プロメア
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――あ、と気付いた瞬間にはもう手遅れで、手から滑り落ちたカップは大きな音を立てて無情に砕けた。はぁと息を吐いてしゃがみ込み、破片を摘み上げて一箇所に集める。食器が割れた後の静けさが、空虚感となって一気に押し寄せた。
「どうした?」
「ガロ」
先程の音を聞いたガロが、キッチンへ歩いてくる。
「ごめん、これ……ガロの、」
「怪我してねぇか⁉︎」
「えっ」
私が言い終わるより早く、ガロは隣に屈み込む。真っ先に手を取り、指先を確認された。
「あ〜、切っちまってんな。待ってろ、今絆創膏持ってくるから」
「いや、このくらいなら別に……」
「ダメだ」
きっぱりと言い切り、すぐに救急箱を持ってきて手当てされる。紙で切った程度のごく浅い傷で、少し放っておけば自然と血も止まるだろうに。
「こういうのはな、程度がどうこうの問題じゃねぇ。自分を適当に扱う癖を付けたらダメだ」
消毒液がじんと染みる。それは、確かに傷があることの証明のようだった。指先に丁寧に絆創膏が巻かれる。こうしてガロから大切に扱われて初めて、今まで自分を適当に扱ってきたのだろうかと気付かされる。
私が袋を広げて、ガロが箒で集めた欠片をゆっくりと慎重に入れていく。カチャカチャと音を立てるそれを見ていると、再び先程の空虚感に包まれた。
「……ごめんね」
「んぁ?」
私の気持ちとは裏腹に、間の抜けた返事。謝る理由が、本当にわからないようだった。
「これ、ガロのカップだったのに……割っちゃって」
「ああ、そういう……気にすんなよ。特別なモンじゃねぇし」
「でも……」
ガロはあっけらかんとしているけれど、割ってしまった身としては引け目を感じてしまう。俯いていると、溌剌とした声色でガロが言った。
「逆に考えれば、新しいのを買うチャンスが出来たってことだ!」
「えっ」
にっと歯を見せて、ガロが笑う。「買いに行こうぜ!」と手を引っ張られるままに、インテリアショップへ連れられてしまった。
「……とは言ったものの、いざ選ぼうとすると悩むモンだな」
単色のシンプルな物から様々な柄がデザインされた物など、沢山のカップが並ぶ棚から、二人で手近なカップをいくつか手に取っては戻す。
「持ちやすいのとか?」
「あ〜、小さいよりはデカい方がいいな」
ガロが片手で持ち、軽く上下する。確かに、小ぶりな物だとガロの手には小さくて持ちにくいのだろう。
「***はどれが良いと思う?」
「ガロが使うんだから、ガロの好きな物を選んだらいいじゃない」
「いいから、こう、ビビッとくるのを選んでくれよ! 直感で」
「ビビッと……?」
そう言われてもピンとこない。首を傾げながら、目に留まった物を手に取る。それは水色から薄らと白んだ黄色へのグラデーションが、鮮やかな色彩のカップ。爽やかな、朝焼けの空を思わせる美しい色。
「……コレとか、キレイだなって思う」
「お、それ最初にも見てたもんな」
「そうなの?」
「おう。……じゃ、それ二つ買うか!」
「? 一つで充分じゃないの? それに、ガロが好きなのを……」
「オレと***の分。こういうの、無かったからよ」
「……そっか。そうね」
ガロが嬉しそうに笑う。確かに、二人で選んで揃えた物はこれが初めてだ。私はガロが使いやすそうな物を。ガロは、私が好んだデザインを選んでくれた。それだけで、今朝のあの音で心にぽっかりと空いた穴が、優しく満たされていく。
購入したカップを抱えて帰ろうとすると、ガロがあるコーナーで足を止めた。
――***は、明らかに落ち込んでた。多分、カップを割ったこと以上に“オレの物を壊した”ことが、彼女には深刻だったんだと思う。本当に、オレにとっては何の変哲もないただのカップなのに。
***は元々、あまり物を多く持たない方だった。それは、失った時に辛い思いをしないため、あえて大切な物を増やさないようにして見えた。だからこそ、人一倍、今ある物を大切にするし、他人の物にも同じ気持ちを込めている。
バーニッシュの存在が世界から消えても、大切なものを一瞬で焼き尽くされた恐怖は、いつまでもオレたちの中に染み付いて消えない。
そのせいか、相変わらず家に***の気配を感じる物が少なかった。一晩あれば、彼女が存在した事実すら何も残らず、簡単に消えちまいそうだ……って、余計な考えが浮かぶくらいに。
だから、***は確かにここにいるんだって、形になった何かが欲しかった。
(ちょっと無理矢理だったかもな)
そんな心配なんてつゆ知らず、選んだカップを見つめる***の眼差しが温かくてホッとした。
彼女は今、確かに、ここにいる。
オレの隣を歩いている。
その事実を噛み締めながら歩いていると、ショップの一角にあるベッドコーナーへ目が留まった。
「……なぁ」
「何?」
「ベッドも、買わねぇか」
暮らし始めた時のまま、オレたちは未だにそれぞれ別に寝ていた。声は変に上擦っていなかっただろうか。視線はベッドに向けたまま、***の反応を待つ。
「……あぁ、そうよね。流石にいつまでもソファベッドっていうのもね」
「えっ⁉︎」
「何よ、ガロが言ったんでしょ」
意外にも、すんなり同意された。手近な展示品のベッドに腰掛けて感触を確かめる***。抵抗が無いのは嬉しいけど、そんな、アッサリと。いいのか? 本当に?
「このサイズだと、ちょっと大きいかしら……」
「それじゃ小さいだろ」
「でも、そうしないと部屋に置けないわ」
「え?」
「え?」
噛み合わない会話に、お互い顔を見合わせる。まさか、さっきの意味伝わってないのか?
「……もしかして、今のベッドの隣に置くつもりか?」
「うん、そうだけど」
「……ダブルベッドにしようぜ」
「だから、それじゃ置けないって」
「……だぁ〜っ! 今あるベッドを替えて、ダブルベッドにすればいいだろうが!」
「ん、え? ……同じベッドで寝るってこと?」
「そ、そうだよ」
そこまで言ってやっと、***は理解した。顔が熱い。オレとは対照的に、顔に手を当てて「ん〜」と唸りながら、真剣に彼女は考えこむ。
「夫婦でもベッドは別の方が、“よく眠れて疲れが取れる”って聞いたことあるわよ? 私はともかく、ガロは肉体労働だし、別の方がいいんじゃない……?」
不味い。理屈的にはそれが正しいのかもしれない。でも、オレが望んでるのはそういうことじゃない。このままだと別々で寝る流れになっちまう。
「ダブルベッドを一つの方が、コンパクトだろ。……それに、」
「それに?」
「お……オレが一緒に寝てぇんだよ! ……ダメか?」
それらしい理由を付けようと思ったのに、結局口から出たのは本音だった。それを聞いた***がふっと笑う。「仕方ないなぁ」と言いながら、でも決して嫌そうではなく、優しくオレの甘えを受け入れる。
「いいよ、そうしようか。元々、私はこだわり無かったし。ガロが好きなのを選んで?」
「ダメだ、コレも一緒に選ばないと。二人で使うんだから。もう、オレだけの家じゃねぇんだ」
その言葉を聞いた***が、目を丸くして、柔らかく微笑んだ。
「……うん」
それからは一つずつ好みを探っていった。弾力は少し硬めの方がいいか、クッションはいくつ置くか。新しいブランケットも揃えよう。わざと「思い切ってキングサイズはどうだ」なんて冗談を言ったら、本気にした彼女から必死に止められて。
そうして過ごすうちに、もう***の顔からは朝の落ち込んだ表情が消えていた。
――次の休日が訪れ、届いたベッドをかガロと一緒に組み立てる。もっと時間がかかると思っていたけれど、想像よりも早く完成した。
(一人じゃこんなに早く出来なかったな……)
ガロがいるおかげで、前は負担だったことが、随分と楽になった。
ベッドに合わせて新しく買い揃えた枕とクッションを並べていく。クッションがいくつも並ぶ華やかなベッドは初めてだ。隣のガロに視線をやると、ワクワクした様子でベッドを見つめている。新しい家具で嬉しいんだろうなぁ。
「よし! いくぞ!」
「あ、えぇ⁉︎」
腕を引っ張られるままに、一緒にベッドへ飛び込んだ。ぷは、と顔を上げて息をする。
「ビックリした……」
「へへっ! こういうのは全力で満喫しねぇとな!」
すぐ隣で、ガロがニコニコと笑顔を浮かべた。それを見ると、釣られて自分の口角まで上がるのがわかる。私も、少し浮き足立っているのだ。新品のシーツを撫で、さらさらとした触り心地に目を瞑る。
「ちょっと臭いね」
「開けたばっかりだからな」
新品特有のどこか化学的な香りさえ、今は新鮮で楽しく思える。どちらともなくお互いの指先をそっと撫でながら、ぽつりぽつりと話し出す。
「新しい目覚まし時計とか、ベッドライトを揃えてもいいかもね……」
「そうだな」
「私、寝る前に本を読むけど、良い?」
「おう、好きにしようぜ」
洗面所の歯ブラシも、玄関の靴も、二つ並ぶ生活が当たり前になって。
あの時、彼が言ったように、この家はもうガロ一人の家じゃなくて。私たちの帰る場所になったんだと実感する。
お揃いのカップがテーブルを彩って、このベッドも、すぐに私たちの匂いが馴染んでいくのだろう。
これからは、こうして一緒に選んだお気に入りが増えて、私たち二人の家が出来上がるんだ。それはとても素敵なことだ、なんて未来への期待を胸に、引き寄せられたガロの温かな腕の中で微睡みに沈んだ。
「どうした?」
「ガロ」
先程の音を聞いたガロが、キッチンへ歩いてくる。
「ごめん、これ……ガロの、」
「怪我してねぇか⁉︎」
「えっ」
私が言い終わるより早く、ガロは隣に屈み込む。真っ先に手を取り、指先を確認された。
「あ〜、切っちまってんな。待ってろ、今絆創膏持ってくるから」
「いや、このくらいなら別に……」
「ダメだ」
きっぱりと言い切り、すぐに救急箱を持ってきて手当てされる。紙で切った程度のごく浅い傷で、少し放っておけば自然と血も止まるだろうに。
「こういうのはな、程度がどうこうの問題じゃねぇ。自分を適当に扱う癖を付けたらダメだ」
消毒液がじんと染みる。それは、確かに傷があることの証明のようだった。指先に丁寧に絆創膏が巻かれる。こうしてガロから大切に扱われて初めて、今まで自分を適当に扱ってきたのだろうかと気付かされる。
私が袋を広げて、ガロが箒で集めた欠片をゆっくりと慎重に入れていく。カチャカチャと音を立てるそれを見ていると、再び先程の空虚感に包まれた。
「……ごめんね」
「んぁ?」
私の気持ちとは裏腹に、間の抜けた返事。謝る理由が、本当にわからないようだった。
「これ、ガロのカップだったのに……割っちゃって」
「ああ、そういう……気にすんなよ。特別なモンじゃねぇし」
「でも……」
ガロはあっけらかんとしているけれど、割ってしまった身としては引け目を感じてしまう。俯いていると、溌剌とした声色でガロが言った。
「逆に考えれば、新しいのを買うチャンスが出来たってことだ!」
「えっ」
にっと歯を見せて、ガロが笑う。「買いに行こうぜ!」と手を引っ張られるままに、インテリアショップへ連れられてしまった。
「……とは言ったものの、いざ選ぼうとすると悩むモンだな」
単色のシンプルな物から様々な柄がデザインされた物など、沢山のカップが並ぶ棚から、二人で手近なカップをいくつか手に取っては戻す。
「持ちやすいのとか?」
「あ〜、小さいよりはデカい方がいいな」
ガロが片手で持ち、軽く上下する。確かに、小ぶりな物だとガロの手には小さくて持ちにくいのだろう。
「***はどれが良いと思う?」
「ガロが使うんだから、ガロの好きな物を選んだらいいじゃない」
「いいから、こう、ビビッとくるのを選んでくれよ! 直感で」
「ビビッと……?」
そう言われてもピンとこない。首を傾げながら、目に留まった物を手に取る。それは水色から薄らと白んだ黄色へのグラデーションが、鮮やかな色彩のカップ。爽やかな、朝焼けの空を思わせる美しい色。
「……コレとか、キレイだなって思う」
「お、それ最初にも見てたもんな」
「そうなの?」
「おう。……じゃ、それ二つ買うか!」
「? 一つで充分じゃないの? それに、ガロが好きなのを……」
「オレと***の分。こういうの、無かったからよ」
「……そっか。そうね」
ガロが嬉しそうに笑う。確かに、二人で選んで揃えた物はこれが初めてだ。私はガロが使いやすそうな物を。ガロは、私が好んだデザインを選んでくれた。それだけで、今朝のあの音で心にぽっかりと空いた穴が、優しく満たされていく。
購入したカップを抱えて帰ろうとすると、ガロがあるコーナーで足を止めた。
――***は、明らかに落ち込んでた。多分、カップを割ったこと以上に“オレの物を壊した”ことが、彼女には深刻だったんだと思う。本当に、オレにとっては何の変哲もないただのカップなのに。
***は元々、あまり物を多く持たない方だった。それは、失った時に辛い思いをしないため、あえて大切な物を増やさないようにして見えた。だからこそ、人一倍、今ある物を大切にするし、他人の物にも同じ気持ちを込めている。
バーニッシュの存在が世界から消えても、大切なものを一瞬で焼き尽くされた恐怖は、いつまでもオレたちの中に染み付いて消えない。
そのせいか、相変わらず家に***の気配を感じる物が少なかった。一晩あれば、彼女が存在した事実すら何も残らず、簡単に消えちまいそうだ……って、余計な考えが浮かぶくらいに。
だから、***は確かにここにいるんだって、形になった何かが欲しかった。
(ちょっと無理矢理だったかもな)
そんな心配なんてつゆ知らず、選んだカップを見つめる***の眼差しが温かくてホッとした。
彼女は今、確かに、ここにいる。
オレの隣を歩いている。
その事実を噛み締めながら歩いていると、ショップの一角にあるベッドコーナーへ目が留まった。
「……なぁ」
「何?」
「ベッドも、買わねぇか」
暮らし始めた時のまま、オレたちは未だにそれぞれ別に寝ていた。声は変に上擦っていなかっただろうか。視線はベッドに向けたまま、***の反応を待つ。
「……あぁ、そうよね。流石にいつまでもソファベッドっていうのもね」
「えっ⁉︎」
「何よ、ガロが言ったんでしょ」
意外にも、すんなり同意された。手近な展示品のベッドに腰掛けて感触を確かめる***。抵抗が無いのは嬉しいけど、そんな、アッサリと。いいのか? 本当に?
「このサイズだと、ちょっと大きいかしら……」
「それじゃ小さいだろ」
「でも、そうしないと部屋に置けないわ」
「え?」
「え?」
噛み合わない会話に、お互い顔を見合わせる。まさか、さっきの意味伝わってないのか?
「……もしかして、今のベッドの隣に置くつもりか?」
「うん、そうだけど」
「……ダブルベッドにしようぜ」
「だから、それじゃ置けないって」
「……だぁ〜っ! 今あるベッドを替えて、ダブルベッドにすればいいだろうが!」
「ん、え? ……同じベッドで寝るってこと?」
「そ、そうだよ」
そこまで言ってやっと、***は理解した。顔が熱い。オレとは対照的に、顔に手を当てて「ん〜」と唸りながら、真剣に彼女は考えこむ。
「夫婦でもベッドは別の方が、“よく眠れて疲れが取れる”って聞いたことあるわよ? 私はともかく、ガロは肉体労働だし、別の方がいいんじゃない……?」
不味い。理屈的にはそれが正しいのかもしれない。でも、オレが望んでるのはそういうことじゃない。このままだと別々で寝る流れになっちまう。
「ダブルベッドを一つの方が、コンパクトだろ。……それに、」
「それに?」
「お……オレが一緒に寝てぇんだよ! ……ダメか?」
それらしい理由を付けようと思ったのに、結局口から出たのは本音だった。それを聞いた***がふっと笑う。「仕方ないなぁ」と言いながら、でも決して嫌そうではなく、優しくオレの甘えを受け入れる。
「いいよ、そうしようか。元々、私はこだわり無かったし。ガロが好きなのを選んで?」
「ダメだ、コレも一緒に選ばないと。二人で使うんだから。もう、オレだけの家じゃねぇんだ」
その言葉を聞いた***が、目を丸くして、柔らかく微笑んだ。
「……うん」
それからは一つずつ好みを探っていった。弾力は少し硬めの方がいいか、クッションはいくつ置くか。新しいブランケットも揃えよう。わざと「思い切ってキングサイズはどうだ」なんて冗談を言ったら、本気にした彼女から必死に止められて。
そうして過ごすうちに、もう***の顔からは朝の落ち込んだ表情が消えていた。
――次の休日が訪れ、届いたベッドをかガロと一緒に組み立てる。もっと時間がかかると思っていたけれど、想像よりも早く完成した。
(一人じゃこんなに早く出来なかったな……)
ガロがいるおかげで、前は負担だったことが、随分と楽になった。
ベッドに合わせて新しく買い揃えた枕とクッションを並べていく。クッションがいくつも並ぶ華やかなベッドは初めてだ。隣のガロに視線をやると、ワクワクした様子でベッドを見つめている。新しい家具で嬉しいんだろうなぁ。
「よし! いくぞ!」
「あ、えぇ⁉︎」
腕を引っ張られるままに、一緒にベッドへ飛び込んだ。ぷは、と顔を上げて息をする。
「ビックリした……」
「へへっ! こういうのは全力で満喫しねぇとな!」
すぐ隣で、ガロがニコニコと笑顔を浮かべた。それを見ると、釣られて自分の口角まで上がるのがわかる。私も、少し浮き足立っているのだ。新品のシーツを撫で、さらさらとした触り心地に目を瞑る。
「ちょっと臭いね」
「開けたばっかりだからな」
新品特有のどこか化学的な香りさえ、今は新鮮で楽しく思える。どちらともなくお互いの指先をそっと撫でながら、ぽつりぽつりと話し出す。
「新しい目覚まし時計とか、ベッドライトを揃えてもいいかもね……」
「そうだな」
「私、寝る前に本を読むけど、良い?」
「おう、好きにしようぜ」
洗面所の歯ブラシも、玄関の靴も、二つ並ぶ生活が当たり前になって。
あの時、彼が言ったように、この家はもうガロ一人の家じゃなくて。私たちの帰る場所になったんだと実感する。
お揃いのカップがテーブルを彩って、このベッドも、すぐに私たちの匂いが馴染んでいくのだろう。
これからは、こうして一緒に選んだお気に入りが増えて、私たち二人の家が出来上がるんだ。それはとても素敵なことだ、なんて未来への期待を胸に、引き寄せられたガロの温かな腕の中で微睡みに沈んだ。
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