇ……君が?」
「えっ?」
「してみろ、イタズラとやらを」
からかおうと思ってリオに呼びかけると、口角を上げていつもより少し低い声で挑発される。まさか、腕を組んで堂々と受けて立たれるとは思ってもみなかった。……いざイタズラをするって言っても、何をしたらいいんだろう?うーん、うーん……と頭を傾けて考えこむ。
「何だ、できないのか?」
「で、出来るもん!……よし、みんな!突撃だ~!」
「ヤーッ!」
「うわ!一気にくるのか!」
子供たちを味方につけて、リオに擽り攻撃を仕掛ける。どこだ、どこだ?リオの弱いトコロは。首かな。脇の下かな。耳元、それとも脇腹?いろんなところを擽られて、リオは身を捩りながらけらけらと笑う。……これって、今日はお菓子を持っていない相手なら、好きなだけイタズラしても許されるのでは……?楽しい空気に、イタズラ心がむくむくと芽生えた。
「アイナ、トリックオアトリート!」
「わっ!***?急にビックリした~」
「トリックオアトリート!お菓子ちょうだーい!」
「わ~!集めたお菓子がとられちゃう!」
「トリックオアトリート!もうお菓子無いでしょ~?」
「テメェもそっち側にまわんのかよ!?」
「トリックオアトリート!」
「うぉ!?おい***、ちょっと待て……っ」
「ふふん、待たないよー!」
「ボス、コイツなんとかしてくれませんかね……」
「へ?」
初めはアイナの背中を擽り、次に子供たちを追いかけまわす。続いてゲーラの腰やメイスの脇をこちょこちょと擽っているところに人影が落ちる。気づいたら、リオが私を見下ろしていた。顔に影がかかっており、かろうじて表情を読み取れる口はへの字に結んでいるのが見えた。
「***。そのくらいにしておけ」
り、リオが……怒っている!挑発された時よりも低い声に機嫌が悪いことを察した瞬間、メイスの身体から手を離して背筋を伸ばす。
「アイナや子供たちはまだしも……もう少し、距離感をだな」
「ご……ごめんなさい!気を付けます!」
「……本当にわかっているのか?」
額に手を当てて呆れるリオに反省の意を伝えた。主催者側の立場なのに、子供と一緒に……それどころか、子供たちよりもはしゃいでしまった。舞い上がった自分の行動を振り返り、羞恥心に襲われる。そんな私を嘲笑う声が、会場内に灯された沢山のジャック・オ・ランタンから聞こえたような気がした。
ルチアからオレンジ色のカボチャを渡される。聞くに、今度の10月31日にハロウィンイベントが開催されるから、そこに飾るジャック・オ・ランタンをみんなで手分けして作るのだそうだ。中に火を灯したキャンドルを置くため、安全確保としてバーニングレスキューもイベントに常駐するらしい。今までこの時期に街中の飾りで見かけたことはあっても、実物に触れる……ましてやこの手で作る機会なんて一度も無かった。
「わぁ!私、作るの初めてだよ!」
早速ワクワクしながら準備に取り掛かる。くりぬく部分に印を付けた後、カボチャをひっくり返して底になる面へ切り込みを入れようとしたタイミングで、握ったナイフが手から離れる。
「リオ!」
「切るのは僕がやるから、君はスプーンでくりぬいてくれ」
私の分と引き換えにリオのカボチャが押し付けられて、むうと頬が膨れる。リオは相変わらず、なかなか私にナイフを使わせてくれない。
「料理とは違うんだぞ」
「それはわかってるけど~……」
私、そこまで不器用じゃないよ。そう言おうとしたけれど、スルスルと切り込みを入れていくリオの手捌きを見ると何も言えなくなってしまった。素直に黙々とカボチャの内側に詰まった実をくりぬきながら、イベントの夜に個性的な表情のジャック・オ・ランタンが沢山灯る様子を想像する。オレンジ色の皮を通して輝く炎の光は、きっと幻想的でキレイだろうな。
「イベントの日は、バーニッシュだったみんなにも会えるかな?」
「お菓子を配るらしいし、きっと来るだろうな」
楽しみだね、と笑いあって手を進めた。
「トリックオアトリート!」
「はい、かわいいオバケさん。どう、新しいお友達は出来た?」
「うん!今日一緒に来たんだよ」
「そっか、そっか!」
「どっちがいっぱいお菓子もらえるか、競争しようぜ!」
「あ、待って〜!」
ハロウィンイベントの当日、仮装した姿の子供たちへお菓子を配る。元バーニッシュの子供たちが血色の良い顔つきで屈託のない笑顔を浮かべる様を見て、自然とこちらの頬も緩む。少し離れたところから、メイスの声が聞こえた。
「***、そっちの菓子はまだ余ってるか?」
「あるよ!無くなっちゃった?」
「すごい勢いで減っちまった。こりゃ、足りるか怪しいな」
「人気者だね〜」
元マッドバーニッシュの三人は特に、当時一緒に逃亡生活をしていた子供たちから人気殺到中。周りを囲まれて動けなくなっている。
「お菓子無いの?」
「じゃあイタズラだ!」
「だーっ、気が早ぇって!引っ張るな!少し待ってろ。***、こっちに寄越せ!」
「ゲーラも結構短気だよ……?」
「お菓子よりも、お前たちと一緒に遊びたいんじゃないか」
イタズラのターゲットにされたゲーラが、あちこちから身体を引っ張られて悲鳴を上げている。それを言うリオのカボチャ型バスケットの中身も空っぽだ。
「ゲーラとメイスもそうだけど、みんなはリオとも遊びたいんじゃないかな。ね?」
子供たちに問いかけると「もちろん!」と目を輝かせて元気な返事が返ってきた。
「トリックオアトリート!お菓子が無いなら……イタズラしちゃうよ?」
「へぇ……君が?」
「えっ?」
「してみろ、イタズラとやらを」
からかおうと思ってリオに呼びかけると、口角を上げていつもより少し低い声で挑発される。まさか、腕を組んで堂々と受けて立たれるとは思ってもみなかった。……いざイタズラをするって言っても、何をしたらいいんだろう?うーん、うーん……と頭を傾けて考えこむ。
「何だ、できないのか?」
「で、出来るもん!……よし、みんな!突撃だ~!」
「ヤーッ!」
「うわ!一気にくるのか!」
子供たちを味方につけて、リオに擽り攻撃を仕掛ける。どこだ、どこだ?リオの弱いトコロは。首かな。脇の下かな。耳元、それとも脇腹?いろんなところを擽られて、リオは身を捩りながらけらけらと笑う。……これって、今日はお菓子を持っていない相手なら、好きなだけイタズラしても許されるのでは……?楽しい空気に、イタズラ心がむくむくと芽生えた。
「アイナ、トリックオアトリート!」
「わっ!***?急にビックリした~」
「トリックオアトリート!お菓子ちょうだーい!」
「わ~!集めたお菓子がとられちゃう!」
「トリックオアトリート!もうお菓子無いでしょ~?」
「テメェもそっち側にまわんのかよ!?」
「トリックオアトリート!」
「うぉ!?おい***、ちょっと待て……っ」
「ふふん、待たないよー!」
「ボス、コイツなんとかしてくれませんかね……」
「へ?」
初めはアイナの背中を擽り、次に子供たちを追いかけまわす。続いてゲーラの腰やメイスの脇をこちょこちょと擽っているところに人影が落ちる。気づいたら、リオが私を見下ろしていた。顔に影がかかっており、かろうじて表情を読み取れる口はへの字に結んでいるのが見えた。
「***。そのくらいにしておけ」
り、リオが……怒っている!挑発された時よりも低い声に機嫌が悪いことを察した瞬間、メイスの身体から手を離して背筋を伸ばす。
「アイナや子供たちはまだしも……もう少し、距離感をだな」
「ご……ごめんなさい!気を付けます!」
「……本当にわかっているのか?」
額に手を当てて呆れるリオに反省の意を伝えた。主催者側の立場なのに、子供と一緒に……それどころか、子供たちよりもはしゃいでしまった。舞い上がった自分の行動を振り返り、羞恥心に襲われる。そんな私を嘲笑う声が、会場内に灯された沢山のジャック・オ・ランタンから聞こえたような気がした。